特定非営利活動法人 日本分子生物学会 平成25年度(第35回)通常総会記録

日 時:平成24年12月12日(水)18:30~19:15
場 所:マリンメッセ福岡(ポスター/展示会場)2階・休憩コーナー内特設会場
社員数(正会員+名誉会員):9,931名
出席者数:5,143名(本人出席76名、表決委任者5,067名)

議事内容:
 

1.小原雄治理事長より開会の挨拶、ならびに山中伸弥会員のノーベル生理学・医学賞受賞への祝意が述べられた。

2.定款第25条に基づき、小原理事長より本総会議長として林茂生会員が指名された。さらに定款第29条に基づき、議事録署名は、阿形清和会員(第35回年会長兼)と小原理事長が担当することが確認された。

3.林議長より、定款第26条(総会の定足数)に基づき、上記表決委任者(委任状)を含めて出席5,143名となり、本総会は成立する旨報告された。

4.経過報告(事業報告)

  1)理事長報告
小原理事長より、総会資料(2頁:2012年度事業報告)に基づき、事業活動全般と、さらに下記3点につき報告が行われた。

①春季シンポジウムに代わるあらたな事業『第1回日本分子生物学会国際会議支援』の募集を行い、選考委員会の審査を経て、4会議に対して計700万円の助成を行った。

②第37回(2014年)年会長について
12月10日に開催された17期第3回理事会において、第37回年会については、小安重夫会員(慶應義塾大学)に年会長をお願いすることが決定した。

③加藤論文問題について
 今年初めから現在に至るまでの本件に関する経緯概要につき説明がなされた。論文問題はきちんとした根拠をもとに議論しなければならない案件であり、東大の対応を待っていた結果、ここまで時間を費やしてしまったことについてお詫びの言葉が述べられた。
 この問題については、11月2日に執行部会議を開催し慎重な検討を行い、要望書を作成するに至った。第17期理事会執行部の責任のもとに、11/8付にて、東京大学あてに「論文不正問題に関する早急な情報開示の要望書」を提出しており、12月10日の理事会承認を経て、同日深夜、同要望書は学会HPに掲載された。
 本年会の初日夜(2012年12月11日)に緊急フォーラム「研究不正を考える―PIの立場から、若手の立場から-」を開催し、会員各位より貴重な意見を頂戴している。第17期理事会の任期はあとわずかであるが、責任をもって次期の第18期理事会に申し送りを行ない、論文問題についての対応を進めていきたいとの報告がなされた。

  2)庶務報告
 石野史敏庶務幹事より会員現況についての報告が行われた。
会員現況:〔2012年12月1日現在〕 名誉会員1名、正会員9,930名、学生会員5,319名、賛助会員31団体、総計15,281名(前年12月対比、-196)

  3)編集『Genes to Cells』報告
 上村 匡編集幹事より『Genes to Cells』の刊行状況につき報告がなされた。
 2011年より一新した表紙デザインは国内外の購読者から高い評価を得ており、2013年も日本の伝統絵画の中に生命科学の遊び心を加えた表紙デザインの制作を継続していくとの説明がなされた(スライド:2011~2012年の表紙/cover art一覧)。
 論文投稿数であるが、昨年より若干持ち直してはいるものの安定的な水準を維持する数にはなっておらず、短報、method paper 等も歓迎するなどの周知を続けていきたい。
 本学会誌は、生命科学のあらゆる分野、そして理論解析やフィールドワークを含む多様なアプローチなど、幅広い分野の研究者から論文を投稿してもらえるようの投稿規程も改訂している。会員各位においては引き続き、積極的な投稿をお願いしたい。

  4) 高等学校との連携による社会貢献活動について(高校などへの講師派遣事業)
 篠原 彰広報幹事より、本事業の概要についての報告が行われた。
 本年11月、「高校などへの講師派遣事業の協力のお願い」をHPに掲載し、同時期に会員メール配信を行った。本事業は昨年の理事会・総会において決議されているが、その具体的内容は次のとおりである。

   ① 分子生物学の講演、授業などを必要としている高校(中学を含む)への会員の派遣

   ② 最新の分子生物学の講演会、講習を必要としている高校(中学を含む)教師の集まりへの会員の派遣

同協力依頼に対し、12月6日現在、152名の会員より協力回答を得ており、その講師一覧のデータベース作成作業もほぼ完成しつつあることが報告された。
 来期(18期)の理事会にて、具体的にどのように出前授業をマッチングしていくか、その運用方法を今後詰めていきたいとの報告がなされた。

5.議 事

  1)平成24年度(2012度)収支決算承認の件
 塩見春彦会計幹事より総会資料(2~10頁)に基づき、平成24年度決算の収支内容につき詳細報告が行われた。本決算の監査については、以下のように報告された。
 2012年10月30日、公認会計士 宮城秀敏氏の会計監査を受け(総会資料の独立監査人の監査報告書を参照)、同年11月15日に、勝木元也監事、町田泰則監事の監査を受けた。
 審議の結果、本決算は異議なく承認された。

