特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第15期・第16期合同理事会記録

日 時:2008年9月27日(土)15:00~18:50

場 所:パレスビル3階会議室 3-E号室

出席者:第16期
饗場弘二、荒木弘之、上村 匡○(15期編集幹事兼)、大隅良典○、岡田清孝○(15期副理事長兼)、片山 勉、小安重夫、塩見春彦、篠原 彰、白髭克彦、杉本亜砂子、辻本賀英、永田恭介(15期庶務幹事兼)、長田重一○(15期理事長/2008年会長兼)、鍋島陽一(15期監事兼)、升方久夫、町田泰則○、山本正幸○
第15期
小原雄治(2009年会長兼)、田中啓二、月田早智子、中山敬一、花岡文雄、宮園浩平(副理事長/会計幹事兼)、大石道夫(監事)以上25名
(○印は第15期より)

欠席者:第16期
相沢慎一、審良静男、貝淵弘三、影山龍一郎、加藤茂明○(15期広報幹事兼)、篠崎一雄○、田畑哲之○、正井久雄、水島 昇、柳田充弘(Genes to Cells編集長/15期研究倫理委員長兼)、山中伸弥○、渡邊嘉典
第15期
阿形清和、石川冬木、大隅典子、岡野栄之、勝木元也、郷 通子、後藤由季子、榊 佳之、竹市雅俊、中西重忠、西田栄介、本庶 佑、水野 猛、山本 雅、山梨裕司(集会幹事)、米田悦啓(集会幹事)、谷口維紹(2010年会長)、釣本敏樹(論文調査WG委員長)以上30名

事務局:福田 博(記録)、並木孝憲

関係議題参加者:峰崎 愛(BMB2008事務局より)

 
 

本理事会成立について:
 永田庶務幹事より、理事25名、監事1名が出席し、委任状(理事)11名を受理しており、本理事会は細則第4章第7条により成立する旨、報告された。
 

議事録署名人の選任について:
 長田理事長より、議事録署名人として、荒木理事と永田理事が指名され、承認された。本会合は第16期第1回理事会を兼ねた15期・16期合同理事会であるので、議事に先立ち、自己紹介が行われた。
 

議 事:

1.報告事項

1)長田理事長より第15期の活動全般(事業概要)が報告された。
・学会の法人化
2007年6月19日、法人所轄庁である東京都より特定非営利活動法人の認証決定を受け、設立登記が完了した。本学会は、同6月19日をもって法人設立となった。
・2007年4月23日~24日、第7回春季シンポジウム『Biology-Old Codes and New Molecules』(世話人:塩見春彦教授)が開催された。
 会場:兵庫県立淡路夢舞台国際会議場
 参加者数:146名(国内141、海外5)
シンポジウム前日に市民公開講座『プラナリアの再生のメカニズム』を開催。
・2008年5月26日~27日、第8回春季シンポジウム『躍動する分子生物学-北の大地から』(世話人:畠山昌則教授)が開催された。
 会場:京王プラザホテル札幌
 参加者数:616名、招待講演者18名
シンポジウム前日に市民公開講座『健康な体を維持する仕組み』、『ゲノムが教えてくれる生物のすがた』を開催。
・2007年の年会は、第30回日本分子生物学会年会・第80回日本生化学会大会 合同大会の形式で、山本 雅年会長により、2007年12月11日~15日の5日間、パシフィコ横浜において開催された。参加者数は11757名、一般演題は5581題であった。
・2007年11月、学会ホームページを全面リニューアルした。
・14期に引き続き15期においても、積極的に男女共同参画事業をサポートした。
 

