特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第19期・第20期 合同理事会記録

日 時:2016年11月29日(火)13:30~18:40

場 所:パシフィコ横浜会議センター 5階「511+512」

出席者:第19期
荒木弘之(19期理事長)、佐々木裕之(19期副理事長)、一條秀憲(39回年会長兼)、上村 匡(編集幹事兼)、小林武彦、相賀裕美子、塩見春彦、篠原 彰(40回年会長兼)、杉本亜砂子(20期理事長)、高橋淑子、林 茂生、深水昭吉、水島 昇(会計幹事兼)、山本正幸、渡邊嘉典(広報幹事兼)、花岡文雄(監事)、深川竜郎(庶務幹事)、本間美和子(庶務幹事)、金井正美(広報幹事)
印は20期継続理事)
第20期
石川冬木、稲田利文、菊池 章、後藤由季子、小原雄治、菅澤 薫、中島欽一、中山敬一、鍋島陽一、西田栄介、正井久雄、三浦正幸(19期集会幹事兼)、山本 卓、以上32名

欠席者:第19期
塩見美喜子(19期副理事長)、大隅良典、岡田清孝、貝淵弘三、影山龍一郎、粂 昭苑、小安重夫、斎藤通紀、白髭克彦、眞貝洋一、田畑哲之、長田重一、仲野 徹(集会幹事兼)、吉田 稔、吉村昭彦、辻本賀英(監事)、石野史敏(41回年会長)
印は20期継続理事)
第20期
阿形清和、五十嵐和彦、上田泰己、大隅典子、木村 宏、胡桃坂仁志、以上23名

事務局:福田 博(記録)、並木孝憲、山口恵子、金子香奈里
 

本理事会成立について:
 深川竜郎庶務幹事より、理事28名、監事1名、幹事3名が出席し、委任状19名(理事)を受理しており、本理事会は細則第4章第8条により成立する旨報告された。

議事録署名人の選任について:
 荒木弘之理事長より、議事録署名人として、菅澤薫理事と林茂生理事が指名され、承認された。
 

議 事:
 

1.報告事項
 

1)19期執行部報告(理事長、庶務幹事、広報幹事)

 ①理事長報告
 荒木理事長より以下6点につき報告が行われた。

(ⅰ)熊本地震への学会対応として、ホームページに「復興支援ネットワーク掲示板」を設置し、復興支援に関する情報を発信した。理事会MLで検討を行い、熊本大学「熊本地震復興事業基金」へ100万円を寄附した。また、被災された学生会員を対象に、申請に基づき2016年度学会費ならびに39回年会参加登録費を免除した。被災地域から演題投稿をし、採択された学生会員については39回年会会計より旅費支援が行われた(5万円×31名)。

(ⅱ)夏に実施された第20期の理事選挙において、女性理事の選出が3名であった。昨年の19期第2回理事会にて、女性理事枠(細則:役員の選出 第2条における時限特別措置)を撤廃した直後の理事選挙であったが、本案件の取り扱いについては次期の理事会で再検討する必要があるかもしれない。

(ⅲ)本年6月に将来計画委員会を立ち上げ、種々の検討作業を行った(詳細は審議事項を参照)。

(ⅳ)上記(ⅲ)とも関係するが、本年5月、生化学会から年会の合同開催依頼があり、執行部を中心として検討を重ねた。

(ⅴ)2019年福岡年会をお世話いただく年会長について慎重に検討を行った(審議事項参照)。

(ⅵ)18期からの申し送りとなっていた「倫理要綱」が研究倫理委員会において作成された。本日の審議事項の議案として検討したい。

②会員現況
 深川庶務幹事より、2016年11月16日現在の会員数につき以下のとおりに報告がなされた。また、参考資料として、ここ9年の学生会員数、学生の年会参加者数、年代別の正会員数・学生会員数の推移資料が配られ、詳細説明が行われた。

名誉会員1名
正 会 員9,041名(海外在住239含む)
シニア会員50名
次世代教育会員8名
学生会員4,180名(海外在住66含む)
賛助会員25社 
合 計13,305名(前年総会対比、-168)

