特定非営利活動法人日本分子生物学会 平成22年度(第32回)通常総会記録

日 時: 平成21年12月11日(金)11:30~12:15
場 所: パシフィコ横浜 会議センター 3階 第7会場(311+312)
社員数(正会員+名誉会員): 10001名
出席者数: 5149名(本人出席48名、表決委任者5101名)

議事内容:

1.岡田清孝理事長より開会の挨拶がなされた。
 

2.定款第25条に基づき、岡田理事長より本総会議長として永田恭介会員が指名された。さらに定款第29条に基づき、議事録署名人として、中西 徹会員、升方久夫会員が選任された。
 

3.永田議長より、定款第26条(総会の定足数)に基づき、上記表決委任者(委任状)を含めて出席5149名となり、本総会は成立する旨報告された。
 

4.経過報告(事業報告)

  1)理事長報告

   ・科学技術予算に関する緊急対応について
 行政刷新会議の事業仕分け評価への本学会の対応であるが、11月半ばに学会単独および多くの学協会との連名の形で、事業仕分けに対する意見表明(要望書提出)を行った。11月25日には会員一斉メール配信を行い、会員からの意見を集めた。石野史敏庶務幹事、篠原 彰将来計画検討委員、杉本亜砂子同委員の3氏にアンケート編集担当の作業を依頼し、提出された意見の事業番号別仕分け・編集作業を行い、全アンケート記録は、12月4日に学会HPに掲載されている旨報告がなされた。寄せられた意見の量(印刷ページ)の関係からほぼ1/3を選ばせてもらい、印刷版資料を作成し、以下要領で開催した緊急フォーラムで配布を行った。
○科学技術予算に関する緊急フォーラム「事業仕分けから日本の未来の科学を考える」
日時:12月9日(水)19:00~20:30
会場:第32回年会/第3会場(パシフィコ横浜 会議センター3階302)
企画概要/趣旨:
 事業仕分けにおける“討論バトル”自体は、一般国民に高い好感度でもって評価されたと聞いているが、しかし、我々が心配していることは、事業仕分けで出された結論がそのまま実行されることになれば、日本における“学術・科学技術”の発展を大きく損ない、国家に多大な損失を与える取り返しのつかない内容となることである。そこで、年会初日である12月9日に緊急フォーラムを開催し、文部科学省(パネリストは研究振興局ライフサイエンス課長 石井康彦氏、研究振興局学術研究助成課 企画室長 山下恭徳氏)と学会員との建設的な話し合いの場を設け、事態の正常化、科学者がどのように国家政策に関わって行くべきか、健全な科学の発展のために科学者の取るべき行動とは、等々につき議論を行ったことが岡田理事長より報告された。

   ・第35回(2012年)年会について
 12月8日に開催された定例理事会において、第35回年会について審議されたことが岡田理事長より報告された。
 第35回年会は、昨年12月の理事会で福岡開催(会場予約済)が決定しており、年会長については調整段階である。
 2012年の年会長をどなたに依頼するかといった年次の個別案件とは別に、ここ数年に亘り理事会で議論されてきた〝年会のあり方(開催スタイル、年会長と理事会との責任分担、他学会との合同開催の問題の全責任を年会長一任のままとしていてよいのか、等々)〟については、将来計画検討委員会にその検討をお願いしている段階であり、同委員会において少し時間をかけて、来年(2010年)の定例理事会までに、委員会としての答申をまとめてもらうことになっている。
 それに対して、個別の2012年福岡年会をどのようにすべきかについて、理事会で審議した結果、その対応としては(経過措置として)、「2012年の福岡年会については、年会長にすべてを一任するのではなく、理事会執行部がサポートする.」といった方針が決定されたことが報告された。今後、すみやかに年会長調整を進めていく予定である。

   ・第11回(2011年)春季シンポジウムについて
 定例理事会において、春季シンポジウムのあり方について話し合いが行われたことが、岡田理事長より報告された。先ず、将来計画検討委員会において、春季シンポジウムのあり方、特に国際化について、様々な視点からの検討が行われた。国際化と地方の活性化をどのように両立していくか、また同時に、春季シンポジウムが地方の分子生物学の啓発に果たしてきた役割は大きく、会員の少ない地域こそ、春季シンポジウム開催候補地として大事にしてほしい.といった理事会内の意見もあることが報告された。理事会での討論をふまえ、地方の活性化・啓発といったスタンスを保ちつつ、国際性も高めていく.といった方針で、すみやかに、2011年春季シンポジウムの世話人を選出していく予定であることが岡田理事長より報告された。

