特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第22期第3回理事会記録

日 時:2021年11月29日(月)13:30~17:10

場 所:オンライン開催(Zoom)

出席者:白髭克彦(理事長)、水島 昇(副理事長/2026年会長)、杉本亜砂子(副理事長)、深川竜郎(2022年会長)、原 英二(広報幹事兼)、東山哲也(会計幹事兼)、一條秀憲、見學美根子、小林武彦(2025年会長)、倉永英里奈、中川真一、中山潤一、斉藤典子、斎藤通紀、佐谷秀行、塩見春彦、塩見美喜子(2021年会長)、田中啓二、泊 幸秀、上村 匡(編集幹事兼)、吉森 保、吉村昭彦、荒木弘之(監事)、石野史敏(監事)、木村 宏(庶務幹事/2024年会長)、岡田由紀(庶務幹事)、林 茂生(国際化担当幹事/2023年会長)、以上27名

欠席者:粂 昭苑、小安重夫、近藤 滋、佐々木裕之、仁科博史、丹羽隆介、本橋ほづみ、吉田 稔、以上8名

事務局:福田 博(記録)、金子香奈里、並木孝憲、山口恵子
 

本理事会成立について:
 木村宏庶務幹事より、理事22名、監事2名、幹事3名が出席し、委任状8名(理事)を受理しており、本理事会は細則第4章第8条により成立する旨報告された。
 

議事録署名人の選任について:
 白髭克彦理事長より、議事録署名人として、泊幸秀理事と深川竜郎理事が指名され、承認された。
 

議 事:

1.報告事項

1)執行部報告

・理事長報告

①会報2021年11月号、2022年2月号のPDF化の件
 第2回執行部会議(2021.10.11)にて、収支改善のため会報11月号と来年2月号の印刷冊子を取りやめ、PDF版発行にすることを決定した旨報告された。それにより、印刷代、郵送料(第44回年会プログラム集冊子の発送も取りやめている)の合算で約474万円の経費節約となる。

②大学附置研共同利用・共同研究拠点 サポートレター発行報告
 大学附置研・共同研究拠点申請に際し、いくつかの附置研より学会サポートレター発行の要望があった。執行部では過去の取り扱いに準じ、以下のように対応した。


 1.要望提出書類を執行部の5名(白髭理事長、杉本副理事長、水島副理事長、一條理事、原理事)で投票審査.

 2.5名全員が賛同した場合、要望書(学会サポートレター)を提出.

 3.木村庶務幹事、岡田庶務幹事が分担して要望書を作成.

 4.事務局より依頼元へ公文書を発行.


  2020年12月から2021年2月までに15施設から要望があり、審査の結果、今回は全施設にサポートレターを発行した。

・海外との連携状況について
 白髭理事長、林茂生国際化担当幹事より、海外との連協状況について説明がなされた。

【EMBO関係】
MBSJ2021(第44回横浜年会)での連携企画について、塩見美喜子年会長より以下の企画が予定されていることが説明された。

●EMBO-Japan Virtual Lecture
How do piRNAs defend the germline genome from invasive transposons?
日時:12月1日(水)15:45~18:15
会場:第11会場(パシフィコ横浜 4F 414+415)・オンライン

●EMBO-MBSJ合同フォーラム:EU留学と若手キャリアアップ
EMBO-MBSJ Forum for Early Career Researchers:
International Mobility and Exchange Opportunities for Japanese Early-Career
Researchers:Experiences from Europe
日時:12月1日(水)19:15~20:45
会場:第11会場(パシフィコ横浜 4F 414+415)・オンライン

●Poster Discussion by EMBO Press
日時:12月1日(水)、2日(木)、3日(金)の14:30~15:30(それぞれ異なるグループで開催)
会場:オンライン(Zoomミーティング)
参加者21名から2名にEMBO Reports Poster Awardが受賞される予定である(*受賞者が決定し、年会HPでは発表された)。

 引き続き、林国際化担当幹事よりEMBO関係の広報協力(学会HPに案内を掲載)について報告が行われた。

・EMBO / Japan Virtual Lectures(3/2, 5/11, 6/22, 8/31, 12/14)

・EMBO Workshop 2021(11/23-26 Hybrid)
“Bacterial Membrane Vesicles –Biogenesis, functions and medical applications-”

