・投稿者名
岡田由紀
・渡航した国
スウェーデン、スイス
・渡航の目的
シンポジウム「Frontiers in Genome Biology」への参加、研究所訪問
・渡航の時期と滞在した日数
2022年6月27日~7月6日(10日間)
・体験談
【旅程】
1) ストックホルム(スウェーデン):研究所訪問
2) バーゼル(スイス):シンポジウム参加
3) ローザンヌ(スイス):研究所訪問
【マスク事情】
行きのFinnairは乗務員も含め全員がマスク着用でしたが、経由地のヘルシンキから状況は一転。ストックホルムでは「マスクをしない同調圧力」があるそうで、マスクの人は殆どいませんでした。スイスでは混みあう電車内でのみ、チラホラ見かける程度。FFP2マスクをしてバーに入ったら、他の客の視線が痛かったです。シンポジウム会場は、使用不可座席設定はなくほぼ満席で、かなりの密状態でした。一応マスクは配られていましたが、着用している人は年配の方を中心に1割程度でした。帰りのFinnairも、ジュネーブからヘルシンキまではマスク着用は私のみ。しかし成田行きの搭乗口ではマスク必須でした。
【物価】
スウェーデンもスイスも、元々の物価が高い国だと思いますが、それにインフレと円安が加わって、何もかもが高い。特に食べ物。ペットボトルの水が500円、サンドイッチが800-1000円、テイクアウトのベトナム焼きそばやインドカレーが2500-3000円。正直コロナ云々よりも、これがいちばんの驚きでした。
【帰国前PCR検査】
帰国を7月5日(火)発に決め、7月4日(月)はローザンヌで終日用務のため、PCR検査は2日(土)か3日(日)にローザンヌで受けるのがベストでした。しかし週末は、街中のクリニックはおおかた休み。開いていても厚労省様式に書いてもらえるかが分からず(問い合わせは電話のみというところが多数)、諦めて電車でローザンヌから1時間程のジュネーブ空港のPCRセンターで受けることにしました。ついでに帰国便もジュネーブ発を予約しました。
6月中旬にセンターのサイトに登録し、予約を試みましたが、どうも直近10日しか予約できないようでした。6月24日に再度サイトを訪れたら今度は6月26日分まで。不思議に思いつつ出発当日もう一度サイトを訪れたところなんと「需要の低下により、本センターは6月26日をもって閉鎖します」と。え????
そこで急遽、7月2日にバーゼルからローザンヌに移動する際に迂回して、チューリッヒ空港のPCRセンターに行くことにしました。センターのサイトにあらかじめ個人情報を登録してQRコードを取得すれば、受付は極めてスムーズ。「日本人?スペシャルフォーマットだね、安心して!」と手慣れた感じでした。ターミナル2の検査場の場合、ウェブサイトでは迅速PCR検査あり (45 分)と書かれていましたが、受付では通常テスト(3時間)しかないと言われました。検査は唾液で、小さなブースに座って自分で唾液を採取し、容器に入れて提出しました。2時間ほど待ったところで陰性通知メールを受け取り、PCRセンターに戻って持参した厚労省様式(個人情報は自分で記入済み)を渡しました。15分程してテストの際に中で対応してくれたおじさんが出てきて、英語・フランス語の証明書と厚労省様式を渡されました。厚労省様式は私が渡したものではなく、いくつかの項目が削除あるいは纏められた簡易版でしたが、「これで大丈夫。日本人はみんなこれだから」ということでした。早速証明書の写真をとって、ローザンヌに向かう電車の中でMySOSにアップしました。
翌朝6時、MySOSからのメッセージ着信音で起床。内容を確認したところ、「証明書の誕生日が間違っている」と。え???? 慌てて写真を確認したところ、確かに、手書きで書かれた私の誕生日が間違っていました。英語の証明書で代替できないか調べましたが、採取検体が upper respiratoryとだけしか書かれておらず、厚労省様式の項目を満たしていないため不可。諦めてその日の予定をキャンセルし、片道2時間40分かけて再度チューリッヒ空港に向かいました。
受付で訂正を依頼したところ、「あ、ごめーんw」的な反応を予想していたのですが、受付のお兄さんがOMGを連呼して、これは大変だと中に駆け込んでいきました。20分ほど経ってようやくお兄さんが戻ってきて、「これは重大案件だから、なぜこんなことが起こったのかを、いま中で検証している。もうちょっと待っていて」と言われました。さらに15分ほど待ったところで、昨日対応してくれたおじさんが再度登場し、「本当に申し訳ない」と平謝り。いえその場で確認しなかった私も悪いので…と言って、新しい証明書を受け取りました。
では、なぜこんなことが起こったのか。実はPCR検査の際、例のおじさんが笑顔で話しかけてきました。「Yukiって名前は、英語でsnowなんだろ?」。外国ではよく言われるため、ああそうですよ、と答えたところ、「だろ?! ほらな!」と同僚と盛り上がっていました。そして2時間後に厚労省様式を依頼しに行き、同じおじさんが出てきて書類を手渡してくれたわけですが、簡易様式でも大丈夫という会話に続いて、「えーっと、実は自分はネコのブリーダーでね。メインクーンとかノルウェージャンフォレストキャットって知ってる?そうそうデカいやつね。でうちの子供たちは日本にも何匹か輸出されている。そのうちの1匹がYukiって名前をつけてもらってね。Snowって意味だって聞いて超いい名前だと思ったから、うちにいるいちばんカワイイ子に同じ名前を付けた。つまり you have the same name as My Yuki!」と大盛り上がりで、しばし彼のYukiについて熱く語った後、「Have a nice trip!」と大急ぎで中に戻っていったのでした。つまりおじさんはエキサイトのあまり書き間違え、私はあっけに取られて確認を怠ったという。。。(涙)
このように大変な苦労をして手に入れた厚労省様式は、MySOSだけでなく、帰国便の最初のフライト(ジュネーブ→ヘルシンキ)のチェックインの際にも厳重にチェックされました。携帯の写真ではダメで現物を見せろと言われ、カウンターのお姉さんが一項目ずつ指差ししながら丁寧に確認していました。
【後日談】①厚労省サイトからダウンロードできる様式は医療機関名と共に医師のサイン欄がありますが、チューリッヒ空港のPCRセンターでは、英語・スイス語の証明書をセンターの職員が厚労省様式に手書きで書き写すためか、医師のサインが不要の簡易フォーマットが使われています。こちらはパスポート番号を書く欄もなく、個人情報は氏名と生年月日しかありません。厚労省のサイトによると、誕生日とパスポート番号のどちらかが合っていれば承認されたそうです。これも予想外の落とし穴でした。②訂正済みの証明書と共におじさんはメアドをくれて、「ここにメールをくれたら、お詫びにうちのネコたちの写真を送るから」と言われ、メールしたら本当に大量の写真が送られてきました。確かにYukiはいちばんのカワイコちゃんでした。
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左から、厚労省サイトからダウンロードできる様式、チューリッヒ空港で使用されていた簡易様式、MySOSからのお知らせ(泣)、メインクーンのYuki