③生物科学学会連合について
 10月8日、東大で開催された生科連定例会議において、次期(2017-2018)生科連代表に中野明彦氏が再選されたことが、深川庶務幹事(定例会議に出席)より報告された。引き続き、生科連の活動状況につき説明がなされた。

④ホームページについて
 金井正美広報幹事より学会HPの運用状況についての報告が行われた。HPのコンセプト、2013年1月から現在までの月間アクセス統計、2013年2月から運用を開始しているFacebookの「いいね!」獲得状況につき説明がなされた。Facebookのファン(利用者)は男性7割、女性3割の比率となっている。

⑤大隅良典栄誉教授 ノーベル生理学・医学賞受賞報告
 現理事でもある大隅良典会員がノーベル賞を受賞されたことは誠に喜ばしいことであり、学会としてはホームページに理事長からの祝意を掲載し、同時に、ノーベル財団、東工大、基生研にリンクを貼り、さらに『Genes to Cells』への大隅研究室からの投稿論文リストを掲載したことが、深川庶務幹事より報告された。
 

2)第39回(2016年)年会について
 一條秀憲第39回年会長より、配布資料に基づき準備状況の報告がなされた。一般演題投稿数はLate-breaking を含め3036題、そのうち160演題は公募シンポジウムに採択された。事前参加登録は4751名と順調であったが、一昨年(37回横浜)と比べ企業展示が60小間減の384小間(NBRP等含む)となり、予算編成に苦慮した。バイテクセミナーは18枠を確保でき、全体運営として順調に準備が進んでいることが報告された。
 本年会のもっとも重要なミッションは「基礎研究に徹する」ことの楽しさ、大切さ、素晴らしさを(再)認識する機会を提供することであり、そのような年会を目指し、組織委員一同、準備に当たってきた。
 引き続き、年会企画のプログラム概要につき詳細説明がなされた。明日からの年会運営に際し、理事各位のご協力をお願いしたい。
 

3)第40回(2017年)年会準備状況
 篠原彰第40回年会長より2017年の合同年次大会の準備状況につき報告がなされた。

○名称:2017年度生命科学系学会合同年次大会
Consortium of Biological Sciences 2017(略称:ConBio2017)

○会期:2017年12月6日(水)~9日(土)の4日間

○会場:神戸ポートアイランド

○大会長:篠原 彰(第40回日本分子生物学会年会 年会長)
大野茂男(第90回日本生化学会大会 会頭)

○プログラム委員:主催学会からのプログラム委員に、協賛学会から推薦された委員を加え、プログラム委員会を組織する。

【大会開催コンセプト】
 これまで分子生物学会・生化学会の2学会で行ってきた合同大会(BMB)の枠組みを広げ、生命科学分野の広い分野の学会と連携することにより、旧来の学問領域の垣根を越えた研究者間の相互交流の場を提供し、各専門領域のさらなる深化、発展を促す新しい大会の在り方を企図したい。
 協賛学会には各学会の特色がわかるようなシンポジウムを1つずつ企画してもらう。協賛学会から推薦されたプログラム委員には、分子生物学会、生化学会のプログラム委員と協力して公募ワークショップ企画や一般口頭発表の採択にあたってもらう予定である。また、協賛学会の会員には分子生物学会、生化学会の会員と同じ条件での大会参加登録、演題登録、公募ワークショップ企画提案を認める方向で準備を進めている。

【プログラム案】

 ①プレナリーレクチャー
フォーラム枠と同じ夕方の枠で開催する予定。

 ②シンポジウム
分子生物学会、生化学会、FAOBMB、協賛学会、CSHAからの提案企画。約30枠を予定

 ③ワークショップ
分子生物学会、生化学会、協賛学会の会員からの公募企画。約100枠を予定。

 ④一般演題(ポスター発表、口頭発表)
ポスター発表は3日間のみの開催。一般口頭発表の開催枠は約50枠を予定。

 ⑤フォーラム
分子生物学会、生化学会の総会や授賞式、受賞講演、キャリアパス委員会企画や男女共同参画企画などの学会企画は、原則フォーラム枠(夕方からの時間帯)で行うこととしたい。

