特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第20期第2回理事会記録

日 時:2017年12月5日(火)14:00~19:15

場 所:神戸国際会議場 4階「403」

出席者:杉本亜砂子(理事長)、小林武彦(副理事長)、阿形清和、石川冬木、稲田利文(庶務幹事兼)、菊池 章、木村 宏、胡桃坂仁志、後藤由季子、小原雄治、塩見春彦(広報幹事兼)、中島欽一、中山敬一、鍋島陽一、西田栄介、正井久雄、三浦正幸(会計幹事兼)、水島 昇、岡田清孝(監事)、近藤寿人(監事)、深川竜郎(庶務幹事)、上村 匡(編集幹事/第43回年会長兼)、篠原 彰(第40回年会長)、石野史敏(第41回年会長)、佐々木裕之(第42回年会長)、山本正幸(議題関係者)、以上26名

欠席者:小安重夫(副理事長)、五十嵐和彦、上田泰己、大隅典子、貝淵弘三、影山龍一郎、白髭克彦、菅澤 薫、仲野 徹、深水昭吉、山本 卓、吉田 稔、井関祥子(集会幹事)、以上13名

事務局:福田 博(記録)、金子香奈里、並木孝憲、山口恵子
 

本理事会成立について:
 深川竜郎庶務幹事より、理事18名、監事2名、幹事3名、年会長2名、議題関係者1名が出席し、委任状11名(理事)を受理しており、本理事会は細則第4章第8条により成立する旨報告された。

議事録署名人の選任について:
 杉本亜砂子理事長より、議事録署名人として、稲田利文理事と胡桃坂仁志理事が指名され、承認された。
 

議 事:

 議事に先立ち、杉本理事長より富澤純一名誉会員の訃報(1月26日ご逝去)につき報告がなされ、黙祷を捧げた。

1.報告事項

 1)執行部報告

 ・理事長報告

①EMBO-Japan interactionsについて
 10月下旬に浜田博司氏(理研CDB)より「日本がEMBOのAssociate Member Nationとなること」に関する協力依頼が寄せられ、理事長として賛同の意を表明した。今後、浜田氏を中心に発起人の意見をまとめ嘆願書を作成し、締結を結んでもらえるよう文科省に働きかけを行っていく予定である。実現すれば、日本の生命科学研究コミュニティにとって大きなメリットが期待できることから、発起人リストに加わり学会としてもできるだけ協力していきたい旨、報告がなされた。

②学術会議・生物学用語選定に関する意見募集について
 高等学校の生物教育で学習すべき用語として、これまでは生物学教科書等で約2000の用語が最重要用語・重要用語と指定されていたが、このほど日本学術会議(第23期生物科学分野教育用語検討小委員会)において、大幅減の約500語が選定・提案された。生物学はけっして暗記科目ではなくロジックを考える学問であることを示すための提案ではあるが、大幅な変更を伴う選定であり、研究者・教育者からのフィードバックが求められている。理事各位の要望・意見をいただければ、それらをまとめて学会からの要望として学術会議に提出したい。

③前理事長よりAMEDアドバイザリーボード委員(残任期間2017.9月末まで)を引き継いでいたが、本年10月から2年間、同委員を再任となったことが報告された。基礎科学分野からの唯一の参画(学会代表委員)となっている。

④共同利用・共同研究拠点設置に関する協力依頼(サポートレター)への学会対応
 理事長あてに、3施設が連携して申請を行うネットワーク型共同利用・共同研究拠点申請に係るサポートレター発行の要望が2件、提出された。第16期理事会(2009年)のときに、大学附置研『共同利用・共同研究拠点』要望書に係る学会対応(サポートレターの提出)として、所定の手続きを経た施設に対し執行部を中心としたメンバーにて審査を行い、学会として協力を行った経緯がある。
 執行部にて検討した結果、今回も同様の審査手続きを行い、本年10月~11月において2件の依頼(3施設×2件)に対し理事長名による学会サポートレターを提出した。

⑤第43回(2020年)年会でのキャリアパス委員会企画ランチョンセミナー2枠のうち1枠は、海外留学をテーマとしたHFSPと連携した企画として進めたいとの提案を上村匡年会長より受けている。執行部とキャリアパス委員会にて協力していきたい。

 ・庶務幹事報告

①会員現況
 深川庶務幹事より、2017年11月6日現在の会員数につき以下のとおりに報告がなされた。

名誉会員

0名

正 会 員

8818名

(海外在住211含む)
シニア会員

58名

次世代教育会員

11名

学生会員

3975名

(海外在住59含む)
賛助会員

26社

合 計

12888名

(前年11月対比、-417)

  (*上記以外に所定の手続きによる休会者53名あり)

②生物科学学会連合について
深川庶務幹事より生科連の活動状況につき報告がなされた。

○2020年7月、長崎国際大学にて第31回国際生物学オリンピックが開催されるが、生科連として全面的にバックアップしていく予定である。生科連としては同オリンピックあてに30万円を寄付することが決定しているが、それとは別に、国際生物学オリンピック2020組織委員会(浅島誠委員長)より、各学会あてに寄付協力依頼(1口10万円)が届いている。第5回執行部会議(11月8日)では、金額(10万円)について概ね賛同を得た。
 理事会においても異議がなく、本学会より1口10万円を寄付することが決定された。

