日 時:令和2年12月3日(木)18:30~20:00
場 所:MBSJ2020 Online(第43回日本分子生物学会年会〔オンライン開催〕)チャネル1
社員数(正会員+名誉会員+シニア会員+次世代教育会員):8,543名
出席者数:4,399名(オンライン会議システム使用による本人出席80名、表決委任者4,319名)
※総会資料はこちら
議事内容:
1.定款第25条に基づき、阿形清和理事長より本総会議長として倉永英里奈会員が指名された。さらに定款第29条に基づき、議事録署名は、上村匡会員(第43回年会長兼)と阿形理事長が担当することが確認された。
2.倉永議長より、定款第26条(総会の定足数)に基づき、上記表決委任者(委任状)を含めて出席4,399名となり、本総会は成立する旨報告された。
3.経過報告(事業報告)
1)理事長報告
阿形理事長より、事業活動の主な内容として下記5点について報告が行われた。
① 国際化関連(年会の国際化について)
前期からの将来計画申し送り(年会の開催方針、年会開催ルール細目)を受けて、第21期理事会では年会国際化を推進するための「5カ年計画」を設定した。そして、1年目(2019福岡年会)はT字型プログラム(会期中、常にどこかの会場で英語のシンポジウムを行い、さらに会期2日目は全会場で1日中英語セッションが行われる「英語デー」とした)に着手し、2年目(2020 Online)の今年はワークショップの完全英語化、EMBOとのコラボレーション企画を試みた。3年目(2021横浜年会)も緩やかなT字型を継承してもらい、4年目(2022幕張年会)はASCBとのコラボレーション企画が進められている。2019年から2022年までの各年会の経験・フィードバックの蓄積を総括してもらい、5年目(2023神戸年会)は林茂生国際化担当幹事に年会を運営していただき、その後に学会として国際化についてあらためて議論することとした。
第21期理事会が推進する「年会国際化」には「年会の国際化」と「分子生物学会のグローバル化」という2つの意味合いがある。すなわち、「年会の国際化」を通して、「日本の分子生物学研究の世界での認知度を高めるとともに、学会全体のレベルを上げていく」ことを目標としている。そして、「分子生物学会のグローバル化」を達成するためには、海外のコミュニティとの相互理解と連携を進めていくことが不可欠と認識している。
② 国際化関連(海外との連携状況)
・「5カ年計画」1・2年目の21期では、EMBOとの交流に尽力した。日本が対象となったEMBOのFellowshipに関する周知協力や、2020年2月にはEMBOと共同でEU大使館にて日本の政府機関(Funding Agency)なども招いてのExpert Meetingを行ったほか、本年会においては、サテライトシンポジウムInternational Symposium for Female Researchers in Chromatin Biology (ISFRCB) 2020や、フォーラムでEMBO JournalのChief Editorを招いてのハンズオントレーニングなどの関連プログラムが企画されている。EMBOとは来年以降も協力関係を続けてほしい。
・KSMCB(韓国分子細胞生物学会)については、2019年夏に先方からコンタクトがあり、福岡年会会期中の2019年12月5日にKSMCB代表が年会会場を視察、理事会執行部と会合を持った。2020年3月、KSMCBからのMOU締結の申し入れがあり、KSMCB2020大会訪問後に検討することとしていたが、COVID-19の状況もあり取扱い保留となっている。10月5日-7日のKSMCB2020大会は韓国・済州島(Jeju)開催予定であったがオンライン開催に変更され、理事会執行部より阿形理事長はじめ3名が招待参加となった。MBSJ2020 OnlineにはKSMCBメンバー3名を招待した。
・ASCB(The American Society for Cell Biology)については深川竜郎2022年会長がIain Cheeseman氏とCell Bioにおける連携企画を検討している。当初はCell Bio 2021(2021/12/11-15 @San Diego)前日のDoor Step Meetingでの連携を想定していたが、COVID-19の影響で前年に開催予定だった同プログラムがずれ込んだ関係で、現在はそれに代わる連携企画を検討中である。学会としてはASCBとのコラボレーションに向けて経済的サポートすることを承認している。
③ 日本学術会議の会員任命問題
2020年10月、日本学術会議の会員任命問題に関連して本学会が生物科学学会連合関係の声明に賛同したことについて、すべての会員が賛同したようにとらえられることへの異議が複数寄せられた。経緯説明として、当時世間では「政府が理由を付さずに学術会議会員による決定に介入し、一部会員の任命を拒否したという問題」と「日本学術会議のあり方そのものに関する問題」とが混同して議論されている状況であったが、理事会で急ぎ審議した結果、生科連の声明はあくまで前者を意識したものと受け止め、「政治の介入に対しての声明には賛同するが、現在の日本学術会議の在り方を肯定したものではない」との付帯意見を付けて回答した次第である。多くの会員に不信感を与えたことをお詫び申し上げるとともに、日本学術会議のような科学アカデミーのあり方、サイエンスコミュニティのボトムアップシステムの構築については、今後も議論していきたい。
④今後の学会事務局体制の強化について、引き続き議論していくことを次期への申し送り事項とする。
⑤11月30日開催の第21期・第22期合同理事会において、第47回(2024年)年会長を木村宏会員(東京工業大学科学技術創成研究院)にお願いすることが決定した。「5カ年計画」の翌年にあたる第47回年会においては、「5カ年計画」の総括を受けての年会運営となる。
※理事長報告①~④に関する詳細は11月30日開催の第21期・第22期合同理事会記録を参照のこと.
