特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第18期第3回理事会記録

日 時:2013年12月2日(月)15:00~20:30

場 所:神戸国際会議場 4階「403」

出席者:大隅典子(18期理事長)、小原雄治(副理事長)、中山敬一(副理事長)、阿形清和、荒木弘之(広報幹事兼)、五十嵐和彦、一條秀憲、上田泰己、上村 匡(編集幹事兼)、後藤由季子(会計幹事兼)、近藤 滋(第36回年会長兼)、相賀裕美子、塩見美喜子(集会幹事兼)、篠原 彰、高橋淑子、月田早智子、町田泰則、三浦正幸、山本正幸、渡邊嘉典、石野史敏(庶務幹事)、本間美和子(庶務幹事)、金井正美(広報幹事)、以上23名

欠席者:石川冬木、大隅良典、岡田清孝、佐々木裕之、田中啓二、長田重一、西田栄介、花岡文雄、山本雅之、郷 通子(監事)、永田恭介(監事)、武田洋幸(集会幹事)、小安重夫(第37回年会長)、以上13名

事務局:福田 博(記録)、並木孝憲、丸田夏子、山口恵子
 

本理事会成立について:
 本間美和子庶務幹事より、理事20名、幹事3名が出席し、委任状12名(理事9、監事2、幹事1)を受理しており、本理事会は細則第4章第8条により成立する旨、報告された。

議事録署名人の選任について:
 大隅典子理事長より、議事録署名人として、五十嵐和彦理事と塩見美喜子理事が指名され、承認された。
 島本 功 本学会理事が本年9月28日に逝去なされた。議事に先立ち、出席者一同により黙祷を捧げた。
 

議 事:

1.報告事項

1)執行部報告(理事長、庶務幹事、広報幹事)

 ・「日本版NIH」構想について
大隅理事長より、5月に公開された「日本版NIHの骨子」に対し、6月10日付で生命科学系6学会との連名で『健康医療分野における研究助成のあり方について(緊急声明)-「日本版NIH」構想と裾野の広い基礎研究の必要性-』、6月11日付で生物科学学会連合加盟団体の一員として『(緊急声明)「日本版NIH」構想における資源配分と人材育成プロセスへの懸念』の緊急声明発表を行ったことが報告された。

 ・会員現況
本間庶務幹事より、2013年11月25日現在の会員数につき以下のとおりに報告がなされた。

名誉会員

1名

正 会 員

9424名

(海外在住163含む)
学生会員

4587名

(海外在住15含む)
賛助会員

29社

合 計

14041名

(前年12月対比、-1240)

 本年6月に会費3年以上滞納者の除籍処理(2258名)を行っている。自己申告による通常の退会者も相当数あり、それに対し昨年12月から本年11月の1年間に1897名(正会員517、学生会員1379、賛助1)の新入会があったことが報告された。

 ・生物科学学会連合について
 本間庶務幹事より、生科連の活動状況につき報告がなされた。本年より生科連に下記2つの検討委員会が立ち上がることになり、本学会を代表して以下の理事に各委員会に入っていただくことになった。
 ○生科連 教科書問題検討委員会 ←篠原彰理事(生命科学教育担当)
 ○生科連 ポスドク問題検討ワーキンググループ←塩見美喜子理事(キャリアパス委員会委員長)

 ・金井正美広報幹事より広報に関する報告が行われた。

 ① 8月1日より学会ホームページをリニューアルした。改訂の際のコンセプトの説明に続き、2013年1月以降の月間アクセス統計、リニューアル後の総ヒット件数(ページ別TOP5、国別TOP5)につき、報告がなされた。

 ② 学会案内パンフレットを改訂した。

 ③ SNSツールを活用するため、本年2月より学会Facebookの運用を開始した。11月22日時点で計193件の記事を投稿し、「いいね!」を「435」獲得している。
ホームページをリニューアルした8月1日から11月22日までに受け付けた外部からの掲載依頼は、Facebookの運用効果もあり、人材公募記事数は昨年同時期と比べて2倍以上となった。