○生物学用語選定について関連学会からの意見や要望のフィードバックが学術会議から求められているので、理事各位の協力をお願いしたい。

○生科連としても、このたびの合同大会の動向を見守っている。協賛団体に参加しなかった学会もあり、生科連は個々の学会の意見を尊重していくといったスタンスである。

③学会事務所(千代田区飯田橋 人材開発ビル)盗難被害について
 庶務幹事に代わり事務局(福田)より盗難事故の報告がなされた。本年8月末、学会事務所において金庫の盗難被害があり(警視庁麹町警察署にて8/29正式に被害届が受理)、金庫がまるごと盗難に遭った。通帳一式、法人実印等が被害に遭ったが、事故直後、すべての金融機関への取引停止手配が間に合い、その後9月中にすべての口座/通帳を組み直したので銀行関係の被害は一切ない。ただし、金庫の中の小口キャッシュボックスに保管されていた現金63,257円(日々の現金出納)が現金被害となったが、事務所が入っている損害保険で幸いにも全額補てんされた。金庫等物品そのものの補償を含め、計78,660円が補てん(入金)された。
 同被害に対しては、執行部および三浦正幸会計幹事により、事務所が入居している飯田橋のビルの実地検分がなされており、また防犯対策として9月上旬にセコムと契約を行い、現在は対応可能な範囲での防犯システム(防犯カメラ等)を取り入れたことの報告がなされた。ビルそのものの構造・防犯上の問題については引き続き注視していきたい。

 ・広報幹事報告

①ホームページについて
 塩見春彦広報幹事より学会ホームページの運用状況について報告が行われた。HPのコンセプト、アクセス状況(月平均4万件)、Facebookへのアクションを実行した人の性別の割合等について説明がなされた。本学会HPでは、公募や行事の記事について月平均30件ほどの記事を掲載している。

②学会創立40周年記念対談について
 来年創立40周年を迎えるに際し(発足:1978年12月5日 第1回年会/総会)、執行部では、記念事業として40周年記念対談(歴史的なことを振り返っていただける方を語り手とし、そのお弟子さんなど(聞き手)と対談いただく)を企画したことが報告された。来年5月頃までに6セッション程度の記念対談を実施する(2対談は実施済み)。対談には執行部からも1名がファシリテーターとして立ち会い、原稿案を作成することとなっている。対談記録は、2018年発行の会報2月号、6月号、11月号にそれぞれ掲載される予定にお願いしている。
 記念対談の語り手は、本学会ならびに我が国の分子生物学草創期からの歴史に詳しい次の6氏にお願いしている。
関口睦夫 氏、由良 隆 氏、小川英行 氏、大石道夫 氏、石浜 明 氏、吉田光昭 氏

 2)第40回年会(2017年度生命科学系学会合同年次大会/ConBio2017)について
 篠原彰第40回年会長より、配布資料に基づき準備状況の報告がなされた。一般演題投稿数はLate-breaking を含め4774題(2年前の合同大会BMB2015と比べ約300演題増)、そのうち727演題は口頭発表に採択され、事前参加登録は7821名となった。一方、企業展示は405小間(NBRP、BioDBを含む)、ランチョンセミナーは15枠となり、企業協賛収入は全体的な減少傾向が続いており、運営財政的な面で苦労した。年会予算の7割を企業協賛収入でまかなっている本学会の年会にとって、企業との関係を含めた運営の仕方が今後の検討課題となる。
 引き続き、所属学会別参加登録件数の内訳、オンデマンド配信(オンデマンド配信承諾企画数は136企画、732演題)の詳細について説明がなされた。また、今回初めて参加章にバーコードシステムを導入し、協賛企業への参加者情報フィードバックのためのバーコード印字を行った。企業へのアピール、次回年会のための分析につながることを期待している。

 3)第41回(2018年)年会準備状況
石野史敏第41回年会長より、2018年の年会準備状況につき報告がなされた。

○会期:2018年11月28日(水)~30日(金)の3日間

○会場:パシフィコ横浜

○組織委員: 年会長石野 史敏(医科歯科大・難治研)
組織委員長澁谷 浩司(医科歯科大・難治所)
プログラム委員長 仁科 博史(医科歯科大・難治研)
組織委員井関 祥子(医科歯科大・医歯学)
組織委員金井 正美(医科歯科大・実験動物センター)
IT担当委員幸田  尚(医科歯科大・難治研)

○演題投稿期間:2018年7月2日(月)~ 31日(火)※延長は行わない!

○事前参加登録期間:2018年7月2日(月)~10月12日(金)

○年会HP: http://www2.aeplan.co.jp/mbsj2018/(2017年12月初旬開設)

*HPは12/5にオープンした.

 年会テーマは「日本からオリジナリティーを発信しよう!」(ポスターデザイン)。日本の浮世絵がフランスの印象派やそれ以降の画家に大きな影響を与えたことはよく知られているが、科学の世界でも日本人の発想力を生かした仕事を世界に向けて発信することは、グローバリズムが進む世界においても価値のあることである。昨今、研究費獲得の圧力が強まる中、学問の原点に帰って「自らの好奇心を追求する研究を深めて発信する」 機会にしてほしい。
 運営面ではミニマムな予算でどこまで充実したサイエンスプログラムを楽しめるかに挑戦したい。研究者をエンカレッジすることが年会の最も重要な目的であろうが、本年会ではディスカッサー制度を導入し、特に若手のポスターでのディスカッションの盛り上げを重視したいと考えている。3日間で300名近い方にポスターディスカッサーとして協力いただくことになるので、理事各位にはぜひともご協力を仰ぎたい。
 なお、本年会では演題登録締切の延長を行わない方針であることが報告された。これは締切を厳守するよう指導されるべき学生への教育上も宜しくないという指摘を、プログラム委員会で受けたためである。Late-Breaking Abstractの受付は行う予定である。