2)庶務報告
木村宏庶務幹事より以下の報告が行われた。
①会員現況:〔2020年11月5日現在〕正会員8,444名、シニア会員83名、次世代教育会員16名、学生会員3,677名、賛助会員21社、総計12,241名(前年11月対比、-739)
②第22期理事選挙:選挙管理委員会のもとで2020年6~7月の間で会員による投票が行われ、第22期理事が選出された。10月には新理事会準備会議が開かれ、白髭克彦氏が第22期理事長に選出された。
③生物科学学会連合:次期(2021年1月より2年間)の代表について、11月13日に開催された生科連定例会議において、本学会からも推薦状を提出していた小林武彦会員が再選された。また12月12日に生科連シンポジウム「生物多様性が人類にとって必須である理由」がオンライン開催予定である。
3)編集報告
上村匡編集幹事より『Genes to Cells』について報告が行われた。
今年はCOVID-19の影響で研究の継続もままならない環境の中、昨年とほぼ同等の投稿数があったことに感謝申し上げたい。西田編集長が常々発信している通り、Genes to Cellsは投稿者である生命科学系研究者・学生の皆様に寄り添うジャーナルを目指している。可能な限り著者の立場に立って投稿受理までの手伝いをしたい。Genes to Cellsにぜひ積極的に投稿していただくと同時に、投稿された方には次の論文でご自身のGenes to Cells掲載論文を引用くださることもお願いしたい。
4.議事
1)令和2年度(2020年度)決算承認の件
三浦正幸会計幹事より総会資料に基づき、令和2年度活動計算書の収支について詳細報告が行われた。2020年10月26日、公認会計士宮城秀敏氏の会計監査を受け(総会資料の独立監査人の監査報告書を参照)、さらに同年11月6日に学会事務所において小安重夫監事による監査会を実施したこと、その後資料郵送により11月10日に町田泰則監事による会計監査が行われたことが報告された。
続いて小安監事より11月6日に会計監査を実施し、監査報告書に記載したとおり、帳簿ならびに会計証憑類は正確に整えられており、各金融機関の通帳と残高証明書を確認し、同決算を認めたことが報告された。なお、コロナ禍での会費収入の動向(会員数の増減)、今後の年会収支等について注視しておく必要があることを事務局に申し伝えたことが報告された。
審議の結果、本決算は異議なく承認された。
2)令和3年度(2021年度)活動予算書承認の件
三浦会計幹事より総会資料に基づき、令和3年度活動予算書について説明が行われた。審議の結果、同活動予算書は異議なく承認された。
3)第22期監事選任の件
定款第14条に基づき、阿形理事長より第22期監事として荒木弘之会員、石野史敏会員が推薦され、承認(選任確認)された。
5.第43回(2020年)年会長挨拶
上村匡第43回年会長より年会開催状況について報告が行われた。
MBSJ2020 Onlineとして完全オンライン開催という初の試みとなった本年会は、京都大学の近くに会議室を借りて基地局(年会本部)を設置し、運営に当たっている。最大19会場(チャネル)で同時にセッションが行われるため、基地局では2名ずつの担当者を19会場分に割り当て、密を避けるよう間隔を取って人員と機材を配置し対応している。初日ののべアクセス数は4,100を超えた。初日のポスターセッションの時間帯に繋がりにくくなったことがあったが現在は解消しており、その後は視聴サイトの細かなエラーに対処しているものの、大きなトラブルもなく概ね順調に進んでいる。
本年会はオーガナイザー、スピーカー、そして参加者の皆様にご尽力いただき進められている。どなたも新しい経験をされているものと思うが、密度の濃いサイエンスの議論を進めていただき、最後までご参加をお願いしたい。
本年会にはCOVID-19感染拡大の影響で研究活動の継続もままならない研究者が多数おられるのと同様、企業でも厳しい状況が続いている中、協賛の協力をいただくことができた。オンライン年会における協賛企業と参加者との交流の仕方も検討したので、参加者の皆様にはオンライン面談の機会をご活用いただきたい。
また最終日の夜には、Developmental Cell誌の編集者Spyros Goulas氏を招いて年会長企画の特別フォーラムを行う予定である。Goulas氏は日本の大学で6年間ポスドクをしていた経験があり、日本の基礎研究コミュニティ事情にも詳しい。ぜひご参加いただきたい。