2)近藤 滋第36回年会長より準備状況の報告がなされた。

 (i)配付資料に基づき、事前参加登録人数、発表演題数、展示・広告・バイオテクノロジーセミナー実施企業数に関する報告が行われた。

 (ii)ここ数年、年会参加者数が減少傾向にある。会員の年齢構成は20代・30代が減っており、このままでは20代と50代の数が逆転するのは2020年頃ではないかとのスライド説明がなされ、そこで若い世代を取り込みたいとの考えから様々な新しい企画を試みるに至った。
 今年の年会は、準備段階から組織委員会の考えをSNS等を使い積極的に発信し、会員からのフィードバックを取り込むことで各種の特別企画を作り上げていった。これらの実験的・挑戦的な企画は、全体として未来における巨大学会のあるべき姿を構成しているとの36回年会のコンセプトについて説明がなされた。
 ポイントとして、学会が(1)研究者社会の問題解決に寄与できるか、(2)サイエンスアウトリーチの核になれるか、という2つの課題へチャレンジした年会となった。
○生命科学研究を考えるガチ議論
○特別シンポジウム「薬を創るということ」
○学会とJAZZの融合
○アート企画「サイエンスとアートの接点」
○SFトークショー「2050年シンポジウム」
○公開プレゼンテーション「生命世界を問う」
○海外ポスドク旅費補助

 (iii)近藤年会長からの説明を受けた後、活発な意見交換が行われた。出席理事からの提出意見(一部)は次のとおりであった。
・学会と年会の関係であるが、年会の企画・運営をすべて年会長に一任するのではなく、もう少し学会がリードしたほうがよいのではないか。
・年会企画の継続性、学会企画の年会プログラムへの組み入れ(調整)をスムースに進めるためにも、理事長や執行部が必ず次年度の年会組織委員会に参画するようにしたらどうか。
・年会の企画・運営については、すべて年会長の裁量で(理事会からの制約なしに)自由に行えることが本学会のよいところでもある。
・すでに昨年12月の理事会で承認されている年会(2014年の第37回年会)の運営について、今の時点で年会企画の継続性の要望を出すことには無理がある。一年前に、従来のルールである、自由に企画・運営してほしいとの条件で年会長を引きうけてもらっているはずである(実際にこの時点で、37回年会の全体日程はかなり固まっている)。

 (iv)「海外ポスドク招聘企画(旅費補助)」については次年度も継続したほうがよいとの意見を受け、討議の結果、今後の年会で基本的な方針としては継続していくことが了承された。実施規模(採択人数)については、予算を考慮しながらの判断とし、さらに、応募条件・採択基準等については、第37回年会組織委員会で検討してもらうこととなった。
 さらに、同旅費補助を理事会で決定するのであれば、学会本部側で予算措置を講ずるべきではないかとの意見が提出された。この財源を捻出するために、節約(縮小)できる他の事業はないか、また、会計報告においても年会会計の収支明細ではなく、学会本体会計の事業支出として記載されるべきではないかとの意見が出された。本部会計と年会会計のいずれで負担していくか(注:最終的には法人全体として決算はすべて合算されるが)、今後の予算執行の状況をみながら検討していくこととなった。

 3)塩見美喜子集会幹事(小安重夫第37回年会長代理)より配付資料に基づき、第37回年会開催企画案についての報告がなされた。
○会期:2014年11月25日(火)~27日(木)の3日間
○会場:パシフィコ横浜
○年会組織:

 【組織委員会】

年会長:小安重夫(理研)
組織委員長:嶋田一夫(東大)
組織委員:荒木弘之(遺伝研)、石野史敏(東医科大)、江口 有(協和発酵キリン)、IT委員 岩崎 渉(東大)

