特定非営利活動法人 日本分子生物学会 令和2年度(第42回)通常総会記録

日 時:令和元年12月4日(水)18:30~19:30
場 所:福岡国際会議場 2階 201(第12会場)
社員数(正会員+名誉会員+シニア会員+次世代教育会員):8,839名
出席者数:4,822名(本人出席60名、表決委任者4,762名)

議事内容:
 

1.定款第25条に基づき、阿形清和理事長より本総会議長として小林武彦会員が指名された。さらに定款第29条に基づき、議事録署名は、佐々木裕之会員(第42回年会長兼)と阿形理事長が担当することが確認された。

2.小林議長より、定款第26条(総会の定足数)に基づき、上記表決委任者(委任状)を含めて出席4,822名となり、本総会は成立する旨報告された。

3.経過報告(事業報告)

1)理事長報告
 阿形理事長より、総会資料(1頁:令和1年度事業報告)に基づき、事業活動全般と下記4点について報告が行われた。

  ①年会運営に際しての災害対応(損害保険加入)について
2018年11月27日に開催された20期・21期合同理事会において、2019福岡年会以降の年会について興行中止保険(地震を含む自然災害で年会が中止となった場合に必要となる補償額をカバーできる損害保険)に加入することが決定しており、2019福岡年会は初めて実際に加入手続きを行ったことが報告された。

  ②年会の国際化について
年会国際化に向けた取り組みとして、5年後の第46回(2023年)年会が一つの集大成となるように目標設定をした。21期の理事会執行部には第42回(2019年)~第45回(2022年)の年会長が参画しており、年会国際化対応について学会としての方針・課題等を共有し、各年会における試みの結果を年会アンケート等でフィードバックして、後の年会運営に活かすことができるようになっている。これに加え、12月2日開催の21期第2回理事会において、理事会に国際化担当幹事を置くことが承認され、年会国際化の継続的な取り組みを可能にする体制が強化されたと考えている。また本部からの年会補助金は従来500万円であったが、今後2年間(2019年会、2020年会)は、国際化予算として別途500万円を追加支援する方向で予算案を作成している。

  ③女性理事枠の設定について
12月2日開催の21期第2回理事会にて、時限特別措置として理事定員30名の20%(6名)の女性理事枠を設けることが決定した。選挙により6名の女性当選者が選出されなかった場合は、女性理事が最低6名になるまで調整を行う。ただし、理事定員30名に変更はない。本来は女性理事枠の定数を設置しなくても適正な人数の女性理事が選出されてくることが望ましいが、過渡期のテンポラルな措置としてご理解いただきたい。

  ④研究倫理フォーラムについて
年会初日の12月3日に研究倫理委員会企画・研究倫理フォーラム「研究成果発表のあるべき姿:オープンサイエンス推進の潮流」が行われた。その中でbioRxiv(バイオアーカイブ)の紹介があり、プレプリントサーバの活用について議論がなされた。本来税金が投入されている研究費の成果物である論文が掲載されたジャーナルは、税金の還元として無料で読むことができてしかるべきだが、大学等では商業ジャーナルによるパッケージ販売が高額となり読めない環境も増えている。その対策としてこれまでにオープンアクセスのモデルであるPLOS ONEなどもできたが、従来の数人の査読によるピアレビュー方式から多くの人の目に触れるプレプリントサーバ活用方式へと大きな変化が起こりつつある今、こうした問題については会員が多く集まれる場できちんと議論したほうが良いのではないかと思われる。今後も考える機会を作っていきたい。

2)庶務報告
 稲田利文庶務幹事より総会資料(1頁:令和1年度事業報告)に基づき、事業活動全般について詳細の報告が行われた。最新の会員現況は以下の通りである。

  〔2019年11月1日現在会員数〕
正会員8744名、シニア会員79名、次世代教育会員16名、学生会員4119名、賛助会員22社、総計12980名(前年11月対比、+81)

3)編集報告

   上村匡編集幹事より『Genes to Cells』について報告が行われた。 西田栄介3代目編集長が就任して2年目を迎え、来年1月より新しい編集委員8名が加わる予定である。ここ3年で投稿数は増加しており、生命科学すべての分野に開かれたジャーナルであるGenes to Cellsにぜひ積極的に投稿してほしい。

4.議事

1)令和1年度(2019年度)決算承認の件
 三浦正幸会計幹事より総会資料(2~14頁)に基づき、令和1年度活動計算書の収支について詳細報告が行われた。2019年10月28日、公認会計士宮城秀敏氏の会計監査を受け(総会資料の独立監査人の監査報告書を参照)、同年11月5日に小安重夫監事、町田泰則監事の監査を受けた。
 審議の結果、本決算は異議なく承認された。

2)令和2年度(2020年度)活動予算書承認の件
 木村宏庶務幹事より総会資料(15頁)に基づき令和2年度事業計画書の説明がなされた後、三浦会計幹事より総会資料(16~17頁)に基づき、令和2年度活動予算書について説明が行われた。
 審議の結果、同活動予算書は異議なく承認された。