 4)第42回(2019年)年会準備状況
 佐々木裕之第42回年会長より、2019年の年会準備状況につき報告がなされた。

2019年12月3日(火)~6日(金)の4日間

福岡国際会議場、マリンメッセ福岡、福岡サンパレス

○組織委員:年会長佐々木裕之(九大・生医研)
組織委員長中島 欽一(九大・医)
プログラム委員長 伊藤 隆司(九大・医)
組織委員石野 良純(九大・農)上田 直子(崇城大・薬)、
中山 敬一(九大・生医研)、丹羽 仁史(熊大・発生研)、
馬場 健史(九大・生医研)、望月 敦史(理研・和光)、
諸橋憲一郎(九大・医)

 コンセプトとしては、歴史的に大陸との交流拠点であった福岡での開催であることとも関連付けて「異分野との交流」「未知との遭遇」などのテーマ案を検討中である。
 本学会の年会では、例年、開催年の3月頃までワークショップの企画を募集しているが、それでは海外演者を招聘するのが難しくなることもあり、やや募集開始を前倒しにして2018年11月頃から2カ月程度、企画公募を行えるよう計画している。また学生向けのレクチャーセッションなども鋭意企画中である。
 また、組織委員会で検討した結果(各社プレゼン入札のヒアリングの会を2017年4月に実施)、第42回年会の運営は(株)エー・イー企画に依頼したが、企業展示/協賛関係業務については日本コンベンションサービスに委託することとした。

 5)第43回(2020年)年会準備状況
 上村匡第43回年会長より、2020年の年会開催方針について報告が行われた。
○会期:2020年12月初旬
○会場:神戸ポートアイランド
 生命科学の幅広い現象を対象として、研究者自身が重要な疑問を探していくボトムアップ研究を重視し、基礎を究める研究をすることを信条としている本学会にとって、実を挙げる年会を開催できるよう心がけたい。
 年会組織(組織委員会/プログラム委員会)については、基本的に京都大学を中心に組織して行きたい。また、2020年会でのキャリアパス委員会企画ランチョンセミナーのうち1枠は、HFSPと連携した企画として進めて行きたい。

 6)上村編集幹事より、配布資料に基づき学会誌『Genes to Cells』の編集報告が行われた。

①従来からの「Original Article」に加え、重要な発見をすばやく出版することを目的とした短めのフォーマットである「Brief Report」(スペースを含み20,000字・図表3点以内)が順調に投稿を増やし、その受付を開始した2015年4月以降で33報の掲載に至っている。

②本誌の投稿にはORCIDの入力が必須となった(2012年10月より開始したOECID Inc.の活動にはWileyがプラチナメンバーとして参加している)。

③伝統絵画のなかに生命科学の遊び心を加えた本誌の表紙デザインは、7年目の今日でも高い評価を得ている。表紙ができるまでの裏話を盛り込んだタペストリー(直近3年分の36作品)を本合同大会・展示会場にて展示するので、ぜひご覧いただきたい。

④本誌の創刊に尽力され、初代編集長を務められた富澤純一先生が本年1月26日に逝去された。謹んで哀悼の意を表するとともに、理事各位には本誌の編集・発行にさらなる支援をお願いしたい。また、表紙デザインに関するアイデアがあれば、ぜひ編集室または編集幹事までお寄せいただきたい。
 続いて、編集幹事よりワイリージャパン社長のマーク・ロバートソン氏が紹介され、理事会会場に入室いただき、挨拶を受けた。
<Mark Robertson President, Wiley Japan/Vice-President and Publishing Director/
 Executive Director Wiley Australia>

 7)各種学術賞、研究助成候補への学会推薦状況について
 後藤由季子賞推薦委員長より、2017年に本学会より推薦した各種学術賞について報告がなされた。引き続き、影山龍一郎研究助成選考委員長代理の木村宏委員(理事)より、2017年の研究助成推薦状況と結果等について報告が行われた。

 8)賞推薦委員会内規について
 後藤賞推薦委員長より「各種学術賞の学会推薦(審査)手続きに関する賞推薦委員会内規」の修正案が配付され、内規にある「年度」の定義について正確な記載の必要性が示され、提案どおりに承認された。


「各種学術賞の学会推薦(審査)手続きに関する賞推薦委員会内規」
【重複申請についての取り扱い】

1.外部財団等の各種賞等の推薦は、原則として一人につき年度(10月~9月*)あたり1件とする。
付記.
2017年12月5日第20期第2回理事会において、一部(年度の定義*)を追加。
(*この場合の年度は、定款上の事業年度、会計年度に合わせ、10月~9月とする)


 9)キャリアパス委員会報告
 小林武彦キャリアパス委員長より、配付資料に基づき委員会の活動内容が報告された。

①本委員会のミッション、委員会活動の流れ、これまでの年会企画、20期の委員会名簿が配られ、活動概要が説明された。

②『夏学(なつがく)』こと「女子中高生夏の学校2017」への学会協力・参加状況について報告された。

③ConBio2017における属性調査結果より、ポスター「バランスの取れた研究環境を築くために~2017属性調査から学べること~」が作成され、本合同大会会場でも掲示される。本学会会員の男女比率、学会発表への参加の仕方、年齢と発表カテゴリーとの関係、職階と発表カテゴリーとの関係、等々について説明がなされた。

