日 時:2019年12月2日(月)13:30~18:00
場 所:福岡国際会議場 4階「411」
出席者:阿形清和(理事長)、佐々木裕之(副理事長/第42回年会長)、塩見美喜子(副理事長/第44回年会長)、荒木弘之、五十嵐和彦、稲田利文(庶務幹事兼)、上田泰己、上村 匡(編集幹事兼/第43回年会長)、大隅典子、菊池 章、木村 宏(庶務幹事兼)、倉永英里奈、小原雄治、中島欽一、中山敬一、鍋島陽一、原 英二、正井久雄、町田泰則(監事)、深川竜郎(広報幹事/第45回年会長)、以上20名
欠席者:石川冬木、一條秀憲、胡桃坂仁志、後藤由季子、近藤 滋、斎藤通紀、佐谷秀行、西田栄介(GTC編集長)、三浦正幸(会計幹事兼)、本橋ほづみ、山本 卓、吉森 保、小安重夫(監事)、以上13名
事務局:福田 博(記録)、金子香奈里、並木孝憲、山口恵子
本理事会成立について:
稲田利文庶務幹事より、理事18名、監事1名、幹事1名が出席し、委任状11名(理事)を受理しており、本理事会は細則第4章第8条により成立する旨報告された。
議事録署名人の選任について:
阿形清和理事長より、議事録署名人として、荒木弘之理事と木村宏理事が指名され、承認された。
議 事:
1.報告事項
1)執行部報告
・理事長報告
①年会運営に際しての災害対応(損害保険加入)について
前期理事会で決定した方針に基づき、今回初めて、第42回福岡年会の運営に際して損害保険(chubb損害保険(株))に加入したことが報告された。保険の種類は興行中止保険で保険期間は2019年10月1日から12月6日(会期最終日)、保険料103万円、最大補償金額は約1億8,600万円である。今後も毎年の年会ごとに収支(負担経費)資料を準備し、複数の保険会社の資料を集めた上で、当該年会長の要望をお聞きし、執行部の確認を経て契約を交わしていく。
②学会(年会)の国際化に関係して
年会の国際化を視野に入れて、今期は、2019年会長から現在決まっている2022年会長まで執行部に参画してもらっている。近く選出される2023年会長を含め、2019年~2023年の5カ年計画をもって年会の国際化を進められればと考えている。
EMBOとの連携の可能性を探っていること、本年7月(ハイデルベルグにて)と10月(東京にて)、EMBO Leptin会長と会談したこと、本年夏にKSMCB(韓国分子細胞生物学会)よりアプローチがあり、年会会期中の12月5日にKSMCB代表と面談の予定があることが報告された。
③本年4月、丸善出版より出版企画「分子生物学の百科事典」の申し入れを受けた。執行部では、同企画のコンセプト、メリット、編集長候補などを慎重に検討したが、編集体制を組めない等のこともあり、同出版企画について辞退した。
・庶務幹事報告
①会員現況
稲田庶務幹事より、2019年11月1日現在の会員数につき以下のとおりに報告がなされた。ここ7年の演題申し込み時期(7-8月)の入会者数の推移資料が配付され、本年がもっとも新入会者が多かったことが報告された。結果、会員数総計も微増に転じている。
名誉会員 | 0名 | |
正 会 員 | 8744名 | (海外在住208含む) |
シニア会員 | 79名 | |
次世代教育会員 | 16名 | |
学生会員 | 4119名 | (海外在住71含む) |
賛助会員 | 22社 | |
合 計 | 12980名 | (前年11月対比、+81) |
(*上記以外に所定の手続きによる休会者60名あり)
②生物科学学会連合について
稲田庶務幹事より生科連の活動状況につき報告がなされた。
○本年より小林武彦会員が生科連代表に就任した。3点の重点課題を検討するために3つの委員会を設置しており、本学会は「研究費・人材育成委員会」(委員長は井関祥子副代表)に参画している。
○10月5日、生科連シンポジウム「魅力ある生物教育を考える」が開催され、本学会から庶務幹事2名(稲田利文理事、木村宏理事)が出席した。
・ホームページについて
深川竜郎広報幹事より学会ホームページの運用状況について説明が行われた。2019年度中に346件の記事を掲載した。記事の内訳は、人材公募が4割強、関連シンポジウム情報が3割強、学術賞・研究助成・研究プロジェクト等の案内が約2割といった状況であった。
