特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第17期・第18期 合同理事会記録

日 時:2012年12月10日(月)17:00~20:00

場 所:福岡国際会議場 4階「410」

出席者:第17期
小原雄治○(17期理事長、18期副理事長)、大隅典子○(17期副理事長、18期理事長)、相沢慎一(17期副理事長)、阿形清和○(第35回年会長兼)、後藤由季子○、小安重夫、塩見春彦(17期会計幹事兼)、杉本亜砂子、田中啓二○、月田早智子○、永田恭介、中山敬一○(18期副理事長)、鍋島陽一、花岡文雄○、三浦正幸○、石野史敏(庶務幹事)
(○印は18期継続理事)
第18期
荒木弘之(広報幹事兼)、一條秀憲、上村 匡(編集幹事兼)、相賀裕美子、佐々木裕之、塩見美喜子、篠原 彰(17期広報幹事兼)、近藤 滋(第36回年会長兼)町田泰則(17期監事兼)、山本正幸、渡邊嘉典、以上27名

欠席者:第17期
審良静男、五十嵐和彦○、石川冬木○、上田泰己○、貝淵弘三、影山龍一郎、五條堀孝、白髭克彦、谷口維紹、西田栄介○、水島 昇、宮園浩平、柳田充弘(Genes to Cells編集長兼)、山本雅之○、米田悦啓、勝木元也(17期監事)、諸橋憲一郎(17期集会幹事)
(○印は18期継続理事)
第18期
大隅良典、岡田清孝、島本 功、高橋淑子、長田重一、以上22名

事務局:福田 博(記録)、並木孝憲、丸田夏子、岩田眞弓

関係議題参加者:峰崎 愛(第33回・第34回年会事務局より)  

本理事会成立について:
 石野史敏庶務幹事より、理事26名、幹事1名が出席し、委任状20名(理事)を受理しており、本理事会は細則第4章第8条により成立する旨、報告された。

議事録署名人の選任について:
 小原雄治理事長より、議事録署名人として、後藤由季子理事と中山敬一理事が指名され、承認された。
 

議 事:

1.報告事項

1)執行部報告(理事長、庶務幹事、広報幹事)

 ①会員現況
石野庶務幹事より、2012年12月1日現在の会員数につき以下のとおりに報告がなされた。

名誉会員1名
正 会 員9,930名(海外在住216含む)
学生会員5,319名(海外在住63含む)
賛助会員31 
合 計15,281名(前年12月対比、-196)

 ②第17期活動報告(全般)
 小原理事長より、総会資料(2頁:2012年度事業報告)に基づき、第17期の活動概要全般につき報告が行われた。
(ⅰ)昨年、東日本大震災への対応として、「復興支援ネットワーク掲示板」を立上げ情報発信に努めた。被災された学生会員と新入会の学生を対象に2011年度学会費を免除し、同様の申請に対して、第34回(2011年)年会ならびに第35回(2012年)年会の参加登録費を免除した。
(ⅱ)震災に際しては学会事務所も被害を受け、昨年5月に事務局が移転している。それに伴い、昨年の総会にて定款変更(法人事務所の所在地変更)を行った。

 ③加藤論文問題対応について
 小原理事長より、本会合の直前まで第17期第3回理事会にて議論されていた内容について詳細報告がなされた(第17期第3回理事会記録参照)。
 

2)第35回(2012年)年会について

 ①阿形清和第35回年会長より配布資料に基づき準備状況の報告がなされた。一般演題投稿数はLate-breaking を含め3143題(うち12題取下げ)、そのうち405演題はワークショップに採択され、2575題がショートトークとして発表される予定である(後日、ショートトークは32演題取下げであった)。事前参加登録は4761名となり、また企業展示は445小間(NBRP、NBDC含む)、バイテクセミナーは前年と同様の25枠となり、順調に準備が進んでいる。
 続いて、スライドにより、本年会の特色について詳細説明が行われた。
 ・生化学会との分離・連続開催について
 ・コンセプト=IT化
 ・プログラム企画・構成について(シンポジウム9テーマ、ワークショップ100テーマ、ポスター発表+ショートトーク、市民公開講座)
 ・そのほかのチャレンジ(リクルート企画、高校生発表、iPadレンタル)

 ②第35回年会組織委員会からの申し送り事項
 配付資料に基づき、阿形年会長より下記の申し送りがなされた。来年以降の年会運営に際し充分に留意されたい。重要と思われる事項については、引き続き、理事会において検討を重ねてほしい旨依頼がなされた。
 

