特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第21期・第22期 合同理事会記録

日 時:2020年11月30日(月)13:30~18:00

場 所:オンライン開催(Zoom)

出席者:第21期
阿形清和(21期理事長)、佐々木裕之(21期副理事長)、塩見美喜子(21期副理事長、44回年会長)、荒木弘之、一條秀憲、稲田利文(庶務幹事兼)、上村 匡(43回年会長、編集幹事兼)、大隅典子、菊池 章、木村 宏(庶務幹事兼)、倉永英里奈、胡桃坂仁志、後藤由季子、小原雄治、佐谷秀行、中島欽一、中山敬一、鍋島陽一、原 英二、正井久雄、三浦正幸(会計幹事兼)、本橋ほづみ、山本 卓、吉森 保、小安重夫(監事/22期理事)、深川竜郎(45回年会長、広報幹事兼/22期理事)、林茂生(46回年会長、国際化担当幹事兼)
印は22期継続理事)
第22期
白髭克彦(22期理事長)粂 昭苑、見學美根子、小林武彦、塩見春彦、杉本亜砂子、田中啓二、泊 幸秀、中川真一、中山潤一、仁科博史、丹羽隆介、東山哲也、水島 昇、吉田 稔、吉村昭彦、以上43名

欠席者:第21期
五十嵐和彦、石川冬木、上田泰己、近藤 滋、斎藤通紀、西田栄介、町田泰則(監事)
印は22期継続理事)
第22期
斉藤典子、以上8名

事務局:福田 博(記録)、金子香奈里、並木孝憲、山口恵子
 

本理事会成立について:
 木村宏庶務幹事より、理事40名、監事1名、年会長1名、幹事1名が出席し、本理事会は細則第4章第8条により成立する旨報告された。

議事録署名人の選任について:
 阿形清和理事長より、議事録署名人として、塩見美喜子理事(21期22期継続理事)と深川竜郎理事(22期)が指名され、承認された。
 

議 事:
 

1.報告事項
 

1)21期執行部報告(理事長、庶務幹事、広報幹事、国際化担当幹事)

 ①理事長報告
 阿形理事長より21期の活動全般につき報告が行われた。

(ⅰ)国際化関連≪年会の国際化について≫
 先ず20期からの将来計画申し送り(年会の開催方針、年会開催ルール細目)についての報告がなされ、それを受けての21期理事会による「5カ年計画」について詳細説明が行われた。1年目(2019福岡年会)はT字型プログラムの実施(会期中、常にどこかの会場で英語のシンポジウムを行い、さらに会期2日目は全会場で1日中英語セッションが行われる「英語デー」とした)、2年目(2020 Online)の今年はワークショップ完全英語化、EMBOとのコラボレーション企画を試みた。3年目(2021横浜年会)も緩やかなT字型を継承してもらい、4年目(2022幕張年会)はASCBとのコラボレーション企画が進められている。2019年から2022年までの各年会の経験・フィードバックの蓄積を総括してもらい、5年目(2023神戸年会)は林茂生国際化担当幹事に年会を運営いただきたい。2024年第47回年会においても、国際化の流れを考慮しての年会運営となることを期待している。
 21期のまとめとなるが、第21期理事会が推進する「年会国際化」には「年会の国際化」と「分子生物学会のグローバル化」という2つの意味合いがあり、「分子生物学会年会の国際化」という大目標に向けて、「まず世界に日本の研究や研究環境の良さについて知ってもらう」という目的で「分子生物学会のグローバル化」を課題とするという見方もできる。2年目の現在は、海外のコミュニティとの相互理解と連携を一歩一歩進めていく段階にあるという位置付けと認識している。

(ⅱ)国際化関連≪海外との連携状況≫

≪EMBO関連≫

 ・2020年2月、Expert Meeting(駐日EU代表部ならびにEMBOと共同で開催)を行った。EMBO、日本の政府機関(Funding Agency)である文科省、JST、AMED、JSPSとのコネクションが拓かれる契機の1つとなった。

 ・2020年4月、日本が新たに申請可能となった、Short-Term FellowshipsとCore Facility Fellowshipsについて広報協力を行った。

 ・2020年会においては以下を開催する。次年度以降も協力関係を進めてほしい。

    MBSJ2020 Online/サテライトシンポジウム(日本分子生物学会共催)
  International Symposium for Female Researchers in Chromatin Biology (ISFRCB) 2020
 2020年12月5日(土)14:30 – 21:00(オンライン)

