日 時:令和7年9月25日(木)15:00~15:55
場 所:オンライン開催(Zoomウェビナー)
社員数(正会員+名誉会員+シニア会員+次世代教育会員):7,687名
出席者数:4,087名(本人出席105名、表決委任者3,982名)
議事内容:
1.冒頭に木村宏理事長より開会の辞が述べられた。続けて、定款第25条に基づき、本総会議長として岩崎由香会員が指名された。さらに定款第29条に基づき、議事録署名は、浦聖惠会員と木村理事長が担当することが確認された。
2.岩崎議長より、定款第26条(総会の定足数)に基づき、上記表決委任者(委任状)を含めて出席4,087名(ほか学生会員13名が出席)となり、本総会は成立する旨報告された。
3.議事
1)年度会費改定の件
木村理事長より、総会資料にもとづき説明が行われた。
会員数は十数年前に比べやや減少したものの、コロナ禍を経たのち、ここ数年は安定している。ただ、年別の入会者数をみると、他学会と合同で開催した年会(BMB2015は日本生化学会との合同、ConBio2017は生化学会との合同かつ37学会・団体による協賛)や連携した年会(MBSJ2022は日本生物物理学会と連携)においては本会への入会者数が減少、特に学生会員の入会が少なかったことがわかる。日本生態学会と連携した年会(MBSJ2018、MBSJ2019)はさほど影響がなかったが、これは学会の規模や分野がかなり異なっていたためと思われる。
分子生物学会への入会者は、一般演題とLate-Breaking Abstractの受付期間、そして年会開催の時期に大きく増加することから、本会へ入会することのモチベーションは主に年会参加であると考えられる。来年は9年ぶりに生化学会との合同開催で、さらに生物物理学会と連携することも決定している。これはつまり、生化学会あるいは生物物理学会の会員であれば、分子生物学会へ入会することなく本会の会員と同等の資格でBMB2026に参加・発表できることを意味している。加えて、それぞれの学会の入会年度にかかる学生会員の費用(入会金・年度会費・年会参加登録費の合計金額)を比較してみると、本会が数千円の差で最も高額となることが指摘されていた。
そこで、これらの学会によらず、今後、他の学会と連携した年会が開催される場合にも、生物学・生命科学研究に従事する学生の皆さんが分子生物学会へ入って活動してくれるだろうか、そのために、学生会員の費用負担をできる限り抑えることはできないだろうかという議論が執行部や理事会で行われた。本会の会費収入総額が均衡を保てる範囲で試算を重ね、年度会費の改定案(以下)を臨時総会へ諮ることとなった。正会員の年度会費は生物系学会の中でも比較的廉価に設定されており、年会の参加登録費とセットでみても他学会に比べ低額に抑えられている。正会員・次世代教育会員の方々には、物価高などの状況の中で心苦しいが、約20年ぶりの会費改定にご理解をいただきたい。
【改定案】 | 改定前 | 改定後 | |
■入会金 | 1,000円 | 1,000円(変更なし) | |
■年度会費 | 正会員 | 6,500円 | 7,500円 |
次世代教育会員 | 6,500円 | 7,500円 | |
学生会員 | 3,000円 | 初年度0円、2年目から1,000円 | |
シニア会員 | 3,000円 | 3,000円(変更なし) | |
賛助会員 | 一口40,000円 | 一口40,000円(変更なし) |
次いで、本総会の出欠回答フォームを通じて多くの意見が寄せられたことに木村理事長より感謝の意が伝えられた。寄せられたすべての意見(242件)は、会員名を伏せた状態で後日公開する予定である。
複数の会員から寄せられていた意見・質問を中心に理事長より説明がなされたのち、総会出席者との質疑が行われた。
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【複数の会員から寄せられていた意見・質問】
Q.年度会費改定案について、なぜこの金額設定になったのか。
A.以下の3点を念頭に年度会費改定シミュレーションを行って検討を重ね、今回の案となった。
①学生が年会に参加するための負担をできるだけ抑えたい。
②学生会員以外の会員の年度会費を上げざるを得ないとしても、上げ幅は抑えたい。
③学会の会費収入が改定前と比べできるだけ均衡を保てるようにしたい。
①は「学生会員の入会金・年度会費を完全に0円にしても良いのではないか」という意見の一方で「すべて無料にして会員数を増やそうとするより、お金を払ってでも入会したいと思える魅力的な学会にして、学生会員にも帰属意識のようなものを持ってもらえると良いのでは」との意見などをふまえ、「学生会員が毎年1,000円ずつ納入すること」をベースに検討が進められた。
本会の2024年度会費納入実績や会員数データをもとに試算した結果、入会金は1,000円で変更なし、学生会員を初年度0円・2年目以降1,000円とし、正会員・次世代教育会員を1,000円値上げして7,500円とすると、現行の年度会費設定の場合に比べ50万円程度の会費減収に収まる見通しとなった。
Q.賛助会員やシニア会員の年度会費も上げたほうが良いのではないか。
A.分子生物学会の賛助会員は、実質的なメリットが多いとは受け止められにくい中でサポートを続けていただいており、その会費金額を上げるよりは年会への出展などでさらに協賛を得られるようにしていくことが望ましい。また、シニア会員はリタイア後、年金生活をしながら会員を続けておられる方が多数であろうことを考慮し、据え置きとした。
Q.学会年度会費と年会参加登録費のバランスも重要なのではないか。
A.年会参加登録費については、歴代の年会長ができるだけ安価にできるよう努めている。経費節減に加え、年会でより多くの参加者と企業等の協賛を集めることがポイントになってくる。
Q.今回の年度会費改定は、日本の研究力の向上につながるか。
A.分子生物学会は日本の生命科学で重要な役割を担っている学会であり、できるだけ若い人には年会に参加して研究を進めてほしい。予想は難しいが、まず学生が年会に参加できることが次につながっていくと期待したい。少なからず影響があるものと思われる。
Q.学生が分子生物学会の会員になるメリットは?