・関連する会議(事業)への後援・協賛対応について
稲田庶務幹事より、本年5月に日本バイオインフォマティクス学会(バイオインフォマティクス技術者認定試験・実行委員長)より、協賛依頼を受けたことが報告された。執行部で検討した結果、資格試験/認定試験の類には慎重に対応したほうがよいとの意見でまとまり、今回は、協賛はできないが広報協力の形で対応したこと(⇒応募締切日までの一定期間、学会ホームページ・ニュース欄の上位の位置に掲載)が報告された。
引き続き、今後、同様の依頼があった場合に備え、意見交換がなされた。討議の結果、資格認定事業からの同様の依頼に対しては、本学会と関連する事業であることを確認した上で、広報協力に留めることが確認された。
なお関連する学術集会などからの本会あて後援・協賛申請の対応については、従来の手続き方法で問題はない(学会HPの「後援・協賛の申請」ページを参照)。
2)第42回(2019年)年会について
佐々木裕之第42回年会長より、配布資料に基づき準備状況の報告がなされた。一般演題投稿数はLate-breaking を含め3,145題、そのうち266演題は公募ワークショップに採択された。一般演題数はここ7~8年の単独開催では最高となっている。ワークショップについても過去最高の140件の応募があり、うち120件を採択した。事前参加登録は4,780名、企業展示は360小間となり、運営全体として順調に準備が進んでいることが報告された。(*当日参加を含め、最終の参加者数は7,129名であった)
年会国際化対応の試みとして、会期2日目の講演はほぼすべての会場で一日中英語セッションが行われる「英語デー」とした。その他の日程も常にどこかの会場で英語のシンポジウムが行われるようにプログラム編成をしている(T字型プログラム)。ポスター発表は、英語推奨として発表言語を発表者の選択に任せたところ、年会演題投稿受付の時点で英語を選択した投稿者は全体の約2割であった。英語を選択しているポスターを2日目にできるだけ集めた結果、2日目のポスターは約3割が英語での発表となっている。
LBA以外の一般演題ではディスカッサー制を導入し、1演題あたり6分(目安として発表3分、討論3分)のプレゼンテーションの時間を設定した。ポスターディスカッサーの推薦ならびにポスター編成にあたってはプログラム委員に大変な尽力をいただき、当日は297名の会員にポスターディスカッサーを担当してもらう予定である。
明日からの年会運営に際し、理事各位の協力をお願いしたい。
3)第43回(2020年)年会準備状況
上村匡第43回年会長より2020年の年会準備状況につき報告がなされた。
○会期:2020年12月2日(水)~4日(金)
○会場:神戸国際会議場、神戸国際展示場、神戸ポートピアホテル
○組織委員会:
年会長 | 上村 匡 | |
組織委員長 | 萩原正敏 | |
プログラム委員長 | 井垣達吏 | |
組織委員 | 河内孝之、柳田素子 |
“New Faces, New Questions, and Revitalized Worlds”をかけ声とし、組織委員会一同で開催準備に当たっている。今回、プログラム委員にはフレッシュなメンバーを多数加えていることが報告された。
シンポジウム・ワークショップはすべて英語で行い、公募ワークショップでは、オーガナイザーや演者に女性研究者が複数含まれている企画を優先的に採用する方針としたい。
また、神戸会場の一部には講演視聴環境について若干の課題があるが、例えば、スクリーンの小さい細長い部屋は横長で使用するなど、スライドが見えやすいように手を尽くしたい。
4)第44回(2021年)年会準備状況
塩見美喜子第44回年会長より2021年の年会準備状況につき報告がなされた。
○会期:2021年12月1日(水)~3日(金)
○会場:パシフィコ横浜
○組織委員会:
年会長 | 塩見美喜子 | |
組織委員長 | 小林武彦 | |
プログラム委員長 | 胡桃坂仁志 | |
組織委員 | 岩崎由香、東山哲也 |
本年9月9日に第1回組織委員会を開催し、年会開催方針・コンセプト、全体日程、プログラム骨子、今後の準備スケジュール等を検討した。