 ⑥高校生研究発表
初の試みとして土曜日に行う予定である。

【その他】

 ①オンデマンド配信
 新しい試みとして、プレナリーレクチャー、指定シンポジウム・公募ワークショップのうち、配信希望のあった企画について、会員参加者のみに限定した「オンデマンド配信」を予定している。会員参加者は講演終了後の一定期間(例えば会期翌日から2カ月)内であれば、聞き逃した講演をWebで視聴することが可能となる。オーガナイザーにはあらかじめ企画の配信希望有無を確認したい。また、要旨登録の際には個別演題についても配信可否を確認する等の手順を取りたい。未発表データの流出がないようにセキュリテイには万全を期したい。

 ②会計案分比率
ConBio2017の大会会計は、会員数、大会参加者数、演題投稿数等の数値から、分子生物学会65:生化学会35の割合で案分することが決定している。両学会からの出資金(補助金)についてもこの案分比率とし、分子生物学会の開催補助金は500万円、生化学会補助金2,692,308円からの会計スタートとなる。

 ③バーコードシステム
協賛企業への参加者情報のフィードバックのため、参加章へのバーコード印字を予定している(出展ブースに設置する読取用機器の費用は出展料に含める予定)。企業へのアピール、次回年会のための分析に繋がることを期待している。

 篠原年会長による詳細説明の後、出席理事よりオンデマンド配信、バーコードシステムに関していくつかの質問、要望が出された。大会組織(両学会)による企画シンポジウムと協賛学会枠のシンポジウムのテーマ調整などについても質問が出され、それについては過去の分類別発表演題数データ等を見ながら、両大会長にてバランスを見ていきたいとの説明がなされた。また、小林武彦キャリアパス委員長からは、近年の開催実績、アンケート結果で高評価を得ている点等を踏まえ、同委員会企画のセミナーを例年どおりにランチョンの時間帯で開催できるよう考慮してもらえないかとの要望が出された。
 その他、出席理事より提出された要望等に関して、引き続き両大会長に検討してもらうこととなった。
 

4)第41回(2018年)年会準備状況
 金井正美組織委員(石野史敏第41回年会長代理)より2018年の年会開催概要につき報告がなされた。第41回年会は、次世代が研究を目指すきっかけとなるような年会の開催を念頭に、サイエンスに特化し、特に学生にとって魅力的なプログラムとなるよう鋭意企画準備中である。

○会期:2018年11月28日(水)~11月30日(金)

○会場:パシフィコ横浜

○組織委員:

年会長石野史敏(医科歯科大・難治研 エピジェネティクス分野)
組織委員長澁谷浩司(医科歯科大・難治研 分子細胞生物学分野)
プログラム委員長仁科博史(医科歯科大・難治研 発生再生生物学分野)
組織委員井関祥子(医科歯科大 大学院 分子発生学分野)
組織委員金井正美(医科歯科大・実験動物センター)
IT担当委員幸田 尚(医科歯科大・難治研 エピジェネティクス分野)
(*今後、若干名の組織委員が追加される予定)

 

5)理事選挙結果報告
 深川庶務幹事より第20期理事選挙結果の報告がなされた。2016年10月6日に東京で開催された第20期新理事会準備会議において、杉本亜砂子氏が第20期理事長に選出された。
 

6)上村匡編集幹事より、配布資料に基づき、学会誌『Genes to Cells』の編集報告が行われた。

①従来からの「Original Article」に加え、重要な発見をすばやく出版することを目的とした短めのフォーマットである「Brief Report」(スペースを含み20,000字・図表3点以内)が順調に投稿を増やしている。

②為替レートの影響を大きく受けたことなどにより、本誌の収支は、本年は、かろうじて黒字を確保した状況である。

③Associate Editorの大隅良典栄誉教授がノーベル生理学・医学賞を受賞された。大隅研究室からの本誌投稿論文を学会ホームページに掲載した。

④伝統絵画のなかに生命科学の遊び心を加えた本誌の表紙デザインは、丸6年となる今日でも高い評価を得ている。表紙ができるまでの裏話を盛り込んだタペストリーを第39回年会展示会場にて展示するので、ご覧いただきたい。また、表紙デザインに関するアイデアがあれば、ぜひ編集室または編集幹事までお寄せいただきたい。
 

