特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第19期第2回理事会記録

日 時:2015年11月30日(月)13:30~17:50

場 所:神戸国際会議場 4階「403」

出席者:荒木弘之(理事長)、佐々木裕之(副理事長)、塩見美喜子(副理事長)、一條秀憲(第39回年会長兼)、上村 匡(編集幹事兼)、影山龍一郎(第38回年会長兼)、粂 昭苑、小林武彦、斎藤通紀、相賀裕美子、塩見春彦、白髭克彦、眞貝洋一、杉本亜砂子、高橋淑子、林 茂生、水島 昇(会計幹事兼)、山本正幸、渡邊嘉典(広報幹事兼)、辻本賀英(監事)、深川竜郎(庶務幹事)、本間美和子(庶務幹事)、金井正美(広報幹事)、三浦正幸(集会幹事)、以上24名

欠席者:大隅良典、岡田清孝、貝淵弘三、小安重夫、篠原 彰(第40回年会長兼)、田畑哲之、仲野 徹(集会幹事兼)、長田重一、深水昭吉、吉田 稔、吉村昭彦、花岡文雄(監事)、以上12名

事務局:福田 博(記録)、金子香奈里、並木孝憲、山口恵子
 

本理事会成立について:
 本間美和子庶務幹事より、理事19名、監事1名、幹事4名が出席し、委任状12名(理事11、監事1)を受理しており、本理事会は細則第4章第8条により成立する旨、報告された。

議事録署名人の選任について:
 荒木弘之理事長より、議事録署名人として、粂昭苑理事と眞貝洋一理事が指名され、承認された。
 

議 事:

1.報告事項

 1)執行部報告

 ・理事長報告

①本年1月、内閣府より本学会代表者あてに協力依頼があり、「第5回 日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議」(2015.1.22開催)に出席し、理事長個人の立場としてヒアリングに応じた。ヒアリングの趣旨と出席した学協会は次のとおりであった。

≪ヒアリングの趣旨≫
○学協会と日本学術会議との関係についての認識(平成16年法改正による変化、現状)
○学協会の立場から今後日本学術会議に期待する役割

≪出席した学協会≫
日本社会学会、日本経済学会、日本医学会、日本分子生物学会、日本地球惑星科学連合、日本建築学会

②大学附置研『共同利用・共同研究拠点』期末評価に関わるコメント提出協力依頼への対応
 第16期理事会(2009年)のときに、大学附置研『共同利用・共同研究拠点』要望書に係る学会対応(サポートレターの提出)として、所定の手続きを経た施設に対し執行部を中心としたメンバーにて審査を行い、学会として協力を行った経緯がある。当時、認定された機関がそれぞれ期末評価の時期を迎えるが、それに関係して、本年3月~5月にかけて、前回協力したいくつかの施設より、拠点継続に関するサポートレターを提出してもらえないかとの要望が入った。
 執行部にて検討した結果、本件は、当時第16期理事会にて審議・承認されている案件であるので、前回同様に学会審査を通った機関を対象に要望があった場合には、学会対応することとした。
 結果、本年3月~5月において、4施設に対し理事長名による学会サポートレターを提出した。

③AMED(日本医療研究開発機構)から本会理事長あてに要望があり、基礎科学分野からの唯一の参画として、本学会理事長がAMEDアドバイザリーボード委員になった。本学会理事長任期は2年であるため、次の理事長交代期において、次期理事長に同アドバイザリーボード委員を引き継いでもらいたいと考えている。

④本年11月、HUGO(国際ゲノム会議)の日本開催誘致のためのサポートレターの発行依頼を日本側関係者より受けた。執行部にて検討した結果、本会と関わりの深い重要な会議であることは認識しているが、開催が決定していない会議への推薦状発行は今まで行っておらず、今回も見送る旨、返答した。
 引き続き、荒木理事長より同様の協力依頼があった場合についての学会対応について意見が求められた。討議の結果、開催が決まっていない特定の団体(国際会議)から日本開催(誘致活動)の協力依頼があった場合、原則、対応しないことで問題がないことが確認された。