シンポジウムは午前中の135分枠で1日7企画、3日間で21企画を開催予定である(6企画は組織委員による指定シンポジウム、15企画はプログラム委員による企画、あるいはプログラム委員推薦のオーガナイザーによる企画シンポジウムを予定)。シンポジウムの開催言語は原則として英語とするが、補助的に日本語も使用する予定である。
ワークショップについては午前中の開催枠を135分、午後の開催枠を90分とし、3日間で最大150企画を公募したい。ワークショップの開催言語はオーガナイザー一任とする予定である。
年会の国際化対応としては、午前中のプログラムはすべて英語、2日目は午前午後ともに英語開催のプログラムを集める予定である(42回年会の「T字プログラム」を踏襲する予定)。
ポスター発表の時間帯は近年の年会全体日程を踏襲し午後最初の時間帯とし、ポスターディスカッサー制も導入予定である。
5)第45回(2022年)年会準備状況
深川竜郎第45回年会長より2022年の年会準備状況につき報告がなされた。
○会期:2022年12月上旬予定
○会場:最終調整中
(初めての試みとして、ポスター/展示会場内にオーラルのセッションを行える特設会場を設置する構想があり、展示会場の広さ、使い勝手の最終検討段階にある)
○年会組織委員会:
年会長 | 深川竜郎 | |
副年会長 | 永井健治 | |
組織委員長 | 原田慶恵 | |
プログラム委員長 | 甲斐歳惠 |
(※ 今後、実行委員として学生または若手研究者に参画してもらう予定)
メインコンセプトとしては以下3点を考えている。
(ⅰ)アジアを中心とした海外からの参加者を増やす。
(ⅱ)講演・ポスター・展示の一体感を高める。
(ⅲ)生物物理学会との連携
第41回(2018年)、第42回(2019年)年会は日本生態学会と協力して開催したが、第45回年会は日本生物物理学会と協力・連携をして開催する予定である。分子生物学会と生物物理学会との間で2022-2023年の2年間、学会連携についての覚書を取り交わしており(*2019年7月、理事会持ち回り審議にて承認済)、第45回年会では生物物理学会の会員が分子生物学会会員と同様の資格で年会に参加・発表できる(同様に分子生物学会員も生物物理学会年会に参加・発表できる)。また両学会による合同セッション(ジョイント・シンポジウム)なども企画予定である。(*2023年に生物物理学会が開催する国際生物物理会議(IUPAB)にて、本学会はジョイントシンポジウムの企画などの学会協力を行う予定)
年明けに先ずは会場を確定し、開催形式などの基本方針を決定していきたい。
6)上村編集幹事より配布資料に基づき学会誌『Genes to Cells』の編集報告が行われた。
昨年8月には原著論文(Original Article, Brief Report)の処理がさらに迅速化し、採択から数日後に原稿のまま早期出版され、同時にPubMedにも登録・検索可能となっている。
伝統絵画のなかに生命科学の遊び心を加えた本誌の表紙デザインは2020年に10周年を迎える。表紙ができるまでの裏話を盛り込んだタペストリー(直近3年分の36作品)を本年会においても展示するので、ぜひご覧いただきたい。
編集委員会に関しては、本年より荒木弘之委員、石井俊輔委員、長田重一委員、花岡文雄委員にEditorに昇格していただいた。また、来年より次の8名の方を編集委員にお迎えすることが報告された。
石川俊平(東大・医)、岡田由紀(東大・定量研)、北島智也(理研・BDR)、北野 潤(遺伝研)、木村 宏(東工大・IIR)、胡桃坂仁志(東大・定量研)、丹羽隆介(筑波大・TARA)、 深川竜郎(阪大・生命機能)<敬称略>
7)各種学術賞、研究助成候補への学会推薦状況について
正井久雄賞推薦委員長より、2019年に本学会より推薦した各種学術賞について報告がなされた。引き続き、吉森保研究助成選考委員長代理の上田泰己委員(理事)より、2019年の研究助成推薦状況と結果等について報告が行われた。
8)キャリアパス委員会報告
胡桃坂仁志キャリアパス委員長が欠席のため木村宏理事(委員長代行)より、配付資料に基づき委員会の活動内容が報告された。