7)各種学術賞、研究助成候補への学会推薦状況について

①相賀裕美子賞推薦委員長より、2016年に本学会より推薦した各種学術賞候補者について報告がなされた。引き続き、塩見春彦研究助成選考委員長より、2016年の研究助成推薦状況と結果等について報告が行われた。

②研究助成選考委員会内規について
塩見研究助成選考委員長より、各種財団の研究助成への学会推薦(審査)に際し、従来は特に定まった本委員会独自の規定がなかったので、19期研究助成選考委員会にて内規案を作成したことが報告された。内規案が配付され、提案資料の通り制定された。


「各種研究助成の学会推薦(審査)手続きに関する、研究助成選考委員会内規」

(2016年11月29日 第19期・第20期合同理事会にて制定)

【推薦審査の手順】

1.学会への推薦依頼の応募締め切り(財団等の締め切りの1ヶ月前)後、ただちに委員長は委員に応募書類の写しを郵送し審査依頼を行う。応募書類の写し等は選考委員の責任で審査後廃棄する。

2.委員は、応募書類を審査し、推薦可能な候補者と推薦すべきでない候補者を決定する。推薦可能な候補者については順位をつける。いずれも簡単な理由とともに委員長に期日(おおむね財団等の締め切りの10日前)までにメールで報告する。

3.委員長も原則として審査に加わるものとする。

4.委員長は審査集計結果に基づき、推薦可能件数内で委員の評価が高い者を上位から推薦する。このとき、一人の委員からでも推薦すべきでないと評価された候補者は、原則として推薦しない。

【利害関係者の審査対応】

1.委員長および委員当人、および所属研究室メンバーからの応募に関しては、当該委員はその候補者の審査に加わらない。採点集計時には平均点(審査合計点を審査員の数で割る)の順位で審査することにし、公平性を保つ措置を講ずることとする。

2.委員長および委員の共同研究者、親族、過去の研究室メンバー、および利害関係者と見なされうる研究者からの応募には、当該委員はその旨を申し出た上で採点を行う。採点集計に当該委員の採点を加えるか否かの判断は委員長が行う。

3.委員より利害関係者であるか否かの判断が困難であるとの申し出が提出されたときは、委員長が個別に判断する。

【重複申請についての取り扱い】

1.外部財団等の研究助成の推薦に際して、年度内の複数の応募を妨げない。


 

8)キャリアパス委員会報告

①小林武彦キャリアパス委員長より、配付資料に基づき、2016年の本委員会活動についての詳細説明がなされた。39回年会においてキャリアパス委員会主催の2つのランチョンセミナーを開催するので、理事各位においては積極的に参加いただきたい。配付された資料は次のとおりであった。
・キャリアパス委員会の活動
・2016年第39回年会発表者の属性調査
・「女子中高生夏の学校2016~科学・技術・人との出会い~」参加報告
・ランチョンセミナー2016「卓越研究員制度の活かし方」ポスターちらし
・ランチョンセミナー2016「これでいいのか 大学院教育!」ポスターちらし
・「卓越研究員制度」に関するアンケート結果(セミナー事前アンケート)
・「大学院教育」に関するアンケート結果

②今年度から始まった卓越研究員制度につき、小林キャリアパス委員長より詳細説明がなされ、種々の意見交換が行われた。
 

9)研究倫理委員会報告
 白髭克彦研究倫理委員長が欠席のため、荒木理事長より以下の報告が行われた。

①一部で新聞報道もなされていたが、本年8月17日、学会あてに匿名による論文疑義の告発状(東大医学部の研究室を中心とした論文に見られる問題点について)が送られてきた。東大広報室からプレスリリースがなされているが、8月末の告発状第2弾については、本学会は受理していない。執行部ではすみやかに情報収集を行い、その後9月に研究倫理委員全員と理事長出席のもと、研究倫理委員会を開催し、その対応につき検討を行った。その時点で、すでに東京大学より本調査を開始すること(予備調査を行った結果)が発表されていたため、学会としては本個別案件には対応せず、状況を注視することとした旨報告された。