 ・庶務幹事報告

①会員現況
 本間庶務幹事より、2015年11月16日現在の会員数につき以下のとおりに報告がなされた。

名誉会員

1名

正 会 員

9119名

(海外在住229含む)
シニア会員

36名

 *新設
次世代教育会員

4名

 *新設
学生会員

4286名

(海外在住69含む)
賛助会員

27社

合 計

13473名

(前年11月対比、-324)

(*上記以外に所定の手続きによる休会者10名あり)

②生物科学学会連合について
 本間庶務幹事より生科連の活動状況につき報告がなされた。

○2020年IBO・JBO(国際生物学オリンピック)は日本で開催されるが、生科連として全面的にバックアップしていく予定である。

○学術会議関連議題であるが、生科連定例会議(2015.10.3開催)にて、「国立自然史博物館設立の提言作成」に向けての状況説明がなされた。

○生科連には、教科書問題検討委員会とポスドク問題検討委員会の2つの委員会が設置されている。ポスドク問題検討委員長には、本会の小林武彦理事が就任しており、昨年12月、資料「生科連からの<重要なお願い>」をもとに文科省等へ説明にまわっており、その後、文科省等関係者の助言を得て、本年4月には第二版を本学会ホームページで公開した。これらの活動に関連して「卓越研究員制度」が創設される予定である。
 出席理事より「卓越研究員制度」についての様々な質問が出され、小林理事より本制度の詳細説明がなされた。

 ・広報幹事報告
 金井正美広報幹事より学会ホームページの運用状況について報告が行われた。HPのコンセプト、2013年1月から現在までの月間アクセス統計、Facebookへのアクションを実行した人(最近28日間)の性別の割合等について説明がなされた。本学会HPでは、公募や行事の記事について年間350件ほどの掲載依頼に対応していることが報告された。

 2)第38回(2015年)年会について
 影山龍一郎第38回年会長より、配布資料に基づき準備状況の報告がなされた。一般演題投稿数はLate-breaking を含め4443題、そのうち879演題は口頭発表に採択された。事前参加登録は7194名となり、企業展示は401小間(NBRP、BioDBを含む)、ランチョンセミナーは18枠となり、順調に準備が進んだことが報告された。
 引き続き、本合同大会のプログラム概要について説明された。

 3)第39回(2016年)年会準備状況
一條秀憲第39回年会長より、2016年の年会準備状況につき報告がなされた。

○会期:2016年11月30日(水)~12月2日(金)の3日間

○会場:パシフィコ横浜

○組織委員: 年会長一條 秀憲(東大・薬・細胞情報学)
組織委員長三浦 正幸(東大・薬・遺伝学)
プログラム委員長 村田 茂穂(東大・薬・蛋白質代謝学)
組織委員新井 洋由(東大・薬・衛生化学)
後藤由季子(東大・薬・分子生物学)
富田 泰輔(東大・薬・臨床薬学)
多田 秀明(小野薬品工業㈱)
庶務幹事名黒  功(東大・薬・細胞情報学)

○演題投稿期間:2016年7月1日(金)~ 7月29日(金)

○事前参加登録期間:2016年7月1日(金)~10月14日(金)

○年会HP: http://www.aeplan.co.jp/mbsj2016(2015年12月中旬開設予定)

*12/16にオープンした.

