特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第21期第3回(臨時)理事会記録

日 時:2020年8月7日(金)17:00~19:20

場 所:オンライン開催(Zoom)

出席者:阿形清和(理事長)、佐々木裕之(副理事長)、塩見美喜子(副理事長/第44回年会長)、荒木弘之、五十嵐和彦、石川冬木、稲田利文(庶務幹事兼)、上田泰己、上村 匡(編集幹事兼/第43回年会長)、大隅典子、菊池 章、木村 宏(庶務幹事兼)、倉永英里奈、後藤由季子、小原雄治、近藤 滋、斎藤通紀、佐谷秀行、中島欽一、中山敬一、西田栄介、原 英二、正井久雄、三浦正幸(会計幹事兼)、本橋ほづみ、山本 卓、吉森 保、小安重夫(監事)、町田泰則(監事)、深川竜郎(広報幹事/第45回年会長)、林 茂生(国際化担当幹事/第46回年会長)、以上31名

欠席者:一條秀憲、胡桃坂仁志、鍋島陽一、以上3名

事務局:福田 博、金子香奈里、並木孝憲、山口恵子(記録)
 

本理事会成立について:
 木村宏庶務幹事より、理事27名、監事2名、幹事2名が出席し、本理事会は細則第4章第8条により成立する旨報告された。

議事録署名人の選任について:
 阿形清和理事長より、議事録署名人として、稲田利文理事と木村宏理事が指名され、承認された。
 

議 事:

1.COVID-19学会対応
 阿形理事長より、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への学会対応について、執行部での検討結果が報告された。執行部ではメール会議を随時行い、5月15日、20日にはオンライン執行部会議を実施するなどして、情報収集と検討を重ねた。

  ①PCR検査関連の協力については、引き続き状況を注視することとした。

  ②生物科学学会連合(生科連)と連携して情報発信を行った。

   ・加盟32学協会による声明「緊急事態措置による影響緩和のための各関係機関へのお願い」:学生の授業料の減免および生活支援の拡充、研究期間の延長および研究計画変更に対する柔軟な対応(任期付き研究者の雇用についても任期を延長)、学生に対する学位、卒業認定要件への柔軟な対応などを求めた。

   ・加盟学協会提供の中高生向け教育コンテンツ特集への協力:本学会のホームページで公開されている過去の年会の特別企画や市民公開講座などの動画リンク集を生科連へ提出した。

  ③Genes To Cells誌
 学会誌Genes To Cellsは以前から著者の事情にできるだけ配慮するポリシーで運営されているが、「COVID-19による研究活動制限の事情についても、より一層配慮する」旨を運営ポリシーに明言し、学会HP等で広報した。

 

2.第43回(2020年)年会の開催形式、準備状況について
 上村匡第43回年会長より2020年の年会準備状況につき報告がなされた。
第43回年会は2020年12月2日(水)~4日(金)神戸ポートアイランドでの開催を予定して準備を進めてきたが、組織委員会における検討の結果、完全オンライン開催とすることを決定した。「やむをえず」のオンライン開催選択ではなく、オンラインならではの強みを生かした新しい形の年会に挑戦したい。オンライン開催に際し、6月下旬に急遽4社による運営会社ヒアリング・選考会議を行ったが、結果としてブラッシュアップされた内容の提示があったエー・イー企画に引き続き委託することが決定した。
 オンライン開催の骨子は以下の通りである。

  ・会期に変更はないが、全シンポジウム・ワークショップをウェビナー形式でライブ配信し、録画配信許可された講演については会期終了後1週間オンデマンド配信を予定している。

  ・一般演題は、夏の演題登録の時点では例年同様タイトル・要旨・著者情報のみを投稿し、会期前に当日発表資料を英語で作成し提出することとなる。発表資料は会期中~終了後1週間閲覧可能とする予定である。

  ・参加登録費は例年より安く設定した(事前登録の正会員:5,000円、学生会員1,000円)。また当日参加登録も受け付ける(当日参加はクレジット決済のみ)。

  ・情報漏洩防止策として、全ての参加登録者には、視聴サイトへのアクセスの際に、ID を他人に教えないことと、デスクトップ録画やスクリーンキャプチャーをしない旨の誓約を必須とする。プラットフォームの選定や視聴サイトの構築にあたっても、録画や印刷などができないように可能な限りの対策を講じるが、情報漏洩のリスクを完全に防ぐことは困難も予想されることをあらかじめ発表者に了承いただけるよう案内する予定である。

 続いて、出席者より種々の質問、意見、他学会のオンライン開催に関する情報提供などがなされた。

  ・一般演題に関して、発表者側の立場としては、どのような形で発表することになるのか、質疑応答の方法や発表データの取り扱い等を知りたいと思われるので、できるだけ早めに確定情報を案内してほしい。

  ・オンライン開催においては、情報漏洩防止策と共に著作権に関する説明・注意喚起も行うことが重要であろう。

  ・オンライン開催の強みとして、並行しているシンポジウム・ワークショップをオンデマンドで視聴できること、出張せずに参加できるといったメリットを繰り返しアピールするのが有効ではないか。