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【第35回年会組織委員会・申し送り事項】

1.日本製薬団体連合会(日薬連)への寄付依頼の件
重要なポイントは次の2点である。(2012.7.4 大阪医薬品協会へ阿形年会長が訪問/面談)
①参加費収入(学会本部からの開催補助金を含む)で全体予算の少なくとも30%は賄うべき.というのが日薬連のスタンスである。
②日薬連以外の団体からも寄付を募る努力をすること。

 ・経緯確認: 日薬連は製薬会社の集まりであり、製薬企業にとってメリットのある学会に対して寄付を行なっている。理学寄りの基礎学会である本学会は、もともとは、長くその対象学会に参画できないでいた。医学分野を含めた幅広い領域をカバーする生命科学分野最大規模の学会であることから、第25回年会(2002年 藤井義明年会長)より支援対象学会の一つに加えてもらった経緯がある。

 ・継続して指摘されてきたこと
●日薬連以外からも寄付を集めること!
日薬連側としては、「学会は日薬連だけの寄付に頼るのではなく、広くいろいろなところから集める努力をすべき」という大方針があり、毎年「他の企業からも集めるように」と言われてきた。

2.ワークショップ・スピーカーの会員・非会員問題について
第35回年会において、WS講演者の約1/4が非会員であるといった事実が確認された。WSスピーカーの非会員比率が予想以上に高く(ここ数年、同様の比率)、非会員の指定演者については、入会しないまま、参加登録費も免除扱いとなってしまうケースが多い。これは公募(公募2月-締切3月)の段階で、オーガナイザーは学会員であることを条件としているが、指定演者には条件を設けていないことが大きな理由であり、年会運営において、7~8年同様の扱いが続いている。
第35回年会組織委員会としては、学会としての基本方針があるべきであり、理事会において検討いただきたいとの結論に至った。

3.シンポジウム・海外演者の謝金支払い等について
今年、問題となったケース ⇒ シンポジウム海外演者へ渡航費負担案内を記した招聘状をお送りしたところ、ある講演者より、渡航費は自身のtravel fundから出るので、渡航費の代わりに相当額の謝金をお支払いただけないか、という打診あり。⇒ 旅費と謝金は別物であり、旅費は出すけれども謝金は出さない.といった35回年会組織委員会のコンセンサスにより対応した。
   ↓
●シンポジウムに海外から演者を呼ぶ場合、どのように対応するのか、この点についての基本的な規定(文書になっていることが重要)があれば、毎年の年会組織委員会もそれにそって粛々と準備を進められるであろう。そのような年会運営に関する申し合わせが必要である。
 個々に対応せざるを得ない問題もあるだろうが、混乱の大きな原因は年会に統一性と継続性が無いことだと思われる。理事会で、年会運営に関する申し合わせを策定すべきである。

 <以下、参考データ>

  ○第35回年会における、シンポジウム海外演者 招聘条件は次のとおり.
参加費 : 無料
宿泊費 : 会期中の宿泊費無料(初日は前泊、最終日は後泊も年会負担)
旅 費 : エコノミー実費(ビジネスでないと呼びにくい場合は応相談)
謝 金 : 無
(* 今年はシンポジウムのオーガナイザーにあまり無理をさせないことを基本としている.その分、WSに対しては手厚い支援はできないことを組織委員会の合意とした)

  ○第36回年会(2013年、近藤年会長)では、組織委員コア会議(プログラム委員長・副委員長も出席)で検討がなされ、すでに以下のように決定されている(2012.10.10)。
≪シンポジウム≫
 34回年会と同様に、海外演者1名の場合は20万円、2名以上は30万円とし、会期中の宿泊費は別途年会で負担する。
≪ワークショップ≫
 海外在住日本人ポスドクが演者となる場合は、無条件で「海外ポスドク招聘枠」で旅費補助を行う。また、可能な限りワークショップ演者に海外在住日本人ポスドクを含めてもらうことを年会として奨励する旨、オーガナイザーに周知する。