2)学会創立30周年記念座談会報告
・本年3月に執行部にて、会報11月号に創立30周年の特集記事を組むことを企画した旨、長田理事長より説明があった。持ちまわりメール審議にて理事会の賛同を得て「学会創立30周年・会報特集記事/企画委員」を組織した。メンバーは、理事長、岡田副理事長、宮園副理事長、永田庶務幹事、加藤広報幹事の5名とした。学会設立から創立初期において、学会長・年会長を務められた先生方に、創立から黎明期に至る学会の歴史・エピソード・当時の研究環境、等々について、自由に執筆依頼し、8月末までにすでに次の通りの原稿を入稿頂いている。
【タイトルと執筆者】
○日本分子生物学会事始(岡田吉美 氏)
○分子生物学会の先史時代(関口睦夫 氏)
○研究活動の活性化と社会貢献(三浦謹一郎 氏)
○学会が設立された頃の想い出(高浪 満 氏)
○私と学会(吉川 寛 氏)
○日本分子生物学会創立30周年に寄せて(大石道夫 氏)
・さらに執行部では、記念座談会『日本分子生物学会30年の歩み』を企画し、本年6月28日(土)に東京で開催した。この座談会は大石道夫監事(第10期会長)に世話人をお願いし、研究分野や当時の状況を踏まえて、その参加メンバーも大石監事に決定頂いた。実施概要は次の通りであった。
日 時:2008年6月28日(土)15:00~17:30
開催場所:ホテルグランドパレス
司 会: 大石道夫(第16回年会長、第10期会長)
参加者: 岡田吉美(第1回年会長)、関口睦夫(第2回年会長、第6期会長)村松正實(第5回年会長)、松原謙一(第7回年会長、第9期会長)、三浦謹一郎(第11回年会長、第7期会長)
第15期執行部出席者:長田重一(第15期理事長)、加藤茂明(第15期広報幹事)、永田恭介(第15期庶務幹事)
・座談会の記録原稿は、事務局・福田氏がまとめ、A4判・約25ページとなった。参加者の校閲を終え、すでに印刷所に入稿、編集作業に入っている。前述6名の先生からの寄稿と座談会原稿を合わせて、まとまったボリュームとなったので、通常号からは独立させ、会報91号(2008.11月号)の増刊号(創立30周年記念特集号)として発行することとなった。11月初めには、年会プログラムと会報91号(通常号)、91号記念特集号を3冊同封して、会員へ発送する予定である。
 

3)宮園会計幹事より2008年度(平成20年度)会計の収支見込みについて説明がなされた。昨年6月の法人移行により事業年度(会計年度)が4月~3月から10月~9月に変更となり、今回の2008年度決算が初めての12カ月の法人決算となる。ただし9月末の正式な決算資料がすべて集まるのは10月半ばとなるので、現時点における最新の数字にて見込み決算資料を作成した。
 2008年度決算より、年会の会計(昨年のBMB2007決算の分子生物学会・収支負担分)が正式に学会本体会計にすべて繰り入れられる。その本体会計への収支繰入部分につき詳細説明がなされた。
 本年度、会費納入率はかなり改善し、ほぼ従来のレベルに戻ったが、今後は学生会費の納入率アップを事務局は努力されたい。入会金は約175万円であり、新入会者は1750名といったことになるが、ほぼ同数の長期滞納による除籍者と通常退会者がいるので、会員数としては横ばいである。春季シンポジウムについては、収入48万円に対し、支出566万円で518万円の持ち出しではあるが、従来も年会で剰余金を捻出して、会計全体の中で春季シンポジウムに充ててきたので、ほぼ想定内の収支状況である。
 Genes to Cellsについては、昨年7月、京大構内の外に独立した編集室事務所を開設したが、編集経費は非常に節約されており、さらに、柳田編集長、上村編集幹事の努力により、出版社との契約改定が進んでおり、新年度からは編集経費(発行支援金)のうち800万円は出版社負担分として精算返金されるようになる(学会本部会計として通常の支払い業務を行い、半期に1度、出版社からの精算入金分を立替経費として経理処理する)。2008年度収支見込みでは、1~6月分につき出版社負担分の精算がなされ、発行支援金支出は300万円前後となる見通しである。
 その他、管理費の各科目についての説明がなされた。論文調査WGの旅費・会議費や、論文調査報告書とGTC出版契約書に関する弁護士費用(相談と書類確認)は予備費より支出した。 なお、本収支の税務処理であるが、本学会は会計事務所と顧問契約を交わしており、その委嘱範囲に税務顧問も含まれているので、専門家の指示のもと対応する予定である旨報告された。
 

