特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第24期第2回(臨時)理事会記録

日 時:2025年8月6日(水)15:00~17:00

場 所:オンライン開催(Zoom)

出席者:木村 宏(理事長)、倉永英里奈(副理事長)、後藤由季子(副理事長)、阿形清和、五十嵐和彦、石谷 太、上村 匡(Genes to Cells編集長兼)、大谷直子、鐘巻将人、近藤 滋、斎藤通紀、佐田亜衣子、塩見美喜子、高橋淑子、中島欽一、中西 真、中山敬一、中山潤一(広報幹事兼)、二階堂愛、濡木 理、東山哲也、三浦恭子、三浦正幸、山本 卓、井関祥子(監事)、塩見春彦(監事)、岩崎由香(庶務幹事)、中川真一(庶務幹事)、稲田利文(会計幹事/2028年会長)、深川竜郎(編集幹事)、岡田由紀(国際化担当幹事)、小林武彦(2025年会長)、以上32名

委任状:粂 昭苑、胡桃坂仁志、林 克彦、原 英二、吉森 保、水島 昇(2026年会長)、杉本亜砂子(2027年会長)、以上7名

欠席者:石黒啓一郎

事務局:並木孝憲(記録)、金子香奈里、丸山 謹、山口恵子
 

本理事会成立について:
 中川真一庶務幹事より、理事24名、監事2名、幹事5名、年会長1名が出席し、委任状5名(理事)を受理しており、本理事会は細則第4章第8条により成立する旨報告された。

議事録署名人の選任について:
 定款の規定に従い、議事録署名人として大谷直子理事と東山哲也理事が選任された。
 

議 事:
 

1.報告事項
 

1)ホームページリニューアル
 中山潤一広報幹事より、今期への申し送りとされていた学会ホームページリニューアルについて進捗の報告がなされた。ユーザーが求めている情報へスムーズにたどり着けるよう、トップページをシンプルでわかりやすいデザインとする。

2)定期預金の一部組み替え
 稲田利文会計幹事より、2024年11月の合同理事会における決定を受け、本学会の定期預金(流動資産)のうち5,000万円を特約付自由金利型定期預金の5年ものへ組み替えたことが報告された。(参考:約定日の適用利率によると、満期時の利息手取り額は約175万円となる)

3)Genes to Cellsについて
 深川竜郎編集幹事より、Genes to Cellsに関する直近の動向と課題について報告がなされた。ジャーナルの投稿数は堅調であり、Paper Millは減少傾向にある。その一方で、昨年の投稿サイトに続きリニューアルが実施された査読サイトにおいて、いくつかの不具合解消に時間を要していることから、この点についてWileyへ改善要求をしている。また、本誌の投稿料が無料であること、即時OAとする際のAPCや会員割引を会員に継続周知していることなどが報告された。
 次いで上村匡編集長より、木村宏理事長、深川編集幹事、学会事務局(並木)とでGenes to Cellsに関する意見交換を行ったことが報告された。APC高騰や生成AI導入、若年層の減少など、科学界には多くの課題が散見しており、「激動の時代を生き抜くジャーナル」にしていくためにも、新しい読者・投稿者を開拓する企画をはじめ、編集委員の入れ替えも予定されている。

4)生物物理学会との連携
 水島昇第49回年会長に代わり、BMB2026(第49回日本分子生物学会年会・第99回日本生化学会大会 合同大会)の東山哲也庶務幹事/プログラム副委員長より、BMB2026組織委員会において生物物理学会との連携を決定したことが報告された。本年会は生化学会との合同開催(BMB)であり、3学会の間で覚書を取り交わすことになる。分生・生化の会員は生物物理学会へ入会することなく、2026年の生物物理学会年会(韓国で開催)に参加・発表でき、また同様に、生物物理学会の会員は分生・生化の会員と同等の資格でBMB2026に参加・発表できることが、その他いくつかの資格要件と合わせて説明された。
 なお、BMB2026のプログラム集に関しては、分子生物学会と生化学会で取り扱い方法に違いがあるため、両学会の会員が同じようにプログラム情報へアクセスできるようにする方針であることが報告された。
 

2.審議事項
 

1)学会資料の電子化
 昨年の合同理事会において杉本亜砂子第50回(2027年)年会長より「第50回記念企画については、例えば昔の学会資料(年会プログラム・要旨集や学会の会報など)を使って何かできないかと思案している。」といった計画が述べられていた。
 そこで第24期執行部は、これらの資料の中に電子化されていないものがあることをふまえ、分子生物学会が創立50周年を迎えるにあたって、まずは本学会の活動が記録された会報のバックナンバーから電子化に着手することとした。この方針とそれに伴う予算に関して倉永英里奈副理事長より説明があり、理事会で承認された。
 なお、年会プログラムや要旨集の電子化については今年の定例理事会での検討を予定している。