  ○第34回年会(2011年、花岡年会長)
≪シンポジウム≫
1.海外演者を1名招聘する場合は20万円、2名以上招聘する場合は30万円を旅費・滞在補助費として支給。
2.海外演者の会期中の宿泊(会場より徒歩5分のナビオス横浜)は、年会本部で用意(この宿泊費は年会が支出し、上記補助費には含まれない)。
3.国内演者については、旅費・滞在費・宿泊費の支給はなし。ただし、非会員演者の参加費は免除。
≪ワークショップ≫
1.海外演者の招聘にあたり、年会からの旅費・滞在費・宿泊費の支給はなし。
ただし、海外招聘演者の参加費は免除。
2.国内演者についても、旅費・滞在費・宿泊費の支給はなし。ただし、非会員演者の参加費は免除。

  ○第32回年会(2009年、小原年会長)
≪シンポジウム≫
(第32回年会は、少なくとも2名の海外演者(PI)を含むことが条件であった)
1.海外からの演者招聘のため、年会から1シンポジウムあたり40万円を上限として補助。
2.海外演者の年会参加のための会期中の宿泊(会場より徒歩5分のナビオス横浜)は、年会本部で用意(上記補助費には含まれない)。
3.国内演者については、会員・非会員に関わらず、旅費・宿泊費・謝金等の支給はなし。
ただし、非会員演者は参加費を免除。
≪ワークショップ≫
1.海外から演者招聘される場合は、年会から1ワークショップあたり10万円を上限として補助。
2.国内演者については、会員・非会員に関わらず、旅費・宿泊費・謝金等の支給はなし。
ただし、非会員演者は参加費を免除。
 

4.年会運営・実務的なことに関係して

  (ⅰ)事前参加登録費用:
  参加登録手続き(振込み)を行ったが都合により参加できなくなった方から返金依頼があった場合の対応→ カード決済入金者に限って、決済手数料・返金手数料を差し引いて返金可能としたらどうか?

  (ⅱ)参加章(ネームプレート):
  事前送付者(事前参加登録者)用の参加章については、あらかじめ、氏名を印字することを実務準備のスタンダードにしたらどうか?(理由:参加章を他者に譲る/知人と交代しての参加、等々のルール違反を防ぐため)

--------------- <申し送り事項はここまで> ---------------
上記説明の後、阿形年会長より、年会運営における今後の重要なポイントとして、毎年の年会ごとではなく、学会として独自の「年会参加登録システム」(会員管理システムと連動・一元化)を検討すべき時期にきているのではないか、との指摘がなされた。
 

 ③年会終了後に、第35回年会Webアンケートを行い、アンケート結果は本年会の総括に用いるとともに、理事会へ報告し今後の年会運営の参考とされたい旨、阿形年会長より報告がなされた。同Webアンケート簡易システムは、質問項目を含め、17期執行部の確認は済んでおり、すでに11月末に学会事務局にてシステムが出来上がっている。アンケートは以下の日程で運用される予定である。
・12/20(木)学会HPでWeb公開(運用開始)
・12/21(金)メール一斉配信(アンケート案内の本文のなかにURLを埋め込む)
・アンケート受付期間:12月20日(木)~2013年1月18日(金)17:00
・1月末日までに集計結果をまとめ、その後、学会HPで公開.

  ④会議出席者にiPad(理事会枠)が配付され、阿形年会長より取り扱い説明がなされた。会期中、理事会におけるシニアメンバーが率先して、新しいITシステムを試してみることとなった。
 

3)近藤 滋第36回年会長より、2013年の年会開催企画案につき報告がなされた。

○会 期:2013年12月3日(火)~6日(金)
○会 場:神戸ポートアイランド
○年会長:近藤 滋(大阪大学)
○年会組織:
【組織委員会】
組織委員長武田 洋幸(東京大学)
組織委員荒川 和晴(慶應義塾大学)
加藤 和人(大阪大学)
杉本亜砂子(東北大学)
塚原 克平(エーザイ・プロダクトクリエーション・システムズ
中川 真一(理化学研究所)
【プログラム委員会】
プログラム委員長門脇  孝(東京大学)
プログラム副委員長塩見 春彦(慶應義塾大学)
プログラム委員 一條 秀憲(東京大学)
後藤由季子(東京大学)
小安 重夫(慶應義塾大学)
夏目  徹(産業技術総合研究所)
三浦 正幸(東京大学)
水島   昇(東京大学)
プログラム庶務幹事笹子 敬洋(東京大学)
脇  裕典(東京大学)