  2)平成25年度(2013年度)収支予算ならびに事業計画承認の件
 塩見会計幹事より総会資料(11~12頁)に基づき、25年度の収支予算案、事業計画につき説明が行われた。
 審議の結果、同収支予算ならびに事業計画は異議なく承認された。

  3)第18期監事選任の件  定款第14条に基づき、小原理事長より第18期監事として郷 通子会員、永田恭介会員が推薦され、承認(選任確認)された。

6.阿形清和第35回年会長より、年会開催状況につき報告と挨拶がなされた。
 今年の年会は、邦題としては「~年会の新しいスタイルを摸索する~」、英文タイトルとしては“Trial of IT-technology-based member-member communication at the annual meeting”としており、ITを駆使することで、従来の<演題を中心とした年会>から、<個々の会員の顔がわかる年会>への質的変換を図ろうとしたことが説明された。巨大学会の母集団の多さがマイナスとなるのではなく、母集団の多さを活かしていろいろな個性と出会うことで、個々の研究のひろがりを促すことを目標としたことが報告された。
 本日現在、参加者数は6,220名であり、順調に年会運営が進んでいる(最終の参加者数は市民公開講座を除き6,600名であった)。総演題数としては3,960にのぼり、会期前半の2日間が終ったところであるが、各会場ともに例年以上の賑わいをみせていると感じている。
 年会の柱となるシンポジウムについては、分子生物学会らしさが出るように、ゲノムやエピジェネティクスなどをキーワードとしてフロント・サイエンスが異分野の若手研究者にも楽しめるように工夫した。そして、シンポジウムと並行して公募でつくられたワークショップを100ほど設定している。年会としては、whole genome, personal genome元年として位置づけられたのではないかとの説明がなされた。全般的に新しい試みについても好評を頂いているようである。
 最後に、多大なサポートを頂いた日本製薬団体連合会と福岡市に対しての謝辞が述べられた。

7.近藤滋第36回年会長より、2013年の年会開催企画案につき報告がなされた。

・会 期:2013年12月3日(火)~6日(金)
・会 場:神戸ポートアイランド

  ≪年会開催コンセプト≫
 最近、生命科学がビッグサイエンス化する傾向にあるが、原点は、やはり個々の研究者の問題意識と創意工夫である。グループ研究に埋没しがちな若手研究者に、サイエンスの楽しさと希望をもってもらえるような様々な仕掛け・工夫を凝らした「今までにない学会」を開催したいとの報告がなされた。
 本年会は、学術プログラムはプログラム委員会が担当し、特別企画については、組織委員会が企画・運営を行うといった役割分担で準備を進めている。現段階では、特別企画として以下のような内容を検討している旨の説明がなされた。

  ≪特別企画≫(案)
● 海外ポスドク呼び寄せ
(最大200名に10万円の旅費を支給し、特別セッションに参加してもらう)
● 薬品ベンチャー主催シンポジウム
(国内薬品ベンチャー関係者によるシンポジウムを開催)
● ポスター発表PodCast化
(ポスターの概要をPodcastでダウンロードできるようにする)
● 生命科学研究を考えるガチ議論
(科学政策の諸問題を議論するウェブサイトを開設。半年間の議論の後、年会で直接対決)
● 分生版TED
(斬新で「聞く価値」のあるアイデアのプレゼンテーションショーを行う)
● 学会とジャズの融合
(ポスター会場を使ってのミキサーの時、あるいは会期中の空いている部屋を利用し、学会員で構成されたバンドの演奏を行う)
● ここだけ2050年シンポジウム
(40年後、という設定でのアカデミックシンポ)
 

8.ビデオレター(約4分半)により、大隅典子第18期理事長挨拶が行われた。メッセージの要旨は次のとおりであった。
「学会活動は、科学者である会員の情報交換やアイデアの醸成を促す場として機能することが第一義に大切であるが、現代においては社会との関わりのインターフェースとしての役割も担っていると考えられる。とくに、生命科学分野における基礎系の学会として最大数の会員から構成される本学会は、少なからぬ責務を負っていると思われる。
次期理事長として、第18期の間に以下のことに取り組みたい。
1) 若手キャリアパスの支援
2) 科学研究教育施策に関するアドボカシー
3) 研究倫理に関する意識啓発
最後に、男女共同参画学協会連絡会主催大規模アンケートへの協力依頼がなされた。」

9.林議長より閉会の挨拶があり、第35回総会が終了した。
 

上記、平成25年度通常総会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。

平成24年12月12日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 平成24年度通常総会

議長林   茂 生
議事録署名人小 原 雄 治
議事録署名人阿 形 清 和