   第一部:キャリアセミナー1「女性研究者が人事で生き残るにはどうしたらいい?」

   第二部:「エピジェネティクス分野の若手女性研究者によるscientific talk」

   第三部:キャリアセミナー2「女性研究者の育成・登用に関する意見交換」

   関連して以下フォーラムを開催
12月3日(木)PM フォーラム 2F-06
Hands-on training by EMBO: “Manuscript Writing & Publishing Course”

≪KSMCB関連≫

 ・2019年夏にKSMCB(韓国分子細胞生物学会)よりコンタクトがあり、福岡年会会期中の2019年12月5日にKSMCB代表が年会会場を視察、理事会執行部と会合を持った。

 ・2020年3月、KSMCBからのMOU締結の申し入れがあり、林茂生国際化担当幹事がJa-Hyun Baik国際担当委員長へ回答した。当初、MOUについてはJeju大会への訪問後に検討することとしていたが、COVID-19の状況もあり取扱い保留となっている。10月5日-7日のKSMCB2020大会は韓国・済州島(Jeju)開催予定であったがオンライン開催に変更され、阿形理事長、稲田利文庶務幹事、林国際化担当幹事の3氏が招待参加となった。対し、MBSJ2020 OnlineにKSMCBメンバーを招待していることが報告された。

≪ASCB関連≫
2020年3月、深川竜郎2022年会長がIain Cheeseman氏より、当初はASCB(The American Society for Cell Biology)のCell Bio 2021(2021/12/11-15 @San Diego)前日のDoor Step Meeting共同企画提案を受けていたが、その後、前年のDoor Step Meetingの開催延期の影響で、別の形での連携を検討することとなった。本件については、第21期第3回(臨時)理事会(2020年8月7日)にて、本企画に関して学会としてはASCBとのコラボレーションに向けて上限300万円程度までの経済的サポートすることを承認している(学会の会計年度としては2023年度会計にて対応予定)。

(ⅲ)年会のあり方-COVID-19対応
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への学会対応として、執行部においても検討を重ねた。今年の年会は、上村匡年会長、43回年会組織委員による多大な尽力のおかげでMBSJ2020 Online 開催に至った。会員を代表して御礼を申し上げたい。
 来年以降の年会であるが、執行部会議では、以下のような意見が出ていることが阿形理事長より説明された。

・分子生物学会の場合、ハイブリッドというより「基本オンサイト(+オンラインでも参加可)」といった、オンサイトに比重を置く配分を目指し、未発表データを含めて議論することを大切にするカルチャーを浸透していくことが重要ではないか。

・MBSJ2020 Onlineの終了後にアンケートを実施し、年会の開催形式(オンサイト/オンライン/ハイブリッド、オンサイトとオンラインを併用する場合の両者の配分など)やオンデマンド配信の是非(未発表データを出して議論できると思える環境)などについて会員の意向を調査する予定である(集計結果が出るのはスケジュール的に来年となるため、22期に引き継ぎたい)。

 続いて、林国際化担当幹事より、開催形式(オンサイト/オンライン/ハイブリッド)をどうするかが、これからの重要な課題になることが説明された。リスク管理の一環として「いかに感染防止対策をしっかり行うか・行ったか」を示せることも重要なポイントとなるであろう。

(ⅳ)日本学術会議の会員任命問題に関係して
 本年10月、標記の生物科学学会連合関係の声明に賛同したことに対し、すべての会員が賛同したようにとらえられることへの異議が複数寄せられたことが、阿形理事長より報告された。経緯について以下、説明がなされた。

・10/4(日)に生物科学学会連合(生科連)の小林武彦代表から分子生物学会に対して、今回の学術会議の任命拒否問題に関する声明について、生科連の参画学会の一つとして声明を発出することの賛否を10/5(月)の昼までに欲しいとのメールを受理した。週末に受信したメールであり、事務局を通して理事会へ諮る余裕はないと判断し、理事長名で直接、生科連からのメールを添付して理事会に賛否を諮った。

・月曜朝までにほとんどの理事から返信があり、賛成多数の結果となり、生科連へ賛同という形で付帯意見とともに回答した。

・一部の理事には日本学術会議そのものへの不信感もたまっており(理事長自身も同様)、政治の介入に対しての声明には賛同するが、日本学術会議の存在を肯定したものではないことの付帯意見がつけられた。