4)理事選挙結果報告
・永田庶務幹事(第16期理事選挙管理委員長)より理事選挙結果の報告が行われ、すでに当選者30名より承諾書を受領しており、第16期理事が確定したとの説明がなされた。
【第16期選挙結果】
選挙公示日:2008年6月18日(水)(会報90号発送)
投票期間: 2008年6月20日(金)9:30~7月11日(金)18:00
開票日:  2008年7月17日(木)
開票場所: 学会事務所
開票立会人:選挙管理委員3名(永田恭介、多羽田哲也、宮澤恵二)
有権者数: 14298名
投票者数: 281名
有効投票数:2810票(被選挙権者への投票2095票、白票715票)
無効投票数:  0票
当選者:(50音順) 相沢慎一、饗場弘二、審良静男、荒木弘之、上村 匡、 大隅良典、岡田清孝、貝淵弘三、影山龍一郎、片山 勉、 加藤茂明、小安重夫、塩見春彦、篠崎一雄、篠原 彰、 白髭克彦、杉本亜砂子、田畑哲之、辻本賀英、永田恭介、 長田重一、鍋島陽一、正井久雄、升方久夫、町田泰則、 水島 昇、柳田充弘、山中伸弥、山本正幸、渡邊嘉典
 以上30名
電子投票に切り替わったこともあり、前回より投票率が下がったことが永田庶務幹事より報告された。Web会員システムの選挙ページ内に、電子投票に必要な会員番号の付してある〝理事候補者参考リスト〟が公開されていたが、その掲載場所がわかりにくかったとの意見が、出席理事より提出された。次回の選挙実施には、掲載資料の見せ方に改善を行い、また投票率を高めるために、投票期間中にも一斉メール配信を行ったほうがよいとの意見が提出された。2年後の選挙管理委員会には、事務局から申し送ることが確認された。
・引き続き、永田庶務幹事より、選挙管理委員会を運営するに当り、従来、準拠すべき選挙管理委員会内規が整備されていなかった点につき説明が行われた。特に配慮・検討すべき点は、得票数30位の者の取り扱いである。第16期選挙では、従来の慣習を継続し30位が得票同数の場合は年長者順に当選者とした(毎回の選挙で、30位に得票同数者が複数名いることが事務局より説明された)。30位が同数の場合に、当選者を年長者とするか年少者とするかを検討した結果、「30位が得票同数の場合は、選挙管理委員会において厳正に抽選を行い、当選者を決定する。」ことに決定した。
 上記内容を盛り込み、本理事会において以下の通りの選挙管理委員会内規を定めた。
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「理事選挙に関する選挙管理委員会内規」
【選挙管理委員の指名、ならびに選挙管理委員会の担当業務について】

1.細則第2条により理事長より委嘱された選挙管理委員3名は、次期理事選出のための選挙業務を行う。理事長の指名により、委員3名のうち1名を選挙管理委員長とする。選挙実施時において理事・監事に就任している者は、選挙管理委員には就任できない。理事でない幹事については、選挙管理委員への就任を妨げないものとする。選挙管理委員の連続した再任は避けるものとする。

2.選挙管理委員長は、理事長、庶務幹事、学会事務局長と選挙事務内容を確認し、理事選挙全般に関する選挙日程を作成する。

3.選挙管理委員会は、選挙実施前に、会報ならびにホームページを通じて、会員あてに選挙公報を行うものとする。

  【選挙要項、ならびに当選者確定までの諸手続きについて】

1.会則第14条により、選挙権は正会員、名誉会員、学生会員がそれを有し、被選挙権は正会員のみが有しているが、選挙権者、被選挙権者となれる入会期限については、選挙実施年度の選挙日程を考慮し、選挙実務に支障のないように、選挙管理委員会が決定する。

2.当面の間、投票は学会ホームページの「会員管理システム」上における電子投票システムにおいて行われるものとする。

3.選挙権者は、投票期間中、選挙システムへログインし、被選挙権者の中から10名以内を選んで投票を行う。

4.理事会の責任のもとに、新理事候補者参考リストが作成されるが、理事候補者リストはあくまでも選挙権者の投票のための参考資料であり、参考リスト以外の被選挙権者への投票を何等妨げるものではない。