 ≪年会開催コンセプト≫
最近、生命科学がビッグサイエンス化する傾向にあるが、原点は、やはり個々の研究者の問題意識と創意工夫である。グループ研究に埋没しがちな若手研究者に、サイエンスの楽しさと希望をもってもらえるような様々な仕掛け・工夫を凝らした「今までにない学会」を開催したい。

 ≪学術プログラム≫
学術プログラムは、プログラム委員会が企画・運営する。
・シンポジウム(13テーマ予定)はすべてプログラム委員による企画とする。プログラム委員は、自分の名前を冠したシンポジウムを企画する。基本的に年会コンセプトに沿った企画であるが、どのように工夫し斬新なシンポにするかは、各委員に委ねている。
ワークショップ(約90テーマ予定)は基本的に会員からの公募とするが、応募状況をみて、一部をプログラム委員企画で調整する予定である。

 ≪特別企画≫(案)
特別企画は組織委員会が企画・運営を行う(かっこ内は責任者(担当者))

  ● 海外ポスドク呼び寄せ(年会事務局)
企画:200名に10万円の旅費を支給し、特別セッションに参加してもらう。
目的:海外に居て、日本とのコンタクトの少なさに不安を持っているPDに安心感を与える。

  ● 薬品ベンチャー主催シンポジウム(塚原 克平)
企画:国内薬品ベンチャー関係者によるシンポジウムを開催する。
目的:薬品ベンチャーの関係者が何を考え何を目指しているのかを、日頃あまりなじみの無い基礎系の研究者に伝える。また海外PDとの懇談の場を用意し、キャリアパスにつなげる。

  ● ポスター発表PodCast化(年会事務局)
企画:ポスターの概要をPodcastでダウンロードできるようにする。
目的:ポスター発表の活性化。容易に各ポスターの内容を把握できるようにする。

  ● 生命科学研究を考えるガチ議論(中川真一・近藤 滋)
企画:科学政策の諸問題を議論するウェブサイトを開設。半年間の議論の後、年会で直接対決。
目的:文科省の担当官に常駐してもらうことで、「愚痴」ではなく、本当に現実的な改革案を科学者側が作り出せるのだろうか?という実験をする。分子生物学会の科学政策委員会として行うのでなく、あくまで、年会が議論の場を提供するというスタンスは守る。

  ● 分生版TED(荒川 和晴)
企画:斬新で「聞く価値」のあるアイデアのプレゼンテーションショーを行う。
目的:一つには、エンタテインメント性を追求したプレゼンを経験することで、「発表の内容を印象づけるスキル」の重要性を若手層に印象づける。もう一つの目的は、生命科学の明日に影響を及ぼす可能性のある「アイデア」を広める事。

  ● 学会とジャズの融合(塚原 克平、杉本 亜砂子)
企画:ポスター会場を使ってのミキサーの時、あるいは会期中の空いている部屋を利用し、学会員で構成されたバンドの演奏を行う。
目的:長い学会中にリラックスできる場を用意する。

  ● ここだけ2050年シンポジウム(加藤 和人)
企画:40年後、という設定でのアカデミックシンポ。
目的:40年後の分子生物学会はどうなっているのか?という想像し、実演することで、生命科学の未来についてのイメージを学会員の中に育てる。

   引き続き、近藤年会長より、特別企画(海外ポスドク呼び寄せ:200名に10万円の旅費を支給)を実施するためには2,000万円の予算が必要であり、現状の年会予算(試算)で不足すると思われる1,000万円について、学会本部会計からの特別支出支援を負担してもらえないかとの要請がなされた。企画の方向性については賛同を得たが、最大200名とすることの人数の根拠、セレクションの方法、海外にいる人だけをサポートすることに問題はないのか、等々の意見が提出された。本学会は、年会の企画・運営についてのすべてを年会長に一任しているが、同時に年会予算についても本部定額補助金(現予算では500万円)以外については、年会長・年会組織委員会による自助努力による予算編成を行うことを基本としていることが確認された。
 討議の結果、第36回(2013年)年会に限って、近藤年会長の要請を基本的に認めることとし、最大100名分(1,000万円)までを学会本部会計が負担することが認められた。しかし、近藤年会長には可能な限りの自助努力をしてもらうこととし、また、最大1,000万円までの会計負担の最終確認については、36回年会の見込み収支が作成されるしかるべき時期に、大隅典子第18期理事長が最終判断を行うこととなった(注:上記の特別支出・年会支援は、会計上は次々年度となる2014年度予算に反映されることとなる)。
 

