日本分子生物学会 臨時(第14期第4回)評議員会報告

日 時:2006年6月20日(火)15:00~18:10

場 所:国立京都国際会館 2階Room I

出席者:花岡文雄(会長)、大隅典子、岡野栄之、押村光雄、郷 通子、後藤由季子、小原雄治、島本 功、田賀哲也、竹市雅俊、中山敬一、鍋島陽一、本庶 佑(IUBMB組織委員長兼)、柳田充弘、山村研一、山本 雅(2007年会長兼)、菅澤 薫(会計幹事)、上村 匡(編集幹事)、桂 勲(広報幹事)、本間道夫(集会幹事)、山梨裕司(集会幹事)、中西重忠(2006年会長)、長田重一(2008年会長)、町田泰則(2006フォーラム代表)

以上24名

欠席者:阿形清和、秋山 徹、石川冬木、影山龍一郎、勝木元也、田中啓二、谷口維紹、田矢洋一、辻本賀英、水野 猛、宮園浩平、山本雅之、永田恭介(庶務幹事)

以上13名

事務局:福田 博、並木孝憲、山口恵子(事務局)

関係議題参加者:峰崎 愛(2006フォ-ラム、2007・2008年会事務局より)

 

本評議員会成立について:

   花岡会長より、評議員16名、幹事5名、報告議題関係者等3名が出席し、委任状(評議員)11名を受理しており、本評議員会は細則第4章第12条により成立する旨、報告された。
 

議 事:

1.報告事項

 1)第29回年会(第20回国際生化学・分子生物学会議)について
 中西第29回年会長より、発表総数が4649演題となり、年会は順調に進行しているとの説明がなされた。また、国際会議組織委員長の本庶評議員からも、約9000人の参加者(事前登録7500名)が見込まれるなど、盛会となっている旨報告がなされた。

 2)2006フォーラム「分子生物学の未来」について
 町田2006フォーラム代表より、2006年12月6日(水)~8日(金)の期間、名古屋国際会議場で開催される同フォーラムの開催概要について報告があった。プレナリ-レクチャ-を2題とシンポジウム全50テ-マを企画している。プログラム冊子のみの会員配布(印刷)は行わないが、参加登録された方には「プログラム・講演要旨集」を配布する予定である。参加費については、例年の年会より若干低く設定しているとの説明がなされた。

 3)男女共同参画委員会報告
 大隅評議員(男女共同参画委員長兼)より同委員会の活動状況の報告がなされた。

・国際会議会期中にIUBMB symposium「Career development of female researchers in the life sciences 」(オーガナイザ-、大隅、大坪、後藤各委員)が開催されるのでぜひ参加頂きたいとの説明がなされた。

・昨年10月より本学会が男女共同参画学協会連絡会(加盟学会28、オブザ-バ-学協会19)の幹事学会を引き受けており、同学協会連絡会シンポジウムを本年10月6日(金)、東京大学山上会館にて開催する予定である。

・同連絡会でまとめた「文部科学省・科学技術振興調整費による『女性研究者支援モデル育成』事業の募集継続と予算枠拡大、およびその他の必要な施策等の実現に関する要望」についての説明がなされた。

 引き続き、大隅評議員より、以下4名を男女共同参画委員会委員に追加してほしいとの要望が出され、承認された。[山本雅之評議員(筑波大)、見学美根子会員(理研BSI)、松尾 勲会員(大阪母子センタ-)、松崎文雄会員(理研CDB)]

 4)2007年春季シンポジウムについて
 花岡会長より、2007年春季シンポジウム(世話人:塩見春彦徳島大教授)は、2007年4月23日(月)~24日(火)、兵庫県立淡路夢舞台国際会議場にて開催予定であるとの報告がなされた(前日4月22日に徳島で「市民公開講座」開催も企画検討中)。

 5)その他

・Genes to Cells編集長の柳田評議員より編集状況について報告がなされるとともに、インパクト・ファクターを高めるためにはレビュー(引用の多い論文)が不可欠であるとの意見が提示され、各評議員への投稿協力依頼がなされた。