①本委員会のミッション、委員会活動の流れ、これまでの年会企画、21期の委員会名簿が配られ、活動概要の説明がなされた。
②第42回年会における属性調査結果より、ポスター「バランスの取れた研究環境を築くために~2019属性調査から学べること~」が作成され、本年会会場でも掲示される。本学会会員の男女比率、職階・年齢と発表カテゴリー(一般・スピーカー・オーガナイザー)との関係、各カテゴリーにおける女性比率の比較、等々について説明がなされた。
③本年会においては以下2企画のランチョンセミナーを開催するので、理事各位においては積極的に参加いただきたい。
『それでいいのか?研究室の選び方』(会期初日/12月3日)
『大学院の無償化を目指して』(年会2日目/12月4日)
④本年8月、上記セミナー『それでいいのか?研究室の選び方』の当日ディスカッションの題材のための事前アンケートを行った。アンケート結果により興味深い貴重なデータ(回答者866名)を得、そのポイントについて説明がなされた。アンケート結果は学会HP・キャリアパス委員会年会企画ページで公開している。
9)研究倫理委員会報告
中島欽一研究倫理委員長が途中退出のため、大隅典子委員(理事)より今年の研究倫理フォーラムの内容について報告が行われた。年会初日夜のフォーラム枠にて開催するので、理事会関係者においてもぜひ参加いただきたい。
○研究倫理委員会企画・研究フォーラム
『研究成果発表のあるべき姿:オープンサイエンス推進の潮流』
・日時:2019年12月3日(火)18:30~20:00
・場所:第12会場(福岡国際会議場201)(軽食を配付)
・講演1.「オープンサイエンスのススメ」
大隅典子(東北大・医)
講演2.「bioRxivとは何か?」
坊農秀雅(ライフサイエンス統合データベースセンター)
パネルディスカッション
中島欽一(委員長)、大隅典子、小原雄治、斎藤通紀、鍋島陽一(以上委員)、阿形清和(理事長)、坊農秀雅
10)富澤基金・基金運営委員会報告
小原雄治基金運営委員長より、富澤基金による第9回(2019年)日本分子生物学会若手研究助成結果につき報告がなされた。
(ⅰ)第9回応募の受付期間: 2019年1月15日~2月5日
(ⅱ)応募総数:94名(男性73名、女性21名 ※性別は名前からの推定による)
(ⅲ)選考:
・第1次審査:書類審査
・第2次審査:12名を対象に5月11日にヒアリングを実施
(ⅳ)審査経過と第9回助成対象者:
審査経過詳細については、会報123号(2019年6月号)に結果報告を掲載済みであるので参照されたい。第9回若手研究助成の助成対象者は以下の5氏である。
○伊藤美菜子(慶應義塾大学医学部微生物学・免疫学教室)
中枢神経系疾患における脳Tregの発生機構と神経修復機構の解明
Elucidation of the development and neuronal repair mechanisms of brain Treg cells in central nerve system disorders
○奥村美紗子(広島大学大学院統合生命科学研究科細胞生物学研究室)
光忌避行動の分子・神経基盤の解明
The molecular and neural mechanism of nematode light avoidance behavior
○小幡史明(東京大学大学院薬学系研究科遺伝学教室)
熱耐性の代謝基盤
The metabolic basis of thermotolerance
○鈴木郁夫(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻)
ヒト大脳皮質の進化を駆動した分子発生生物学的メカニズムの探索
Deciphering the developmental mechanisms relevant to the evolution of human cerebral cortex
○高岡勝吉(九州大学大学院医学研究院発生再生医学分野/申請時の所属はマックスプランク生物物理化学研究所)
マウス胚における対称性の破れ
Symmetry breaking in the mouse embryos.