  ・オンライン開催となったことで海外(特に時差の小さいアジア圏)の研究者・学生が参加しやすくなるので、海外非会員への周知を強化すると良いのではないか。

 海外非会員への周知については、まずは近日中に英語・中国語・韓国語でMBSJ2020 Onlineの案内文を作成して理事会メーリングリストにて配布することとなった。KSMCBの代表等には理事長名で送るほか、理事会メンバーが個人ベースで周知協力する。

 

3.第44回(2021年)年会について
 塩見美喜子第44回年会長より2021年の年会準備状況につき報告がなされた。
 会期:2021年12月1日(水)~3日(金)
 会場:パシフィコ横浜

  ・プログラム委員は比較的若手が多く、また委員全体の25%が女性である。

  ・年会の国際化対応として、42回福岡年会の「T字プログラム」を踏襲し、午前中のプログラムはすべて英語、2日目は午前午後ともに英語開催のプログラムを常に走らせる予定である。ただし2日目の午後には並行して90分枠の日本語ワークショップも集め、英語・日本語いずれのセッションにも参加できる構成を目指す。

  ・シンポジウムは午前中の135分枠とし、組織委員等による指定シンポジウム6企画を行うほか、公募シンポジウム最大18企画を採択する予定である。

  ・公募ワークショップ採択予定件数は135分枠を最大61企画、90分枠を最大40企画とし、いずれの時間枠でも演題の1/3程度を一般演題から採択したい。

  ・一般演題ではいわゆるポスターディスカッサー制を導入予定。ただし、すでに討論が盛り上がっている演題に無理に介入する必要はなく、盛り上がりに欠ける演題のディスカッションの活性化を担うファシリテーターのような存在になってほしいと考えている。ポスター発表は午後最初の時間帯で150分間とする。

  ・年会最終日の午後には高校生発表、夕方には市民公開講座を開催する予定。

  ・「横浜ヒストリア企画」として、年会会場に展示コーナーを設け、過去に横浜で開催した年会のポスターや要旨集を展示するほか、過去の横浜年会の年会長にインタビューし、その内容をまとめた小冊子を年会会期中に無料配布したい。

 なお、21期の理事会方針となっている年会の国際化を進めるため、第42回年会(2019年福岡)と第43回年会(MBSJ2020 Online)においては、従来の開催補助金500万円にくわえ、追加の年会国際化支援金500万円の支出が昨年の理事会で決定されている。国際化対応を行う第44回(2021年)年会においても、引き続き同様の予算措置(500万円の追加補助)をしてもらいたいとの要望が塩見年会長より提出され、承認された。

 

4.海外との連携について

 ① EMBO(The European Molecular Biology Organization)
 阿形理事長より今年に入ってからのEMBO関連の動きについて説明があった。本年2月6日、駐日EU代表部ならびにEMBOと共同でExpert Meetingを開催した。これは若手研究者のキャリア形成促進の方法について議論する専門家会議であり、EMBO、日本の政府機関(Funding Agency)である文科省、JST、AMED、JSPSとのつながりができる契機となるものでもあった。4月には日本が新たに申請可能となったEMBOのShort-term Fellowship等について本学会ホームページで広報協力を行った。その他、今年の年会ではサテライトで「EMBO laboratory leadership management course+女性クロマチン研究者による国際シンポジウム」を開催予定である。

 

 ② KSMCB(The Korean Society for Molecular and Cellular Biology)
 阿形理事長よりKSMCBへの対応につき、これまでの経緯と最近の動きについて説明がなされた。KSMCBからは2019年夏に最初のコンタクトがあり、福岡年会会期中にKSMCBの代表が年会会場を視察し、執行部と会合を行った。KSMCBからはMOU締結の申し入れがなされており、これに対して本年3月、林茂生国際化担当幹事よりKSMCBの国際担当委員長宛に、KSMCBの2020年大会(10月に韓国のJejuで開催予定)への訪問後にあらためて検討したいこと、訪問に際してはコロナの状況をみて確定したいとの回答を送っている。
≪その後、感染症の状況を考慮し、MBSJ、KSMCBの双方、それぞれの大会にオンライン参加する方向となった。MBSJ側からは、阿形理事長、林国際化担当幹事、稲田庶務幹事が参加する予定≫

 