・10/5(月)の段階では、世間では、

(1)政府が理由を付さずに学術会議会員による決定に介入し、一部会員の任命を拒否したという問題

(2)日本学術会議の在り方そのものに関する問題

の2点が混同したままに議論されていたが、分子生物学会を含めた生科連の声明は、あくまで(1)を意識したものとして受け止め賛同した次第である。
 賛同したこと自体が現在の日本学術会議の在り方を肯定し、擁護しているように思われるのは不本意であり、理事長としては生科連からの賛否の問い合わせに対して理事会に諮り、賛成多数として生科連に回答した次第である。そして、本学会からの付帯意見やほかの学会からの議論もあって、声明文が少しでも誤解のないように改訂されてから行われたものと認識している。
 しかしながら、多くの会員に不信感を与えたことはお詫び申し上げるとともに、日本学術会議のような科学アカデミーの在り方については、今後とも議論をしていきたいと思っている旨の説明がなされた。本内容は、会期2日目夜の総会でも理事長報告として説明したい。

②会員現況
 木村庶務幹事より、2020年11月5日現在の会員数につき以下のとおりに報告がなされた。

名誉会員0名
正 会 員8,444名(海外在住195含む)
シニア会員83名
次世代教育会員16名
学生会員3,677名(海外在住71含む)
賛助会員21社 
合 計12,241名(前年総会対比、-739)

(*上記以外に所定の手続きによる休会者63名あり)

③ホームページについて
 深川竜郎広報幹事より学会ホームページの運用状況について説明が行われた。本学会の事業以外に2020年度中に373件の記事を掲載した。COVID-19の影響で関連シンポジウム等の周知依頼は減ったが研究助成等の案内が増加した。学会フェイスブックのフォロワー数は1,962(前年対比+187)であった。

④生物科学学会連合について
 木村庶務幹事より、12月12日に開催予定の生科連公開シンポジウム「生物多様性が人類にとって必須である理由」が紹介された。11月13日に開催された生科連定例会議において本学会からも推薦状を提出していた小林武彦会員が次期(2021年1月より2年)の代表に再選されたことが報告された。
 続いて、小林武彦理事より、生科連の現在の活動状況について報告が行われた。
 

2)第43回(2020年)年会について
 上村匡第43回年会長より、PPT資料に基づきMBSJ2020 Onlineの準備状況の報告がなされた。

(ⅰ)事前参加登録状況:配付資料では3,208名(招待を除く)、本日(11/30)現在約3,600名となっている。≪最終的に当日参加を含め4,642名であった(2020.12.7/年会事務局集計)

(ⅱ)発表演題数:2,246演題(一般演題1,542、指定演題704)

(ⅲ)協賛収入:展示(NBRP等)93枠、広告20(プログラム集6頁、HPバナーが14社)、バイテクセミナー枠、その他シンポジウム前動画広告4社、特設サイトバナー9社の協力を得ることが出来た。協賛収入金額は計2,672万円となった。オンライン開催形式のなか、協力頂いた各企業に感謝したい。

(ⅳ)プログラムは以下のとおりである。
シンポジウム19テーマ、ワークショップ91テーマ、フォーラム29テーマ、ポスター1,542題(一般演題1,306題、LBA236題)、高校生研究発表18題(口頭+ポスター11題、ポスターのみ7題)、ショーケース発表件数10件(※ライフサイエンス・バイオサイエンスの研究者が持つ優れた研究シーズについて、共同研究、ベンチャー設立援助など、研究促進や事業化のためのパートナーとの出会いの場を設けた)

(ⅴ)組織委員会において検討を重ねた結果、MBSJ2020 Onlineでは次の方式(プラットフォーム)を採用した。

・シンポジウム・ワークショップ・フォーラム⇒Zoomウェビナーにてライブ配信.
セッション終了後はSpatialChatによるトークルーム“Meet the Speakers”で引き続きディスカッションを行っていただく。
(※シンポジウム・ワークショップの講演704題のうち383題については、事後のオンデマンド配信を行う)

・ポスター⇒視聴サイト上でポスターPDFを閲覧.
発表者自身が設定したZoomミーティングルームでライブディスカッション.
視聴サイトの質問掲示板やダイレクトメッセージ機能を用いて発表時間外のディスカッションも可能とした。

・高校生研究発表⇒口頭発表はZoomウェビナー.ポスター発表は一般演題と同様.

・附設展示⇒視聴サイトでのコンテンツ視聴(テキスト、画像、動画)+Remoによりライブ商談会を行う。

・ショーケース⇒Zoomウェビナーによるプレゼンテーション+SpatialChatによる質疑応答および交流会.