11)第8回(2020年)国際会議支援・選考結果報告
石川冬木国際会議支援・選考委員長代理、荒木弘之委員(理事)より8回目となる国際会議支援についての選考結果について報告された。過去最多の7件の応募があり、選考委員会における慎重な審査を経て、理事長承認のもと、3会議が採択された。
≪会議名称≫
(和文)Wnt会議2020
(英文)Wnt meeting 2020
開催責任者:菊池 章(大阪大学大学院医学系研究科・教授)
会期:2020年9月22日(火)~25日(金)
会場:淡路夢舞台国際会議場
助成金額:250万円
≪会議名称≫
(和文)国際3R+3C ミーティング
(Replication Recombination Repair + Cell Cycle Chromosome Chromatin)
(英文)International Symposium on 3R and 3C
開催責任者:太田邦史(東京大学大学院総合文化研究科・教授)
会期:2020年11月16日(月)~20日(金)
会場:かずさアカデミアパーク、オークラアカデミアパークホテル
助成金額:150万円
≪会議名称≫
(和文)国際細胞老化研究会(ICSA)2020年度学術会議
(英文)International Cell Senescence Association(ICSA)2020 Conference
開催責任者:原 英二(大阪大学微生物病研究所・教授)
会期:2020年11月2日(月)~5日(木)
会場:大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)
助成金額:150万円
12)生命科学教育(高校などへの講師派遣の状況)について
胡桃坂仁志担当理事欠席のため、事務局(並木孝憲)より配付資料に基づき、2019年の高校などへの講師派遣の状況、および年会における高校生研究発表会の状況(過去7回の実績と本年会の発表予定)について報告がなされた。今年は過去最高の141名の参加予定者数(高校生と引率教員)となっており、キャリアパス委員にディスカッサーとして協力していただく予定である。
また、生命科学教育事業の活動周知の1つとして、本年も夏に開催された『SSH生徒研究発表会』(神戸)に学会ブ―スを出展、五島剛太教授(生命科学教育担当委員)に協力いただき、高校生や引率の先生に本学会の活動内容を紹介したことが報告された。
13)その他
稲田庶務幹事より第42回通常総会の予定議題の説明がなされ、議事進行と報告担当者の確認、さらに第9回富澤基金贈呈式の式次第の確認が行われた。
2.審議事項
1)令和1年度(2019年度)決算承認の件
三浦正幸会計幹事欠席のため、会計幹事代理として事務局(福田博)より令和1年度活動計算書の収支について詳細説明がなされた。本年度は約966万円の黒字決算で終えることが出来た。黒字となったポイントは3つあり、①昨年の41回横浜年会が大きく黒字であったこと、②『Genes to Cells』の出版社からの総利益折半の精算が順調であったこと(精算時の為替レートも前年同様であったこと)、③会費収入が順調であったことがあげられる。会費収入については、会員数が微増に転じ、また納入率も順調であった(正会員会費の納入率93.5%、学生会員会費73.7%)。経常費用に関しては、事業費・内訳別収支について説明がなされた。さらに「日本分子生物学会 若手研究助成 富澤純一・桂子基金」の決算についても報告が行われた。本年は消費税約207万円を納めており、その他の税務処理についても顧問契約を交わしている税務専門家の指示のもと、収益事業部分の法人確定申告を行った。
本決算は10月28日に宮城秀敏公認会計士の監査を受け、さらに同年11月5日に小安重夫監事、町田泰則監事による会計監査を受け、配付資料のとおりの監査報告書が提示されている。
続いて、町田監事より11月5日に学会事務所において会計監査を実施し、監査報告書に記載したとおり、帳簿ならびに会計証憑類は正確に整えられており、各金融機関の通帳と残高証明書をすべて確認し、同決算を認めたことが報告された。監事の職務は、会計のみならず理事会全体の運営や事務局の状況などにも幅広く注意を広げることが職務であると小安監事とも確認しているが、業務状況は順調であり、特段留意すべき付帯意見はないとの説明がなされた。
審議の結果、本決算は理事会で承認され、第42回通常総会に諮られることとなった。
続いて、出席理事の一人より内部留保(次期繰越金:約2億1,200万円)をもう少し積極的に資産運用したほうがよいのではとの意見が提出されたが、阿形理事長より学会の会計であるので今後も手堅くいきたいとの回答がなされた。なお、過去の理事会(2014年~2015年)でも繰越金の運用が話題になったことがあり、当時、専門家の助言を受けたことがあるが、念の為、事務局経由にて公認会計士に確認を取ることとしたい。
2)令和2年度(2020年度)活動予算書承認の件
木村庶務幹事より総会資料(15頁)掲載の令和2年度事業計画書の説明がなされた後、三浦会計幹事代理の事務局(福田博)より、令和2年度活動予算書と同活動予算・事業費の内訳について説明が行われた。