5.選挙管理委員は、開票(電子投票システム集計)に立会い、得票数の多い順に30名を当選者とする。30位が得票同数の場合は、選挙管理委員会において厳正に抽選を行い、当選者を決定する。

6.選挙管理委員会は、当選者と次点者(5名以上)の個別投票数に関して理事長にのみ報告を行い、その他のすべての会員に対して、投票内容の守秘義務を有するものとする。

7.開票結果が出た後すみやかに、選挙管理委員長は理事長との連名による「当選通知」を発行し、事務局は「理事就任承諾書」を集めるものとする。

8.当選者の中から、万一、辞退者が出た場合は、選挙管理委員長は理事長と協議を行い、次点者を繰上げ当選とするか否かは、理事長の指示によるものとする。(法人定款上(第13条)の役員定数は、理事25人以上35人以内となっており、繰上げ当選者を出さなくても運用上の支障はない。)

9.選挙結果(投票期間、開票日、開票場所、開票立会人、有権者数、投票者数、有効投票数、無効投票数、当選者氏名)は、会報ならびにホームページを通じて、告知される。
 

  2008年9月27日、第15期第16期合同理事会において、上記を日本分子生物学会・理事選挙管理委員会内規と定める。
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5)永田庶務幹事(石川賞推薦委員長代理)より、2008年1月~9月に学会推薦を行った各種学術賞について報告がなされた。引き続き、花岡研究助成選考委員長より2008年に推薦した研究助成について報告が行われた。
 

6)長田理事長(石川賞推薦委員長代理)より、第6回日本分子生物学会三菱化学奨励賞候補として11件の応募があり、選考の結果、以下の受賞者2名が決定されたとの報告がなされた。

○鈴木 勉(東京大学大学院工学系研究科 教授)
【研究題目】
(和文)RNA修飾の生合成と機能に関する研究
(英文)Biogenesis and functions of RNA modifications

○富田 耕造(産業技術総合研究所 研究グループ長)
【研究題目】
(和文)鋳型非依存的RNA合成酵素の進化・分子機構に関する研究
(英文)Mechanism and evolution of template-independent RNA polymerases

  授賞式および受賞講演は、BMB2008開催2日目、2008年12月10日(水)17:30より行われる。
 なお、出席理事より今回の応募11件の研究分野につき質問が出され、月田理事(賞選考委員)より、今年も幅広い研究分野からの推薦、応募があったことが報告された。
 

7)長田第31回年会長より、配布資料に基づき準備状況の報告がなされた。一般演題投稿数は5573演題、そのうち991演題が一般口頭発表に採択された。また、7月の演題投稿に間に合わなかった会員からの発表希望の問合せがあり、合同大会準備会議で検討した結果、本年会では「Late-Breaking Abstracts」を受け付けることとした(受付期間は2008.10.6~2008.11.14)。「Late-Breaking Abstracts」は、準備作業の都合もあり、プログラム集・要旨集には掲載されず、会場で配布される簡易印刷物の形で配布されることになる。
 プログラム集は例年通り11月上旬の発送を予定している。今年は地球環境の保全(紙資源)に配慮し、両学会に重複している会員へのプログラム二重送付を避けるべく、生化学会にも属している会員には分子生物学会からのみのプログラム集送付となることが報告された。
 要旨集については、年会当日の、参加者の荷物負担や地球資源保護を目的とし(例年、会場で処分される要旨集が相当部数、見受けられる.)、第31回年会では、事前参加登録者にのみ要旨集(印刷物)とCD-ROMを事前配布し、当日参加登録者にはCD-ROMのみを配布する旨説明がなされた。
 懇親会については、シンポジウム・オーガナイザーを招待者とし、次世代を担う若い人たちに多数参加してほしいと長田年会長より説明があった。
・その他の配布資料、BMB2008一般演題/発表者の所属学会データ

分子生物学会会員3392演題
生化学会会員1801演題
両学会会員380演題
総演題数5573演題

 

8)小原第32回年会長より、開催企画案につき報告がなされた。

会期:2009年12月9日(水)~12日(土)の4日間
会場:パシフィコ横浜
組織委員会:年会長 小原 雄治
副年会長荒木 弘之
幹 事小林 武彦、深川 竜郎
アドバイザー 桂  勲
組織委員 遺伝研を中心に静岡県の会員39名

  ○テーマ「分子生物学会年会の原点に戻る」

  (1)“議論する場”に

①会場の利点を生かして“議論する場”となる年会にする.