 【プログラム委員会】

委員長:塩見美喜子(東大)
副委員長:渡邊嘉典(東大)

   プログラム委員:小林武彦(遺伝研)、斎藤通紀(京大)、白髭克彦(東大)、高橋淑子(京大)、内匠 透(理研)、竹田 秀(東医歯大)、豊島文子(京大)、吉田 稔(理研)、吉森 保(阪大)、渡辺雄一郎(東大)

プログラム庶務幹事:黒柳秀人(東医歯大)

≪年会開催コンセプト≫
「サイエンスに没頭できる年会」を目指して、学術プログラムを最重要視し、ライフサイエンスのすべてをカバーし全体を俯瞰できるような、分子生物学会の原点に立ち返るような年会としたい旨、塩見集会幹事(37回年会プログラム委員長)より詳細説明がなされた。
・ポスター討論を最重視し、第32回年会同様のディスカッサー制を取り入れる。ポスターセッションの時間には他のプログラムを何も入れないようにしたい。
・パシフィコ横浜の会場費の値上げ(2011年横浜開催と比べ、約20%の増額)と、参加者の便宜をあわせて考慮した結果、開催会期を3日間とし、各日とも午前中はシンポジウム、午後は一般口演をメインとした公募のワークショップを開催し、夕方には午後の一般口演発表を受けるかたちでポスター討論を行う形式としたい。
・シンポジウム(18テーマ予定)はプログラム委員の名前を冠した企画を12枠、オーガナイザー指名による企画6枠を予定。企画者には専門外の参加者にも分かるような分野横断的な企画を依頼、また、毎年同じメンバーによるシンポジウムにならないよう、積極的に違うグループからの演者登用をお願いする予定である。
・ワークショップ(約50テーマ予定)は、会員による公募企画とし、公募で網羅できなかった分野があればプログラム委員会で追加企画を行う予定である。一般演題からの採択を主とし、指定演者は3名までとする。指定演者にも必ずポスター発表を出してもらうようにする予定である。
・演題登録期間:会期が例年より約2週間早いこと、またワークショップへの一般演題引き上げと、新仕様のオンライン要旨へのデータ反映等にかかる日程を考慮し、演題登録期間は過去の合同大会開催時に準じた2014年7月1日(火)~7月31日(木)とする。
・要旨閲覧SNSシステム:35回年会より導入されたSNS機能搭載の要旨閲覧システムは、同様の仕様を踏襲する。システム開発・運営業務委託先は、2013年8月23日(金)に4社が参加して行われたコンペの結果、株式会社アトラスに決定した。来年はオンライン要旨と合わせてアプリも開発することとし、会場内でWi-Fiを使用できる場所はパブリックスペースと展示会場のみに限定する予定である(講演会場にはWi-Fiを設置しない予定(講演聴講に集中してもらう))。
・リクルート企画など企業と学生、研究者の間を仲介するような企画や、若い人たちをどのようにひきたてていくかという点について効果的なプログラムを考えていきたい。
・36回年会の海外ポスドク招聘企画をどのような形式で継続するかは、報告事項2)(iv)の議論の内容を考慮し、今後、条件や対象(Travel Grantにする等)も含めて、組織委員会において検討していきたい。

 4)上村 匡編集幹事より、配布資料に基づき、学会誌『Genes to Cells』の編集報告が行われた。
 幅広い分野の研究者から投稿してもらえるように改訂した投稿規定が浸透しつつあり、論文は昨年並みの投稿数となる予定である。
 2011年に一新した表紙デザインは高い評価を得ており、2014年も日本の伝統絵画の中に生命科学の遊び心を加えた表紙の制作を継続していく予定である(丸3年分の表紙/cover art一覧を資料配布)。また、第36回年会においてアート企画の一環としてカバーアート展示が行われており、この展示は表紙の制作過程も知ることができる内容となっているので、ぜひご覧いただきたい。
 引き続き、『Genes to Cells』において初めて論文の撤回が行われたとの重要な報告がなされた。撤回した論文は4本。責任著者から編集長へ撤回したい旨の申し入れがなされ、編集長・出版社・責任著者の三者がそれぞれの論文のどこにどのような問題があるのかを確認し合意するという手続きを取った。既にジャーナルのホームページには詳細な報告を掲載しており、会員へは来週(本年会の翌週)、同報告を含めた12月号の目次メール配信を行う予定である。
 就任期間等が長くなってきていることもあり、理事会において後任の編集長人事を検討してほしい旨の要望が提出された。編集長の交代時期にあわせて、編集幹事の後任についても検討いただきたい。