 年会開催コンセプト「半端なベクトルに出口無し!~徹底した基礎研究から広がる応用~」、全体日程、シンポジウムの編成数(指定シンポジウム28、公募シンポジウム80企画を予定)ならびにポスター発表の時間設定・座長制について詳細説明がなされた。ポスター座長には1人当たり15演題程度を担当してもらい、それぞれ1演題のポスター賞を選んでもらう予定である。3日間で200名を超えるポスター座長をお願いすることになるので、理事会の方々にはぜひともご協力をいただきたい。
 シンポジウムの言語については、外国人がいるセッションは基本英語とするが、議論を深めるためには必要に応じて日本語でのディスカッションを認めてもよいのではないかとの年会長の考えが示された。出席理事からも、分子生物学会年会には異分野の研究を勉強したいといった参加者も多いので、臨機応変に対応することに賛同したいとの意見が提出された。シンポジウム言語の取り扱いについて活発な意見交換がなされ、引き続き、年会組織委員会で検討し、決定していくこととなった。

 4)第40回(2017年)年会準備状況
 篠原彰第40回年会長が本日まで海外出張のため、荒木理事長より、会期、会場、開催形式についてのみ、報告がなされた。適時、詳細は篠原年会長より理事会MLへ情報配信される予定である。
○会期:2017年12月6日(水)~9日(土)の4日間
○会場:神戸ポートアイランド
○開催形式:日本生化学会との合同大会(生化学会の大会長は大野茂男教授/横浜市大)

 5)上村匡編集幹事より、配布資料に基づき、学会誌『Genes to Cells』の編集報告が行われた。

(i)本年4月10日、京都にて編集委員会が開催された。出席した委員からは種々の建設的な意見を頂戴しており、その概要が紹介された。編集委員会では、若手がコレスポンディングオーサーとして気軽にチャレンジできるジャーナルとして認知されるということも重要ではないかと考えており、「GTCに投稿すれば有益な議論ができて論文の完成度が高まる」というような評価が若手の中で定着し、このジャーナルのファンや投稿のリピーターが増えることを願っている。

(ii)従来からの「Original Article」に加え、重要な発見をすばやく出版することを目的とした短めのフォーマットである「Brief Report」(スペース含み20,000字以内、図表3点以内)の受付を開始している。

(iii)GTCは、投稿前に研究内容に近いエディターあるいはアソシエートエディターに相談することが可能である。特に以下のような要望があった場合、ぜひ相談していただきたい。

・他のジャーナルで、厳しい要求に応えたのにリジェクトされてしまった。
そのジャーナルでの point-by-point reply も提出するので、早く受理してもらえないか。

・競合する論文が in press と聞いたので、可能な限り早く論文を出したい。

(iv)新たな投稿規定が浸透してきた効果もあり、2014年に減少していた投稿数も、本年は一昨年レベルに持ち直してきている。安定的な水準を維持するためにも、理事各位にはさらなる協力をお願いしたい。

(iv)論文掲載時にオープンアクセスとなる「Online Open」について、現在、総説に限りその掲載費用(1論文あたり3,000ドル)を学会が負担している。GTC事業収支では黒字ではあるものの、年間どの程度の総説を受け入れるかなど費用に留意しながら運用していきたい。

(vi)2011年に一新した本誌の表紙デザイン(伝統絵画のなかに生命科学の遊び心を盛り込んでいる)は、丸5年となる今日でも高い評価を得ている。本年会のポスター会場の一画において、本誌の表紙ができるまでの裏話を盛り込んだタペストリー36作品(3年分)を展示するので、ぜひご覧いただきたい。

 6)各種学術賞、研究助成候補への学会推薦状況について
 相賀裕美子賞推薦委員長より、2015年に本学会より推薦した各種学術賞について報告がなされた。引き続き、塩見春彦研究助成選考委員長より、2015年の研究助成推薦状況と結果等について報告が行われた。

 7)小林武彦キャリアパス委員長より、配付資料に基づき、本委員会のミッション、委員会名簿、この1年の活動内容と実施したアンケート、男女共同参画学協会連絡会への参画状況について説明がなされた。
 配付された資料は次のとおりである。

・キャリアパス委員会の活動内容

・年会演題投稿者における属性調査結果

・ライフイベントについてのアンケート集計結果(BMB2015における両学会企画テーマ選定のためのアンケートを本年7月に実施)

・ポスドクのポジションにある方を対象としたアンケート集計結果(本年7月に実施)

本合同大会においてランチョンセミナーを2つ開催するので、理事各位においては積極的に参加いただきたい。

≪両学会共同企画(分子生物学会キャリアパス委員会/生化学会男女共同参画推進委員会) BMB2015ランチョンセミナー≫
「研究者のライフイベントを考える-目指すべき制度改正と環境改善-」

≪キャリアパス委員会主催 ランチョンセミナー2015≫
「本当のPIになるために」

* 2セッションいずれも講演+ケータイをつかった聴衆参加型ディスカッション形式を採用.