④リーフレット「無意識のバイアス-Unconscious Bias-を知っていますか?」(男女共同参画学協会連絡会)が配付・紹介された。

⑤本合同大会においては以下のランチョンセミナーを開催するので、理事各位においては積極的に参加いただきたい。
≪両学会共同企画(分子生物学会キャリアパス委員会/生化学会男女共同参画推進委員会) ランチョンセミナー≫ 「研究者人生における様々な選択肢」

⑥本年8月、上記セミナー当日ディスカッションの題材のための事前アンケートを行った。アンケート結果により興味深い貴重なデータ(回答者842名)を得、そのポイントについて説明がなされた。アンケート結果は学会HP・キャリアパス委員会年会企画ページで公開している。

 10)富澤基金・基金運営委員会報告
 本基金創設者である富澤純一博士が本年1月26日に逝去なされた。山本正幸基金運営委員長より哀悼の言葉、本基金創設時の経緯、昨年の総会時の富澤先生のご様子などについて語られた。第1回(2011年)から第7回(2017年)まで2期に亘って本委員会の委員長を務めさせてもらったが、本年末をもって次期(第3期)の委員会へ引き継ぎたい旨が述べられた。また、1期-2期に就任いただいた委員への謝辞が述べられた。
 続いて、富澤基金による第7回(2017年)日本分子生物学会若手研究助成結果につき報告がなされた。

 (i)第7回応募の受付期間: 2017年1月13日~2月10日

 (ii)応募総数:121名(男性94名、女性27名 ※性別は名前からの推定による)

 (iii)選考:
・第1次審査:書類審査
・第2次審査:9名を対象に5月13日にヒアリングを実施

 (iv)審査経過と第7回助成対象者:
 審査経過詳細については、会報117号(2017年6月号)に結果報告を掲載済みであるので参照されたい。第7回若手研究助成の助成対象者は以下の5氏である。

  ○片岡研介(基礎生物学研究所クロマチン制御研究部門)
テトラヒメナの核の二型化から明らかにするゲノム不安定性の基本原理
Principles of genome instability elucidated from nuclear dimorphism in Tetrahymena

  ○高瀬比菜子(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 疾患モデル動物解析学分野)
細胞間シグナル伝達による精子幹細胞の増殖制御機構の解明
Mechanisms of Wnt signaling activation underlying the proliferation of undifferentiated spermatogonia

  ○田尻怜子(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
ECMの変形を介した体型制御のメカニズム:ショウジョウバエ外骨格を例として
Body shape regulation by anisotropic deformation of exoskeletal ECM in Drosophila

  ○二橋美瑞子(茨城大学理学部)
カメムシの分散型動原体の分子基盤と進化
Molecular basis and evolution of holocentric chromosomes in Hemipterans

  ○山口知也(熊本大学大学院先導機構 (併任)大学院生命科学研究部がん生物学分野)
ROR1による生体膜ダイナミクス制御機構の解明
Role of ROR1 in cell membrane organization and dynamics

 11)研究倫理委員会報告
 塩見春彦研究倫理委員長より、今年の研究倫理フォーラムのテーマ決定に至るまでの経緯、ならびにフォーラムの内容について報告が行われた。大会初日夜のフォーラム枠にて 開催するので、理事会関係者においてもぜひ参加いただきたい。

○研究倫理委員会企画・研究フォーラム「顕微鏡画像取得と定量解析の注意点」

・日時:2017年12月6日(水)18:45~20:15

・場所:第17会場(神戸国際会議場501)(軽食を配付)

・講演1.「研究者が知っておくべき撮影時の注意点」
寺井健太(京大・生命)

講演2.「デジタル顕微鏡画像からの特微量の定量化と統計処理のイロハ」
木村暁(遺伝研)

フロアとのディスカッション
ファシリテーター:塩見春彦(委員長)、木村宏、胡桃坂仁志、菅澤薫、杉本亜砂子(理事長)、寺井健太、木村暁

 12)第6回(2018年)国際会議支援・選考結果報告
 石川冬木国際会議支援・選考委員長より、第6回目となる国際会議支援についての選考結果について報告された。本年の応募は2件で、選考委員会における慎重な審査を経て、理事長承認のもと以下の会議が採択された。

 ≪会議名称≫
(和文)第1回若手ミトコンドリア国際会議
(英文)The 1st International Mitochondria Meeting for Young Scientists: Crosstalk between Molecular and Physiological Functions(略称 International YoungMito 2018)
開催責任者:山野晃史(東京都医学総合研究所・主任研究員)
会期:2018年4月20日(金)~22日(日)
会場:ホテルコープイン京都
助成金額:180万円

 ≪会議名称≫
(和文)国際3R+3C ミーティング(Replication Recombination Repair + Cell Cycle Chromosome Chromatin)
(英文)International Symposium on 3R and 3C
開催責任者:白髭克彦(東京大学分子細胞生物学研究所・教授)
会期:2018年11月13日(月)~17日(金)
会場:金沢市文化ホール
助成金額:170万円

 続いて、石川委員長より募集要件ならびに選考基準に関してややわかりにくい点があることが指摘され、その修正案、ならびに国際化対応ワーキンググループ検討結果を含み、審議事項6)にて検討することとした。