②上記論文問題とは別に、研究倫理委員会では委員会企画の研究倫理フォーラムの開催準備を進めた。今回は統計の専門家を招き、基礎研究者向けの統計学の講演をしてもらうこととなった。年会会期2日目夜のフォーラム枠にて開催するので、理事会関係者においてもぜひ参加いただきたい。

○研究倫理委員会企画・研究フォーラム「生物学実験に使う統計学」
・日時:2016年12月1日(木)18:15~18:45
・場所:第10会場(パシフィコ横浜会議センター 411+412)(軽食を配付)
・講演:新谷 歩(大阪市大・医・医療統計学 教授)

*新谷氏の主な専門はICU におけるせん妄研究、糖尿病、リウマチ、癌、感染症、腎臓病など多分野にわたる臨床データの統計解析である。

③日本分子生物学会 倫理要綱(案)について
 19期研究倫理委員会において、18期からの申し送りでもあった「倫理要綱」(案)を作成したことが報告された。荒木理事長より倫理要綱(案)が読み上げられ、その後、意見交換に入った。活発な討議が行われたが、本会合では時間的制約もあるので、年会終了後にあらためて、倫理要綱案(電子データ)を理事会MLに配信し、再度意見を求めた後に、可能であれば1月にHP(会報2月号)で発表できるよう、作業を進めることとなった。
 

10)富澤基金・基金運営委員会報告
 山本正幸基金運営委員長より、富澤基金による第6回(2016年)日本分子生物学会 若手研究助成結果につき報告がなされた。

(ⅰ)第6回応募の受付期間: 2016年1月13日~2月10日

(ⅱ)応募総数:115名(男性96名、女性19名 ※性別は名前からの推定による)

(ⅲ)選考:
・第1次審査:書類審査
・第2次審査:5月14日、11名のヒアリングを実施

(対象者は12名であったが1名辞退)

(ⅳ)審査経過と第6回助成対象者:
 審査経過詳細については、会報114号(2016年6月号)に結果報告を掲載済みであるので参照されたい。第6回若手研究助成の助成対象者は以下の6氏である。

 ○大谷美沙都(奈良先端科学技術大学院大学)
植物のロバストな細胞形質発現を支えるRNAを介した環境応答システムの解明
Environmental response system mediated by RNA for robust expression of cell function in plants

 ○大畑樹也(浜松医科大学)
転写にともなう条件的ヘテロクロマチン形成機構の解明
Understanding the mechanism of facultative heterochromatin formation mediated by transcription

 ○尾﨑省吾(Focal area of Infection Biology, Biozentrum, University of Basel)
バクテリア細胞周期を駆動する遺伝子群が織りなすネットワーク
Uncovering genetic interactions driving the bacterial cell cycle.

 ○倉石貴透(金沢大学医薬保健研究域薬学系)
ショウジョウバエモデルを用いた無菌的な自然免疫活性化機構の解明
Sterile activation of innate immune signaling in Drosophila larvae

 ○島田裕子(筑波大学生命領域学際研究センター)
栄養と発育をつなぐ神経内分泌機構の研究
Nutrient-dependent regulation of neuroendocrine system in the developmental transition

 ○楢本悟史(東北大学大学院生命科学研究科)
オーキシン排出担体PINの極性局在を制御する細胞膜ドメイン形成機構の解析
Studies on molecular mechanisms of microdomain formation at plasma membranes that govern polar localization of auxin efflux carrier PIN proteins
 

11)第5回(2017年)国際会議支援選考結果報告
 篠原彰国際会議支援選考委員長より、第5回目となる国際会議支援については、3件の応募があり、選考委員会における慎重な審査を経て、理事長承認のもと、以下の3会議(計500万円)が採択されたことが報告された。

≪会議名称≫
(和文)SMCタンパク質: 分子から疾患まで
(英文)SMC proteins: from molecules to diseases

開催責任者:平野 達也(理化学研究所・主任研究員)
会  期:2017年6月13日(火)~16日(金)
会  場:南陽市文化会館(山形県南陽市)
助成金額:200万円