 8)富澤基金・基金運営委員会報告
 山本正幸基金運営委員長より、富澤基金による第5回(2015年)日本分子生物学会 若手研究助成結果につき報告がなされた。

 (i)第5回応募の受付期間: 2015年1月13日~2月10日

 (ii)応募総数:92名(男性75名、女性17名 ※性別は名前からの推定による)

 (iii)選考:
・第1次審査:書類審査
・第2次審査:10名を対象に5月9日にヒアリングを実施

 (iv)審査経過と第5回助成対象者:
 審査経過詳細については、会報111号(2015年6月号)に結果報告を掲載済みであるので参照されたい。第5回若手研究助成の助成対象者は以下の5氏である。

   ○小原圭介(北海道大学大学院薬学研究院)
細胞膜脂質非対称の感知機構と細胞応答の解明
Elucidation of sensing mechanism of plasma membrane lipid asymmetry and cellular response

   ○進藤麻子(名古屋大学大学院理学研究科)
細胞集団の不均一性を基盤とする組織形態の確立・維持機構
Cellular heterogeneity to drive collective cell movement during tissue morphogenesis.

   ○丹羽伸介(東北大学学際科学フロンティア研究所)
感覚受容細胞の形づくり
Molecular mechanisms that regulate the morphogenesis of sensory neurons

   ○宮腰昌利(秋田県立大学生物資源科学部)
原核生物における mRNA の3'末端から生成する small RNA による転写後調節
Post-transcriptional regulation by small RNAs derived from the 3'UTR of prokaryotic mRNAs

   ○村山泰斗(東京工業大学大学院生命理工学研究科)
ゲノム安定性に必須の Smc5/6 複合体の機能解析
Functional analysis of an essential genome stability factor Smc5/6 complex

 9)第4回(2016年)国際会議支援選考結果報告
 篠原国際会議支援選考委員長に代わり、荒木理事長より、第4回目となる国際会議支援についての選考結果について報告された。本年の応募は1件で、選考委員会における慎重な審査を経て、理事長承認のもと以下の会議が採択された。

 ≪会議名称≫
(和文)第14回酵母国際会議
(英文)The 14th International Congress on Yeasts(ICY14)
  開催責任者:高木博史(奈良先端大・バイオサイエンス研究科 教授)
  会期:2016年9月11日(日)~15日(木)
  会場:淡路夢舞台国際会議場
  助成金額:200万円

 10)生命科学教育(高校などへの講師派遣の状況)について
 篠原担当理事が欠席のため、事務局より配付資料が代読された。
 高校などへの講師派遣の状況(2013年6月から現在までの実績)、および年会における高校生発表の状況(過去3回の実績と第38回年会の発表予定)について報告がなされた。
 生命科学教育事業の活動周知の1つとして、本年も夏に開催された『SSH生徒研究発表会』に学会ブ―スを出展し、高校生や引率の先生に本学会の活動内容を紹介した。同発表会の会場において、学会キャラクターデザインを用いたグッズ(クリアファイル)を配布し、積極的な広報活動に努めた。
 関連して、小林理事より私立の中高一貫校などでは「生物」の教員が減っている状況の説明があり、今後の生命科学教育の重要性について、出席理事より意見が提出された。