3)第44回(2021年)年会準備状況
 塩見美喜子第44回年会長より2021年の年会準備状況につき報告がなされた。

○会期:2021年12月1日(水)~3日(金)

○会場:パシフィコ横浜

○組織委員会:年会長塩見美喜子(東京大学)
組織委員長小林武彦(東京大学)
プログラム委員長 胡桃坂仁志(東京大学)
組織委員東山哲也(東京大学/名古屋大学)
組織委員岩崎由香(慶應義塾大学)

 本日、第44回年会のホームページが立ち上がり、公募シンポジウム・ワークショップ企画公募の受付を開始した。プログラムとしては、公募シンポジウムは最大18テーマ、公募ワークショップは最大101テーマを予定している。また公募ワークショップでは一般演題(ポスター)から複数演題を採択、ポスターセッションにはディスカッサー制を導入予定であることが説明された。その他プログラム全体として以下の内容を予定している。

・高校生発表

・市民公開講座(年会最終日の夕方に開催予定、演者:小林武彦、胡桃坂仁志)

・横浜ヒストリア企画(過去の横浜年会の年会長にインタビューした内容をまとめた小冊子の無料配布、会場には過去横浜で開催した年会のポスターや要旨集の展示コーナーを設置予定)

・富澤基金メモリアル企画(富澤基金若手研究助成事業全体の振り返り、受賞者の成果発表+メモリアルワークショップ、全10年分のポスター掲示など)

・バイオテクノロジーセミナー

・海外若手会員招聘企画

 続いて、公募シンポジウム・ワークショップ企画公募の募集要項等について報告された。会報11月号、年会HPでは、2021年1月29日締切と記載しているが、COVID-19の状況を考慮し、締切は2月末日に変更したいと考えている。さらに今後の状況をみて、さらなる応募締切延長の可能性もあることが説明された。臨機応変に対応したい。

4)第45回(2022年)年会準備状況
 深川竜郎第45回年会長より2022年の年会準備状況につき報告がなされた。

○会期:2022年11月30日(水)~12月2日(金)

○会場:幕張メッセ

○組織委員会:年会長深川竜郎(大阪大学)
副年会長永井健治(大阪大学)
組織委員長原田慶恵(大阪大学)
プログラム委員長甲斐歳惠(大阪大学)
組織委員神田元紀(理化学研究所)、須藤雄気(岡山大学)、
茂木文夫(National Univ. of Singapore)
プログラム委員石井 優(大阪大学)、岡田康志(理化学研究所/東京大学)、古寺哲幸(金沢大学)、立花 誠(大阪大学)、林久美子(東北大学)、坂内博子(早稲田大学)、廣瀬哲郎(大阪大学)、谷内江望(東京大学/Univ. of British Colombia)

○テーマ:『分子生物アゴラ~激論コロッセオ』
「議論できる学会」「生物物理との融合/異分野融合」「国際化/諸外国の学会との連携(特にアジアとの連携)」という3つの柱を念頭に、老若男女、上下の区別なく議論を通じて学問を深める年会を目指したい。

○開催方針・プログラム骨子
オンサイトとオンラインのハイブリッド開催の可能性も視野に入れて開催準備を進め、以下を予定している。

 ・プレナリーレクチャー:6講演程度(1日2講演×3日間)

 ・指定企画:20企画程度(うち10企画程度を生物物理学会とのコラボ企画とする)

 ・公募企画:80企画程度

 ・ポスター発表:デジタルポスターブースを10ブース程度設けて口頭発表希望者を募り、1題3分、1日200題程度のショートトークの開催を計画している。

○日本生物物理学会との連携について
標記について2019年7月、21期理事会にて持ち回り審議を行い、学会連携の覚書を交わしていることが深川年会長から説明された。有効期間は2022年1月から2023年12月までで、対象事業は2022年開催の大会(双方の大会において発表・参加資格を有すること.jointシンポジウムの企画等)と2023年開催の「国際生物物理会議(IUPAB 京都)」への学会協力である。

5)第46回(2023年)年会準備状況
 林茂生第46回年会長より2023年の年会準備状況につき報告がなされた。

○会期:2023年12月6日(水)~8日(金)

○会場:神戸国際会議場、神戸国際展示場、神戸ポートピアホテル

本年8月、開催地を神戸に決定し、事務局経由にて会場仮予約手続きを行った。8月末に神戸コンベンションビューロー担当者と面談を行い、現状の感染症対策、会場の通信事情等についてヒアリングを行った。2023年時点の感染症リスクがどうなっているか予測が難しいが、開催形式の第一候補としてハイブリッド形式を考えている。感染リスクを恐れる会員の意向に配慮した年会運営を心掛けたい。
オンサイト開催での安全性、研究機関等の出張ポリシーはどうなっているか、海外からの渡航制限の緩和状況、旅費を払って会場に出向くインセンティブをどう与えるか等々、検討課題が多いことの説明がなされた。年明け、組織委員会の立ち上げに着手し、開催骨子を策定していく予定である。
なお、9月に開催された第6回執行部会議において、パンデミック下における学会行事(年会を含む)すべてを網羅した開催方針策定の必要性について意見交換がなされた。パンデミック下における『年会(学会行事)の運営・開催ポリシー(ガイドライン)』を準備する方向での検討を、次期の22期理事会(22期執行部)への申し送りとしたいことが報告され、本合同理事会にて確認された。

