第20期国際化対応ワーキンググループ 答申 骨子版(第20期将来計画委員会)

特定非営利活動法人 日本分子生物学会

第20期国際化対応ワーキンググループ(WG) 答申 骨子版

はじめに
 分子生物学会は、年会において海外からの研究者や海外在住の日本人研究者を招き、交流を図ると共に、国際会議支援事業を通じて日本における国際会議の開催を援助してきた。一方、近年のアジア地域における研究活動では中国やシンガポールの台頭が著しく、国際化という面で日本は出遅れている感もあり、これまで行われてきた欧米との交流だけではなくアジア地域を含めた幅広い国際交流のありかたを見据える時期に来ているとも言える。このような状況を踏まえて本WGでは、以下の理事長からの諮問事項
1) 国際会議支援事業を継続するべきか
2) 国際学会組織との提携の可能性
3) その他、学会の国際化に関すること

について議論を行い、以下の答申を行う。

1)国際会議支援事業を継続するべきか
以下に挙げるような問題点について対処の上で継続すべきである。

問題点

1−1)支援の対象となる国際会議の要件ならびにその選考の基準をより明確にするため、応募要件をあらため、会員に周知する事が望ましい。
・会員へのScientific Meritが示され、新しいコンセプトで開催する会議を優先採択する。
・主催者および共同主催者の会員歴を(例えば)3年以上とする。
・支援システム(JTB西日本)の利用は「応募条件」とはせず、「利用可能」という表現とする。

1−2)若手中心の国際会議を支援する意義を考慮し、年額500万円程度の予算が確保されるように要望する。

1−3)申請会議の財務状況を考慮して学会支援が有効に利用される会議を選定する。

2)国際学会組織との提携の可能性
 主に、IUBMB・FAOBMBへのシンポジウム開催とCSHAとの共催シンポジウム開催などが提案されており、議論した。IUBMBおよびFAOBMBとの提携に関しては、両組織の活動状況からみて本学会の会員への特段の魅力があるとは考えにくく、また、両組織への分担金の予算を持つ日本学術会議への活動報告を行うための負担を考えると、両組織との提携は本学会の会員へのメリットが見出せないとの結論に至った。一方、CSHAとの提携に際しての意図が不明で、情報が不足している現時点では本提案の可否を決めるのが難しい。先方とコンタクトして、コンセプト、長期計画、予算計画の具体的な条件を確認する事が先決である。また、Gordon Research ConferenceやKeystone Symposia、EMBOなどとの提携の可能性も否定せず、引き続き慎重に検討する必要がある。なお、国際会議支援事業の枠組みでCSHAとのトライアルも検討したが、CSHAから新しいコンセプトの会議が提案されることは考えにくいという結論に至った。
 
 資金計画については大規模な国際シンポジウムを開催するためには1000万円規模の予算を要し、分子生物学会の予算を割くべきかについては大きな決断を要する。そこで年会の活性化の一つとして大会初日を一会場で国際シンポジウムとして開催し、年会の外国人招待講演を集めて編成すれば最小限の追加費用でしっかりした会議を編成でき、まとまった参加者を集める事ができるとの意見も示された。

3)その他、学会の国際化に関すること

3−1)分子生物学会年会の英語化
 英語化は進めるべきという点でコンセンサスが得られた。具体的な方法として英語と日本語のセッションが混在することのないよう、例えば年会初日(もしくは複数日)を完全英語化する、あるいは特定の複数会場を英語セッションの会場とするなどの意見が挙げられた。また上述のように年会の一部(1日程度)を国際シンポジウムとして開催するとの案もある。英語圏の発表者が疎外感をもつことのないような配慮が必要である。一方で日本語での発表者に対してマイナスイメージが生じないような配慮の必要性が指摘された。学会の国際化に関して、日本における分子生物学の振興、国際的に活躍できる日本人研究者の育成という視点で長期的なプランを描く必要があり、年会運営に関してこれまでの年会大会長に一任というスタンスを見直し、学会(理事会)がリーダーシップを示し、学会の基本方針を年会において明確化する必要がある。

3−2)分子生物学会自体の国際化
 外国人留学生の増加、年会の英語化に伴い事務局における英語対応の比率が増すことが予想されるが、ある程度までなら現体制で対応できる見込みである。会報、規約の英語化などの対応は当面必要ないとの認識で一致した。

2017年12月5日

≪第20期国際化対応ワーキンググループ≫
林 茂生(座長)、石川冬木、篠原 彰、菅澤 薫、深川竜郎

≪第20期将来計画委員会(執行部)≫
杉本亜砂子(理事長)、小林武彦(副理事長)、小安重夫(副理事長)、
稲田利文(庶務幹事)、深川竜郎(庶務幹事)、塩見春彦(広報幹事)