≪会議名称≫
(和文)第3回国際昆虫ホルモンワークショップ:伝統的研究から高次生命現象理解と応用科学展開への挑戦
(英文)The 3rd International Insect Hormone Workshop: From traditions to new challenges for understanding higher biological systems and expanding applied sciences

開催責任者:丹羽 隆介(筑波大学大学院生命環境科学研究科・准教授)
会  期:2017年7月9日(日)~14日(金)
会  場:ホテルエピナール那須(栃木県)
助成金額:200万円

≪会議名称≫
(和文)第4回アジア太平洋地域ショウジョウバエ研究会
(英文)4th Asia-Pacific Drosophila Research Conference

開催責任者:松野 健治(大阪大学大学院理学研究科・教授)
会  期:2017年5月8日(月)~11日(木)
会  場:大阪大学コンベンションセンター
助成金額:100万円

 続いて、篠原委員長より過去に採択された会議の一覧資料(個々の助成金額が会議開催予算に対しどのような比率となっているか等)が配られ、さらに本支援事業の立上げの経緯、事業の位置付け、今後の方向性等について補足説明がなされた。意見交換の後、本事業の継続が確認され、ただし学会全体予算との兼ね合いもあり、次回募集(会報2017年2月号)では援助金額は1件あたり100~250万円、年間2件程度とすることとなった。
 次期国際会議支援選考委員会の委員長就任予定者である石川冬木理事より、本事業の理念につき質問が出され、本事業立上げ時の理事長であった小原雄治理事より補足説明がなされた。石川理事より来期の審査・選考に際し、次期の委員会の中で理念の確認を行い、杉本亜砂子20期理事長へ報告したいとの方針が示された。
 

12)生命科学教育について
 篠原生命科学教育担当理事より高校などへの講師派遣の状況(2013年6月から現在までの実績)、および年会における高校生発表の状況(過去4回の実績と第39回年会の発表予定)について報告がなされた。
 生命科学教育事業については、夏に開催されている『SSH生徒研究発表会』に学会ブ―スを出展し、高校生や引率の先生に本学会の活動内容を紹介している。また、本年は学会HPの『生命科学教育』ページのデザインを見やすいようにリニューアルしたことが報告された。
 

13)2018 IUBMB Congressについて(日本学術会議IUBMB分科会からの依頼に関係して)

①一條秀憲理事(学術会議IUBMB分科会委員長)より、IUBMBと日本学術会議、生化学会との関係、今回の案件(検討依頼)に関する背景についての説明がなされた。

・IUBMBについて
International Union of Biochemistry and Molecular Biology 1955年設立、77カ国、生化学・分子生物学の教育研究の世界的促進を目的としている。

・3年に1回IUBMB congressがほぼアメリカ大陸、ヨーロッパ、アジアオセアニアの順で開催される。

・第20回は2006年に日本で開催(IUBMB2006京都/本庶会長)、第23回2015年はブラジル開催、次回の第24回IUBMB congressが2018年、韓国で開催される。

・日本はこれまでは生化学会が窓口となって加盟してきた。

・年間約160万円の加盟料は日本学術会議からの支出。学術会議・基礎医学委員会のもとにIUBMB分科会が属している(委員会構成は、一條秀憲(委員長)、菊地章、中野明彦、山本雅之の4氏)

②今回のIUBMB分科会/生化学会からの依頼事項
 11月下旬、IUBMB 2018(韓国)オーガナイザーのOh教授から菊池章理事(IUBMB分科会幹事)へ日本のBMB宛てにシンポジウムの企画依頼が入った。生化学会(先方は分子生物学会も含めての意味と考えられている可能性が高い)から1つか2つのシンポジウムセッションをIUBMB2018で設けないかという依頼である。生化学会では、理事会の議論として、分子生物学会と生化学会が合同でシンポジウムを2つほど企画するのが望ましいという結論に至っているとのことである。同内容は、過日、水島昇生化学会会長(分子生物学会理事)から荒木理事長、杉本次期理事長への正式検討依頼案件となっている。