 11)その他
 本間庶務幹事より第38回通常総会の予定議題の説明がなされ、議事進行と報告担当者の確認、さらに第5回富澤基金贈呈式の式次第の確認が行われた。
 

2.審議事項

 1)平成27年度(2015年度)決算承認の件
 水島昇会計幹事より平成27年度活動計算書の収支について詳細説明がなされた。昨年の総会で前会計幹事より説明しているように、所管庁である東京都からの指導があり本年度決算よりNPO法人会計基準に基づいた計算書となっている。27年度会計は若干の赤字予算を組んでいたが、決算処理の結果、約1,268万円の黒字決算で終えることが出来た。黒字となったポイントは2つあり、昨年の第37回横浜年会の決算が黒字であったこと、もう1点は、『Genes to Cells』の出版社からの総利益折半の精算収入が、精算時の為替レート(円安効果)の関係で伸びた点があげられる。会費収入については、納入率はほぼ前年と同様であるが、会員数そのものが減少傾向にあり昨年を下回った。経常費用については、事業費の内訳別収支の説明がなされた。さらに「日本分子生物学会 若手研究助成 富澤純一・桂子基金」の決算について報告が行われた。
 本決算において、消費税約213万円を納めており、その他の税務処理についても顧問契約を交わしている税務専門家の指示のもと、収益事業部分の法人確定申告を行った。
 本決算は、10月26日に宮城秀敏公認会計士の監査を受け、さらに同年11月12日に辻本賀英監事、花岡文雄監事による会計監査を受け、配付資料のとおりの監査報告書が提示されている旨報告がなされた。
 続いて、辻本監事より11月12日に学会事務所において会計監査を実施し、監査報告書に記載したとおり、帳簿ならびに会計証憑類は正確に整えられており、同決算を認めたことが報告された。
審議の結果、本決算は理事会で承認され、第38回通常総会に諮られることとなった。

 2)繰越金(内部留保)の運用について
 昨年11月に開催した第18期・第19期合同理事会において、前監事より付帯意見として以下の内容が申し送られていたことが、水島会計幹事より説明された。

*「繰越金のうちの何割かは長期国債などの運用も含めた効率的な方法を取られたらどうか、との意見が提出され、事務局にて会計事務所の専門家に助言を求めることとなった」(第18期・第19期合同理事会記録より)

 水島会計幹事より、本件について学会事務局より公認会計士に相談したところ、以下のコメントを受理しており、当面は現状の資金保有方法を継続したいとの報告がなされた。


・NPO法人格をもつ分子生物学会のような学術団体が、内部留保のうちの一部を国債で保有することは、団体の性格からいって相応しくないように考える。

・すでに内部留保資金を複数の金融機関に分けて保有しているので(リスク対応は取っている)、ここで試算した程度の利息収入のために国債に切り替えるメリットよりも、国債に切り替えたことのデメリット(損失が出た場合の理事会責任)のほうが大きいのではないか。

・団体の性格にもよると思うが、学会の場合は、会員による会費収入、学術年会参加費等が主たる収入源であるので、預貯金を債券保有に切り替えることは、会員の同意(総会承認)が必要であろう。


 3)平成28年度(2016年度)活動予算書承認の件
 水島会計幹事より、平成28年度活動予算書と同活動予算・事業費の内訳について説明が行われた。
 前年決算の実績をふまえて各科目を微調整しているが、大きなポイントは現段階(2015.10月現在のBMB2015見込収支)でBMB2015予算がやや厳しい状況にあり、その収支がそのまま学会全体の収支に組み込まれており(本年は合同大会であるので、大会終了後に6(分生):4(生化)で両学会に按分計上される予定)、法人全体として245万円の赤字予算を編成したことが説明された。
 審議の結果、同予算書は理事会で承認され、第38回通常総会に諮られることとなった。

 4)次回理事選挙の女性理事枠について(細則改正の件)
 荒木理事長より、本学会 細則 第2章 役員の選出の第2条 5)にある、以下の条文が作られてきた経緯と、現第19期理事会で時限特別措置の期限を迎えることの説明がなされた。


■細則 第2章 役員の選出

第2条

5)時限特別措置(17期-19期までの6年程度)として、理事定員30名の10%(3名)の女性理事枠を設ける。選挙により3名の女性当選者が選出されなかった場合は、女性理事が最低3名になるまで調整を行う。ただし、理事定員30名に変更はないものとする。