 13)生命科学教育(高校などへの講師派遣の状況)について
 胡桃坂仁志担当理事より、配付資料に基づき、高校などへの講師派遣の状況(2013年6月から現在までの実績)、および年会における高校生発表の状況(過去5回の実績と本合同大会の発表予定)について報告がなされた。今年は過去最高の参加校数(25校134名、ポスター発表25演題、口頭発表17演題)となっており、キャリアパス委員にディスカッサーとして協力してもらう予定である。理事各位においても積極的に参加いただきたい。
 また、生命科学教育事業の活動周知の1つとして、本年も夏に開催された『SSH生徒研究発表会』(神戸)に学会ブ―スを出展し、高校生や引率の先生に本学会の活動内容を紹介したことが報告された。

 14)その他
 深川庶務幹事より第40回通常総会の予定議題の説明がなされ、議事進行と報告担当者の確認、さらに第7回富澤基金贈呈式の式次第の確認が行われた。
 

2.審議事項

 1)『Genes to Cells』次期編集長について
 本学会の学会誌『Genes to Cells』は富澤純一初代編集長に続き、2006年から柳田充弘2代目編集長が任に就いているが、杉本理事長より次期編集長(2018年4月就任予定)として、西田栄介理事が推薦され、満場一致で承認された。
 続いて、西田栄介氏より新編集長就任に際しての挨拶が行われた。

 2)平成29年度(2017年度)決算承認の件
 三浦正幸会計幹事より平成29年度活動計算書の収支について詳細説明がなされた。29年度会計は若干の赤字予算を組んでいたが、決算処理の結果、約142万円の黒字決算で終えることが出来た。黒字となったポイントは2つあり、1点は『Genes to Cells』の出版社からの総利益折半の精算が一昨年ベースに戻ったこと(円高⇒円安)、もう1点は昨年の第39回横浜年会の決算が最終的な学会本部での税金支払いを考慮して、プラスマイナスゼロで終えられたことがあげられる。会費収入については、会員数は減少傾向にあるものの納入率は順調であった(正会員会費の納入率94.7%、学生会員会費72.9%)。経常費用に関しては、事業費・内訳別収支について詳細説明がなされた。さらに「日本分子生物学会 若手研究助成 富澤純一・桂子基金」の決算についても報告が行われた。本決算において、消費税約149万円を納めており、その他の税務処理についても顧問契約を交わしている税務専門家の指示のもと、収益事業部分の法人確定申告を行った。
 別件となるが、8月末の学会事務所においての金庫盗難被害についての報告がなされた(詳細は1)執行部報告 庶務幹事報告③を参照)。小口現金損金(63,257円)については、損害保険により補てんされており、会計上の損失は生じていない。
 本決算は10月27日に宮城秀敏公認会計士の監査を受け、さらに同年11月10日に岡田清孝監事、近藤寿人監事による会計監査を受け、配付資料のとおりの監査報告書が提示されている旨報告された。
 続いて、岡田監事、近藤監事より11月10日に学会事務所において会計監査を実施し、監査報告書に記載したとおり、帳簿ならびに会計証憑類は正確に整えられており、各金融機関の通帳と残高証明書を確認し、同決算を認めたことが報告された。
 審議の結果、本決算は理事会で承認され、第40回通常総会に諮られることとなった。
 引き続き、近藤監事より『Genes to Cells』創刊時の、同国際誌の位置付け、その後、正式に学会誌となったことや、編集委員会についての話題が提供された。近藤、岡田両監事から、今後、『Genes to Cells』の規約の整備(編集委員会・運営規程など)についても着手されるようにとの付帯意見が提出された。

 3)平成30年度(2018年度)活動予算書承認の件
 三浦会計幹事より、平成30年度活動予算書と同活動予算・事業費の内訳について説明が行われた。
 前年決算の実績をふまえて各科目を微調整している。第40回年会/ConBio2017の収支については、会員数比率、参加者数比率、演題申込数比率などいくつかの項目を照合した結果、大会全体の会計を分子生物学会65%、生化学会35%で案分して経理処理することが大会準備の初期(約2年前)に取り決められている。したがって分子生物学会としては、年会の予算規模が前年に比べ2,235万円の予算縮小となっていることが報告された。『Genes to Cells』の出版収入については為替レートの予測が難しいため固めに計上していること、また国際会議支援事業(開催補助金)については500万円を計上しており、法人全体として264万円の赤字予算を編成したことが説明された。
 審議の結果、同予算書は理事会で承認され、第40回通常総会に諮られることとなった。

 4)第3期富澤基金・基金運営委員会の構成について
 本年12月末をもって第2期基金運営員会委員の任期切れとなるが、それにともない、第3期委員会の構成案が杉本理事長より配付され、原案どおり承認された。

 ■第3期富澤基金・基金運営委員会(任期:2018年1月1日~2020年12月31日)
小原雄治(委員長)、林茂生*(副委員長)大杉美穂、後藤由季子*、黒田真也*、
東山哲也、深川竜郎*、杉本亜砂子(職指定委員) *新委員

 5)次回理事選挙の女性理事枠について(細則改正の件)
 杉本理事長より、本学会 細則 第2章 役員の選出の第2条にて、17-19期の選挙において設置されていた女性理事枠(時限特別措置)が第20期選挙では一旦、削除(廃止)されていた経緯について説明がなされた。17-19期の理事選挙において同時限措置が適用されたことはないが、15-20期の女性理事の人数は以下の状況となっている。
・15期⇒4名 ・16期⇒1名 ・17期⇒4名 ・18期⇒6名 ・19期⇒5名 ・20期⇒3名
第16期において女性理事は1名しか選出されておらず、当時、その対応として女性理事枠が設置されたわけであるが、次期の選挙においてなんらかの対応が必要ではなかろうかとの執行部提案が示され、討議された。
 審議の結果、時限特別措置を復活し、細則を以下のように改正することとなった。