 ③ ASCB(The American Society for Cell Biology)
 深川竜郎2022年会長より、まず、ASCB/EMBOのCell Bio 2021(2021年12月にアメリカのSan Diegoで開催予定)におけるASCBメンバーとの共同企画提案について紹介があった。当初は、深川年会長が個人的に研究等で親交のあるASCB メンバーのCheeseman氏からCell Bio 2021の前日に行われるDoor Step Meeting共同企画の提案を受けたものである。分子生物学会が学会としてASCBと連携していく方向であれば、同企画を両学会のコラボレーションの形としていく交渉も可能とのことである。その後2020年に予定されていたDoor Step Meetingが2021年に延期されることとなり、Door Step Meetingとしての共同開催は難しくなったが、Cell Bio 2021における他のコラボレーション企画の方法がいくつかあり、翌年の2022年会の関連企画に繋げるべく、相互交流の機会を目指すことも可能であることが説明された。分子生物学会が学会としてASCBと積極的に連携していく方向を取っていくのかどうか、その関連事業を進めるため深川年会長から要望のあった活動予算措置(上限300万円)について検討が行われた。
 ASCBはEMBOとCell Bioの共催を続けており、もしも最終的にASCB-EMBO-MBSJといった大会が実現できれば望ましい国際連携の形の一つと思われる。またASCBやEMBOから本学会年会への参加を検討してもらえれば年会の活性化にもつながるであろう。
 審議の結果、学会としてASCBとの連携を積極的に進めていく方向性が承認され、コラボレーション企画の実現に向けて学会として経済サポートをすることが決定された。ASCBとの本連携に関する活動予算の目安としては、必要に応じて上限300万円程度までであれば支出可能とし、この方針について次期の22期理事会に申し送ることとなった。
 本件に関連して、「年会国際化」について活発な議論が行われた。提出された主な意見は以下の通りである。

  ・第21期理事会が推進する「年会国際化」には「年会の国際化」と「分子生物学会のグローバル化」という2つの意味合いがあり、「分子生物学会年会の国際化」という大目標に向けて、「まず世界に日本の研究や研究環境の良さについて知ってもらう」という目的で「分子生物学会のグローバル化」を課題とするという見方もできる。

  ・21期で始まった「年会国際化(2019-2023年の5カ年計画)」2年目の現在においては、海外のコミュニティとの相互理解と連携を一歩一歩進めていく段階にあり、今回のASCBとの連携に関しても「分子生物学会のグローバル化」という課題に向けた一手であるという位置付けができる。

  ・「年会の国際化」に関しては「5年後のゴール」をもっと明確にしておいたほうが良いのではないか。例えば「5年後の年会では半分を世界に繋げてオンラインで実施し、半分は国内で日本語使用により行う」などといった目標も考えうる。

  ・現実問題として時差の問題が出てくる。世界規模の学術集会が実現できる際には、開催時間を一年ごとにずらすなどの工夫も必要になる。

  ・多数の欧米の研究者に来日してもらえることは将来的な希望であるが、日本が中心となって韓国、中国、台湾などアジアでも連携してアジアのコアとなる学術集会の実施を目指すのも一つの方策である。

 

5.その他

 ①研究倫理フォーラム2020中止について
 中島欽一研究倫理委員長より、今年のMBSJ2020 Onlineでは研究倫理フォーラムの開催を見合わせたい旨、阿形理事長に申し入れを行い賛同を得たことが報告された。その理由として、COVID-19の影響で研究遂行そのものが困難になっているという研究室もあり、この状況下では研究倫理に特化した議論が難しいことなどが挙げられた。来年以降の研究倫理フォーラム企画については、今後の状況をみながら検討することとなる。

 ②第10回富澤基金贈呈式・メモリアルイベントについて
 富澤基金による若手研究助成は2020年に最終回である第10回を迎えた。例年、贈呈式は年会会期中の通常総会の直後に総会会場にて行われているが、今回、MBSJ2020 Onlineの中では贈呈式のプログラムを組むことはせず、別途、2021年の年明け以降(1~2月)、本助成事業全体を振り返るメモリアルイベントを実施し、その中で第10回贈呈式も行ったらどうかといった提案が阿形理事長より提出され、賛同を得た。
企画については、阿形理事長ならびに小原雄治基金運営委員長に一任された。

  *〔事務局補記〕後日関係者間で再検討した結果、第10回富澤基金贈呈式はMBSJ2020 Onlineにて通常総会終了後に同じ会場(チャネル)で続けて開催し、メモリアルイベントは第44回(2021年)年会会期中に横浜会場での現地開催を予定することとなった。

 ③事務局の強化について
 出席理事より、事務局の強化、ならびに現事務局長の定年対応(雇用延長の可能性等)についての意見・要望が出された。
 阿形理事長より、事務局強化、将来的な事務局体制、福田事務局長の定年対応(現規程では2023年3月末で定年)等については、来年以降、次期の理事会で検討してもらう予定であったことが説明された。討議の結果、本件について今年の定例理事会(21期22期新旧合同理事会)の議題に挙げることとなった。現執行部にて事前に検討を進めておきたい。

 ④監事からのコメント
 阿形理事長より発言が求められ、小安重夫・町田泰則、両監事より、本理事会が公正に適正に機能・運営されている旨、報告された。

 

 上記、第21期第3回(臨時)理事会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。
 

2020年8月7日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第21期第3回(臨時)理事会

議    長  阿 形 清 和

議事録署名人  稲 田 利 文

議事録署名人  木 村   宏