 この期間の女性理事の人数は、17期⇒4名、18期⇒6名、19期⇒5名であり、この間に実施された理事選挙結果により、上記の時限特別措置が適用されたことは一度もなかったことが説明された。今回、この特別措置の期限が終わるので、第2条5)を削除するか、このまま再度の継続とするか、もしくは女性理事枠(定数)を増やすかといった点につき、自由討論に入り、活発な意見交換が行われた。女性理事枠の定数を設置しなくても、適正な人数の女性理事が選出されてくることが望ましい形であろうとの意見が多数を占めた。
 審議の結果、この6年間当該特別措置の適用が無かったこと、また記載の目標値(10%)が低いことから、細則 第2章 役員の選出の第2条にある条文 5)を削除することが承認された。

 5)第41回(2018年)年会長について
 荒木理事長より、第41回年会については、年会長を東京医科歯科大学 難治疾患研究所長 石野史敏会員に依頼したいことが諮られ、承認された。(開催地:横浜、会期:2018年11月28日(水)~30日(金)<2018年の会場については、2013年12月に仮押さえをしており、本年11月末が会場正式予約のデッドラインであった>)

 6)第42回(2019年)および第43回(2020年)年会の開催地について(2020東京オリンピックに伴う会場調整対応)
 2020東京オリンピックの開催に伴い、2019年から2020年にかけては、プレ会議・各種イベント、関連会議開催が非常に多く、本学会年会が開催できる会場確保について時間的余裕がないこと、さらに2021年から数年をかけて神戸会場(国際会議場および展示会場)が全面建替え工事に入ることが、荒木理事長より報告された。
 従来、年会開催地は東西(横浜・神戸)交互の開催を基本にし、6~7年に1度、福岡を考慮するといった方法で決定してきた。過去には2年ずつ同じ会場を使用した時期もあるが、2年連続使用による会場費減額制度は現在はないこと、福岡会場については、現段階ですでに2019年のみが仮押さえ可能であること(予約デッドラインは本年12月)、2020年の神戸会場に関してもすでに同年11月下旬~12月中旬までひきあいが多く仮押さえの手続きが急務であることが、事務局より補足説明された。
 審議の結果、第42回(2019年)年会の開催地は福岡(福岡国際会議場、マリンメッセ)、第43回(2020年)年会の開催地は神戸(神戸ポートアイランド)とすることを決定し、会場予約手続きを進めることとした。

 7)年会のあり方について
 年会のあり方について自由討論に入り、意見交換がなされた。提出された意見(主だった意見を抜粋)は以下のようなものである。

・本年7月、2017年の年会開催方式に関する持ち回り理事会の際にも申し上げたが、分子生物学会と、特に生化学会、さらに可能であればいくつか他の学会が恒久的コンソーシアムを形成できればよいと考えている。

(理由1)分子生物学・生化学に関連する研究の分断化を防げる.
 分子生物学・生化学の両方に関連する分野は多く、それらの分野は2つの学会によって活動が断片化されてしまっている。結果的にどちらの学会も中途半端になり、魅力がないものになっている可能性がある。自分の関連する研究分野だけではなく、広く生命科学を俯瞰して議論するためにも大きな学会の存在意義はあると思うので、中途半端な断片化は防げるとよいと思う。研究室によっては、やむを得ず分子生物学会参加チームと、生化学会参加チームにわけているところもあり、研究室の活動も分断化されてしまう。多くの学生はどちらかにしか入っていないので、今後の将来を担う学生がより大きなダメージをうけているように思う。

(理由2)国際スタンダードではない.
 分子生物学会と生化学会を2回にわけて開催している国はもはやほとんどない。米国、カナダ、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、中国、韓国などすべて「society of biochemistry and molecular biology」である。IUBMB、FAOBMBなどの「BMB」もその流れだと思う。米国では、ASBMBに加えて、さらに他の学会も含めて大会を開催している。