 以上の経緯を確認した後、自由討論に入り、種々の意見交換がなされた。出席理事より、従来、学術会議ではIUBMBの対応組織は生化学会と考えてきたこと、分担金(加盟料)の変更についてはかなりの努力を要するのではないかとの意見が提出された。

 討議の結果、杉本亜砂子次期理事長より、これまで分子生物学会としてはIUBMBと直接の接点を持っていなかったこともあるので、本案件については、広く本学会の『国際対応』(IUBMB2018、CSHA、FAOBMB等)の検討課題の1つに含み、次期理事会で慎重に検討していきたいとの説明がなされ、継続審議扱いとなった。
 

14)その他
 深川庶務幹事より、第39回通常総会の議事進行と報告担当者の確認、さらに第6回富澤基金贈呈式の式次第の確認がなされた。
 

2.審議事項
 

1)平成28年度(2016年度)決算承認の件  水島昇会計幹事より平成28年度活動計算書の収支について詳細説明がなされた。前年度より所管庁である東京都からの指導がありNPO法人会計基準に基づいた計算書となっている。28年度会計は約681万円の赤字決算となった。赤字となった大きな要因は2つあり、1点は『Genes to Cells』の出版社からの総利益折半の精算が減額となったこと(精算時の為替レートの影響も大)、もう1点は、昨年のBMB2015(38回年会)の決算が最終的な学会本部での税金支払い等を考慮すると実質赤字であったことがあげられる。会費収入については前年に比べ、学生会員の納入率がやや下回っており、また会員数そのものもやや減少傾向にある。続いて、経常費用の事業費の内訳別収支の説明がなされた。さらに「日本分子生物学会 若手研究助成 富澤純一・桂子基金」の決算について報告が行われた。
 本決算においては、消費税約113万円を納めており、その他の税務処理についても顧問契約を交わしている税務専門家の指示のもと、収益事業部分の法人確定申告を行ったことが報告された。
 本決算は、10月27日に宮城秀敏公認会計士の監査を受け、さらに同年11月7日に花岡文雄監事、11月9日に辻本賀英監事による会計監査を受け、配付資料のとおりの監査報告書が提示されている旨報告がなされた。
 続いて、花岡監事より11月7日に学会事務所において会計監査を実施し、監査報告書に記載したとおり、帳簿ならびに会計証憑類は正確に整えられており、同決算を認めたことが報告された。
 審議の結果、本決算は理事会で承認され、第39回通常総会に諮られることとなった。  

2)平成29年度(2017年度)活動予算書承認の件
 水島会計幹事より、平成29年度活動予算書と同活動予算・事業費の内訳について説明が行われた。
 前年決算の実績をふまえて各科目を微調整している。年会会計が通常の単独開催会計に戻ったので、前年BMB2015案分収支よりも予算規模が大きくなっているが、学会全体予算としては引き続き厳しい状況にある。本学会は年会運営と学会誌の出版収入で黒字を捻出できないと他の事業費の予算編成に苦慮するバランスとなっている。最終的に、来年度は法人として313万円の赤字予算を編成したことが説明された。
 審議の結果、同予算書は理事会で承認され、第39回通常総会に諮られることとなった。
 

3)第42回(2019年)年会長について
 荒木理事長より、第42回年会については、年会長を九州大学生体防御医学研究所 佐々木裕之会員に依頼したいことが諮られ、承認された。
 続いて、佐々木裕之副理事長より鋭意準備にあたりたいとの挨拶がなされた。2019年は7年ぶりの福岡での開催となる。理事会関係者のご協力をお願いしたい。
 

4)第20期理事会の体制、各幹事、各種委員会委員長・委員の委嘱について
 杉本第20期理事長より、役員・幹事・各委員会名簿(案)が配付され、調整中であるキャリアパス委員会構成を除いて、原案どおりに承認された。20期のキャリアパス委員会は12月中には決定できる予定である。将来計画委員会についても、今後しかるべき時期までに立ち上げていく予定であることが報告された。
 

≪次の審議事項5.6.については、19期の理事長、庶務幹事を除き、19期理事は退席し、20期新理事のみの審議となった≫

5)第20期監事の選任
 杉本第20期理事長から、第20期の監事として岡田清孝会員、近藤寿人会員が推薦され、承認された。監事については第39回通常総会で承認を得た後、正式選任となる。
 

