(2005.05.12)
現在、政府では「科学技術基本計画」と「男女共同参画基本計画」の改定作業が進行中です。これらの基本計画は、来年度から5カ年にわたって我が国の科学技術政策の根幹となる重要な基本計画で、本学会会員の将来にも大きなかかわりがあるものです。本学会は、この二つの基本計画のなかに、ライフサイエンスの研究現場の実情を反映した有効な施策が確実に盛り込まれるよう、以下に掲載する6分野28項目の「ライフサイエンスの分野における男女共同参画の推進に関する提言」をまとめました。すでに、4月中に、両基本計画の作成にあたっている内閣府と文部科学省の担当者に本学会会長から提言を手交し、ここに掲げる内容を基本計画に盛り込むよう協力を依頼いたしました。
この提言の作成に当たっては、本学会に設置された男女共同参画ワーキンググループが中心となって、年会における男女共同参画シンポジウム、2,800名余が参加した学協会連絡会アンケート、さらには一定期間WEB上に設けた公聴会等を通じて、会員から広く体験や意見を集め、それらを集約整理して具体的な提言としてとりまとめました。したがって、どの項目も本学会員からの具体的な要望に基づいたものばかりです。項目によっては慎重論・積極論が相半ばするものもあるかと思いますが、現実に分子生物学会会員の中で、ここに挙げたそれぞれの理由で困っている人がいるのであれば、それを指摘し改善の可能性を提起するのがよいのではないかという立場で様々な内容を包括して盛り込んであります。この点をご理解いただけますと幸いです。
本提言はライフサイエンスの分野における男女共同参画の推進に有効と考えられる様々な施策を包括的にまとめたものであるため、今後働きかけるべき対象も、国、大学および研究機関、日本学術振興会、JST、NEDOなどの研究助成機関・団体、日本学生支援機構等、学生に奨学金を提供する機関・団体等、多岐にわたっています。そしてその内容は、国立大学の独立行政法人化や大型の競争的研究資金の導入によって、とりわけ変化の激しい現在の研究・教育の現場に直結した具体的な問題点とその解決法を提案する、詳細かつ膨大なものとなっています。
会員の皆さんは、まず自分にとって一番関心の深い項目から読み進んでいただければと思います。そして、今後、この提言が研究・教育の現場にどのように反映されていくことになるのか、共に見守っていただきたいと思います。
日本分子生物学会・男女共同参画委員会