 5)各種学術賞、研究助成候補への学会推薦状況について
一條秀憲賞推薦委員長より、2013年に本学会より推薦した各種学術賞について報告がなされた。引き続き、月田早智子研究助成選考委員長より、2013年の研究助成推薦状況と結果等について報告が行われた。

 6)塩見美喜子キャリアパス委員長より、配付資料に基づき、本委員会のミッション、委員会名簿、この1年の活動内容と開催会合、男女共同参画学協会連絡会への本委員会の参画状況についての説明がなされた。
 本年会においては、キャリアパス委員会主催のランチョンセミナーを2つ開催するので、理事各位においても積極的に参加いただきたい。

 ≪キャリアパス委員会主催 ランチョンセミナー2013≫

  セッションI「キャリアパスの多様性と可能性」
(講演I、II+パネルディスカッション)

  セッションII「21世紀のアカデミア、君たちは何を目指す?」
(講演+ケータイをつかった聴衆参加型ディスカッションwithキャリアパス委員)

 引き続き、関連事項として、阿形清和理事(動物学会会長/学協会連絡会 第11期幹事学会として)より、男女共同参画学協会連絡会・第3回大規模アンケート結果概要につき報告が行われた。

 7)富澤基金・基金運営委員会報告
 山本正幸基金運営委員長より、富澤基金による第3回(2013年)日本分子生物学会 若手研究助成の結果につき、その概要が報告された。

 (i)第3回応募の受付期間: 2013年1月10日~2月12日

 (ii)応募総数:123名(男性93名、女性30名 ※性別は名前からの推定による)

 (iii)選考:
・第1次審査:書類審査
・第2次審査:9名を対象に5月11日にヒアリングを実施

 (iv)審査経過と第3回助成対象者:
 審査経過詳細については、会報105号(2013年6月号)に結果報告を掲載済みであるので参照されたい。第3回若手研究助成の助成対象者は以下の4氏である。

   ○小島志保子(UT Southwestern Medical Center)
Poly(A)鎖長の変化による神経可塑性制御機構の解明
Poly(A)denylatome analysis of dendritic protein synthesis and synaptic plasticity

   ○竹ヶ原宜子(University of Pennsylvania, School of Medicine
    *2013年11月より、大阪大学免疫学フロンティア研究センター)
破骨細胞融合メカニズムの解明
Elucidation of osteoclast fusion mechanisms

   ○坪内知美(MRC Genome Damage and Stability Centre, University of Sussex)
胚性幹細胞のゲノム恒常性維持機構の解析
Understanding the Mechanism for the Maintenance of Genome Stability in Embryonic Stem Cells

   ○松田憲之(東京都医学総合研究所)
パーキンソン病の発症メカニズムを、急性ミトコンドリア障害の観点から明らかにする
Elucidate the pathogenic mechanism of Parkinson's disease from the viewpoint of acute mitochondrial dysfunction

 8)第2回(2014年)国際会議支援選考結果報告
 三浦正幸国際会議支援選考委員(西田栄介選考委員長代理)より、第2回目となる国際会議支援については、6件(うち1件は審査期間中に取り下げ)の応募があり、選考委員会における慎重な審査を経て、理事長承認のもと、以下の2会議(計600万円)が採択されたことが報告された。