・柳田、本庶、山本(雅)各評議員より、第20期日本学術会議の分野別委員会等につき、状況報告がなされた。
 

2.協議事項

 1)学会法人化について
 花岡会長より、以下の通りに本件に関するポイント、ならびに【経緯】【将来計画検討委員会における検討結果】【NPO法人設立センタ-(行政書士)面談結果】【2006.5.26法案成立】についての詳細説明がなされた。

・いわゆる公益法人改革「公益法人制度改革関連3法」の概要であるが、従来、原則非課税であった公益法人(社団、財団)は、中間法人も含めて新しいカテゴリ-にまとめられ、全体として課税対象団体にまとめられる方向にある。原則非課税から原則課税への方向転換であり、その中で再審査が行なわれ、〝本当に〟公益的な事業を行なっている団体にのみ、非営利法人の資格が再付与されるようになる。学術団体をとりまくこの流れに準じ、任意団体の収益事業にも大きなメスが入れられることが想定されており、従来、税務申告を行なっていなかった学術団体においても、大きな事業を行なっている団体への税務調査立ち入りが予想されている。

・現執行部では、5カ月にわたり、将来計画検討委員会を中心に、この問題を調査、検討してきたが、その検討結果を踏まえ、学会の法人化(選択できる法人の種類としては、税制面からみて〝特定非営利活動法人〟がベストである)、そして学会事務局開設、そのための予算措置、といった重要案件を本評議員会に諮ることとなった。

 【経緯】

①2005年10月の臨時評議員会にて、他学会の法人化の件(公益法人改革への対応)が話題となり、その後、執行部にて情報収集を開始。

②第14期第3回評議員会(2005年12月6日)にて将来計画検討委員会を発足。

③執行部では、2005年12月~2006年3月にかけて、関連資料、他学会の状況を詳細調査。同時にNPO法人設立センタ-/セミナ-に出席、専門家のレクチャ-を受ける。この時点で、通常国会に提出されている法案のポイントを確認し、事前検討資料として、将来計画委員会の各委員へ配布。

 【将来計画検討委員会における検討結果】

①2006年3月25日、国際フォ-ラムにて標記委員会を開催し、以下につき集中審議。

・通常国会に提出されている法案(公益法人改革)のポイントの確認

・特定非営利活動法人(NPO法人)に係る、法人申請~運営~会計税務の確認

・学会本部会計と年会会計が1本化された場合の学術事業収支(年会展示収入等の企業関連収入)に対して予想される課税(法人税)の確認

・法人の種類としては、特定非営利活動法人(NPO法人)を目指すのが税務上ベストである

②討議の結果、いわゆる公益法人改革~予想される法案の施行時期(この時点ではまだ予想段階であった)、そして本学会の会計状況(本部会計は繰越金を含み約1億円、年会会計の予算規模は約2億6000万円)を踏まえ、早急に法人化を目指し、より適切な会計処理に切り替えていくことが必要である、との結論に至った。

③学会事務局について
学会法人化の要件として、その法人申請、認証後の登記処理、税務処理のためには、独立した事務局(事業者としての法人)が必要であることが、確認された。委員会当日、関連学会の事務局開設費、経常費用等を参考に、本学会の事務局業務(細目と業務量)についての確認作業が行われた。結果、現在の事業規模、予算規模、会員数、そして生命科学系分野における本学会の立場から見て、法人化と同時に事務局を開設すべきとの意見で、委員会としての合意をみた。

④作業日程案につき検討。法律施行(平成20年)に法人化を間に合わせるためには、タイムスケジュ-ルは非常に厳しく、本件を臨時評議員会(2006年6月20日)に諮ることとした。