■細則 第2章 役員の選出

第2条

5)時限特別措置として、理事定員30名の10%(3名)の女性理事枠を設ける。選挙により3名の女性当選者が選出されなかった場合は、女性理事が最低3名になるまで調整を行う。ただし、理事定員30名に変更はないものとする。


 本来は女性理事枠の定数を設置しなくても、適正な人数の女性理事が選出されてくることが望ましく、また性別にかかわらず、ぜひ新しい次世代の方に理事会に入っていただき、学会の運営に参画してもらうことが重要であろう等の意見が提出された。

 6)第20期将来計画委員会・関連議案 ---●国際化対応ワーキンググループからの答申(骨子版)の検討
 深川庶務幹事より、本件に関する経緯について詳細説明がなされた。今期は19期からの申し送りであった国際対応に関する案件を集中的に検討するため、本年4月、理事長委嘱により国際化対応ワーキンググループが設置されている。WGの構成は以下のとおりである。
 ≪第20期国際化対応ワーキンググループ(WG)≫  2017年4月16日発足
  林茂生(座長)、石川冬木、篠原彰、菅澤薫、深川竜郎
 同WGに検討依頼された主たる課題は下記3点であった。
 (1) 国際会議支援事業を継続するかどうか
 (2) Cold Spring Harbor Asiaをはじめとする国際学会組織との提携の可能性について
 (3) その他、学会の国際化に関すること
 WGでは4~5月で各種データを収集、5~6月にメール会議、7月5日に理研CDBにおいて会合を持ち、7月27日付にてWG(林座長)より「分子生物学会 国際化対応WG 議論のまとめ」が、杉本理事長および第20期将来計画委員会(執行部)あてに答申された。執行部では、第4回(8月22日開催)ならびに第5回(11月8日開催)執行部会議にて答申資料の詳細を検討し、基本的に答申内容を了承し、その内容をそのまま『第20期国際化対応ワーキンググループ(WG)答申 骨子版』の形で、本日の理事会に諮ることとなった。


『第20期国際化対応ワーキンググループ(WG)答申 骨子版』
同答申のポイントは以下の3点である。
1)国際会議支援事業を継続するべきか
2)国際会議組織との提携
3)その他、学会の国際化に関すること

* WG答申 骨子版の内容詳細は別添資料を参照.


続いて、深川庶務幹事より答申骨子版のポイントにつき説明がなされた。

1)国際会議支援事業を継続するべきか
⇒以下に挙げるような問題点について対処の上で継続すべきである。

問題点

1−1 支援の対象となる国際会議の要件ならびにその選考の基準をより明確にするため、応募要件をあらため、会員に周知する事が望ましい。
・会員へのScientific Meritが示され、新しいコンセプトで開催する会議を優先採択すること.
・主催者および共同主催者の会員歴を(例えば)3年以上とする。
・支援システム(JTB西日本)の利用は「応募条件」とはせず、「利用可能」という表現とすること.

1−2 若手中心の国際会議を支援する意義を考慮し、年額500万円程度の予算が確保されるよう要望する。

1−3 申請会議の財務状況を考慮して学会支援が有効に利用される会議を選定すること.

 審議の結果、上記1)の答申内容は提案どおり承認され、国際会議支援事業は来年以降も継続することとなった。第7回(2019年)国際会議支援・募集のお知らせ(募集要件)(上記内容に沿った修正版)についても、石川国際会議支援選考委員長からの配付・提案資料のとおり了承された。

2)国際会議組織との提携
⇒答申のポイントは以下のとおりである。

 主に、IUBMB・FAOBMBへのシンポジウム開催とCSHAとの共催シンポジウム開催などが提案されており、議論した。IUBMBおよびFAOBMBとの提携に関しては、両学会の活動状況からみて本学会の会員への特段の魅力があるとは考えにくく、また、分担金の予算を持つ学術会議へ活動報告を行うための負担を考えると、両組織との連携は本学会の会員へのメリットが見出せないとの結論に至った。一方、提携に際してのCSHAの意図が不明で、情報が不足している現時点では本提案の可否を決めるのが難しい。先方とコンタクトして、コンセプト、長期計画、予算計画の具体的な条件を確認する事が先決である。また、Gordon Research ConferenceやKeystone Symposia、EMBOなどとの提携の可能性も否定せず、引き続き慎重に検討する必要がある。なお、国際会議支援事業の枠組みでCSHAとのトライアルも検討されたが、CSHAから新しいコンセプトの会議が提案されることは考えにくいという結論に至った。
 上記答申とは別に、深川委員より「CSHAを企画した先生方からの調査概要」についても報告がなされ、そのメリット・デメリットについても補足説明がなされた。関連して、AMBOの現在の活動現状についても種々情報交換がなされた。
 審議の結果、上記2)の答申は承認され、IUBMBおよびFAOBMBとの連携は本学会の会員へのメリットが見出せないので特段連携はしないとの結論に至った。CSHAについては情報が不足している点もあり、引き続き、情報収集に努めることとなった。

3)その他、学会の国際化に関すること
⇒答申のポイントは以下のとおりである。

3−1 分子生物学会年会の英語化
 英語化は進めるべきという点でコンセンサスが得られた。具体的な方法として英語と日本語のセッションが混在することのないよう、例えば年会初日(もしくは複数日)を完全英語化する、あるいは特定の複数会場を英語セッションの会場とするなどの意見が挙げられた。また年会の一部(1日程度)を国際シンポジウムとして開催するとの案もある。一方で日本語での発表者に対してマイナスイメージが生じないような配慮の必要性が指摘された。日本における分子生物学の振興、日本人研究者の育成という視点で長期的なプランを描くためには、これまでの年会長に一任というスタンスを見直し、学会(理事会)がリーダーシップを示し、年会における学会の関与と責任を明確にする必要がある。