【KSMCB関係】
 KSMCB(韓国分子細胞生物学会)との連携状況について、林幹事より以下の説明がなされた。

・KSMCB2021(11/3-5)にMBSJメンバー(3名)が招待され、白髭理事長、岡田庶務幹事、林国際化担当幹事がオンライン参加を行った。

・MBSJ2021(12/1-3)には、KSMCBメンバー(3名)を招待(オンライン参加)している。

【ASCB関係】
 MBSJ2022(幕張)では、ASCBとのコラボレーション企画を考えている旨、深川竜郎2022年会長より説明がなされた。
 続いて、白髭理事長よりEMBO等への海外対応に関係して、国の諸機関などへの交渉状況について詳細説明がなされた。

・会員現況
 木村庶務幹事より、2021年11月1日現在の会員数につき以下のとおり報告がなされた。

名誉会員0名
正 会 員8,265名(海外在住146含む)
シニア会員88名
次世代教育会員13名
学生会員3,737名(海外在住55含む)
賛助会員22社 
合 計12,125名(前年11月対比、-116)
(*上記以外に所定の手続きによる休会者68名あり)

・ホームページについて
 原英二広報幹事より学会ホームページの運用状況について説明が行われた。2021年度中に393件の記事を掲載した。記事の内訳、Facebookフォロワーの年齢分布の図が提示された。また収支改善の一環として、2021年2月より学会本体のHPにもバナー広告を掲載していることが報告された。

・生物科学学会連合について
 木村庶務幹事より生科連の活動状況につき報告がなされた。

①12月18日開催の公開シンポジウム「気候変動が生物多様性に与える脅威」が紹介された。

②生科連のDORA(研究評価に関するサンフランシスコ宣言)署名について
 生科連がDORA署名することについて、分子生物学会として賛同するか否かの意見提出を求められていることが報告された。続いて、小林武彦理事(生科連・代表)より当日資料「論文発表に関する最近の事情と業績評価のあり方、そしてDORA署名について」に基づいて詳細説明がなされた。
 審議の結果、生科連がDORA署名することに賛同する.と回答することとした。
 続いて、出席理事よりDORA署名については、学会としても前向きな対応を検討すべきとの意見が提出された。本理事会では時間的都合もあり、学会としての対応についてはあらためて検討することとした。

2)第44回(2021年)横浜年会準備状況
 塩見美喜子第44回年会長より、配布資料に基づき準備状況の詳細報告がなされた。一般演題投稿数はLate-breaking を含め2,434題、そのうち168演題が公募ワークショップに採択された。一般演題数は昨年より900題強増えており、コロナ禍ではあるが復調にある。
 プログラムとしては、シンポジウム27テーマ、ワークショップ89テーマ、フォーラムが14テーマ、高校生研究発表も25題(口頭+ポスター15題、ポスターのみ10題)となり、その他の企画として以下のプログラムを準備することが出来た。また、年会特別企画「緊急フォーラム‼我が国の研究基盤の活性化への挑戦」が開催されることが紹介された。

・EMBO-MBSJ企画(EMBO-Japan Virtual Lecture/EMBO-MBSJ合同フォーラム、
 Poster Discussion by EMBO Press)

・富澤基金メモリアル企画(特別ワークショップ/
 歴代若手研究助成対象者によるポスター発表)

・横浜ヒストリア企画(展示コーナー/現地参加者への小冊子配布)

・市民公開講座『生命科学研究を職業にする』

 事前参加登録は最新の情報(11/26正午時点)では5,025名(現地参加 60-70%を想定)となっており(*最終的に参加者合計は6,554名(70%がオンサイト参加)であった)、理事会関係者におかれては、ぜひ当日参加を促してほしいとの協力依頼がなされた。また、企業展示は最終的に206小間となり、こちらもだいぶ復調の兆しがみえてきた。
 本年会は、オンサイトを基軸としたハイブリッド形式となり、本学会での初めての試みとなる。全プログラムのオンライン参加を可能にするとともに、現地に来場する参加者の感染対策として、嘉糠洋陸会員(東京慈恵医大)の協力により、以下の感染症対策を講じている。

・安心ステッカー(ワクチン接種済みまたはPCR検査陰性を示す書類等を提示できる現地参加者を対象に発行.ステッカーの所持者には展示会場でドリンクもしくはスナックと交換できるチケットを提供)