6)理事選挙結果報告
 木村庶務幹事より第22期理事選挙結果の報告がなされた。2020年10月30日に開催された第22期新理事会準備会議において、白髭克彦氏が第22期理事長に選出された。

7)上村編集幹事より、配布資料に基づき、学会誌『Genes to Cells』の編集報告が行われた。
 2003年から2020年までのOnline投稿数の推移表、Online投稿数とAccept率(海外地域別円グラフ)が示され、編集状況の説明がなされた。2020 Cover Artが配付され、伝統絵画のなかに生命科学の遊び心を加えた本誌の表紙デザインは、10年目を迎えた今日でも高い評価を得ていることが報告された。表紙デザインに関するアイディアがあれば、ぜひ編集室または編集幹事までお寄せいただきたい。
 関連して出席理事より、Open Access ジャーナル「Plan S」の動向についての情報提供がなされた。本件に関係するGenes to Cellsの今後の対応であるが、先ずはすみやかに編集室と学会事務局にて、Wiley社の「Plan S」への対応・動向につき情報を集めることとしたい。

8)各種学術賞、研究助成候補への学会推薦状況について
 正井久雄賞推薦委員長より、2020年に本学会より推薦した各種学術賞候補者について報告がなされた。会員からの応募に対応し、本年は7種の学術賞推薦に関する委員会審査を行った。
 引き続き、吉森保研究助成選考委員長より、2020年の研究助成推薦状況と結果等について報告が行われた。山田科学振興財団研究援助ならびに東レ科学技術研究助成への学会推薦に際し、委員会審査を行った。

9)キャリアパス委員会報告
 胡桃坂仁志キャリアパス委員長より、配付資料に基づき委員会の活動内容が報告された。

①本委員会のミッション、委員会活動の流れ、これまでの年会企画、21期の委員会名簿が配られ、活動概要の説明がなされた。

②2009年から2020年までの年会における属性調査結果(女性比率の推移)が示された。学会員の男女比率、発表カテゴリー(一般演題、シンポジウム・ワークショップそれぞれのオーガナイザー、スピーカー)との関係、各カテゴリーにおける女性比率の比較、等々について説明がなされた。

③MBSJ2020 Onlineにおいては以下2企画のランチタイムセミナーを開催するので、理事各位においても積極的に参加いただきたい。
『あなたのその研究テーマ、続けますか?変えますか?』(年会初日/12月2日)
『海外へGo!?』(年会2日目/12月3日)

④本年9月、上記セミナー『あなたのその研究テーマ、続けますか?変えますか?』の当日ディスカッションの題材のための事前アンケートを行った。アンケート結果により貴重なデータ(回答者548名)を得たことが報告された。アンケート結果は学会HP・キャリアパス委員会年会企画ページで公開している。

10)研究倫理委員会報告
 中島欽一研究倫理委員長より、昨年の福岡年会初日に開催した研究倫理フォーラムの概要が紹介された。
 本年はCOVID-19の影響で研究遂行そのものが困難になっているという研究室もある。この状況下では研究倫理に特化した議論が難しいことなどから、8月開催の21期臨時理事会において、MBSJ2020 Online での研究倫理フォーラム実施は見合わせることを決定している。状況を判断しつつ、来年以降の研究倫理フォーラムをどうするか、内容・開催方法の検討を22期に申し送りたい。

11)富澤基金・基金運営委員会報告
 小原雄治基金運営委員長より、富澤基金による第10回(2020年)日本分子生物学会 若手研究助成結果につき報告がなされた。

(ⅰ)第10回応募の受付期間: 2020年1月15日~2月4日

(ⅱ)応募総数:131名(男性106名、女性25名 ※性別は名前からの推定による)

(ⅲ)選考:
・第1次審査:書類審査
・第2次審査:5月9日、12名のヒアリングをWEB会議形式で実施

(ⅳ)審査経過と第10回助成対象者:
 審査経過詳細については、会報126号(2020年6月号)に結果報告を掲載済みであるので参照されたい。第10回若手研究助成の助成対象者は以下の6氏である。

 ○岡本直樹(筑波大学TARAセンター/申請時の所属はカリフォルニア大学リバーサイド校昆虫学分野)
神経・内分泌系による発生過程における生得的行動調節機構の解明.
Elucidation of the neuroendocrine control of innate behavior during development.

