高校などへの講師派遣事業の協力のお願い

日本分子生物学会会員へのお知らせ

平素より学会運営へのご協力をありがとうございます。

本学会はこれまで、分子生物学の発展に寄与するため研究発表と研究情報交換の場を会員に提供することを主に活動してきました。しかし、近年の生物学が急速に発展していることで、より社会と密接な学問になって来たのも事実です。特に人の健康などに関するライフサイエンスの情報がインターネット等を介して社会に溢れ、時に事実とは異なる情報が散見されるなど、社会と密接な学問故の問題も起こりはじめています。一方で、我々の研究は国などからの公的支援を中心に成り立っており、研究者として社会に還元する責務を有しております。このような昨今の状況を鑑み、学会では将来計画委員会などの答申を経て、社会貢献活動を積極的に行うことをこの数年議論して参りました。その中には、これからの日本の未来を背負う若い人への分子生物学の普及・教育活動も含まれています。

ご存知の方も多いかと思いますが、本年度(平成24年度)に高校の生物学の教科書が大幅に改訂されました。分子生物学を1つの大きな柱とした内容(一方で遺伝学や発生生物学は大幅に削除されました)の授業が、実質的には平成25年度に開始されます。分子生物学は幅広い生物学の領域を扱い、かつ、日進月歩の学問領域であり日々情報が変わっていくといった、他の理系科目とは異なる側面を持っています。今回の教科書の改訂に伴い、現場を担当する高校教師の方々から、最新の内容を教えることについて不安の声も聞き及んでいます。学会はそのような教師の方々と分子生物学に関する最新の情報を共有することも重要であると考えています。

そこで、昨年度の理事会・総会において、分子生物学会は学会の会員を講師として高校などへ派遣する事業を行なうことを決議いたしました。具体的には

  1. 分子生物学の講演、授業などを必要としている高校(中学を含む)への会員の派遣
  2. 最新の分子生物学の講演会、講習を必要としている高校(中学を含む)教師の集まりへの会員の派遣

を計画しております。本講師派遣事業に興味のある会員を学会事務局で登録し、高校側からの要望に応じてマッチングをした後、会員と高校側で相談して進めていただくものです。全国どこでも、公立、私学、問わずに派遣できればと考えておりますが、高校等の現場では謝礼はもちろん交通費も支出できないことが多いと思われます。一方、来年度からの新教科書使用のために事は急ぎます。まずはできるだけ多くの地域から要望を出して頂けるようにすることが重要ですので、高校等の皆さまへは(SSHなど国から予算を得ているところ以外は)“無料”で派遣する旨お知らせしています。このため、大変恐縮ながら交通費は原則会員のご負担になりますが、会員の勤務地や住所地の近傍など交通費が最少になるところや、母校あるいはその近傍など都合のよい地域を斡旋するなどの工夫をして、できるだけ会員の皆さまの負担を減らし、かつ効果をあげたいと考えております。学会からの交通費支出は検討しておりますが、事務局の事務作業をこれ以上増やすことはできない状況ですので、まずはこの方式で始めたいと考えております。趣旨にご理解をいただき、ぜひとも会員の皆さまのボランティア精神を発揮していただけますようお願いいたします。

本講師派遣事業に興味のある方は以下の情報を学会事務局までメールで送付して頂ければ、高校側からの要望に応じてマッチングをした後、連絡をさせて頂きます。その後の講演内容、日時、場所などは直接やり取りをして頂きます。問題が生じた場合は事務局が対応いたします。

問い合わせ先:日本分子生物学会事務局(education@mbsj.jp
件名を“講師派遣事業への登録”とし、下記の情報をメールにてお送り下さい。

  1. 本人の基本情報:名前、所属機関(身分)、性別と連絡先(住所、電話、メールアドレス)
  2. 専門分野:広義と狭義の両方。マッチングの時に使用します(例:免疫学、細胞生物学、RNA学、エピジェネティクス)
  3. 講義/講演可能な内容の希望:具体的なタイトルなど、これまで講師の経験がある場合は記載をお願いします(例:遺伝子から見たヒトの姿)
  4. 高校への出前講義、講演などの経験の有無:ある場合はおおよその回数(これはあくまで参考情報です)
  5. 派遣可能地域:原則全国どこでもお願いしたいと思いますが、交通費のことがありますので、希望・可能地域などがあれば記載ください(例:関西地区)

希望者の方々は講師派遣の人材データベースとして登録させて頂き、派遣の依頼があった場合、会員の皆さまに連絡いたします。その人材バンクを順次整備し、HP上に講師候補者の情報などを掲載する予定です。

また、高校(中学)の教育に関して学会として行うべき事例に関しましても、ご意見を頂ければ大変助かります。どのようなご意見でもメールでお寄せ頂ければ検討させて頂きます。

なお、本学会の年会では本年度より高校生に参加、発表をする場を設けました。以下のサイトを参考にして頂ければ幸いです。
https://docs.google.com/a/dev-jcs.com/spreadsheet/viewform?
formkey=dDA1VHU5ZnFWb0UwLVQ4Nm1aRUM5SkE6MQ

平成24年11月
日本分子生物学会 理事長
小原 雄治