 【NPO法人設立センタ-(福島行政書士)面談】

①参考資料をそろえ、NPO設立センタ-の福島達也理事長(行政書士)に面談(有料相談)を行う。執行部の認識に誤りがないことが確認された。

②今後の日程作業、設立(発起人)総会、法人申請業務のレクチャ-を受ける。

 【2006.5.26 法案成立】

 2006年5月26日、「公益法人制度改革関連3法案」が成立。

 以上、花岡会長からの詳細説明がなされた後、各評議員より種々の質問が出された。討議の結果、学会の法人化(特定非営利活動法人)、学会事務局を開設する方向で合意を得、承認がなされた。基本方針が承認された後、引き続き、花岡会長より、今後の作業日程(案)(法人の申請事務手続き上、本年12月の定例評議員会終了後に、設立(発起人)総会を開催する必要がある)の説明がなされた。
 今後、より適切な会計処理(本部会計と年会会計の一元化)に切り替えていくにあたって、学会事務局(本部会計)は年会長(年会事務局)と連絡を密に取り合い、その会計処理(公益法人会計基準に準拠)にもれのないよう充分に配慮するように、との意見が出された。
 

 2)学会事務局(事務所開設)について
 標記に際しては、〝事務局運営、各種規程、職員雇用に関するル-ル作り〟が必要となる旨、花岡会長より説明がなされた。討議の結果、以下のル-ルが決定された。

・ 事務所開設・・・重要確認事項(契約事項)は、原則、庶務幹事が立ち合う.

・ 各種規程・・・・事務局運営、各種規程については、会長、庶務幹事、会計幹事が確認し、その承認をもって運用する.(会計取り扱い規程:外部会計事務所のチェック機能を取り込む)

・ 職員雇用・・・・会長が履歴書を受理、面接試験(必要に応じ筆記試験を実施)を行う.
なお、事務局の開設準備状況、業務稼動時期に合わせ、現在の業務委託契約を終了することの確認が行われた。
 

 3)予算措置、会費改定、会計年度変更について
 学会法人化ならびに学会事務局(事務所)開設を執行するにあたり、2006年度~2008年度の収支試算(会計フォ-ムは法人会計に準拠した科目にアレンジ)につき、菅澤会計幹事より詳細説明が行われた。その執行にあたっては、13年間据え置いてきた会費改定が不可避であるとの報告がなされた。
 引き続き、花岡会長より会費改定案が示され、活発な意見交換が行われた。本会の特色や、今後も可能な限り学生会員を優遇すべきとの基本方針の確認がなされ、検討の結果、本評議員会において、以下の会費改定(2007年度より)を決定し12月の総会に諮ることとなった。
『会費改定案』
  正会員会費:4,500円 → 6,500円
  (海外会員も同様)
  賛助会員会費1口:30,000円 → 40,000円
 ※学生会員会費3,000円と、正会員、学生会員それぞれの入会金1,000円は据え置き.
『会計年度変更について』
 法人となった場合、事業年度(会計年度)終了後、3カ月以内に、収支決算書・財務諸表、事業報告書等を公的に提出しなければならず、総会開催日(定款上、承認すべき事項がある)との兼ね合いもあり、会計年度変更が必要となる。したがって、2007年度より会計年度(事業年度)についても変更となる旨、花岡会長、菅澤会計幹事より説明がなされた。
会計年度(事業年度):4月~3月 → 10月~9月
  移行期においては、会計年度は以下のようになる。
  ○ 2006年度会計 → 2006年4月1日~2007年3月31日
  ○ 2007年度会計 → 2007年4月1日~2007年9月30日
  ○ 2008年度会計 → 2007年10月1日~2008年9月30日
 

 4)第15期評議員(理事)選挙について
 従来、2年に1度(選挙実施年度)、その被選挙人名簿を兼ねて印刷版会員名簿を発行してきたが、個人情報保護法が施行された2005年4月以降、多くの学会(日本生化学会、日本免疫学会etc)が印刷版会員名簿の発行を取り止めている現状がある、との説明が花岡会長よりなされた。本会においても2004年版会員名簿発行後に、会員各位より印刷版廃止の提言、クレ-ムを相当数受理している。結果、将来計画検討委員会からの提案も踏まえ、2006年度版会員名簿(印刷版)の発行を取り止めることとした。
 なお、第15期選挙の実施要領については、以下の手順が確認された。

① 本年度は従来の形式の会員名簿に代えて、「被選挙人名簿」(氏名、所属機関名のみの一覧冊子)を作成し、会報11月号に同封する。したがって本年度は、従来のような大規模な全会員を対象とした名簿調査作業(FAX返信調査)は行わない。