3−2 分子生物学会自体の国際化
 外国人留学生の増加、年会の英語化に伴い事務局における英語対応の比率が増すことが予想されるが、ある程度までなら現体制で対応できる見込みである。会報、規約の英語化などの対応は当面必要ないとの認識で一致した。
 以上の答申に対し、特に年会の英語化については多様な意見が提出され、活発な議論となった。学生にとっての年会英語化のメリット・デメリットについて、他学会の例、年会英語化というよりも学会国際化を目指すしか選択肢はないのでは、また、年会開催時の「海外若手研究者招聘企画(旅費補助)」については理事会主導(学会本部会計)にて復活すべき、等の意見が提出された。

 審議の結果、上記の答申3)についても基本的に承認された。
WG答申内容の1)2)3)ともに承認され、同骨子版は会報・HPで公開する予定である。

 7)第20期将来計画委員会・関連議案 ---●学会のあり方(全般)
 杉本理事長より、19期からの申し送り事項(学会のあり方、特に「年会のあり方(開催形式)」)について経緯説明がなされた。近年、生化学会からはたびたび年会の合同開催の打診を受けており、また将来的に何らかの形で提携または統合する可能性については過去に繰り返し話題にのぼってきた。それらの理由として両学会の会員や専門分野における重複内容の大きさなどが挙げられてきたが、これまで具体的なデータ分析に基づく議論はあまりされてこなかった感がある。今期、執行部が兼務している20期将来計画委員会ではまず各種データ収集を行って現状の把握に努めることとした。
 将来計画委員会(執行部)では、今年5回にわたって会合を行い、各種のデータを集めた。そのポイントがまとめられ、資料「日本分子生物学会の現状(2017.12)」として配付され、以下項目別に詳細説明が行われた。


Ⅰ.学会員の構成

Ⅰ-1.会員数と年会演題数(1978-2017)

Ⅰ-2.年代別会員数(2007-2017)
(*30代の大幅な減少で会員構成状況、今後の動向にかなり説明がついてしまう)

Ⅰ.3.学生比率(2007-2017)

Ⅰ.4.入退会者数(2007-2017)

Ⅱ.日本生化学会との関係

Ⅱ-1.分子生物学会と生化学会の概要比較
(*両学会は法人の種類/根拠法が異なるので、このままではそもそも合併は不可)

Ⅱ-2.分子生物学会会員における生化学会会員の比率
(*分子生物学会会員のうち、生化学会にも所属しているのは16%程度
学生会員に限定すると生化学会にも所属しているのはわずか4%

Ⅱ-3.BMB2015(生化学会合同開催)における各学会の発表演題の傾向

 Ⅱ-3-1.分子生物学会・生化学会の会員数およびBMB2015ポスター演題数
(*分子生物学会会員のうち、生化学会にも所属しているのは16.3%
BMB2015ポスター演題発表者のなかで、両方の学会に所属している者は8.8%

 Ⅱ-3-2.BMB2015ポスター演題分類ごとの所属学会比較
(*演題分類ごとに、発表者が所属する学会の傾向は異なる
・「発生と再生」、「ゲノムと遺伝情報」の発表者の約90%は分子生物学会会員
・「糖質生物学・脂質生物学」、「酵素・レドックス・生体エネルギー」の発表者の約80%は生化学会会員
・「細胞の構造と機能」、「細胞応答」発表者の所属学会比率は全体の比率に近く、両学会に所属している発表者の比率も比較的高い(約15%))

 Ⅱ-3-3.所属学会ごとのBMB2015ポスター演題分類比較
(*・所属学会ごとに、演題分類の傾向は顕著に異なる
・両学会に所属している発表者の約半数は「疾患生物学」、「細胞の構造と機能」、「細胞応答」分野での発表
・これまで、分子生物学会と生化学会について、「オーバーラップが多い」「似たような巨大学会が二つある」といった(根拠のない)認識が一般に広まっていた
・しかし、実際には分子生物学会と生化学会の両方に所属している会員は多くはない
・「細胞の構造と機能」、「細胞応答」分野は両学会で共通にカバーされているが、それ以外の多数の研究分野では両学会の重なりは少ない
したがって、分子生物学会と生化学会がカバーする研究領域の特徴は明確に異なっており、それぞれが個性を持った学会であるといえる

Ⅲ.年会会計状況

Ⅲ-1.年会演題数(2011-2017)

Ⅲ-2.企業展示とランチョンセミナーの件数(2011-2017)

Ⅲ-3.収入内訳と支出(2011-2017)

Ⅲ-4.年会残額(2011-2016)
(なお、当該資料の内容については会報(2018.2)「理事長メッセージ」を参照のこと。)