②一日1,000演題のポスターが一つの会場にまとまるという特性を活かし、ポスター会場での発表/討論を重視し充実させる.そのための様々な仕掛けを検討中.(座長/ディスカッサー配置による質疑・討論、そのためのポスター形式の統一など)

  (2)国際性を高める

①シンポジウムは要旨・講演ともに英語で統一し、若手PIを中心に、各シンポジウム外国人演者を2名程度招聘(そのための支援を検討中).

②海外演者にも、ポスター討論など積極的な年会プログラムへの参加の仕組みを検討.

③ポスターを含め、要旨は基本的に英語での執筆を推奨する.

  (3)社会性の推進

  (4)ITを積極活用する

①プログラム集は印刷物を作成・送付するが、要旨集はオンライン化し、印刷物を廃止したい.

②参加登録者はパスワード・IDを用いてWWW上での要旨等の前情報の閲覧・検索・ダウンロードを可能にする.

③年会会場にて、PC・携帯電話にて、検索・閲覧・その他のサービスを利用できるようにしたい.

④会期後の、要旨の一般公開(例えば一定期間後)を検討している.

   上記企画案の(4)①②につき、小原年会長の説明に続き、荒木副年会長からも詳細説明がなされ、その後、意見交換がなされた。討議の結果、本理事会において、講演要旨のオンライン公開が承認された。(4)④の年会終了後の要旨の一般公開については、データを設置する場所(検索機能を含め、システム上の検討課題を解決する)や、発表者の論文投稿、特許等についても関係してくるので、次回理事会にて、継続検討することとなった。
 

9)長田理事長(谷口第33回年会長代理)より第33回(2010年)年会につき報告がなされた。

名称:第33回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会 合同大会
略称:BMB2010(Biochemistry and Molecular Biology 2010)
会期:2010年12月7日(火)~10日(金)の4日間
会場:神戸ポートアイランド
年会長:谷口維紹

   第33回日本分子生物学会年会は、第83回日本生化学会大会(田中啓二会頭)との合同大会として開催する。開催地が神戸、開催会期は4日間であるので、今年のBMB2008の開催実績をふまえ、会場使用形式等を踏襲しつつ、魅力ある合同大会となるように、今後、学術企画を検討していきたい。来年1~2月には、BMB2010第1回準備会議を開催し、組織委員会の準備にも入る予定である旨、谷口年会長に代わって長田理事長より報告された。
 

10)上村編集幹事より『「Genes to Cells』編集報告、ならびに出版社契約につき、報告が行われた。

 ・出版契約について
 本学会機関誌『Genes to Cells』の出版元であるBlackwell PublishingがJohn Wiley & Sonsに吸収合併されたことに伴い、本誌における契約内容の抜本的な見直し、改定を進めてきた。これにより、機関紙発行の学会収支は大幅に改善される見込みであり、間もなく新契約の調印にいたる予定であるとの報告がなされた。
 その概要としては、①編集事務局費用など、学会が負担してきた約800万円(2008年度の国際誌発行支援金は予算上1000万円を計上)につき、今後は800万円を上限に出版社が負担する.(注、オンライン費用は今後も別途、同額が必要である)②200万円の編集協力金制度を廃止し、学会と出版社とで利益(会員外の購読収入)を折半する.③編集事務局機能を段階的に出版社へ移管し、本誌のステータスをさらに向上させる.以上の3点である。

 ・編集状況に関する詳細資料(①2008年9月10日現在のOnline投稿数一覧、②2003年9月~2008年9月の各年月別投稿数、③2003年9月~2008年9月の国別Accept & Reject率一覧)が配布され、説明が行われた。2008年6月には、これまでの論文掲載者およびEditorへ再投稿の呼びかけメールを配信するなど、投稿数増加のための働きかけを行っている。『Genes to Cells』をさらなる国際ジャーナルに育てるため、理事各位にはご協力をお願いしたいとの説明がなされた。
 