4)小原理事長より、第37回(2014年)年会については、小安重夫氏(慶應義塾大学)に年会長を依頼し、本日開催した17期第3回理事会で決定したことが報告された。
 

5)上村 匡編集幹事より、配布資料に基づき、学会誌『Genes to Cells』の編集報告が行われた。
 2011年より一新した表紙デザインは国内外の購読者から高い評価を得ており、2013年も日本の伝統絵画の中に生命科学の遊び心を加えた表紙デザインの制作を継続していく(2011~2012年の表紙/cover art一覧を資料配布)。また、昨年のデザインをもとに作成したオリジナルグッズ(ポストカードとクリアファイル)は専用サイト(学会HPからリンク)での購入が可能となっている。
 論文投稿数であるが、昨年より若干持ち直してはいるものの安定的な水準を維持する数にはなっておらず、短報、method paper 等も歓迎するなどの周知を続けていきたい。論文発表者の方々にはぜひともself-citation をお忘れなきよう再度要請したい旨の説明がなされた。
 著者が所定の費用を負担することで論文掲載と同時にオープンアクセスの設定が可能なサービス「Online Open」の導入から2 年あまりが経過しているが、本年9 月からは、総説についてはその費用を学会が負担することとし、利便性の向上・インパクトファクターの上昇を目指している。ただし、「Online Open」には1論文あたり3,000 ドルの費用がかかるため、年間、何報程度の総説を受け入れるかなどの運用面については留意して進めていきたい。理事会関係者においては積極的な投稿をお願いしたい旨、上村編集幹事より依頼がなされた。
 引き続き、出席理事より、『Genes to Cells』のインパクトファクター2.68は非常に危機的状況であり、現状への強い危機感の喚起が必要であるとの発言が提出された。思い切った若手の会員を登用して編集長と議論してもらう、新たなGenes to Cellsの将来計画ワーキンググループの立ち上げなどの必要性が提示され、第18期理事会への申し送りとなった。
 

6)第2回富澤基金による研究助成の審査経過・結果報告 山本正幸基金運営委員長より、富澤基金による第2回(2012年)日本分子生物学会 若手研究助成の結果につき、その概要が報告された。

  (i)第2回応募の受付期間: 2012年1月10日~2月10日

  (ii)応募総数:105名(男性83名、女性22名 ※性別は名前からの推定による)

  (iii)選考:
・第1次審査:書類審査
・第2次審査:11名を対象に6月20日にヒアリングを実施

  (iv)審査経過と第2回助成対象者:
 審査経過詳細については、会報103号(2012年11月号)に結果報告を掲載済みであるので参照されたい。第2回若手研究助成の助成対象者は以下のとおりである。
○ 伊原 伸治 国立遺伝学研究所構造遺伝学研究センター多細胞構築研究室
「基底膜の穴を制御する遺伝子の同定と分子機構の解析」
○ 王 丹 京都大学物質-細胞統合システム拠点
「RNA転写後制御の時・空間解析による神経回路制御機構の解明」
○ 鈴木 崇之 東京工業大学大学院生命理工学研究科
「脳内の中枢シナプス結合と可塑性をコントロールする決定因子の解明」
○ 宮田 淳美 京都大学大学院理学研究科生物科学専攻生物物理学教室
「マウス細胞内における28S rRNA上に生じた紫外線損傷の修復」
○ 山崎 正和 秋田大学生体情報研究センター
「平面内細胞極性を司る新規調節機構の解析」
 

7)後藤由季子男女共同参画委員長より、年会初日の12月11日に開催される、男女共同参画企画「全員参加の生命科学研究を目指して(パートII:生の声を聞こう!)」が紹介された。昨年度と本年度の委員会企画では、参加者の声をうかがい今後の方針に反映していくことを目指している。今回は上記のタイトルと題して、ラウンドテーブルディスカッションを行なう。
 ラウンドテーブルディスカッションの目的は

   (1)道を切り拓いてきた先達の話を聞いて元気をもらおう.

   (2)自分と同じような立場や悩みを持つ人の間で問題点や解決策をシェアしよう.

   (3)上記(1)(2)の生の声を通し、重要な問題点を抽出して今後の学会活動の方針に繋げようというものである.