・抗原検査(事前申込により、約300名が会場で抗原検査を受けられるサービスを提供)

・その他(施設入口でのサーマルカメラによる検温実施、飛沫感染防止グッズの導入、消毒液の設置、会場備品等の消毒、会場内換気、講演会場内の収容人数変更(約50%)、参加者・スタッフの体調管理(発熱や体調が優れない場合には来場しない)およびマスクの着用や手指消毒の徹底など)

 明日からの年会運営に際し、理事各位のご協力をお願いしたい。

3)第45回(2022年)年会準備状況
 深川竜郎第45回年会長より2022年の年会準備状況につき報告がなされた。

○会期:2022年11月30日(水)~12月2日(金)

○会場:幕張メッセ

○共催:日本生物物理学会
※生物物理学会会員は分子生物学会会員と同じ資格で年会に参加可能

○演題登録期間:2022年7月1日(金)~7月29日(金)※予定

○事前参加登録期間:2022年7月1日(金)~10月7日(金)※予定

○テーマ:分子生物アゴラ~激論コロッセオ
「議論できる学会」「生物物理との融合/異分野融合」「国際化/諸外国の学会との連携」
の3つの柱を念頭に、老若男女、上下の区別なく議論を通じて学問を深める年会を目指す

○開催方式:基本的にオンサイト開催を予定 (状況によって一部プログラムをオンラインで開催するなど柔軟に対応していく)

○年会組織:

 組織委員:年会長   深川竜郎(大阪大学)
副年会長  永井健治(大阪大学)
組織委員長 原田慶恵(大阪大学)
プログラム委員長 甲斐歳惠(大阪大学)

組織委員  樺山一哉(大阪大学)、神田元紀(理化学研究所)、須藤雄気(岡山大学)、野間健太郎(名古屋大学)、茂木文夫(北海道大学)

 プログラム委員: 石井優(大阪大学)、林久美子(東北大学)、岡田康志(理化学研究所/東京大学)、坂内博子(早稲田大学)、古寺哲幸(金沢大学)、廣瀬哲(大阪大学)、立花誠(大阪大学)、谷内江望(東京大学/Univ of British Columbia)

 11月初めに開催した組織委員会で検討した結果、年会収支を考慮、参加者の利便性向上のための施策費用を捻出するため、第45回年会の参加登録費を以下のように設定したことが報告された。

・正会員→事前:15,000円/後期・当日:20,000円

・学生会員→事前:3,000円/後期・当日:4,000円

・学部学生→事前/後期・当日共に無料

・非会員(発表なし)→事前:20,000円/後期・当日:25,000円

・非会員(発表あり)→事前:30,000円 

・展示会のみの参加者→5,000円

*「1回限りの発表ありの非会員」は、今回あらたに設置されたカテゴリーである。

 続いて、予定されている3つのプレナリーレクチャーとシンポジウム10企画について報告が行われた。11月26日に本年会のHPが公開され、ワークショップ企画公募が開始された。WSの公募は、2022年1月31日(月)を締切とし、150分の時間枠で45テーマ 、135分の時間枠で最大55テーマ程度を採択予定である。新たな試みとして、今回は「一人一演題の制限」を廃止したことが説明された。また、指定演者のうち少なくとも30%程度は女性講演者としていただくことを応募条件としている。講演言語はオーガナイザーに一任(海外演者がいる場合は英語)、全演題にPowerPointの英語キャプション導入を検討中であることが報告された。
 その他、一般演題はポスター発表とワークショップでの採択に加えて、ショートトークを予定している。ASCBとのコラボレーション等も鋭意企画中である。

4)第46回(2023年)年会準備状況
 林茂生第46回年会長より2023年の年会準備状況につき報告がなされた。

○会期:2023年12月6日(水)~8日(金)

○会場:神戸国際会議場、神戸国際展示場、神戸ポートピアホテル

○組織委員:年会長   林 茂生(理化学研究所)
組織委員長 榎本秀樹(神戸大学)
プログラム委員長 平谷伊智朗(理化学研究所)
組織委員 岡田由紀(東京大学)、川口喬吾(理化学研究所)、久保郁(国立遺 伝学研究所)、宮道和成(理化学研究所)

