特定非営利活動法人 日本分子生物学会 令和7年度(第47回)通常総会記録

日 時:令和6年11月27日(水)19:15~20:15
場 所:福岡国際会議場4階 411+412(第6会場)
社員数(正会員+名誉会員+シニア会員+次世代教育会員):7,868名
出席者数:4,362名(本人出席38名、表決委任者4,324名)

議事内容:
 

1.冒頭に後藤由季子理事長より開会の辞が述べられた;年会は初日から盛り上がっている。参加者には若い方が特に多い印象を受ける。どこの会場も賑わっており熱いディスカッションが行われている。さすが分生と嬉しく思う。
 続けて後藤理事長より、定款第25条に基づき、本総会議長として中山潤一会員が指名された。さらに定款第29条に基づき、議事録署名は、木村宏会員(第47回年会長兼)と後藤理事長が担当することが確認された。

2.中山議長より、定款第26条(総会の定足数)に基づき、上記表決委任者(委任状)を含めて出席4,362名となり、本総会は成立する旨報告された。

3.経過報告(事業報告)

1)理事長報告
 後藤理事長より、事業活動全般と、下記について報告が行われた。

・科研費関係:学会には社会的責任を果たす使命があり、基盤研究に対するサポートが少ない点を変えていきたいと考え発信を行った。具体的には、状況改善に向けた第一手として科研費増額に焦点を絞り国に要望する活動を進めていくよう、本学会から生物科学学会連合(生科連)に提案し、賛同を得た。その後生科連が主体となって様々な分野の連合体等に呼びかけ、その意見を取り入れながら要望書をまとめ、署名サイトで研究者や一般の個人の方の賛同も集めて、文科大臣面談・要望書手交へと展開した。本学会も生科連加盟団体としてこの一連の活動に協力してきた。次の一手に向けて継続的に努力していきたい。

・資産運用:会員にとってプラスとなる方法を、リスクについても慎重に考慮しながら模索し、理事会で協議を重ねてきた。11月26日の理事会で本総会へ提出する予算案を審議する際、本件についても検討がなされ、現在の定期預金(流動資産)のうち5,000万円を「特約付自由金利型定期預金」の5年ものへ組み替えることが承認された。

・国際対応:11月26日の理事会で、国際会議支援事業を終了し、新たに国際関係予算を計上することが検討された。年会の海外演者招聘費や他の海外学術団体等との連携強化に関連する支出などへ充てることを想定する。予算案は学会全体の会計が黒字を見込める範囲内でこの国際関係予算を盛り込んだものとなり、理事会で承認され本総会に提出されることとなった。

・情報発信:以前から運用していたFacebookに加え、2023年4月よりX(旧Twitter)の運用も行っている。さらに別のSNS導入について検討を始めてはとの案も出ている。

・高校教育:高校への出前授業が好評である。2024年、出前授業の対応が可能な会員有志の一覧を更新し、学会HPで公開した。高校からの依頼が増えている。

・ダイバーシティ:年会の企画公募や参加者向け属性調査など、ジェンダーを問う場面ではより多様性について配慮してほしいと会員からの意見があり、選択肢の設定を再検討して対応した。

・倫理要綱の改訂:海外の学会では差別・ハラスメント禁止が明文化されているところも多いが、本学会の倫理要綱にはまだ入っていなかったため、2024年4月に関連項目を追加した。

・第20期将来計画委員会提言にひもづく「年会開催ルール細目」について、コロナ禍や円安の影響などもあり2018年の策定当時から状況が変わってきている点を鑑み、現状に合った内容となるよう変更をした。

・能登半島自然災害により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げる。学会HPに支援情報を掲載している。

・学会誌『Genes to Cells』(GTC)については、西田栄介編集長から、これまで編集幹事として長年大変尽力いただいてきた上村匡新編集長に交代することとなった。新編集幹事は深川竜郎会員にお願いする。

・11月26日開催の第23期・第24期合同理事会において、第51回(2028年)年会長を稲田利文会員(東京大学医科学研究所)にお願いすることが決定した。

※理事長報告に関する詳細は11月26日開催の第23期・第24期合同理事会記録を参照のこと.

2)庶務報告
 中川真一庶務幹事より以下の報告が行われた。

会員現況:〔2024年11月1日現在〕正会員7,740名、シニア会員115名、次世代教育会員13名、学生会員4,164名、賛助会員22社、総計12,054名(前年11月対比、+2)

3)編集報告
 上村編集幹事よりGTCについて報告が行われた。

・2025年1月からGTCの出版形態がContinuous Publicationに移行されることとなった。現在GTCの各号は目次が確定したのちに正式出版されている。校了して出版準備が整った論文はオンライン先行出版され、正式な出版となるまでにタイムラグが生じていた。 Continuous Publication移行後は、各号の目次は空の状態でスタートし、新たな論文が次々と追加され目次がその都度更新されていく。全ての論文が校了後すぐに正式出版されることで、より一層の迅速化が実現する。