 ○古藤日子(産業技術総合研究所生命工学領域生物プロセス研究部門)
アリの社会的な養育行動を介した表現型多型制御メカニズムの解明
Regulatory mechanisms of polyphenism via social nursing behavior in ants

 ○金 尚宏(東京大学理学系研究科生物科学専攻)
カルシウムクロック:概日時計の普遍原理の追求
Calcium clock: Exploration of universal mechanism of circadian clock

 ○田渕理史(Department of Neurosciences, Case Western Reserve University School of Medicine)
アルツハイマー病の治療標的探索に向けた睡眠剥奪依存的な神経細胞の過剰興奮機構の解明と制御
Control of Sleep Deprivation-induced Neuronal Hyperexcitability for Alzheimer's Disease Pathogenesis

 ○藤井壮太(東京大学大学院農学生命科学研究科)
植物の生殖初期過程における同種選択の分子メカニズム
Understanding the molecular mechanism for sexual selection in plants

 ○星野歩子(東京工業大学生命理工学院/申請時の所属は東京大学IRCN)
がんにおけるエクソソームのプロテオミクス:がん診断バイオマーカーの解析
The exosomal protein in cancer as a biomarker potential

 第1回からこの間、延べ1,197名の応募をいただき、合計50名を助成してきたが、人数の制限から助成に至らなかった方、ヒアリングに呼べなかった方にも多くの優れた研究計画があったことが報告された。本助成は今回の第10回で終了となるが、本事業の審査基準に合うような個性に裏打ちされた独自性の高い研究を追求されることを、特に若手に期待したい。
 第10回助成の贈呈式はMBSJ2020 Online会期2日目夜に開催されるのでぜひ参加いただきたい。来年の第44回横浜年会会期中に富澤基金若手研究助成事業全体を振り返るメモリアルイベントを企画中であることが報告された。

12)第9回(2021年)国際会議支援選考結果報告
 石川冬木国際会議支援選考委員長代理、荒木弘之委員より、第9回目となる国際会議支援についての選考結果について報告された。本年の応募は6件で、選考委員会における慎重な審査を経て、理事長承認のもと、以下の会議が採択された。

≪会議名称≫
(和文)第10 回MDM2 国際ワークショップ
(英文)10th MDM2 International Workshop

開催責任者:大木理恵子(国立がん研究センター研究所・独立ユニット長)
会  期:2021年9月26日(日)~29日(水)
会  場:国立がん研究センター 新研究棟
助成金額:250万円

≪会議名称≫
(和文)第11回国際分裂酵母会議
(英文)The 11th International Fission Yeast Meeting(Pombe 2021 Hiroshima)

開催責任者:登田 隆(広島大学大学院統合生命科学研究科・特任教授)
会  期:2021年6月6日(日)~11日(金)
会  場:JMSアステールプラザ広島(広島市)
助成金額:250万円

13)生命科学教育について
 胡桃坂仁志担当理事より、配付資料に基づき、高校などへの2020年の講師派遣の状況が報告された。本年2月以降は、COVID-19の影響下であることに鑑み講師派遣の実施を控えていたが、徐々に派遣依頼が寄せられるようになったためマッチングを再開している。
 年会における高校生研究発表会については、MBSJ2020 Onlineにおいて最終日夕刻にWEBにて開催する。ポスター発表18演題、口頭発表11演題、参加校20校、参加者102名の予定であり、口頭発表は五島剛太委員が座長を務める。理事各位においても積極的に参加いただきたい。

14)その他

(ⅰ)文科省ロードマップ2020掲載研究計画「ヒューマングライコームプロジェクト」について生科連が賛同書を発行する件
 阿形理事長より、11月25日付にて生科連から標記に関しての賛同書を発行してよいかどうかの諾・否を求められていることが報告された。続いて小林理事(生科連代表)より今回の経緯、研究概要、生科連・運営委員会での検討状況について説明がなされた。
 討議の結果、本件については、後日あらためて21期理事にて投票(持ち回り審議)を行い、その上で学会対応を決めることとなった。(※投票の結果、賛成多数となり、生科連あて12月9日付にてその旨の回答を行った。その際、若干名の理事から寄せられた付帯意見もあわせて提出した。)