前年決算の実績をふまえて各科目を微調整している。本予算の大きな変更点は、事業費内訳で新設した「42回年会開催補助・追加支援」の540万円(シンポジウムのみならずワークショップの海外演者招請関係に500万円、福岡年会の新しい試みForeign Travel Awardに40万円(5万円×8名))である。これは阿形理事長が提唱している年会の国際化を目指した追加支援であり、従来の本部補助金500万円にこの540万円を加え、2020年予算では計1,040万円を補助していくこととなる。当面、21期の予算編成方針として、第42回(2019年)年会と第43回(2020年)年会はこの方針で進めていく予定である。
さらに年会運営の災害リスク対応として、本予算では初めて「年会その他」科目にて、損害保険料103万円(事業費内訳科目としては「会場費」に相当)を計上している。
以上、令和2年度は年会の国際化を目指した時限的対応を含み、法人全体として489万円の赤字予算を編成したことが説明された。
審議の結果、同予算書は理事会で承認され、第42回通常総会に諮られることとなった。
3)次回理事選挙の女性理事枠について(細則改正の件)
阿形理事長より女性理事枠設置の経緯について説明がなされた。第16期において女性理事が1名のみとなった状況を受けて、当時の第16期岡田理事会において初めて女性理事枠(3名)が設置された。その後、17-19期の選挙では4名以上の女性理事が選出されており、実質、時限措置(女性理事枠)が適用・運用されたことはなく、第20期選挙では、一旦、同細則(時限特別措置)は削除されている。その後、一旦廃止して臨んだ20期理事選挙では、選挙当選した女性理事は3名であり、それを受けて、2017年12月5日に開催された20期第2回理事会において、同時限措置を復活させていることが報告された(*現在の21期の女性理事は5名である)。
来年(22期)の理事選挙に際し、同時限措置を継続するか否か、継続する場合は女性理事枠の人数をどうするか、活発な議論がなされた。本来は女性理事枠の定数を設けなくても適正な人数の女性理事が選出されてくることが望ましいが、過渡期のテンポラルな措置として必要であろうとの意見が多数を占めた。また性別にかかわらず、ぜひ新しい次世代の方に理事会に入っていただき、学会の運営に参画してもらうことが重要であるとの意見が出された。ちなみに現在の正会員の女性比率は約20%、学生会員の女性比率は39%である。選挙実施時には選挙要項とは別に、目標(女性研究者に理事会に参画してもらう)として高みを目指す内容を含んだ理事長メッセージを発信したらどうかとの意見も出された。
審議の結果、時限特別措置を継続し、理事定員の20%(6名)の女性理事枠を設けることが決定された。細則は本日付けで以下のように改正することとなった。
■細則 第2章 役員の選出
第2条
5)時限特別措置として、理事定員30名の20%(6名)の女性理事枠を設ける。選挙により6名の女性当選者が選出されなかった場合は、女性理事が最低6名になるまで調整を行う。ただし、理事定員30名に変更はないものとする。
4)年会開催ルール細目の一部修正(男女比・目標値の追加記載)について
2018年11月27日開催の理事会で第20期将来計画委員会提言「年会の開催方針について」および「年会開催ルール細目」「研究発表に関する指針」が承認・公表されているが、そのうち、年会開催ルール細目の3.人材育成の条文に男女比に関する目標値を追加したい.との執行部案が阿形理事長より示され、自由討論に入った。
活発な意見交換の後、細目3.に関して、下記条文(下線部分)を加筆することが決定した。
「年会開催ルール細目」
3.人材育成
シンポジウム・ワークショップオーガナイザー等およびスピーカーに若手研究者・女性研究者を積極的に含めることを推奨する。男女比については、オーガナイザー、スピーカーそれぞれに、女性研究者を20%以上含めることを目標値とする。
5)年会の国際化、海外との連携について
本会議冒頭の理事長報告(年会の国際化)に継続する形で、学会(年会)の国際化を進めるための方策等について自由討論に入った。EMBO等の国際学会組織との連携の可能性やその方策、年会の英語化と同時に海外からの参加者をいかに増やすか、日本でアジア大会を開催できるような手立てがないか(現状の年会とアジア会議とのジョイント)、等々の活発な意見交換が行われた。
続いて阿形理事長より、近く選出される2023年会長を含め、2019年~2023年の5カ年計画をもって年会の国際化を進められればと考えているが、今後、国際化へのトライアル情報を蓄積していき、長期ビジョンに立った国際対応を担当してもらう“国際化担当幹事”を新設したいとの要望が出され、審議の結果、承認された。
国際化担当幹事には2020年1月から執行部に参画してもらい、その人選は阿形理事長と執行部に一任された。
6)第46回(2023年)年会長について
上記5)で討議された内容を踏まえ、第46回(2023年)年会を担当いただくに相応しい候補者を選出し、あらためて理事会に諮りたい旨(年内に持ち回り審議をさせていただく予定)、阿形理事長より説明がなされた。
上記、第21期第2回理事会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。
2019年12月2日
特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第21期第2回理事会
議 長 阿 形 清 和
議事録署名人 荒 木 弘 之
議事録署名人 木 村 宏