 コロナ禍での年会開催を経て蓄積された知見をもとに、オンサイト・オンライン・ハイブリッド開催のメリットやデメリットを踏まえ、それぞれの特性を活かしながら、コストを抑えつつ、参加者の満足度を最大限に高め、若い世代も取り込むことができるような新しい年会のかたちを目指したい。通常の現地開催の会期の前に、完全オンラインセッションの開催期間を設けることを検討中である。参加者の交流を深める工夫の一つとして、オンライン要旨閲覧システムにAIを用いたリコメンド機能を搭載することも構想中である。

5)第47回(2024年)年会準備状況
 木村宏第47回年会長より2024年の年会準備状況につき報告がなされた。

○会期:2024年11月27日(水)~29日(金)の三日間
(*今春、マリンメッセにB館が新設されたため、福岡でも会期3日間の開催が可能となった)

○会場:福岡国際会議場、マリンメッセ福岡A館・B館

○組織委員:年会長   木村 宏(東京工業大学)
副年会長  粂 昭苑(東京工業大学)
組織委員長 岩﨑博史(東京工業大学)
プログラム委員長 松浦友亮(東京工業大学)

 口頭発表は、①会場でのリアル講演、②リアルタイム視聴、③オンデマンド事後配信(1週間程度)を想定している。海外若手発表コーナー(仮)と題し、オンラインでの発表を希望する海外在住者用の発表機会を提供したいと考えている。年会国際化の観点から時差を考慮したプログラム編成、また、休憩スペースの拡充など鋭意検討中である。今夏、複数の運営会社によるプレゼン・ヒアリングを実施したが、2021横浜年会の運営状況をふまえ、来年の早い時期に再度のヒアリングを行うなどして運営会社を決定する予定である。

6)第48回(2025年)年会について
 小林武彦第48回年会長より2025年の年会について報告がなされた。まずは開催地(会場)の検討であるが、会場費用・値引き交渉等を進めながら決定していきたい。横浜開催の可能性も残していることが報告された。

7)第49回(2026年)年会について
 水島昇第49回年会長より2026年の年会について報告がなされた。本年6月開催の臨時理事会にて日本生化学会との合同大会形式(BMB)となることを認めていただいているが、生化学側の大会長は12月下旬の理事会で選出される予定とのことであるので、あらためて進捗状況をご報告したい。

8)上村匡編集幹事より配布資料に基づき学会誌『Genes to Cells』の編集報告が行われた。
 2003年から2021年までのOnline投稿数の推移表、Online投稿数とAccept率(海外地域別円グラフ)が示され、編集状況の説明がなされた。2021年の投稿数は260報であるが、そのうちかなりの割合がpaper millであり、実際の掲載論文数は横ばいであるとの詳細説明がなされた。この問題に関係しては、のちほど中山潤一研究倫理委員長より今年の研究倫理委員会セミナーの内容を紹介いただく予定であるので、理事会関係者においてもぜひ参照されたい。
 続いて、2021年の Cover Art資料が配付された。伝統絵画のなかに生命科学の遊び心を加えた本誌の表紙デザインは、11年目を迎えた今日でも高い評価を得ていることが報告された。本横浜年会展示会場では、2年ぶりにカバーアートタペストリーを展示しているのでぜひご覧いただきたい。表紙デザインに関するアイディアがあれば、編集室または編集幹事までお寄せいただきたい。

9)各種学術賞、研究助成候補への学会推薦状況について
 泊幸秀賞推薦委員長より、2021年に本学会より推薦した各種学術賞について報告がなされた。引き続き、一條秀憲研究助成選考委員長より、2021年の研究助成推薦状況と結果等について報告が行われた。

10)キャリアパス委員会報告
 斉藤典子キャリアパス委員長より、配付資料に基づき委員会の活動内容が報告された。

①これまでの年会企画(2013-2020)、22期の委員会名簿が配られ、活動概要の説明がなされた。

②本年会においては以下2企画のランチョンセミナーを開催するので、理事各位においては積極的に参加いただきたい。

1.『若い頃・大学院の頃にやっておくべきことは?』(会期初日/12月1日)

2.『文科省・若手官僚もの申す!
~AirBridgeと考える博士号の価値と活かし方~』(年会2日目/12月2日)
(*1の事前アンケート(2021.8.6-27)には587名の回答を得た)