(ⅱ)木村庶務幹事より、第43回通常総会の議事進行と報告担当者の確認、さらに第10回富澤基金贈呈式の式次第の確認がなされた。
 

2.審議事項
 

1)令和2年度(2020年度)決算承認の件
 三浦正幸会計幹事より令和2年度活動計算書の収支について詳細説明がなされた。決算処理の結果、本年は4年ぶりの685万円の赤字決算となったことが報告された。
 赤字になったポイントは3つあり、1点は会費収入が前年に比べ700万円減であったこと(43回年会演題の応募減に連動し、本年8~9月の新入会者数、会費納入率も減となっている)、2点目は昨年10月からの消費税値上げに伴う経費支出の増、もう1点はオンライン年会対応のため、演題募集要項配布のための会報臨時号(2020年8月号)を発行するにあたり約202万円(印刷代93万円、送料109万円)が掛かったことがあげられる。上記のマイナス要因を合計すると1,300万円近くになるが、第42回福岡年会の大幅黒字によって、結果として赤字幅は685万円に収まったといった決算内容である。
 経常費用に関しては、事業費・内訳別収支について詳細説明がなされた。さらに富澤基金の決算についても報告が行われた。本決算においては、法人の地方税、消費税で約301万円を納めており、税務処理については顧問契約を交わしている税務専門家の指示のもと、収益事業部分の法人確定申告を行った。
 本決算は10月26日に宮城秀敏公認会計士の監査を受け、さらに同年11月6日に学会事務所において小安重夫監事による監査会を実施、その後資料郵送により11月10日に町田泰則監事による会計監査を受け、配付資料のとおりの監査報告書が提示されている。
 続いて小安監事より11月6日に会計監査を実施し、監査報告書に記載したとおり、帳簿ならびに会計証憑類は正確に整えられており、各金融機関の通帳と残高証明書を確認し、同決算を認めたことが報告された。なお、現状の内部留保(次期繰越金2億540万円)から見て直ちに対処を検討する状況ではないだろうが、コロナ禍での会費収入の動向(会員数の増減)、今後の年会収支等について注視しておく必要があることを事務局に申し伝えたことが報告された。
審議の結果、本決算は理事会で承認され、第43回通常総会に諮られることとなった。

2)令和3年度(2021年度)活動予算書承認の件
 三浦会計幹事より、令和3年度活動予算書と同活動予算・事業費の内訳について詳細説明が行われた。
 前年決算の実績をふまえて各科目を微調整している。COVID-19により完全オンライン形式となったMBSJ2020 Onlineの年会収支が本2021予算に反映されることが報告された。会費収入等をどこまで回復できるか予測がむずかしい点もあり、パンデミック対応の特別編成予算となっている。新しい項目としては財政再建のため、あらたに学会本体(会報と学会HP)に広告収入(事業収入)150万円を計上した。Genes to Cellsの出版収入は為替レートの予想が難しいが、ほぼ例年どおりの金額を計上している。
 以上で試算した1次案は当期収支△1,678万円となっており、同案をもとに種々の意見交換がなされた。印刷物等、支出経費の検討も重要である。続いて三浦会計幹事より、例年500万円を組んでいる「国際会議支援事業」(⇒2021予算対応:「第10回(2022年)国際会議支援」)であるが、COVID-19の状況を考慮しての一時的な休止あるいは減額が提案され、審議された。今後、応募される国際会議企画自体もオンラインが増えてくる可能性もあり、本学会の国際化方針を継続していくためにも、予算を減額しても本事業(オンライン支援を含む)そのものを継続していく意味は大きいとの意見が出席理事より提出された。討議の結果、同事業の予算としては200万円を計上することとなった(それにともない、第10回(2022年)国際会議支援の募集要項を修正することとなる)。また本年のEMBO企画対応(2020.12.5 サテライトシンポジウム)は本予算では考慮しないことが確認された。
 審議の結果、1次案を一部修正し、法人として当期収支△1,328万円の予算案を決定した。同予算を第43回通常総会に諮ることとした。
 関連して、昨年の定例理事会(福岡)で話題となった内部留保の資産運用について確認がなされた。これについては本年1月、福田事務局長が公認会計士に確認を取っており、以下のコメントを預かっていることが説明された。

(1)資産運用会社などの金融のプロに依頼してもリスク(元本割れ)はある。かつ手数料は高額である。

(2)損失が出た場合、定款でいうところの役員(つまり理事会)に責任が生じるが、そもそも営利企業の常勤役員と違って、学会(非営利の学術団体)のような組織の理事会(非常勤/無報酬)にはなじまないのではないか。

(3)資産運用は学会の本来事業ではないこと。

(4)企業の役員会には相応の任期があり、健全経営(利益)を進めていくことが、課せられているが、学会の理事会は(分子生物学会の理事会は)、任期が2年であり、この任期態勢での資産運用は難しいのではないか。

(5)あくまで学会の場合は、会費収入、学術年会参加費等が主たる収入源であるので、預貯金をファンド等の債券保有に切り替えることは、理事会議決、総会議決が必須となる(会員の同意が必要)。