6)第20期副理事長の選任
 深川庶務幹事より副理事長選出に関する細則の説明がなされ、その後、第20期出席理事により投票が行われ、副理事長として、小林武彦氏と小安重夫氏が選任された。
 杉本20期理事長より、小安重夫副理事長については、副理事長として次期執行部に入っていただきたいとの説明があり、了承された
 

7)第19期将来計画委員会からの提言・提案等について
 本年6月、第19期の将来計画委員会が設置され(委員会構成:小林武彦理事(委員長)、一條秀憲理事、塩見美喜子副理事長、杉本亜砂子理事、水島昇理事、渡邊嘉典理事の6名、会合には理事長、執行部メンバーも陪席)、8月6日に第1回将来計画委員会を開催した。その後メール会議にて検討作業を進め、8月末に第19期将来計画委員会からの提言書(案)『【提言】年会のあり方について【提案】学会のあり方について』がまとめられた。同提言書を19期理事会MLに配信し意見を求めたが、返信は1名のみであった。その後、同提言資料は、新理事会準備会議(10月6日開催)でも配られ、活発な議論がなされたことが荒木理事長より報告された。新理事会準備会議では種々の意見・指摘が提出され、本日、一部修正された提言書の再配付となった。
 続いて、小林委員長より【提言】【提案】の各条文の詳細について説明がなされ、さらに年会のあり方の下記2条文については、深川庶務幹事より補足説明がなされた。


・これまで日本分子生物学会は年会運営を年会長に一任していたが、開催形式等の重要事項の決定に関しては理事会と連携して決定していく旨、提案したい。

・円滑な年会運営のため、年会長は年会開催の4年前を目安に決定されることが望ましい。他学会との合同開催等を含め、今後の年会運営のあり方については、継続的な審議を行うことを提案したい。


 年会のあり方、学会のあり方、ともに多種多様な意見が活発に提出されたが、理事会として全体的な方向性を示すといった結論には至らず、本案件の検討は次期理事会へ申し送られることとなった。
 

8)Cold Spring Harbor Asia との連携・対応について
 本件について10月~11月と理事会MLにてメール審議されてきたが、多様な意見があり、篠原理事より現在、CSHAへの積極的交渉は保留にしていることが報告された。現段階では、全体意見を集約できる状況ではないことがあらためて確認された。
 

9)第19期から第20期への申し送り(全般)について
 出席者による自由討論の後、杉本次期理事長より、現在、重要な問題が山積しており、20期理事の方々にはぜひ様々な場面で協力をいただきたいとの要請がなされた。検討すべき課題が多いので、来期は必要に応じて将来計画委員会に複数のワーキンググループを設置したらどうかと考えている。
 案件は大きく分けて以下の3点を想定している。
①学会のあり方(他学会との関係をどうすべきか)
②国際対応(IUBMB2018、CSHA、FAOBMBその他)
③社会的責任(論文不正問題対応を含む)
 

10)その他

・出席理事より研究倫理問題への学会対応に関して積極的に関与すべきとの意見が提出された。

・杉本次期理事長より、20期理事における理事就任回数を調べてみた結果と、それについてのコメントが出された。女性理事枠の再検討とも関係するが、特に女性理事においては、あまりに同じ方ばかりが選出されている(同じ人に仕事が割り振られている傾向がある)。

・出席理事より「日本の科学を考えるガチ議論(通称:ガチ議論サイト)」があたかも分子生物学会が直接、管理・運用するサイトであるかのような疑念を抱かせるとの意見が提出され、討議の結果、広報幹事および事務局にて事実関係を確認することとなった(*年会終了後、金井広報幹事が同サイト運営者に連絡を取り、同サイトに本学会と連携していない旨が明記されており、また本学会に直接リンクしている箇所も無いことが確認された)。

・荒木理事長より退任の挨拶がなされた。
 

 上記、第19期・第20期 合同理事会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。

2016年11月29日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第19期・第20期 合同理事会

議    長  荒 木 弘 之

議事録署名人  菅 澤   薫

議事録署名人  林   茂 生