2)国際関係予算について
・岡田由紀国際化担当幹事より、EMBOリーダーシップコース開催に関する予算案の説明がなされた。本プログラムは、その開催準備や運営調整を担う「次世代リーダー育成ワーキンググループ(WG長:平谷伊智朗氏)」をキャリアパス委員会内に設置し、分子生物学会の新たな事業とすることがメールによる持ち回り審議を経て理事会の合意が得られている。今回のWG提案は、令和7年度予算に計上されている国際関係予算(350万円)のうち、50万円を本プログラムの開催補助金に充てることを求めるものである。ただし、EMBOの講師がスケジュールの都合で参加できない場合には、EMBO Japan Branchの講師等による代替プログラムを実施する可能性も示されている。また、準備状況によっては、当該補助金50万円を年度内に執行せず、次年度予算に同様の科目を設定し、本プログラムの開催費用とする措置を含め、理事会で異議なく承認された。
・続いて、第48回横浜年会で導入予定の「ポケトークカンファレンス」に関し、本年会の組織委員でもある倉永副理事長より、同サービス導入にかかる費用の一部を国際関係予算から支援することについて執行部での検討経緯が報告された。同サービスはAIを活用した同時通訳サービスであり、登壇者の発言内容がリアルタイムで翻訳され、参加者のスマートフォンに文字表示される仕組みである。日本人参加者が多い分子生物学会の年会において、会員への還元という観点では英語から日本語への翻訳に潜在的なニーズがあるものと思われる。その一方で、日本語を英語へ翻訳することによって、日本語を母語としない参加者がセッションに参加しやすくなり、英語でのより深い議論に発展する期待も感じられる。この両面から執行部で検討を重ね、導入するセッション範囲と費用感、言語別講演枠数や費用からなる5つの異なるタイプが提示された。
 続いて小林武彦第48回年会長より、「ポケトークカンファレンス」の導入を決めた背景が説明された。分子生物学会年会は生命科学の様々な分野から研究者が一堂に会することがひとつの大きな魅力であり、こうした多様性を活かすためにも、進化し続けるテクノロジーを積極的に取り入れることで、議論の量を増やし、知識の質を上げていく一助になるのではないかと考えた。現在の年会予算を勘案し、本サービスの導入費用を可能な範囲で支援いただきたいとの旨が伝えられた。
 自由討論では「ツールとして認知されることで、英語のセッションを敬遠していた参加者の動機付けになる.AIによる自動翻訳であり、情報セキュリティ、特にサードパーティエンジンが音声データを処理後に削除することなど、発表者への説明が必要ではないか.学会や企業等での使用実績および組織委員会での使用感からすると有用なサービスと思われるが、安価なものとは言い難い.翻訳精度は向上しているものの、本年会では初めての導入となるので大規模ではない範囲とするのがよいのではないか.」など多くの意見が交わされた。討論の後、中川庶務幹事の進行のもと、議事に出席していた理事(23名)による採決が行われた。

・本サービスの導入を支援することについて(1回目)
支援しない:4票、100万円を支援する:11票、200万円を支援する:6票、白票:2票

・支援する金額について(2回目)
100万円:17票、200万円:5票、白票:1票

 採決の結果、第48回年会の「ポケトークカンファレンス」導入支援金として100万円を補助することとなった。従来の本部補助金500万円にこの100万円を加え、令和8年度予算において計600万円を補助する。

3)年度会費の改定について
 冒頭で事務局より会員現況について説明がなされた後、木村理事長より今回の年度会費改定の趣旨が述べられた。まず、改定を目指すに至った最大の理由は、物価高などの影響で生活費の負担が大きくなっている学生の年度会費を今より抑える必要があるという判断である。また、来年の年会が生化学会との合同開催であり、生物物理学会との連携も2年目となる(生物物理学会の会員は、分子生物学会あるいは生化学会へ入会することなく、BMB2026に会員区分で参加・発表が可能)。生化学会と生物物理学会では入会初年度にかかる学生会員の費用負担が分子生物学会より安価に抑えられているため、本学会への入会者が減少してしまうおそれがあることが指摘されていた。そこで、生物系の多くの学会で数千円の学生会費が設定されている状況もふまえ、執行部において、学会の会費収入総額が均衡を保てる範囲での試算を重ね、以下の改定案が提出された。

会員種別入会金年度会費
・学生会員1,000円(変更なし)3,000円 → 1,000円(初年度は0円)
・正会員1,000円(変更なし)6,500円 → 7,500円

 具体的には、学生会員の年度会費を現在の3,000円から1,000円に変更、ただし新入会の際には入会金1,000円がかかるため初年度会費を0円として入会金だけ申し受けることとし、学生会員の費用負担は年1,000円とする。他方、正会員には現在の6,500円から7,500円に年1,000円の負担増をお願いするものである。なお、正会員と同額の年度会費が設定されている次世代教育会員にも同様の負担増をお願いするが、シニア会員の3,000円と賛助会員の一口40,000円は据え置きの案となっている。
 木村理事長からの詳細説明を受け、出席理事より次のような意見が出された。「人口減少や物価上昇を考えれば、年度会費は上げざるを得ない.学生以外の会員に支えてもらうことになるので、負担増は最小限に抑えたい.年会の参加登録費が他学会に比べ安価なので、全体としてはバランスが取れているのではないか.」。意見交換の後、議事に出席していた理事(22名)による採決が行われた。

・年度会費の改定(執行部案)について
賛成:21票、反対:1票、白票:0票

 採決の結果、年度会費の改定案は理事会で承認され、臨時総会に諮られることとなった。続いて、本改定案にもとづいた法人細則の改正案が理事会に諮られ、承認された。
 最後に、木村理事長より出席者へ謝意が伝えられた。また、日本の研究力強化を目的とした科研費増額に向けた国への要望活動について、その進捗状況が共有され、今後も理事各位の継続的な協力と理解が求められた。
 

 上記、第24期第2回(臨時)理事会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名する。

2025年8月6日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第24期第2回(臨時)理事会

議    長  木 村   宏

議事録署名人  大 谷 直 子

議事録署名人  東 山 哲 也