 続いて、2020年・年会の開催方針(開催形式)が決定された経緯についての説明が行われた(8月31日、理事会MLにて配信済みの内容が参考資料として配付された)。
 提示された各種資料データに関しての質疑応答がなされた後、杉本理事長より「年会の開催方針について 将来計画委員会提言(案)」が配付され、詳細説明の後、検討に入った。 提言(案)の内容、文章(表記)等々を含み、多様な意見が活発に出された。分子生物学会は生命科学研究のフロントを目指さなくてはいけない.数字の上では分子生物学会と生化学会の両学会でオーバーラップする部分が大きいわけではなく、むしろ相補的な関係にあるという捉え方もできる.両学会それぞれにミッションや学会開催に関する考え方が違うので一緒に年会を開催する必要はない.トップダウンではなくボトムアップ的な考え方が大事なのでは. 分子生物学会のよいところは組織も考え方も緩いところ、なんでも吸収しやすいといった懐ろの深い柔軟な文化があり、それを大事にすべき.等々、提言案に対して種々の意見が提出された。
 審議の結果、本提言(案)は継続審議扱いとなった。


 

 上記、第20期第2回理事会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。

2017年12月5日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第20期第2回理事会

議    長  杉 本 亜砂子

議事録署名人  稲 田 利 文

議事録署名人  胡桃坂 仁 志

 

〔別添資料〕

特定非営利活動法人 日本分子生物学会

第20期国際化対応ワーキンググループ(WG) 答申 骨子版

はじめに
 分子生物学会は、年会において海外からの研究者や海外在住の日本人研究者を招き、交流を図ると共に、国際会議支援事業を通じて日本における国際会議の開催を援助してきた。一方、近年のアジア地域における研究活動では中国やシンガポールの台頭が著しく、国際化という面で日本は出遅れている感もあり、これまで行われてきた欧米との交流だけではなくアジア地域を含めた幅広い国際交流のありかたを見据える時期に来ているとも言える。このような状況を踏まえて本WGでは、以下の理事長からの諮問事項
1) 国際会議支援事業を継続するべきか
2) 国際学会組織との提携の可能性
3) その他、学会の国際化に関すること

について議論を行い、以下の答申を行う。

1)国際会議支援事業を継続するべきか
以下に挙げるような問題点について対処の上で継続すべきである。

問題点

1−1)支援の対象となる国際会議の要件ならびにその選考の基準をより明確にするため、応募要件をあらため、会員に周知する事が望ましい。
・会員へのScientific Meritが示され、新しいコンセプトで開催する会議を優先採択する。
・主催者および共同主催者の会員歴を(例えば)3年以上とする。
・支援システム(JTB西日本)の利用は「応募条件」とはせず、「利用可能」という表現とする。

1−2)若手中心の国際会議を支援する意義を考慮し、年額500万円程度の予算が確保されるように要望する。

1−3)申請会議の財務状況を考慮して学会支援が有効に利用される会議を選定する。

2)国際学会組織との提携の可能性
 主に、IUBMB・FAOBMBへのシンポジウム開催とCSHAとの共催シンポジウム開催などが提案されており、議論した。IUBMBおよびFAOBMBとの提携に関しては、両組織の活動状況からみて本学会の会員への特段の魅力があるとは考えにくく、また、両組織への分担金の予算を持つ日本学術会議への活動報告を行うための負担を考えると、両組織との提携は本学会の会員へのメリットが見出せないとの結論に至った。一方、CSHAとの提携に際しての意図が不明で、情報が不足している現時点では本提案の可否を決めるのが難しい。先方とコンタクトして、コンセプト、長期計画、予算計画の具体的な条件を確認する事が先決である。また、Gordon Research ConferenceやKeystone Symposia、EMBOなどとの提携の可能性も否定せず、引き続き慎重に検討する必要がある。なお、国際会議支援事業の枠組みでCSHAとのトライアルも検討したが、CSHAから新しいコンセプトの会議が提案されることは考えにくいという結論に至った。
 
 資金計画については大規模な国際シンポジウムを開催するためには1000万円規模の予算を要し、分子生物学会の予算を割くべきかについては大きな決断を要する。そこで年会の活性化の一つとして大会初日を一会場で国際シンポジウムとして開催し、年会の外国人招待講演を集めて編成すれば最小限の追加費用でしっかりした会議を編成でき、まとまった参加者を集める事ができるとの意見も示された。

3)その他、学会の国際化に関すること

3−1)分子生物学会年会の英語化
 英語化は進めるべきという点でコンセンサスが得られた。具体的な方法として英語と日本語のセッションが混在することのないよう、例えば年会初日(もしくは複数日)を完全英語化する、あるいは特定の複数会場を英語セッションの会場とするなどの意見が挙げられた。また上述のように年会の一部(1日程度)を国際シンポジウムとして開催するとの案もある。英語圏の発表者が疎外感をもつことのないような配慮が必要である。一方で日本語での発表者に対してマイナスイメージが生じないような配慮の必要性が指摘された。学会の国際化に関して、日本における分子生物学の振興、国際的に活躍できる日本人研究者の育成という視点で長期的なプランを描く必要があり、年会運営に関してこれまでの年会大会長に一任というスタンスを見直し、学会(理事会)がリーダーシップを示し、学会の基本方針を年会において明確化する必要がある。

3−2)分子生物学会自体の国際化
 外国人留学生の増加、年会の英語化に伴い事務局における英語対応の比率が増すことが予想されるが、ある程度までなら現体制で対応できる見込みである。会報、規約の英語化などの対応は当面必要ないとの認識で一致した。

2017年12月5日

≪第20期国際化対応ワーキンググループ≫
林 茂生(座長)、石川冬木、篠原 彰、菅澤 薫、深川竜郎

≪第20期将来計画委員会(執行部)≫
杉本亜砂子(理事長)、小林武彦(副理事長)、小安重夫(副理事長)、
稲田利文(庶務幹事)、深川竜郎(庶務幹事)、塩見春彦(広報幹事)