 ≪会議名称≫
(和文)2014年 線虫発生生物学国際集会・第6回アジア-太平洋線虫集会 合同大会
(英文)2014 C. elegans Development, Cell Biology and Gene Expression Meeting in association with The 6th Asia-Pacific C. elegans Meeting (略称:2014 C. elegans Development Meeting)
 ・開催責任者:杉本亜砂子(東北大院・生命科学)
 ・会期:2014年7月15日(火)~7月19日(土)
 ・会場:奈良県新公会堂(奈良市)
 ・助成金額:300万円

 ≪会議名称≫
(和文)ショウジョウバエ幼虫の神経行動遺伝学:分子、回路、計算原理、そしてロボティクス
(英文)Behavioral Neurogenetics of larval Drosophila: Molecules, Circuits, Computation & Robotics
 ・開催責任者:能瀬聡直(東大院・新領域創成科学)
 ・会期:2014年3月9日(日)~12日(水)
 ・会場:KKR熱海(静岡県熱海市)
 ・助成金額:300万円

 本年度の審査結果報告とは別に、出席理事より来年度の予算(年会時の海外ポスドク招聘企画・旅費補助)が厳しい状況であるので(→詳細は審議事項2.監事からの意見書についての関連審議を参照)、次年度の国際会議支援事業の運用(選考と採択)に当たっては、本事業が開始された際の当初のポリシーを考慮・審査いただくことが重要ではないかとの意見が提出された。
 また、採択された国際会議については、会議終了後に開催責任者にミーティングレポートを書いてもらい、Genes to Cellsに掲載したらどうかとの提案が出され、審議の結果、了承された。第3回募集の案内(HPのお知らせ:応募締切は2014年2月28日)については、至急、その旨の内容を留意事項としてHPに追加記載することとした。

 9)生命科学教育(高校などへの講師派遣の状況)について
 篠原 彰担当理事より、生命科学教育に関して、以下の報告がなされた。

 (i)高等学校における生物学の教科書の大幅改訂において、分子生物学が1つの大きな柱に取り上げられたことを契機に、講師として登録を申し出てくれた会員(2013年12現在、200名弱)を高等学校などへの講師として派遣している。これまでの実績8件(派遣先、参加人数、講師氏名)につき、報告が行われた。

 (ii)年会における高校生発表について
 昨年、第35回(2012年)福岡年会において初めて高校生発表枠を設け、高校生による口頭・ポスター発表を行った。今年、第36回年会においては、会期3日目の12月5日(木)午後4時からポートピアホテル南館1階のホワイエにて高校生発表(ポスター発表10題、うち5題が口頭発表、参加高等学校数は8校)を行うことが報告された。
 引き続き、『年会での高校生発表』について討議がなされ、来年以降も本事業を学会企画として継続的に実施していくことが決定された。すでに開催準備(全体日程/会場調整)に着手されている小安第37回年会長にはご協力依頼をすることとなった。第38回(2015年)年会以降は、学会開催企画として『高校生発表』を実施することを確実に申し送ることが確認された。なお、年会の開催会期によっては、高校生の期末試験日程等の兼ね合いもあり参加が難しい場合も予想されるが、臨機応変に対応することとした。

 (iii)学会のキャラクターデザインについて
 本学会は、昨年より、パシフィコ横浜で8月に開催される『SSH生徒研究発表会』に学会ブースを出展し、高校生や引率の教員の方々への学会事業のPR活動を行っている。また、男女共同参画『女子中高生夏の学校』等への積極的な協力を行ってきているが、今後、生命科学教育を進めていく際に、現在のロゴマークだけでなく、中高生にとって親しみやすい興味がわくような学会キャラクターデザインを作ったらどうかとの提案が篠原担当理事より提出され、了承された。
 現在の学会シンボルマーク(ロゴデザイン)は2007年に公募を行い、当時の執行部において採択されたものである(応募111点、賞金10万円、採用されたデザインの著作権は学会に帰属)。
 討議の結果、手順等については2007年ロゴマーク制定時と同様とし、会報2月号に公募案内を掲載、2014年8月上旬の中高生向けイベント(SSH生徒研究発表会、女子中高生夏の学校)における、学会グッズ配布に間に合わせることとなった。その選定作業等については、18期執行部と篠原担当理事が当たることとなった。