(理由3)大会の経済的理由
 企業の協力が得にくくなっていて、運営が年々厳しくなっている。それを黒字化するために日本の優秀な研究者が多大な時間を割いている。コンソーシアム化すれば、状況はかなりよくなるのではないか。

・合同開催をやるにしてもその対象が生化学会だけというのはいかがなものか。遺伝学会、生物物理学会、細胞生物学会など、重複会員のいる学会はほかにもある。

・遺伝学会も充分に可能性はあると思うが、ただし2017年についてはすでに準備期間2年をきっており、時間が足りない。

・化学系、物理系と比べ、確かに生物系の学会は団結力に欠け、まとまりがない。

・学会は別々にあってもよいが、大会は1つでよいのではないか。

・独自に学術大会が開催できない学会では、そもそも、その学会の存在意味がないのではないか。そのような学会は自主的解散も視野に入れるべきではないか。

・小さい学会からみれば会員のオーバーラップ、重複分野のことが問題になるのだろうが、分子生物学会の会員13500名のうち、生化学会との重複は2200名弱しかいない。(*BMB2015プログラム集の発送の際、印刷代と郵送料節約のために、重複会員は分子生物学会からのみ発送を行っている。そのときの両学会会員データ照合により、重複会員は2194名といったデータが執行部に提出されている)
 分子生物学会側からみれば、13500のうちの2200を大きな数とみるのか、特段考慮することを必要としない数とみるのか、その見方による。

・生化学会との合同開催は、全体プログラムの編成において、面白みに欠けるように思う。

・合同開催は5年に1度くらいがよいと考えるが、それとは別に学術年会のあり方の長期的ビジョンが必要ではなかろうか。

・大会の英語化も中途半端な状況にある。たとえば専門学会は英語化を進め、分子生物学会のような他分野のことを勉強したい学会の議論は日本語がよいのではないか。

・生化学会との関係を議論することは重要だと思うが、数百名から始まった分子生物学会の生い立ち、文化を無視することはできない。

・規模は違うが、発生生物学会と細胞生物学会にも同じような課題があるなか、合同開催は一定の成果が出ている。毎年ではないが、5年に1回くらい合同開催を行うといったことで落ち着きそうである。ただし、この場合は、年会長は一人でやることが大切である。

・IUBMBのような国際組織からプロポーズがあった場合にはきちんと対応すればよい。この問題を検討するワーキンググループのような会合が立ち上がるのならば、メンバーに加わりたい。

・合同開催の場合、両学会からの大会長を一人(同一人物)にしたらよいのではないか。

・学生の経済的負担を考えれば、生命科学系で大きな大会は1つで充分である。

・5年後、10年後の会員構成(会員数の減少)を考えると、なにか変革がないと両学会が生き残るのは難しいのではなかろうか。

・両学会の会員の減り方にはだいぶ違いがあるように見える。分子生物学会がある時期に爆発的に大きくなった点、生化学会に比べ会員の減少が比較的ゆるやかな点、現在も分子生物学会に若い会員の比率が多い点には、それぞれにそれなりの理由があるのだと思う。分子生物学会のよいところは、組織も考え方も緩いところ、なんでも吸収しやすいといった、懐ろの深い柔軟な文化があり、それを大事にしてほしい。

・懇談会形式でもよいので、一度、両学会から数名ずつ委員を出し合い、意見交換会を行ったらどうか。

・第16期の将来計画検討委員会でも年会のあり方(開催形式)について検討を行ったが、当時も学会そのものの統合・再編問題にふれたことはない。

 以上、活発な討議の結果、荒木理事長より今期中に本案件を検討する委員会(または他学会を含めた会合)を考えてみたいとの方針が示された。
 

上記、第19期第2回理事会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。

2015年11月30日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第19期第2回理事会

議    長  荒 木 弘 之

議事録署名人  粂   昭 苑

議事録署名人  眞 貝 洋 一