③第44回年会における属性調査結果より、「バランスの取れた研究環境を築くために~年会における演題発表者等の属性調査~(女性比率の推移表)」が作成され、学会HPでも公表している。本学会会員の会員種別別の男女比率、発表者(シンポジウム、ワークショップ、一般演題)が決まるプロセスの違い、等々について詳細説明がなされた。
 続いて、日本の女性研究者の現状と女性研究者を増やすために取られてきた施策について取りまとめた英語論文の訳著「なでしこ再訪」がWiSJ(Women in Science, Japan)のウェブサイトに掲載されたことが紹介された。原文はEMBO Report(2021)に掲載されており、分子生物学会の男女共同参画への取り組み、WiSJ(Women in Science Japan)の活動内容等にもふれている。

11)研究倫理委員会報告
 中山潤一研究倫理委員長より今年の研究倫理ランチョンセミナーの内容について報告が行われた。今年は夜のフォーラム枠ではなく、会期3日目のランチタイムに開催する。理事会関係者においてもぜひ参加いただきたい。

○研究倫理委員会企画・研究倫理ランチョンセミナー

『私たちはどのように自分の論文を発表すべきなのか?:変化しつつある学術雑誌の動向を探る』

日時:2021年12月3日(金)11:30~12:45(75分)※年会3日目(最終日)

・講演1 Plan Sとオープンアクセスの方向性(Matthew Lane/ Oxford University Press日本支社)

・講演2 組織的にニセ論文を「製造」しているpaper mill(湯浅 達朗/ Genes to Cells編集室)

講演終了後、演者2氏、研究倫理委員全員と白髭理事長の登壇により、パネルディスカッションを行う。

 続いて、本学会あてに日本技術士会より研究倫理に関する取り組みについての執筆依頼があったことが報告された。白髭理事長に相談し、日本技術士会誌 月刊『技術士』技術者倫理シリーズへ「日本分子生物学会の研究倫理に関する取り組み」(中山潤一、白髭克彦)として寄稿したことが紹介された。研究倫理委員会設置の経緯やこれまでの足跡を振り返り、分子生物学会が関わった過去の不正問題を取り上げるとともに、学会の倫理要綱や研究者の倫理教育のために行ってきた本委員会の取り組みについて原稿をまとめた。同記事は日本技術士会誌2021年12月号に掲載され、後日、分子生物学会HPにも掲載(転載)予定である。

12)富澤基金メモリアルイベント(2021横浜)について
 林茂生第3期基金運営委員会副委員長より、2021横浜年会にて、10年間の若手研究助成事業全体を振り返るメモリアルイベントを開催することが報告された。以下2点の企画を実施するので、ぜひ参加いただきたい。

(ⅰ)特別ワークショップ
『若手研究者が拓く生命科学の新時代:富澤純一・桂子基金に支えられた10年間』
New Era of life science pioneered by young researchers:
Ten Years of support through Tomizawa Jun-ichi & Keiko Fund
○日時:2021年12月2日(木)17:30~19:25
○会場:第11会場
オーガナイザー:丹羽隆介(筑波大/司会)、坪内知美(基生研/司会)、小原雄治(遺伝研)、林茂生(理研)
演者:久原篤(甲南大/第1回助成)、宮成悠介(金沢大/第4回助成)、進藤麻子(熊本大/第5回助成)、田尻怜子(東大/第7回助成)、星野歩子(東工大/第10回助成)

(ⅱ)歴代若手研究助成対象者によるポスター発表コーナーの設置
第1回~第10回の助成対象者50名にポスター発表を依頼した。ポスターは会期中を通して横浜会場内の特設コーナーに掲示される(横浜会場:35名、オンライン:12名)。
ポスターセッションは会期2日目(12月2日)13:00~15:30に行われる。

13)国際会議支援・選考委員会報告
 小林武彦国際会議支援・選考委員会委員長より、第10回(2022年)募集については当初締切日(2021年3月31日)において応募がなく、期限を1カ月延長しHP広報等を行ったが応募がなかったことが報告された。
 第11回(2023年)の募集は、2023年1月~12月に開催計画のある国際会議が応募対象となり、2022年1月より申請を受け付ける予定である(締切は2022年3月31日)。新型コロナ感染症(COVID-19)の状況を考慮し、第11回についても募集要件は本年と同様とする旨説明された。