 10)その他
・通常総会/議事進行と報告担当者の確認
・第3回富澤基金贈呈式について
 大隅理事長より、昨年同様に“開かれた”総会を目指し、展示会場内の特設会場にて総会を開催することが報告された。総会終了後には第3回富澤基金贈呈式が行われる。理事会関係者においても多数参加してほしいとの要請がなされた。
 引き続き、本間庶務幹事より、第36回通常総会資料についての説明がなされ、総会当日の議事進行ならびに報告担当者の確認が行われた。

2.審議事項

 1)2013年度(平成25年度)収支決算承認の件
 後藤由季子会計幹事より2013年度(平成25年度)会計の収支について説明がなされた。2013年度会計は、当初、昨年の福岡年会予算がかなり厳しい状況が予想されていたため、もともと赤字予算を組んでいたが、決算処理の結果、約891万円の黒字決算で終えることが出来た。黒字となったポイントは、『Genes to Cells』の出版社からの総利益折半の精算収入が、精算時の為替レート(円安効果)の関係もあり、大きく伸びたことがあげられる。会費収入については、納入率は若干上がったものの会員数そのものが減少傾向にあり、予算をやや下回った。収支の各科目全般についての説明がなされた後、「日本分子生物学会 若手研究助成 富澤純一・桂子 基金会計」についても詳細な報告が行われた。
 本決算においては消費税等約96万円を納めており、その他の税務処理については顧問契約を交わしている税務専門家の指示のもとに、収益事業部分の法人確定申告を行った。
 本決算は、10月28日に宮城秀敏公認会計士の監査を受け、さらに同年11月8日に郷通子監事、永田恭介監事による会計監査を受け、配付資料のとおりの監査報告書が提示されている旨報告がなされた。
 審議の結果、本決算は理事会で承認され、第36回通常総会に諮られることとなった。

 2)2014年度(平成26年度)収支予算ならびに事業計画承認の件
 後藤会計幹事より2014年度(平成26年度)の収支予算案、事業計画につき説明が行われた。
 新年度については、①36回年会の海外ポスドク招聘・旅費補助、151名採択のうち100名を超える部分の510万円(@10万円×51名)については、「第36回年会・特別支援支出」として、直接本部会計が負担すること(本件については昨年の理事会で了承済)、②研究不正問題の対応として本年会において、理事会企画フォーラム6セッションが開催されるが、会場費、機材費、運営人件費、非会員招聘者の旅費等、すべての関係費用を積算し、「理事会企画フォーラム関係費」として500万円を計上したこと、③2014年4月からの消費税値上げに伴う諸経費の増加、以上を考慮し、2014年度会計においては異例ではあるが、約1830万円の赤字予算を編成することとなった旨説明がなされた。
 審議の結果、同収支予算ならびに事業計画は理事会で承認され、第36回通常総会に諮られることとなった。

 3)監事からの意見書(提言)について
 会計監査終了後の11月8日付にて、郷通子、永田恭介 両監事より、理事長あてに意見書(提言)が提出されたことが大隅理事長より報告された。同提言は、会計監査にあたり各種会計書類を精査したうえで、学会の将来を考えての両監事からの意見書となっており、その内容は次の3点であった。