   ・学会創立30周年記念出版事業について
 第16期理事会において、学術事業企画委員会(永田理事に委員長就任を依頼)を設置し、標記出版事業を進めていることが岡田理事長より報告された。
 続いて、永田学術事業企画委員長(総会議長兼)より以下の補足説明が行われた。
 学術事業企画委員会構成:永田恭介(委員長)、伊藤耕一、稲田利文、入江賢司、塩見春彦、島本 功、菅澤 薫、中尾光善、林 茂生、三浦正幸、渡邊嘉典
 同委員会で検討した初期段階においては、分子生物学会30周年として出版する意義(分子生物学の根本、研究の歴史とその意義、自分たちの未来を語る)を盛り込んだ形で、ニーズや目的等が異なる年代(読者対象)別シリーズ(4冊)にしたらどうかとの企画が練られた。年代別シリーズごとのコンセプト(ストーリー、コンテンツ、メッセージ)をつめていき、同時に出版社各社との交渉を重ねた結果、先ずは、以下の3シリーズの刊行が決定したことが報告された。
○東京化学同人との出版企画(3シリーズ)
刊行の趣旨:分子生物学会30周年を記念し、本会の歴史、業績、社会貢献などを周知するとともに、若い人々の生命科学に対する興味を喚起して、今後の我が国の分子生物学、生命科学の発展に資するため、以下3冊(A.B.C.)の出版を企画。
A.“分子生物学を築いた15人”(仮称) 対象は大学生、大学院生、研究者。歴代理事長クラスの方々へのインタビューから原稿を起こす。2010年12月の刊行を目指す。
B.“生命科学への招待”(仮称) 生命系諸学科をめざす高校~大学1、2年を対象とした教科書。2011年9月の刊行を目指す。
C.“なぜなぜ生物学”(仮称) 対象は中高生、大学生、一般向けの読み物。2010年12月の刊行を目指す。
 以上のA.B.C.はそれぞれ独立の単行本とするが、共通のロゴを使用するなどして、3冊が分子生物学会の出版事業であることがわかるようにする予定である。本の体裁・サイズ・コンテンツの中身と執筆者、等々につき作業を進めていく予定である。今後の原稿執筆依頼等につき、会員各位への協力依頼が永田委員長よりなされた。

  2)庶務報告
石野史敏庶務幹事より会員現況につき報告が行われた。
会員現況:〔2009年12月1日現在〕 名誉会員1名、正会員10001名、学生会員5206名、賛助会員35団体、総計15243名

  3)編集『Genes to Cells』報告
上村 匡編集幹事より学会誌『Genes to Cells』の編集報告が行われた。

   ・収支報告について
出版契約の改定後、初めてとなる収支報告(2008年)がなされ、学会誌発行に掛かる学会の収支が大幅に改善された。編集経費についても、800万円を上限に立替精算が可能となり収支改善に寄与した。

   ・編集体制等について
 新たに設置された「Genes to Cells将来計画ワーキンググループ」の第1回会合を3月31日に名古屋で開催し、著者負担による論文オープンアクセスの選択肢を設けること、投稿規定の見直しを図ること、編集委員の大幅な入れ替えを行うことなどを活発に議論した。その後、出版社とも協議を重ね、出版から半年を待つことなくオープンアクセスに設定可能な「Online Open」を9月中旬に導入した。また、投稿規定の改定、および編集委員の追加を行った。

   ・投稿減少の状況が続いており、会員各位には是非とも協力をお願いしたい。レビューについては見開き4ページ程度でよいので、是非とも積極的な投稿をお願いしたいとの依頼がなされた。

  4)将来計画検討委員会報告
 岡田理事長からの委嘱を受けて、将来計画検討委員会が設置されたことが山本正幸将来計画検討委員長より報告された。委員会構成は次のとおりである。
将来計画検討委員会:山本正幸(委員長)、荒木弘之、篠原 彰、杉本亜砂子、水島 昇、宮園浩平
 9月に第1回委員会を開催し、第2回会合は11月21日、そして年会前日の12月8日に第3回会合を行った。第2回会合では、行政刷新会議の事業仕分け評価への理事会対応の案件が重なり、本委員会が実質的に執行部を補佐する形をとることになったことが報告された。
本委員会に課せられた検討課題は次のとおりである。
①基礎科学の現状認識とそれに対する学会の役割について
②国際対応について
③社会との関わり
④男女共同参画の推進(女性理事をいかに増やすか)
⑤理事選挙投票率を高める問題
⑥年会のあり方(開催スタイル、年会収支の確認、年会長と理事会との責任分担、等々)
現在、継続検討中の議案が多いが、④については、本委員会の審議結果(細則改正案)を理事会に提案し、12月8日開催の定例理事会において、以下方法で、女性理事枠が設置されることが報告された。
--- 細則(役員の選出)変更 ---
第16期第3回理事会(12月8日開催)において、細則第2条に条文5)を追加、改正することが承認された旨、報告された。
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○特定非営利活動法人 日本分子生物学会 細則
第2章 役員の選出
第2条に、下記5)を追加、改正。