・今年もポスター・展示会場で3年分のカバーアートタペストリーを展示中である。引き続き表紙のアイディアを募集している。協力をお願いしたい。

・2025年1月より編集長を拝命する。新たに就任をお願いする深川編集幹事や、編集室、学会事務局とも連携を保ち、GTC出版に努めていきたい。

4.議事

1)令和6年度(2024年度)決算承認の件
 東山哲也会計幹事より総会資料に基づき、令和6年度活動計算書の収支について詳細報告が行われた。2024年10月23日、公認会計士宮城秀敏氏の会計監査を受け(総会資料の独立監査人の監査報告書を参照)、さらに同年11月6日に学会事務所において佐々木裕之監事、塩見美喜子監事による監査会を実施したことが報告された。
 続いて佐々木監事より、帳簿ならびに会計証憑類は正確に整えられており、塩見監事と共に各金融機関の通帳と残高証明書を確認し、同決算を認めたことが報告された。
 審議の結果、本決算は異議なく承認された。

2)令和7年度(2025年度)活動予算書承認の件
 東山会計幹事より総会資料に基づき、令和7年度活動予算書について説明が行われた。審議の結果、同活動予算書は異議なく承認された。

5.第47回(2024年)年会長挨拶
 木村宏第47回年会長より年会開催状況について途中報告が行われた。

・今年は多様な形で参加できる年会を目指し、現地開催の前日にオンラインポスター発表日を設け、また福岡会場では会期中シンポジウム等のライブ配信を行うハイブリッド形式を採用したが、実際には雨にもかかわらず多くの参加者が福岡会場へ来場している。分子生物学会の年会参加者は現地参加を楽しみにしている人が多いようである。見込参加者数、演題数、協賛企業出展数いずれもコロナ禍前である前回福岡年会(第42回・2019年)のほぼ同程度にまで近づけることができ、運営は順調に進んでいる。

・年会特別企画としては、フォーラムの時間帯に研究費関連の3企画を行うことに加え、国内外のグラント機関などから演者を招いた若手向け海外留学応援企画、Australian Society for Biochemistry and Molecular Biology (ASBMB) との合同シンポジウム、市民公開講座などを予定している。最終日には高校生発表もあるのでぜひ足を運んでいただきたい。また年会最終日の翌日、サテライト企画としてEMBO Laboratory Leadership Course in Fukuokaも開催予定である。

・今年はMBSJ2024ポスター賞を設けた。審査結果はリアルタイムに近い形で発表するよう努めている。またEMBO Meet the Editors企画ではEMBOの協力を得て特別賞の選考も行われる。MBSJ2024画像コンテストも開催しており、こちらは優秀賞を年会参加者の投票で決定する。ご協力をお願いしたい。

6.第48回(2025年)年会長挨拶
 小林武彦第48回年会長より2025年の年会開催企画案と準備状況について報告が行われた。

・会期:2025年12月3日(水)~5日(金)

・会場:パシフィコ横浜

 6年ぶりに対面のみの開催を予定している。年会参加者に現地会場へ集まってもらうことが本年会の趣旨であり、テーマは「この指とまれ“Let’s gather here, in Yokohama!”」。年会会場で知り合いや共同研究者を増やしてほしい。本年会では参加者の新しい出会いを後押しするマッチング企画の開催を検討している。まず「○○の研究をやりたい人この指とまれ」といったトピックを募集し、続いて各トピックへの賛同者を募る。一定数が集まった場合には年会会場でテーブルと飲み物を提供し、語り合ってもらうといった企画である。
 また、年会へ集まった人々が言語の壁によって新たな出会いの機会を失うことは避けたい。スマートフォンなどで使える自動翻訳システムのアプリを導入することも検討している。

7.第49回(2026年)年会長挨拶
 水島昇第49回年会長より2026年の年会開催企画案と準備状況について報告が行われた。

・BMB2026(第49回日本分子生物学会年会・第99回日本生化学学会大会 合同大会)

・会期:2026年12月1日(火)~4日(金)

・会場:パシフィコ横浜

 日本生化学会との合同大会(BMB2026)として4日間の会期で開催する。大会テーマは「共鳴~広がる生命科学~」。
 参加者には自分の専門分野でないところの話を聞いてもらえるよう、幅広のシンポジウムを企画したい。国内外のトップサイエンティストを招いて、オムニバス的に講演していただく。
 生化学会との会計按分比率(合同大会の収支⇒各学会の単独会計に按分する際の比率)は過去2年間の大会参加者数と一般演題数の平均で比率を算出し、<分生68:生化32>で配分することとなった。

8.次期理事長挨拶
 木村宏次期理事長より挨拶があった。分子生物学会には学生の頃から参加してきた。非常に良い学会である。第23期では後藤理事長のもとで広報幹事として科研費増額運動に関与してきた。この活動は今後これまでと違うフェーズで継続する必要がある。会員全員の研究の活性化・推進のために尽力したい。

9.中山議長より閉会の挨拶があり、第47回総会が終了した。
 

上記、令和7年度通常総会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名する。

令和6年11月27日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会
令和7年度通常総会

議    長  中 山 潤 一

議事録署名人  後 藤 由 季 子

議事録署名人  木 村   宏