11)永田庶務幹事(大隅典子男女共同参画委員長代理)より、男女共同参画委員会活動報告の説明が行われた。報告内容は2点、①第2回大規模アンケート分析について、②女子中高生夏の学校2008~科学・技術者のたまごたちへ~、であった。また、本年のBMB2008にあたり、年会2日目の12月10日に開催されるランチョンワークショップ「進化していく男女共同参画」につき報告がなされた。
 引き続き、男女共同参画委員長・大隅典子氏と男女共同参画学協会連絡会運営委員・大坪久子氏の連名で長田理事長あてに提出されている検討依頼文「分子生物学会における「個人情報保護方針」策定についてのお願い」の説明がなされた。
 その依頼内容であるが、上述①第2回大規模アンケート分析(男女共同参画委員会内のアンケート分析WGが中心となり、大規模アンケートの中の分生会員分データのみを抽出し、バイオ系研究者が抱える問題点の分析を進めている)について関連して、学協会連絡会において提示される「データベース利用と管理ガイドライン」では、各学会独自の個人情報保護方針の策定を求められており、本会においても、早急に学会独自の個人情報保護方針を策定してほしいといった依頼であった。
 分子生物学会は、従来、法律に準拠するといった原則で、学会の業務を行ってきたが、このたびの依頼内容をも網羅する形で、分子生物学会独自の個人情報保護方針を制定する方向で、理事長、庶務幹事、学会事務局にて、保護方針(案)を作成した。資料が配布され、「個人情報保護方針」が本理事会において制定された(2008.9.30 HPに掲載された)。
 

12)中山若手教育問題ワーキンググループ座長より、同ワーキンググループ最終答申「科学的不正を防止するための若手教育への方策について」(2008年4月30日)が配布され、説明がなされた。同答申については、昨年12月の理事会で活発な討議が行われており、その後、ワーキンググループにてさらなる検討と修正が加えられた。本年4月26日、理事会執行部会議(長田理事長、宮園副理事長、中山理事、山本雅理事)にて最終確認作業が行われ、若手教育問題ワーキンググループの名前で答申を公開(情報発信)していくが決められた。本理事会にて同答申を公開することが承認され、学会HPと会報11月号へ掲載することとなった。
 引き続き、第31回年会会期中(2008年12月9日(火)18:00~19:30)に開催される第2回若手教育シンポジウム「今こそ示そう科学者の良心2008-みんなで考える科学的不正問題-」につき報告された。第一部は講演、第二部は若手パネルディスカッション、第三部は中堅~シニアパネルディスカッションとし、共立出版(株)の協賛を得て、軽食・ジュースを提供する予定である。
 また、若手教育ワーキンググループでは、「蛋白質 核酸 酵素」とのタイアップ企画を進めており、シリーズ:正しい知識が捏造を防ぐ「データを正確に解釈するための6つのポイント」を連載する予定である。2008年12月号の「Photoshopによるゲル画像の調整」(中山敬一)第1回を皮切りに、2009年10月号の第6回まで、ワーキンググループ委員の持ち回りでシリーズ執筆を行う予定であることが報告された。
 なお、出席理事より、不正・捏造云々から始まるのではなく、「正しいサイエンスとは○○○あるべきだ!」といったニュアンスで、教育・啓発活動が進められないものか、といった意見が提出された。PI教育、ラボの運営、等々につき活発な意見交換がなされた。
 