②「被選挙人名簿」作成準備作業として、所属機関、会員種別(学生会員→正会員)に変更のある会員には、自己申告による届け出をしてもらう。会報7月号にその旨の説明文と住所等変更連絡用紙を綴じ込み、8月末日までに学会事務局あてにFAXしてもらう。(変更のない会員は連絡不要とする)

③前回選挙と同様に、投票率を少しでも上げるために、現評議員会の責任のもとに、〝第15期評議員(理事)候補者参考リスト〟を作成する。このリストは、評議員(理事)選挙の参考に供するためのリストであり、役員候補として考慮できそうな正会員(氏名および所属)を評議員(理事)の定数(30名)の5倍(150名)程度を目安に選出する。同リストは、現評議員会が幅広い配慮の上に作成する。

④法人申請手続きに基づき、12月には新しい定款(会則)に切り替わることが予想される。それに伴い、第15期評議員は法令に基づき、職名が〝理事〟に変更される予定である。

 引き続き、選挙方法とその定数(法人化以降の取り扱いなど)につき、活発な意見交換が行われた。種々の意見が提出されたが、準備日程上の都合もあり、第15期選挙については現会則に基づき作業を進めることとし、役員の定数等については、継続して検討を続けることとなった。
 なお、本年度は印刷版会員名簿を発行しないが、今後、新会員システムを導入し、2007年春にはWeb版会員名簿が稼動できるように、執行部(管理者:菅澤幹事、複数のシステム会社からの提案資料を検討中)にてシステム検証作業を進める予定である旨、花岡会長より報告が行われた。学会事務局独自の次期会員システムでは、会員は、ID、パスワ-ドにより指定サ-バにアクセスし、Web上で各種更新作業が行えるようになる。名簿情報の公開可能項目も本人が指定でき、会員限定ペ-ジにてWeb版会員名簿の閲覧、会員相互の検索が可能となる予定である。
 

 5)第30回(2007年)年会について
 山本(雅)年会長より、最終的に、日本生化学会との合同大会となった経緯、その調整内容につき詳細報告がなされた。正式名称は「第30回日本分子生物学会年会・第80回日本生化学会大会 合同大会」とし、会期は例年より一日拡大し、2007年12月11日(火)~15日(土)の5日間、パシフィコ横浜にて開催される予定である。参加者は1万人強、ポスタ-発表6000題を見込んでいる。2007年には、分子生物学会も法人化しているため、生化学会とともに大会収支を本体会計に組み込む必要があるが、その方法、案分比率(案、分子6:生化4)については、不足金、剰余金の取り扱いも含めて、公認会計士、分子生物学会、生化学会、年会事務局を交えて検討を重ねる予定である旨報告された。
 

 6)第31回(2008年)年会について
 長田重一年会長より、2008年年会についても生化学会側から合同大会にしてほしいとの強い要望が出ていることの説明がなされた。本国際会議(第29回年会)から数え、3年連続の合同開催となるので慎重を要したいなどの意見が多数提出された。討議の結果、年会長の企画方針を尊重するといった従来の慣例を確認するに留まり、長田年会長に一任されることとなった。
 また2007年の開催地が横浜であるので、開催地域としても、東・西となったほうが良いとの意見が提出され、合わせて検討することとなった(その後、2008年年会の会場は、神戸で確保、決定)。
 

 7)その他

・文部科学省科学技術政策研究所から「分野別調査に協力頂ける回答候補者の推薦依頼」(ライフサイエンス分野で10名程度)が届いており、その人選については、花岡会長、永田庶務幹事に一任してもらうこととなった。

・大隅評議員より、男女共同参画委員会に関連して、以下の活動費補助の依頼がなされ、 討議の結果、学会本体会計にて費用負担を認めることとした。
①日本学術振興会・特別研究員(RPD)制度に関するWebアンケ-ト実施費用:157500円(税込)
②日本分子生物学会が現在幹事学会を務めている「男女共同参画学協会連絡会」の運営経費の一部(運営委員会における資料コピ-代:昨年11月~本年4月で約20万円のコピ-代を要している.なお幹事学会としての業務は本年10月までである.)