14)生命科学教育(高校などへの講師派遣の状況)について
 塩見春彦担当理事より配付資料に基づき、2021年の高校などへの講師派遣の状況、および2021横浜年会における高校生研究発表会の状況(過去9回の実績と本年会の発表予定)について報告がなされた。今年はハイブリッド形式であるが、順調に応募があり122名の参加予定者数(高校生と引率教員/122名のうち44名はWEB参加)となっており、岩崎渉生命科学教育担当委員とキャリアパス委員にディスカッサーとして協力いただく予定である。

≪第44回年会における高校生研究発表会:発表件数は次のとおり≫
・口頭発表15演題・ポスター発表25演題(うち7演題はWEB発表)・参加校21校(うち5校はWEB参加)
 

2.審議事項

1)令和3年度(2021年度)決算承認の件
 東山哲也会計幹事より令和3年度活動計算書の収支について詳細説明がなされた。決算概要であるが、前期繰越正味財産額2億542万円に対し、次期繰越正味財産額は1億9,933万円といった約609万円の赤字決算(繰越金減)となった。
 赤字となった主たる理由は、昨年の第43回年会(MBSJ2020 Online)への収支補填(年会決算への補填金は約545万円)である。ただし、①前年に比べ会費収入が復調、納入率も上がったこと、②『Genes to Cells』の出版社からの総利益折半の精算が順調であったこと(精算時の為替レートも円安であった)、③収支改善のため今期より開始された学会本体ホームページの広告収入115万円が計上されたこと、④赤字決算となったため、138万円の消費税還付金を受けたこと、⑤国際会議支援事業への応募がなく支援金支出が0であったこと、以上の会計状況により、昨年の理事会・総会で編成されていた当初予算(1,328万円の赤字予算)に比べて、赤字幅は約719万円縮小することが出来た。
 さらに、事業費の内訳表に基づき、各事業科目別の収支についても説明がなされた。
 本決算は本年10月29日に宮城秀敏公認会計士の監査を受け、さらに同年11月9日に荒木弘之監事、石野史敏監事による会計監査を受け、配付資料のとおりの監査報告書が提示されている。
 続いて、荒木監事より11月9日に学会事務所において、石野監事と共に会計監査を実施し、監査報告書に記載したとおり、帳簿ならびに会計証憑類は正確に整えられており、各金融機関の通帳と残高証明書をすべて確認し、同決算を認めたことが報告された。
審議の結果、本決算は理事会で承認され、第44回通常総会に諮られることとなった。

2)令和4年度(2022年度)活動予算書承認の件
 東山会計幹事より、令和4年度活動予算書と同活動予算・事業費の内訳について説明が行われた。
 令和4年度予算は、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けるなかでの2021横浜年会収支(ハイブリッド形式に伴う運営経費の増/企業協賛収入の減)が反映されており、いわばパンデミックへの特別対応的な予算編成になっていることが説明された。
 次年度も会費収入は比較的順調であろうと見込んでいる。年会収支以外のその他の各種事業科目、管理費科目は、前年決算の実績額をふまえ、数字を反映させている。会報に関しては、2022年会お知らせの詳細情報が掲載される2022年6月号を除き、2021年11月号と2022年2月号をPDF版発行に切り替えることで、印刷費と通信運搬費で約474万円を節約している。国際会議支援(対象は2023年開催の国際会議)については、本年同様の金額(予算200万円)で対応したい。Genes to Cellsの出版収入は、為替レートに大きな変動がないことを想定し、利益折半1600万円+定額編集補助100万円の計1700万円を見込んでいる。現在はワイリーのオーストラリア扱いで利益の5%が税金として源泉徴収されるので、租税公課として80万円を計上した。
 新型感染症の影響を受け、特別対応の状況が続いているが、会計上はおそらく2022年度が学会会計の緊急対応のピークであり、2023年度会計からは少しずつ改善できるのではないかと事務局とも詳細を打ち合わせている。
 以上、令和4年度は法人全体として1,408万円の赤字予算を編成したことが説明された。
 審議の結果、同予算書は理事会で承認され、第44回通常総会に諮られることとなった。