第2条
理事は、次の各号に掲げる方法により選出する。
1)理事長は、正会員の中から3名を選出し、選挙管理委員を委嘱する。選挙管理委員により構成する選挙管理委員会は選挙事務を行う。
2)投票は1人1票、無記名による10名連記とし、別に定める方法により投票を行う。
3)得票者中の上位の者より順に30名を選出する。ただし、同数得票者については選挙要項に従い順位を定める。
4)理事は3期連続して選出されることはできない。この制限に抵触する者の氏名は選挙要項に公告される。
5)時限特別措置(17期-19期までの6年程度)として、理事定員30名の10%(3名)の女性理事枠を設ける。選挙により3名の女性当選者が選出されなかった場合は、女性理事が最低3名になるまで調整を行う。ただし、理事定員30名に変更はないものとする。
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  5)第10回(2010年)春季シンポジウムについて
大隅典子世話人(東北大学)より、標記シンポジウムの開催概要の報告がなされた。
・テーマ:「分子を語る、分子で語る」
・会 期:2010年6月7日(月)~8日(火)
・会 場:ホテル松島大観荘(宮城郡松島町)
・定 員:300名
第10回春季シンポジウムは、第1回以来となるスクール形式(1泊2日)で開催する。学生やポスドクなど若手に多く参加してもらい、ともに学びながら活発な議論のできるシンポジウムとなるよう企画を進めている。プログラム内容は、基調講演2題(東大先端研センター 菅 裕明 氏、東北大 山本雅之 氏)とワークショップを予定している。前日の6月6日には、仙台市博物館にて市民公開講座を開催する。公開講座の講演は片桐秀樹 氏(東北大)と岡野栄之 氏(慶應大)に依頼している旨報告された。
 

5.議 事

  1)平成21年度(2009年度)収支決算承認の件
 塩見春彦会計幹事より21年度決算の収支内容につき詳細報告が行われた。本決算については、本年10月30日、公認会計士 宮城秀敏氏の会計監査を受けた(独立監査人の監査報告書を参照)。その後11月16日に、学会事務所において、小川智子監事、吉川 寛監事の監査を終了していることが報告された。
審議の結果、本決算は異議なく承認された。

  2)平成22年度(2010年度)収支予算ならびに事業計画承認の件
 塩見会計幹事より22年度の収支予算案、事業計画につき説明が行われた。
審議の結果、同収支予算ならびに事業計画は異議なく承認された。

  3)定款変更の件
 岡田理事長より、本議案に関する経緯(平成20年12月、都の条例(特定非営利活動促進法施行条例)が改正され、総会における欠席者の表決権(委任状)につき電磁的方法が認められるようになった.)につき報告がなされた。法人移行後は毎年、総会成立のための委任状取りまとめ作業に苦慮しており、今後は、表決権(委任状)にEメールが利用できるように、以下の定款変更が提案された。
 審議の結果、定款変更(第24条第3項、第28条第2項、第29条第1項)は異議なく承認された。

■電磁的方法の追加について

条文 (変更後の案) (現行の定款)
第24条
第3項
3 総会を招集する場合には、会議の日時、場所、目的及び審議事項を記載した書面又は電磁的方法により、開催の日の少なくとも5日前までに通知しなければならない。 3 総会を招集する場合には、会議の日時、場所、目的及び審議事項を記載した書面により、開催の日の少なくとも5日前までに通知しなければならない。
第28条
第2項
2 やむを得ない理由により総会に出席できない正会員及び名誉会員は、あらかじめ通知された事項について、書面又は電磁的方法をもって表決し、又は他の正会員及び名誉会員を代理人として表決を委任することができる。 2 やむを得ない理由により総会に出席できない正会員及び名誉会員は、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決し、又は他の正会員及び名誉会員を代理人として表決を委任することができる。
第29条
第1項
総会の議事については、次の事項を記載した議事録を作成しなければならない。
(1) 日時及び場所
(2) 正会員及び名誉会員総数及び出席者数(書面又は電磁的方法による表決者若しくは表決委任者がある場合にあっては、その数を付記すること。)
(3) 審議事項
(4) 議事の経過の概要及び議決の結果
(5) 議事録署名人の選任に関する事項
総会の議事については、次の事項を記載した議事録を作成しなければならない
(1) 日時及び場所
(2) 正会員及び名誉会員総数及び出席者数(書面表決者又は表決委任者がある場合にあっては、その数を付記すること。)
(3) 審議事項
(4) 議事の経過の概要及び議決の結果
(5) 議事録署名人の選任に関する事項
附則 この定款は、東京都より定款変更認証を受けた平成  年  月  日から施行する。  