5.第42回(2019年)年会長挨拶
 佐々木裕之第42回年会長より年会開催状況について報告が行われた。
 7年ぶりに福岡での開催となった本年会は、人工知能や各種分析技術の革新を踏まえた「分子生物学のネクストステージ」を基調コンセプトとし(もうひとつの重要なテーマは「食の都福岡へようこそ!大いに食べて、大いに飲んで、大いに議論しよう」)、事前参加登録者は4,780名となっている(*最終の参加者数は7,129名であった)。
 ワークショップは過去最高の140件の応募があり、うち120企画を採択した。一般演題数はここ7~8年では最高となった。近年、企業の出展は厳しい状況が続いていたが、企業展示は360小間、バイテクセミナー16枠と、いずれも準備していたすべての枠が埋まった。
今回、年会国際化対応の試みとして、会期2日目をほぼすべての会場で一日中英語セッションが行われる「英語デー」とし、その他の日程も常にどこかの会場で英語のシンポジウムが行われるようにプログラム編成をしている(T字型プログラムと呼ばれている)。ポスター発表は、英語推奨として発表言語を発表者の選択に任せたところ、年会演題投稿受付の時点で英語を選択した投稿者は全体の約2割であった。英語を選択しているポスターを2日目にできるだけ集めた結果、2日目のポスターは約3割が英語発表となったことが報告された。

6.第43回(2020年)年会長挨拶
 上村匡第43回年会長より2020年の年会開催企画案と準備状況について報告が行われた。

・会期:2020年12月2日(水)~4日(金)の3日間
・会場:神戸国際会議場、神戸国際展示場、神戸ポートピアホテル

 “New Faces, New Questions, and Revitalized Worlds”をかけ声として生命科学の祭典を盛り上げる。今回、プログラム委員には分子生物学会の会員ではあるがこれまで年会にあまり参加・発表したことがないというフレッシュなメンバーも多数加えている。
 シンポジウム・ワークショップはすべて英語で行う予定である(ランチョン・フォーラムの言語は自由)。公募ワークショップでは、オーガナイザーや演者に女性研究者が複数含まれている企画を優先的に採用する方針としている。
 神戸会場の一部には講演視聴環境について若干の課題があるが、例えば、スクリーンの小さい細長い部屋は横長で使用するなど、スライドが見えやすいように手を尽くしたい。
 また、シーズプレゼンテーション(ショーケース)企画の実施を検討している。研究者の持つシーズ研究とベンチャーキャピタルとのマッチングの場を年会会場に設ける初の試みである。

7.第44回(2021年)年会長挨拶
 塩見美喜子第44回年会長より2021年の年会開催企画案と準備状況について報告が行われた。

・会期:2021年12月1日(水)~3日(金)の3日間
・会場:パシフィコ横浜

 パシフィコ横浜の会場使用料が大きく改定されたため、横浜での2021年開催は改定前料金で開催できる最後の年会となる可能性があることからも、参加者の思い出に残る横浜年会としたい。
 年会国際化対応としては、この第42回(2019年)福岡年会に倣った全体日程(会期2日目はすべての会場で一日中英語セッションが行われる「英語デー」)としたい(T字型プログラム)。
 シンポジウムは公募せず年会組織委員・プログラム委員で企画し、公募ワークショップは時間を短めにして採択できる数を増やすことを検討している。ポスターセッションではディスカッサー制を採用する予定である。特に会期2日目は、海外からの招待演者にもポスター会場で議論に参加してもらえると良いのではと考えている。

8.第45回(2022年)年会長挨拶
 深川竜郎第45回年会長より2022年の年会開催企画案と準備状況について報告が行われた。

・会期:2022年12月上旬予定(3日間)

・会場:最終調整中(初めての試みとして、ポスター/展示会場内にオーラルのセッションを行える特設会場を設置する構想があり、展示会場の広さ、使い勝手の最終検討段階にある)

 第41回(2018年)、第42回(2019年)年会は日本生態学会と協力して開催したが、第45回年会は日本生物物理学会と協力・連携をして開催する予定である。本年会では生物物理学会の会員が分子生物学会会員と同様の資格で年会に参加・発表できる(同様に分子生物学会員も生物物理学会年会に参加・発表できる)。また両学会による合同セッション(ジョイント・シンポジウム)なども企画していきたい。
 年明けに先ずは会場を確定し、開催形式などの基本方針を決定していきたい旨報告された。

9.小林議長より閉会の挨拶があり、第42回総会が終了した。
 

上記、令和2年度通常総会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。

令和元年12月4日

特定非営利活動法人日本分子生物学会
令和2年度通常総会

議    長  小 林 武 彦

議事録署名人  阿 形 清 和

議事録署名人  佐々木 裕 之