(*以上により顧問会計士としては、ファンド等による資産運用には賛成しにくい。宮城公認会計士が特に協調されていたのは(3)(4)であった)

 最後、阿形理事長より内部留保の資産運用は考えていないことが報告された。

3)第47回(2024年)年会長について
 阿形理事長より、第47回年会については、年会長を東京工業大学科学技術創成研究院・木村宏会員に依頼したいことが諮られ、承認された。
 続いて、木村氏(21期理事)より東工大メンバーの協力を得ながら鋭意準備にあたりたいとの挨拶がなされた。

4)第22期理事会の体制、各幹事、各種委員会委員長・委員の委嘱について
 白髭克彦第22期理事長より、役員・幹事・各委員会名簿(案)が配付され、調整中であるキャリアパス委員会構成を除いて、原案どおりに承認された。22期のキャリアパス委員会は12月中には決定できる予定である。研究倫理委員会については理事4名のほか、一般会員からの外部委員1名を特別委員として追加したいとの提案がなされ、了承された。集会幹事は、22期理事会任期に合わせ、2021年塩見年会長と2022年深川年会長に入ってもらうこととなった。

5)第22期監事候補の選任
 阿形第21期理事長から、第22期の監事候補として荒木弘之会員、石野史敏会員が推薦され、承認された。監事については第43回通常総会で承認を得た後、正式選任となる。

6)第22期副理事長の選任
 木村庶務幹事より副理事長選出に関する細則の説明がなされ、その後、22期出席理事により投票(オンライン会議のため、メール添付形式にて事務局へ投票)が行われ、副理事長として、杉本亜砂子氏と水島昇氏が選任された。

7)事務局の体制について(現事務局長の定年対応等)
 阿形理事長より、8月開催の21期臨時理事会にて出席理事より事務局の強化・現事務局長の定年対応(雇用延長の可能性等)について、早めに検討に着手したほうがよいとの意見があったことが報告された。その後9月に開催された執行部会議において、執行部では以下の方針を決定し、福田事務局長の内諾を得たことが報告された。

・規程に基づき、福田氏は2023年3月末で定年退職となる(*就業規則による定年は満65歳に達した最初の3月31日/定年そのものの延長は行なわない)。その後、嘱託職員として再雇用し、2年程度、事務局業務に当たってもらいたい。(雇用契約期間はあくまで1年単位とし、それを1回延長して計2年間、事務局業務に当たってもらいたいと考えており、要請の結果、本人の内諾を得た)

 続いて、阿形理事長より21期執行部で策定した「嘱託職員就業規則」(案)の詳細説明がなされた。規則案の14条(期間)と15条(給与/定年退職時の年収の6割以下とする)について出席者より意見が提出され、細部の確認作業については、22期執行部へ申し送られた。同時に早い段階で、事務局は同規則に不備がないか専門家(学会顧問の会計事務所/社会保険労務士)の確認を取ることとなった。事務局関係の規則も所管の労働基準監督署に提出されるので法令遵守にて対応したい。

8)21期から22期への申し送り
 阿形理事長より22期理事会へ以下5点について申し送りと退任の挨拶がなされた。

(1)パンデミック下における『年会(学会行事)の運営・開催ポリシー(ガイドライン)』を準備する方向での検討を22期理事会(22期執行部)へ申し送りたい。

(2)サイエンスコミュニティーの中でのボトムアップの役割(学術会議や生科連との関係を含む)

(3)印刷費等支出経費の検討

(4)学会国際化の継続

(5)事務局の強化

 続いて、白髭22期理事長より、サイエンス全般のこの変革期に本学会がどのように対応していったらよいか尽力したいとの挨拶がなされた。22期理事会、22期執行部の方々には協力をいただきたい。

9)その他

・日本生態学会との連携について
 杉本亜砂子理事(20期理事長)より、2018年に分子生物学会は日本生態学会と学会連携の覚書を交わし、2年間、双方の大会に両学会会員資格にて発表・参加できるといった学会連携協力を行ってきた。本年3月の生態学会名古屋大会は新型コロナウイルス感染拡大防止のため残念ながら開催中止となったが、2年間、双方の大会で合同企画ワークショップなどを開催し、両学会の人材交流にもつなげることが出来たことが報告された。協力いただいた理事会関係者に御礼を申し上げたい。
 

 上記、第21期・第22期 合同理事会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。

2020年11月30日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第21期・第22期 合同理事会

議    長  阿 形 清 和

議事録署名人  塩 見 美喜子

議事録署名人  深 川 竜 郎