6.小原雄治第32回年会長より、2009年の年会開催状況につき報告がなされた。
 一般演題投稿数は3741題(うちLate-breaking abstracts投稿は135題)、会期途中ではあるが12月10日までの集計で参加者は8120名(うち事前参加登録6219名)、であり、これまでに順調に進んでいることが報告された。
 新しい試みであるITの積極活用(講演要旨集のオンライン化・同メニューは携帯電話にも対応)についても、概ね順調な運びとなっている。
 ポスター発表/討論においては、ディスカッサー制度(約400名のPIにディスカッサーを依頼)を導入し、「Meet the Symposists」企画など、議論できる機会を設けた。例年の年会に比べて海外演者招聘補助を充実させ、各シンポジウムには若手PIを中心とした複数の外国人演者を招聘した(シンポジウム54名、ワークショップ25名)。国際性の向上を目標に、要旨の英文執筆推奨を実施し、シンポジウムは要旨・講演ともに英語で統一し、一般演題においても英文執筆を推奨した結果、投稿された演題の英文執筆率は55.5%であったことが報告された。
 年会後半の2日間、引き続き活発な討論の場となるよう、会員各位には協力をお願いしたいとの挨拶がなされた。
 

7.宮園浩平第33回年会幹事(谷口維紹第33回年会長代理)より第33回(2010年)年会につき報告がなされた。
・名称:第33回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会 合同大会
・略称:BMB2010(Biochemistry and Molecular Biology 2010)
・会期:2010年12月7日(火)~10日(金)の4日間
(12月11日(土)に東京にて市民公開講座を開催予定)
・会場:神戸ポートアイランド(全21の講演会場+ポスター会場、展示会場)
・組織委員:
 [第33回日本分子生物学会年会]
 年会長  谷口維紹
 庶務幹事 宮園浩平
 幹事補佐 武田弘資、宮澤恵二
 [第83回日本生化学会大会]
 会頭   田中啓二
 庶務幹事 水島 昇
 幹事補佐 石原直忠、反町洋之
・プログラム案
①プレナリーレクチャー
現役で活躍する比較的若手の研究者に講演いただく。海外演者・国内演者の2つのレクチャーを二会場(ポートピアホール、会議場メインホール)で各日同時開催とする。
②シンポジウム
4日間を通して最大72テーマのシンポジウムを開催する。年会長企画シンポジウム、プログラム委員企画シンポジウムを柱に、残った開催枠に公募採択企画を当てはめる。(* 後日、12月12日開催の第3回準備会議にて、会員より公募する企画はワークショップと位置付けることに変更.ただし内容によってシンポジウムとして採択する可能性もある.)
③一般演題
ポスター発表および一般口頭発表演題は7月に募集する。
④市民公開講座
「病気の原因を見つけその克服を目指す生命科学(仮)」をテーマとして、年会翌日の12月11日(土)午後に東京で開催する。
⑤その他のプログラム
マスターズレクチャーやフォーラムを企画予定。詳細は今後検討する。
 

8.花岡文雄第34回年会長より、2011年の年会開催状況につき報告がなされた。
・会期:2011年12月13日(火)~16日(金)の4日間
・会場:パシフィコ横浜
・年会長:花岡文雄
・組織委員:永田恭介(委員長)、菅澤 薫、三浦正幸、柳澤 純
今年の第32回年会の開催実績をふまえ、魅力ある年会となるように、今後、学術企画を検討していきたい。来年1~2月に、第1回準備会議を開催し、具体的な準備作業に入る予定である。
 

9. 議長より閉会の挨拶があり、第32回総会が終了した。
 

上記、平成22年度通常総会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。

平成21年12月11日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 平成22年度通常総会

議長永 田 恭 介
議事録署名人中 西   徹
議事録署名人升 方 久 夫