   今回の企画では、ライフワークバランスやキャリアパスといった観点からディスカッションリーダーを招いているので、理事各位においてもぜひ参加してほしいとの要請がなされた。
 

8)塩見美喜子理事(小林武彦若手教育問題ワーキンググループ座長代理)より、年会2日目の12月12日、ランチョンセミナー形式で、若手教育ランチョンセミナー2012「研究者に必須なコミュニケーション力、発信力、国際力」が開催されることが報告された。第一部では「グローバル化する科学のこれから―在米20年で見えてきたもの―」と題して、洪 実氏(慶應大)による講演を行う。第二部は「めざせ!コミュプレ(コミュニケーション、プレゼンテーション)の達人」をテーマに、洪 実氏とWG委員がパネリストとなり、参加者の意見をスクリーンにリアルタイム表示する『ケータイアナライズシステム』(会場において、自身の携帯電話・スマホから専用サイトへアクセスしてもらう)を使用し、相互討論ができる企画となっていることが報告された。
 

2.審議事項

1)第18期監事の選任
 大隅典子第18期理事長から、第18期の監事として郷 通子会員、永田恭介会員が推薦され、承認された。監事選任については第35回通常総会で最終承認をとることとなる。
 

2)第18期理事会の体制、各幹事、各種委員会委員長・委員の委嘱について
 大隅第18期理事長より、次期の理事長として第18期の間に以下のことに取り組みたいとの説明と挨拶がなされた。
① 若手キャリアパスの支援
② 科学研究教育施策に関するアドボカシー
③ 研究倫理に関する意識啓発
 続いて、役員・幹事・各委員会名簿(案)が配付され、調整中である一部の委員会構成を除いて、ほぼ原案どおりに承認された。
 18期理事会では庶務幹事を二人体制とし(石野庶務幹事は3期目の再任となるので、次期はできるだけ庶務幹事業務は本間美和子新幹事に引き継いでいく方向である)、広報幹事2名(荒木弘之理事/幹事兼、金井正美幹事)、さらにオブザーバーとして小原前理事長に執行部に入ってもらい、第18期理事会執行部としたい旨の説明があり、承認された。
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【第18期執行部】
理 事 長:  大隅典子
庶務幹事:  石野史敏、本間美和子
  広報幹事:  荒木弘之(理事兼)、金井正美
  オブザーバー:小原雄治(前理事長)
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 17期からの持ち越しとなった、生命科学教育(高等学校との連携による社会貢献活動)と科学政策については、新委員会をすぐに発足させるのではなく、執行部にて検討した上で、担当理事の設置、等々を進めることとなった。
 男女共同参画委員会の発展的改組、若手キャリアパス問題の統合、若手教育問題ワーキンググループの委員会への格上げ・統合、についても活発な意見交換がなされ、本件については、17期の各委員長、18期の新担当理事と大隅新理事長にて、別途、検討の時間を設け、すみやかに調整を進めることとなった。(後日、「キャリアパス委員会」として発足することとなった)
 

3)第17期から第18期への申し送り(全般)について
 小原17期理事長より以下3点につき報告・説明がなされた。

   (1)加藤論文問題対応については、実質、第18期理事会への申し送りとなるが、小原17期理事長が18期の研究倫理委員長を担当し(大隅新理事長からの委嘱を受け)、18期の研究倫理委員会を構成し、適切に対応を進めていきたい。

   (2)事務局の現在の体制についての説明があり、18期の理事長ならびに執行部にて留意してほしい。(第17期第3回理事会記録 審議事項2)を参照)

   (3)上記(1)の関連事項であるが、明日夜に予定されている『緊急フォーラム』を終えた後、さらなる具体的な対応が18期理事会に課せられてくるが、18期理事のご協力をお願いしたい。
 

4)高等学校との連携による社会貢献活動について(来年以降の対応)
 配付資料に基づき、篠原 彰理事(17期執行部/広報幹事)より、本事業の概要についての説明が行われた。
 本年11月12日、「高校などへの講師派遣事業の協力のお願い」をHPに掲載し、翌13日に会員メール配信を行った。昨年の理事会・総会において決議されているが、その具体的内容は次のとおりである。