A.分子生物学会の年会に参加して活発な議論を行えることに大きな価値を見出している学生は多いと思うが、会員を継続するメリットという点では、例えば本会の年会では「海外若手研究者招聘企画」が続けられている。これは学位を取得した後に海外で研究活動をしている若手会員が年会に参加するための旅費を補助する企画で、「会員歴3年以上」といった応募条件がある。学生の頃に入会して会員を続け、学位取得後に海外でポスドクになったような人が年会へ参加したいと思った時に活用されている。
Q.学会には繰越金がかなりあるが、年度会費を値上げする必要があるのか。
A.コロナ禍は多くの学会が学術集会の開催を見送らざるをえない状況にあったが、分子生物学会はオンラインやハイブリッド形式を導入することで研究発表が維持できるよう途切れなく年会を開催してきた。また、地震や津波などの自然災害で年会が開催できなくなるといった有事に対応するためには現在の繰越金は必要なラインと考えられる。なお理事会では、その必要最低限のラインより多い分の繰越金について、資産運用できないか議論がなされてきた。まずはリスクのない形で少しでも運用できるよう、大口定期預金の一部を金利のやや高い特約付き定期預金へ預け替えを行ったところである。
Q.紙媒体での会報の配布は資源と会費の無駄遣いではないか。
A.コロナ禍における収支改善のため、年3回刊行している会報のうち2回はPDF版のみの作成に切り替えた。今回の臨時総会出欠票で、はがきで回答された会員が2割ほどおられたことなどをみても、特に重要な情報の発信には当面紙媒体を併用していくことになるが、将来的には紙媒体をできるだけ減らしていくことが望ましいと考えている。
Q.学生をサポートしたいが正会員も苦しい。
A.分子生物学会では科研費増額に向けた国への要望活動を行っており、研究費だけでなく、運営費交付金の改善や大学院生の経済的サポートといった重要課題についても一緒に要望している。引き続き取り組んでいきたい。
【事前に寄せられていたそのほかの意見・質問】
Q.学会の年度会費や懇親会費を研究費から支出することが一般化できないか。
A.日本学術振興会の「科研費FAQ」によると、科研費では支出できると書かれているようだが、一般化は難しいと思われる。学会の年度会費をどこから支出しているかは所属機関や研究室、個々人で事情が異なるものの、多くの会員はご自身で支払っているのではないかと思い、特に学生の負担を減らしたいと考えている。
Q.年会の規模など、運営面での改善も必要なのでは。
A.分子生物学会は年会参加者やポスター発表の数、同時に走る講演セッションの数などが多く、年会を開催できる会場が限られている。その規模が大きくなると会場費が相応にかかるのはやむをえないところがある。できるだけ参加者と出展企業を増やして年会参加費を抑えられるとよい。
Q.年度会費を前倒しで払っている場合、改定前の年度会費が適用されるか。
A.個別の会員ごとに金額設定を変えることは難しい。今回の総会で会費改定が承認となった場合、新年度からはすべての会員に改定後の年度会費が適用となる。ご理解いただきたい。
Q.生化学会との重複会員が多いと聞くが、統合すれば2学会分の会費より安くできるのでは。
A.分子生物学会会員の中で生化学会にも所属している割合は、2000年代に2割強であったが2010年代に15%ほどになっており、それほど多くはない。現状ではたまに合同大会をするといった関係性が良いのではないかという理解でいる。
【総会出席者からの意見・質問】
Q.最終学年で年会参加・発表のため入会した学生が、会員を続けず学会を去ってしまうケースも想定されるのではないか。
A.その点は指摘の通りで、実際に現状で学生会員の年度会費納入率は7割程度となっており、これは年会に参加した後で研究を離れることになった学生会員が退会手続きをしないまま卒業してしまうことが主な要因となっている。学生には研究を継続してほしいが、1年だけだとしても学会に参加することには意義があると思われる。
Q.学会の支出面についての見直しは行っているか。
A.毎年、年会の会期中に行われている通常総会では、学会の会計に関して詳しく説明している。ぜひ参加していただきたい。
支出の抑制という点では、(前述の通り)年3回刊行している会報のうち2回はPDF版のみの作成に切り替え、印刷費や郵送費を削減している。
また、学会から毎年、年会開催補助のために支出している準備金があり、年会で黒字が出た場合にはその準備金や余剰金が学会の会計に組み込まれる。今年は学会HPのリニューアルを予定しているが、そのための予算は2024福岡年会の折の黒字分で賄える見込みである。
収入を上げられる要素としては、分子生物学会の学術誌Genes to Cells(GtC)の収入が考えられる。よりインパクトが高まりGtCの論文を読む人が増えると学会が増収となる可能性がある。GtCを積極的に読んでもらえるよう会員の協力をお願いしたい。
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採決の結果、出席者105名のうち65名より賛同の挙手があり、表決委任者(委任状)を加え、本件は承認された。第24期第2回(臨時)理事会での承認をもって追加改正された細則にもとづき、2026年度より改定後の年度会費が適用される。
2)その他
木村理事長より、年会のシンポジウム講演者あてに旅行会社を装った詐欺と思われるメールが出回っていることが共有され、出席者に注意喚起がなされた。
4.岩崎議長より閉会の挨拶があり、令和7年度臨時総会が終了した。
上記、令和7年度(第1回)臨時総会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名する。
令和7年9月25日
特定非営利活動法人 日本分子生物学会
令和7年度(第1回)臨時総会
議 長 岩 崎 由 香
議事録署名人 浦 聖 惠
議事録署名人 木 村 宏