(提言Ⅰ)長老学会員の脱会に関係して(新しい会員種別の検討):
 学会員の増減、特に学生会員数の推移についてはその学術活動パターンに鑑みて、大きな問題とする必要はないと考えている。ただし、退職を期に退会をされる長老学会員については、その方々の学術活動を支える思慮、およびその方々の経済的なご負担の観点、また長老学会員による学会の社会的な立ち位置の確保の視点などから、新たなカテゴリーの学会員として、正会員の持つ権利のうち、学会運営には責任を持たず、学術的なメリットを保持できるような立場での会員資格の継続に繋がる方策を検討されたら、本学会にとって意義があるのではないか。

(提言Ⅱ)年会運営経費について:
 法人化以前には、年会は年会長の経済力を背景に学会会計とは別会計で運営されてきた。法人化と前後して、年会開催経費は学会の全体運営の内処理となった。現在までのところ、健全に年会が企画され、計画され、開催されていると考えるが、年会運営経費が学会全体経費の2/3程度になっている現状では、今後、財政的な観点からも、より計画的な財務計画を立案することも必要ではないかと考える。年会運営経費についての一定の財務的な枠についても考慮される時期ではないかと考える。

(提言Ⅲ)事務担当者の給与について:
 これまでの日本の状況からは、給与の著しい引き上げについては十分な考慮が必要であった。しかし再び構造的に経済成長を目指す現在にあって、また少人数事務職員による巨大学会運営に伴う個々人の負担増の観点からも、事務担当者の給与の基礎額および定期昇給額について、給与の将来計画も含めて、再考されるべきだと考える。

 大隅理事長からの以上の詳細説明の後、審議に入った。

●提言Ⅰ 会員種別の新設に関して、活発な意見交換が行われた。
 例えば、『功労会員(仮称)』または『シニア会員(仮称)』といった名称で、年度会費は学生会員と同額程度とし、議決権は有しないものの、年会には無料で参加でき、『Genes to Cells』オンライン版も閲覧可能といった新しい会員種別を作ったらどうかとの意見が提出された。出席理事より他学会の同様の制度紹介もなされた。功労(シニア)会員となる要件(案)としては、65歳以上、会員歴20年以上、自己申請で申し出ていただく(あくまで会員本人の意思によるものがよいのではないか)、等の意見が多数をしめた。会員種別の新設は、定款変更が必要であり、本法人(特定非営利活動法人)の所管である東京都への事前連絡(確認)の後、来年の総会に諮る必要がある。
 討議の結果、本件については、執行部にて新会員種別およびその運用(案)を作成し、あらためて、理事会持ち回り審議に諮ることとなった。
 なお、自由討論の過程で、海外ポスドク会員の検討といった意見も出たが、年会特別支援(海外ポスドク旅費補助)で対応できるのではないかとのことに集約された。さらに高校の教師、社会一般の方を対象とした会員カテゴリー『準会員(仮称)』の必要性についても意見が出されたが、あまり会員種別が増えてしまうのも煩雑さを伴うので、先ずは『功労(またはシニア)会員(仮称)』制度の準備を進めることとなった。

(*後日、大隅理事長より事務局あてに、海外に留学する際の休会制度を検討するようにとの依頼がなされた。休会手続きに関しては規則の変更ではなく、事務局の運用で対応が可能であるので、事務局で運用案を作成し、執行部の確認を取ることとなった)

●提言Ⅱ 年会運営経費が学会全体予算の運営経費の2/3となっている件について、種々意見交換がなされた。年会経費(定額補助金+年会関連の特別支出)の負担が経年的に過度な学会本体負担とならないよう、より計画的な(中長期的な)立案が必要ではないか、しかし本会の事業の中心はやはり年会にあるのでいたしかたない(主軸をどこに置くのか)等々、活発な議論がなされた。学会のあり方といった観点も含め、執行部でも方向性を検討し、理事会においては継続的に議論を進めることとなった。