6.第44回(2021年)年会長挨拶
塩見美喜子第44回年会長より2021年の年会準備状況について報告が行われた。
・会期:2021年12月1日(水)~3日(金)の3日間
・会場:パシフィコ横浜
現状ではオンサイトでの開催を希望している。今後COVID-19の状況によっては、一部オンラインの併用や海外指定演者招聘に関すること、各種締切の設定など、柔軟に対応する必要があると感じている。
一般演題(ポスター)の小項目を編成して41項目とし、41名のプログラム委員に1項目ずつ担当をお願いする。うち女性委員は25%である。
このほど第44回年会のホームページを開設し、公募企画の受付を開始した(締切:2月末日予定)。公募シンポジウムは最大18テーマ、公募ワークショップは最大101テーマを予定している。また公募ワークショップでは一般演題(ポスター)から複数演題を採択、ポスターセッションにはディスカッサー制を導入予定である。指定シンポジウムは6テーマ。
その他のプログラムとして、高校生発表、市民公開講座、バイオテクノロジーセミナー、海外若手会員の招聘企画、横浜ヒストリア企画(横浜年会長インタビュー小冊子の配布、歴代横浜年会ポスター・要旨集の展示コーナー設置など)、富澤基金メモリアル企画(2020年で終了した富澤基金若手研究助成事業全体の振り返り、受賞者の成果発表+メモリアルワークショップ、全10年分のポスター掲示など)が予定されている。
7.第45回(2022年)年会長挨拶
深川竜郎第45回年会長より2022年の年会開催企画案と準備状況について報告が行われた。
・会期:2022年11月30日(水)~12月2日(金)の3日間
・会場:幕張メッセ
テーマは『分子生物アゴラ~激論コロッセオ』とし、以下の3つの柱を念頭に置いている。
「議論できる学会」:大きな会場を借りることができたので、議論を盛り上げられるよう、広いポスター会場内に小さな会場を区分けして作るレイアウトを考えている。
「生物物理との融合/異分野融合」:本年会は日本生物物理学会と協力・連携して開催する予定であり、正式に覚書を交わしている。両学会の年会における会員の相互乗り入れのような形をイメージしている。指定企画では両学会のコラボレーション企画も予定している。
「国際化/諸外国の学会との連携」:特にアジアとの連携を重視しており、COVID-19の状況をみながらアジアの若手PIを招聘することを検討している。
組織委員会には生物物理学会の先生方や若手の方にも参画していただいており、その力も借りて面白い企画を考えていきたい。開催形式については、COVID-19の状況に関わらず、今年行われたオンライン学術集会での経験を活かしたハイブリッド開催の可能性も視野に入れて準備を進めている。例えばプレナリーレクチャーを海外の方にオンラインでお願いすることなどを検討している。
指定企画は20企画程度、公募企画は80企画程度を予定している。ポスター発表ではデジタルポスターブースを設けて口頭発表希望者を募ることも計画している。
8.第46回(2023年)年会長挨拶
林茂生第46回年会長より2023年の年会準備状況について報告が行われた。
・会期:2023年12月6日(水)~8日(金)
・会場:神戸国際会議場、神戸国際展示場、神戸ポートピアホテル
現状ではハイブリッド形式の年会を基本として考えているが、今後のCOVID-19の状況や現在開催中のMBSJ2020 Onlineでの経験、また会員の皆様のご意見などを考慮して、来年具体的なことを検討していきたい。
9.次期理事長挨拶
白髭克彦次期理事長より挨拶があった。阿形理事長の方向性と課題を継承しつつ、研究の交流の場、学問の発展の場としての学会ということを第一の目的とし、特に若手が主役になれる環境づくりに注力したい。コロナ禍という特殊事情の中、この時代にふさわしい学会運営、学会の国際化・国際展開、学会運営のスリム化、新しい年会のあり方などを模索していきたい。また政治と科学者の関わり方についても、会員の皆様と議論を深めた上で、建設的な議論を積極的に発信していけるとよいのではないかと考えている。
10.倉永議長より閉会の挨拶があり、第43回総会が終了した。
上記、令和3年度通常総会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。
令和2年12月3日
特定非営利活動法人 日本分子生物学会
令和3年度通常総会
議 長 倉 永 英里奈
議事録署名人 阿 形 清 和
議事録署名人 上 村 匡