13)研究倫理委員会・論文調査ワーキンググループ「論文調査ワーキンググループ報告書」、ならびに「意見書(杉野元教授)」について
 論文調査ワーキンググループ(WG委員長:釣本敏樹九大教授)は、1年半に亘って、杉野元阪大教授が関与した論文捏造問題に対し、中立的立場でその背景を調査し、分子生物学会としての同捏造問題に対する説明責任を果たすと共に、将来を担う研究者の研究発表における教訓を明示することを目的として調査活動を行ってきた。2007年4月から2008年7月までに8回の会合を開催し、聞き取りおよび書面調査の対象は20名(内、4名は外国人研究者)に及んだ。このたび、調査ワーキンググループから理事会への報告書提出といった運びとなった。
 本理事会には、海外出張のため柳田研究倫理委員長の出席がかなわず、また釣本論文調査WG委員長も事情があり(怪我をされたため)上京できない事態となった。しかし調査委員を兼ねている片山理事、篠原理事が出席しているので、重要議題を審議してよい、との確認がなされ、その上で、「報告書」「意見書」が配布された。
 「報告書」「意見書」ともに、長田理事長が全文を読み上げ、その後、質疑応答に入った。片山理事、篠原理事からは、この1年半の調査活動についての詳細説明がなされた。花岡理事(論文調査WGオブザーバー)からも補足説明が行われた。「報告書」「意見書」共に、弁護士の確認作業を経ており、その公開に際し、法的に問題のないことは確認されている旨、片山理事より説明がなされた。活発な意見討論の結果、「報告書」「意見書」ともに、学会HPと会報(2008年11月号)で公開していくことが、本理事会で承認された。
(報告書については、1箇所につき微妙なニュアンスを修正した。また、報告書と意見書(反論レポート)の発行日が前後していることにつき出席理事より質問が出されたが、その後、弁護士に確認した結果、問題はなかった。最終的には、弁護士のアドバイスもあり、報告書公開を理事会で承認した9月27日を、報告書発行日とした。)
 今後、論文調査ワーキンググループでは、報告書の英語版作成作業に着手し(英語版報告書も弁護士の確認を取る予定である)、Genes to Cellsに“Letter to Editor”といった形で掲載できるように作業を進めていく旨、片山理事より説明がなされた。
 

14)その他

 ・学会創立30周年記念出版の件
永田庶務幹事より、東京化学同人から提示されている企画案(Ⅰ.シリーズ分子細胞生物学・・・分子生物学の基礎的知識をまとめた入門シリーズ シリーズ構成は7つ、Ⅱ.分子細胞生物学 教科書・・・外国教科書を凌駕する標準教科書を分子生物学会の総力をあげて作る)につき、紹介、報告がなされた。討議の結果、本件については、第16期理事会に申し送ることとなった。たとえば、学術事業企画委員会(仮称)等を設置し、検討したらどうかとの意見もあり、継続審議事項となった。同出版社からは、学会会報への広告掲載希望も入っており、その検討も合わせて、16期理事会に申し送られた。

 ・生物科学学会連合より各加盟学会あてに、学会ホームページに、高校生向けの記事をぜひ掲載してほしい.との要望が出されている旨、永田庶務幹事より報告があった。

 ・本会合は第15期最後の理事会でもあり、長田理事長より、理事・監事・幹事に対し、謝辞が述べられた。
 

2.審議事項
 

1)第16期理事長の選任
 議事進行役である、第15期長田理事長、第15期永田庶務幹事、ともに第16期理事であるため、先ず、理事長選出に関する細則につき事務局より説明がなされ、その後、第16期理事による自由討論が行われた。意見交換の後、第16期理事の投票により(開票立会い:第15期大石監事)、第16期理事長として岡田清孝氏が選任された。
 

2)第16期副理事長の件
 細則第4条の確認がなされ、第16期岡田理事長より副理事長は2名設置したいとの要望が出された。なお、その選任については、年会前日(12月8日)の次回理事会で決定することとなった。
 

3)第16期監事の選任、各幹事、各種委員会委員の選出・委嘱について
 監事、各幹事の選出ならびに各種委員会については、慣例に従い、すみやかに新旧の理事長/庶務引継会を行い、その選出・委嘱に関しては、第16期岡田理事長に一任された。
 

4)第16期の事業計画について
 第16期岡田理事長に一任された。継続議案については、次回理事会にて検討する。
 

上記、第15期・第16期合同理事会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。

2008年9月27日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第15期・第16期合同理事会

議長長 田 重 一
議事録署名人荒 木 弘 之
議事録署名人永 田 恭 介