●提言Ⅲ 事務局職員の給与については、規程の検討・改善など、執行部が対応することが了承された。

 4)第38回(2015年)年会長について
 大隅理事長より、第38回年会については、年会長を京都大学ウイルス研究所 影山龍一郎会員に依頼したいことが諮られ、承認された。(開催地:神戸、会期:2015年12月1日(火)~4日(金)/会場については事務局にて3年前に確保済み)

 5)細則改正の件
 大隅理事長より、現行の細則において理事会の成立要件がはっきりしていないこと、また近年、メール審議において重要な案件を審議するケースが増えており、持ち回りメール審議に関する細則の整備の必要性についても説明がなされた。
 理事会細則第8条につき、以下のとおりの細則変更が諮られ、審議の結果、承認された。
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特定非営利活動法人 日本分子生物学会 細則
第4章  理事会
第8条

【改正前】

理事会は、表決権を有する構成員の過半数の賛成により成立する。また、やむを得ない事由のため理事会に出席できない構成員は、委任状により表決することができる。
   ↓

【改正後】

理事会成立のための定足数、ならびに議決(メール審議を含む)について次のように定める。
1)理事会は、理事の過半数の出席(委任状を含む)をもって成立する。
2)審議事項の議決は、出席理事の過半数をもって決し、可否同数の場合は議長(理事長)が決定するものとする。
3)理事会の議決を要する事項について、日程的都合等により理事会を開催することが困難であると理事長が判断した場合は、「持ち回り理事会(メール審議)」にて審議を行うことができる。持ち回り理事会は、定められた期限までに理事の過半数の回答者数があることを成立の条件とする。
4)持ち回り理事会の議決は、回答した理事の過半数により決するものとし、可否同数の場合は理事長が決定する。
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 6)論文不正問題の件
 小原雄治研究倫理委員長より、論文問題に関して、その後の経緯・対応状況につき詳細報告が行われた。
・7月下旬の新聞報道を受け、論文不正問題に関する再度の要望書を東京大学へ提出(2013.8.7)
・アンケート集計結果をHPに掲載(2013.8.28)
・論文不正問題に関する回答書を東京大学より受理(2013.10.17)
 10月16日に拡大研究倫理委員会(参加者:研究倫理委員、執行部、年会ワーキング委員)を開催し、理事会企画フォーラムの各セッション内容について、詳細な検討を行った。その後、メール会議を重ね、明日からの6セッションのフォーラムを開催するに至ったことが報告された。
≪第36回年会/理事会企画フォーラム≫
「研究公正性の確保のために今何をすべきか?」
会場:神戸ポートピアホテル 地下1階 トパーズ
12月3日10:00~11:30 研究主宰者や共同研究者が研究公正性に果たすべき役割
12月3日14:00~15:30 研究機関が研究公正性に果たすべき役割
12月4日10:00~11:30 研究不正を防ぐジャーナルシステム
12月4日14:00~15:30 研究不正を防ぐ研究費配分システム
12月5日10:00~11:30 不正調査の実際と有効性
12月5日14:00~15:30 まとめ、今後の課題と次のアクション
 各セッションのめざすところ、プログラム内容について、活発な意見交換が行われ、進行については司会者(小原委員長、中山敬一副理事長、篠原理事)に一任することが確認された。今回、各セッションの概要は篠原理事の尽力により、翌日の朝までに年会HPにアップされる予定であり、また、フォーラム専用の掲示板(フォーラム会場でリアルタイムで映写可)を立ち上げたことが小原委員長より報告された。
 なお、事前に年会HP等でも公告しているが、後日、6セッションすべての全文記録を学会HPで公開する予定である。全文を公開することに関して、本理事会において再確認が行われ、了承された。
 フォーラム6セッションの議論を有意義なものとし、論文問題に関して、理事会としての次のステップにつなげていきたい旨、小原委員長より説明と協力要請がなされた。
 

上記、第18期第3回理事会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。

2013年12月2日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第18期第3回理事会

議    長  大 隅 典 子

議事録署名人  五十嵐 和 彦

議事録署名人  塩 見 美喜子