3)細則改正の件(次期理事選挙に関係して)
 白髭理事長より、本件について理事会に諮る経緯について詳細説明がなされた。
 先ず、(1)細則の第2条5にある「時限特別措置(女性理事枠)」の検討である。来年(6-7月)の次期理事選挙の前に、時限特別措置の継続の可否や、継続する場合の女性理事枠の比率(人数)をすみやかに確認・決定しておく必要がある。
 さらに、(2)細則 第3条 理事長選出に関係して、執行部では理事長が任期中に年会長を兼務することについて、利益相反の観点をも含み、その可否を検討したことが報告された。現状では年会長の決定に関する規則はなく、理事会にて理事長が年会長候補者を推薦し、理事会の承認をもって年会長が決定されている。学会運営に際し、パンデミック等の重大な社会状況に直面した場合のことを考慮・想定すると(理事長、年会長が担う学会業務と責任等を考慮すると)、やはり理事長と年会長は兼務しないことが望ましいのではないかといった基本的な考え方を、細則上の理事長選出の条文にも加えておいたらどうかといった議論が執行部内であり、執行部ではZoom会議ならびにメール審議を重ね、このたびの改正案を作成した次第である。本日、その細則改正案を諮りたい。

(1)細則 第2条5)女性理事枠について
 審議の結果、現状の規則:理事定員30名の20%(6名)以上の女性理事を置くことは、継続していくこととし、「時限特別措置として」の文言は削除することが決定された。従来の理事枠の『枠』といった言葉を使用すると女性理事は6名で固定といった誤解を受けかねない。6名以上、さらに多数の女性理事が理事会に参画していくことが重要であるとの意見が出され、さらに条文5)にある「…女性理事が最低6名になるまで調整を行う。ただし、…」の『調整を行う』といった文言も分かりにくいとの意見が提出された。
 本日決定された内容に沿うよう、事務局は、文言・言い回しを再度検討し、あらためて理事会に提出することとなった。

(2)細則 第3条 理事長選出に関係して
 提出された細則改正案は次のとおりであった。
(第3条3)下線を引いた部分の条文追加が改正原案である)


特定非営利活動法人 日本分子生物学会 細則(抜粋)
第2章  役員の選出
第3条
 理事長は、次の各号に掲げる方法により選任する。

 1)理事長は新理事を招集し、新理事の互選により新理事長を選出する。

 2)投票は1人1票、無記名による単記とし、投票総数の過半数を得た者を新理事長とする。ただし、投票総数の過半数を得た者がないときは、得票者中の上位の者より順に2名を選出し、改めて投票を行い、得票総数の上位の者を新理事長として選任する。このとき、同位の場合には抽選により決定する。

3)投票を行う際、その時点の当年度年会長は、新理事長には選出できない。また、新理事長任期中および任期後翌年までの年会長に決定している新理事は、新理事長には選出できない(補記留意事項:年会長は上述に該当する期間の理事長を兼ねることはできないものとする)。

 4)理事長は理事を兼ねるものとする。


 白髭理事長ならびに執行部メンバーである一條理事より、あらためて上記、細則改正案についての詳細説明がなされ、討議に入った。
 出席理事より、○年会長と理事長が兼務することへの憂慮は充分に理解できる.○条文があまりに分かりにくい.○この細則改正案で具体的にどうなっていくのか、図表のような資料を示してほしい.○この案件はそもそもCOIとは別ものではないか.○基本的に賛同できるし、規則は必要と考える.○このようなルールは細則で定めるのではなく、もう少し緩やかな例えば『理事会運営の申し送り事項』としたらどうか.○兼任できないと明言するのではなく、理事長と年会長は兼務しないことが望ましい.といった程度の緩やかな表現にとどめたらどうか.等々の意見が出された。
 審議の結果、『年会長は理事長を兼ねないほうがよいとの考え方』については本理事会において賛同を得た。
 ただし細則改正については、現時点では保留扱いとなった。論点を整理し、細部についてあらためて検討していくこととなった。(*細則改正は総会承認事項ではなく、理事会審議案件であることが事務局より説明された)

4)第20期理事会策定の

(1)「年会の開催方針について」一部修正の件
 白髭理事長より、第20期将来計画委員会提言「年会の開催方針について」の項目3の下部への、次の留意事項追加・修正案が示された。