   (1)分子生物学の講演、授業などを必要としている高校(中学を含む)への会員の派遣

   (2)最新の分子生物学の講演会、講習を必要としている高校(中学を含む)教師の集まりへの会員の派遣

   本案内に対し、2012年12月6日現在、152名より協力回答を得ており、その講師一覧(氏名・所属)につき報告がなされた。届け出いただいた情報は下記のとおりである。
 ①本人の基本情報:名前、所属機関(身分)、性別と連絡先
 ②専門分野:広義と狭義の両方(マッチングの時に使用予定)
 ③講義/講演可能な内容の希望:具体的なタイトルなど
 ④高校への出前講義、講演などの経験の有無:ある場合はおおよその回数
 ⑤派遣可能地域
具体的にどのように出前授業をマッチングしていくか、来期からの運用について、引き続き、篠原理事を中心に作業を進めてもらうこととなった。
 

5)日本分子生物学会三菱化学奨励賞について(来年以降の対応について)
 標記奨励賞は、三菱化学との契約をもとに支援を受け(三菱化学との5年ごとの契約更新により毎年130万円[副賞充当100万円(50万円×2名)選考経費等30万円]のサポートを受けてきた)、10年に亘って授賞者を輩出してきたが、本年12月4日付にて来年度以降の継続契約はできない旨の連絡を受けたことが、事務局より報告された。12月5日、福田事務局長が三菱化学ホールディングスの田中章部長、ならびに(株)三菱化学科学技術研究センターバイオ技術研究所・加藤尚樹部長(三菱化学(株)経営戦略部門RD戦略室/兼務)と面談を行い、正式にサポート打ち切りの内容を受理した。本件については、数カ月前より、事務局から小原理事長・執行部あてに逐次、状況報告がなされ、事務局長を通して三菱化学側との交渉を重ねてきたが、先方の経済的状況が主たる理由であり、学会としてはいたしかたないとの判断をしている。
 引き続き、来年以降の対応について種々の意見交換がなされた。山本正幸理事から賞創設時の経緯についての説明がなされ、さらに出席理事より、もともと学会賞を創設してこなかった本学会の文化についての意見も提出された。新たな奨励賞を立ち上げるとしても充分に公平なシステムのもので検討されるべきであろうとの考えに集約されることとなった。
 審議の結果、三菱化学奨励賞に替わる、あらたな奨励賞の創設については、慎重に時間をかけて来年の定例理事会で再度検討することとなった(来年度は奨励賞の募集は行わないことで、学会として支障はないとの確認がなされた)。
 

6)科学政策(研究環境・次世代教育/提言戦略)について
 中山敬一18期副理事長(17期科学政策委員会世話人)より、本年2月、本委員会の下部組織として、2つのワーキンググループが発足し、それぞれ4月と5月に1泊2日泊り込み集中会議を開催したことが報告された。2つの会合の記録(テープ起こし)は計310ページにもおよび、本日配付の資料「現在の科学政策における問題点と解決策」(分子生物学会・科学政策委員会 報告)は、その議論内容をまとめたものである。
 ワーキンググループメンバーは次のとおりであった。

   ●研究環境・次世代教育担当ワーキンググループ
中山敬一(研究担当議長)、篠原 彰(教育担当議長)、貝淵弘三、影山龍一郎、近藤 滋、水島 昇

   ●科学政策提言戦略ワーキンググループ
中山敬一(世話人)、阿形清和、石川冬木、小安重夫、田中啓二、花岡文雄、小原雄治(オブザーバー)
 中山副理事長より、論点は以下のとおりであり、配付資料に基づき、個々の項目の問題点、解決案、反論についての説明がなされた。

    I.教育と人材育成に関すること

    I-1.修士課程  修士課程と就活の問題

    I-2.博士課程  大学院のミッションの再定義、大学院教育の質を上げる、博士課程の定員を減らす、大学院の経済支援

    I-3.キャリアパス  博士課程修了後の就職難、キャリアとノンキャリアを分ける

    I-4.留学    海外留学が激減している、留学グラントの問題

    I-5.テニュアトラック  理研・地方大学におけるテニュアトラック制度を充実させる

    I-6.定年後  定年制の問題

    II.研究に関すること

    II-1.研究費  科研費を何とかする、申請書・報告書を簡素化する

    II-2.国プロ  プロジェクト研究に関する問題

    III.その他   学会の統廃合、科学政策を実現するための道

   出席理事により意見交換がなされ、科学政策については、引き続き、18期理事会において検討していくこととなった。
 

上記、第17期・第18期 合同理事会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。

2012年12月10日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第17期・第18期 合同理事会

議長小 原 雄 治
議事録署名人後 藤 由季子
議事録署名人中 山 敬 一