(留意事項:年会運営に際し利益相反の観点により、当年度(理事選挙実施年)を含め
次期理事長任期終了の翌年までの年会長は、理事長を兼ねることはできない)


 上記は、審議事項3)の(2)細則改正案を、年会運営側からみた加筆修正提案であったが、議案3)が継続審議扱いとなったため、本件も取扱い保留となった。

(2)「研究発表に関する指針」一部修正の件
 第44回年会の一般演題応募に際し、会員より、「年会発表に際しての利益相反開示のルール」について問い合わせがあったことが、白髭理事長より報告された。執行部会議で検討し、指針の4.として、利益相反開示を追加し、さらにこの数年で進んだオンライン対応を考慮し、指針1.の文言を現在の研究発表の状況に合わせた内容に一部修正したいことが説明された。執行部・修正案は次のとおりである。


特定非営利活動法人 日本分子生物学会

研究発表に関する指針

本学会の重要な目的の一つは、未発表も含めた最新の研究成果を共有し活発な議論と情報交換を行うことである。この目的を達成するため、研究発表に関する以下の指針を定める。

1.参加者間相互の信頼関係を著しく損なう、以下のような行為は禁止とする。
口頭発表会場とポスター会場(共にオンライン配信を含む)で発表された生データを、発表者の承諾なしに保存(画面キャプチャを含む)および撮影、録音、録画すること。
上記研究データについて、発表者の承諾なしにSNS等で第三者に公開すること。

2.発表に際しては、研究の核心となる分子名、方法、理論、アイディアなどを伏せて発表することは、できるかぎり避ける。

3.特許申請などに関わる情報の取り扱いは、発表者の自己責任とする。

4.発表者は、年会発表において利益相反に該当する状況がある場合は開示する。


2018年9月14日 第20期理事会 制定
2021年11月29日 第22期第3回理事会にて指針1.を一部修正  指針4.を追加


 審議の結果、研究発表に関する指針修正案は承認された。

5)各種パンデミックへの学会会計対応について
 上村理事より、年会あるいは学会が行うあらゆる事業に関して、その事業を行うに際しての出費、学会本体会計からの赤字補填に関して、たとえば内部留保金の10%といった、一定の限度額あるいは目安(基準)になるようなものを学会として考えてみたらどうかとの意見が提出された。あらかじめ一定の限度額を設けておけば、年会長や組織委員会が業務執行する上で、プレッシャー・責任が少しでも軽減されるのではないかと考えた次第である。
 自由討論となり、確かに目安にはなるが、各年会長は皆、前向きに努力もしており、数字で縛られるのはいかがなものか、等々、賛否両論の多様な意見が提出された。本議題については、また自由討論の場を持つこととなった。

6)事務局の体制について
 荒木監事より、監事の職務は会計のみならず理事会全体の運営や事務局の状況などにも幅広く注意を広げることが職務であると理解しているとの発言がなされた。
 11月9日、会計監査会で学会事務所を訪問した際、監査終了後に石野監事と一緒に事務局スタッフ(事務局長を除く)に簡単なヒアリングを行ったことが報告された。現在、職員4名体制で事務局業務をまわしているが、相当に多忙な状況であることも確認できた。事務局長の福田氏は2023年3月で定年となり、その後嘱託職員として2年間は業務に従事することを聞いている。嘱託期間は多少の時短勤務となるとのことだが(給与は6割以下に)、福田氏が完全にリタイア(2025年3月)してからスタッフを補充するのではなく、嘱託期間中のどこかのタイミングでスタッフ補充となるように、執行部には考えていただきたい旨が提出された。白髭理事長より承知したとの回答がなされた。(*2021年1月25日、22期執行部により既に嘱託職員規程が策定されている)

7)白髭理事長より、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けている大変な社会状況のなかで、オンサイトに基軸を置いたハイブリッド開催形式にて、ここまで準備いただいた塩見年会長そして組織委員会へ謝辞が述べられた。明後日からの横浜年会の盛会を心より祈念しているとの言葉で、本理事会は閉会となった。
 

 上記、第22期第3回理事会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名する。
 

2021年11月29日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第22期第3回理事会

議    長  白 髭 克 彦

議事録署名人  深 川 竜 郎

議事録署名人  泊   幸 秀